インドネシアでのSO(送り出し機関)の設立方法と注意点
- 公開
- 2024/06/24
- 更新
- 2024/12/03
- この記事は約7分49秒で読めます。
SO(Sending Organization)は日本語で「送り出し機関」と呼ばれ、技能実習生として活動したいインドネシア人と日本の企業・団体との橋渡しの役割を果たしています。
インドネシアで職業訓練のビジネスを始めたい、あるいは日本でインドネシア人技能実習生を受け入れたい方は、SOについて理解を深めておくことが重要です。
そこで本記事では、SOの詳細や技能実習との関わり、SOになるための方法、インドネシアで活躍するSOについてまとめました。また、SOとLPKとの違いや関係性についても紹介しているので、参考にしてみてください。
円表記は2024年6月12日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。
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SO(送り出し機関)とは
外国人技能実習生機構によると、SOは「技能実習生が国籍又は住所を有する国又は地域の所属機関や団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを本邦の監理団体に取り次ぐ者」と定義されています。
団体監理型とは、非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、その傘下企業などで技能実習を実施すること。
簡単に説明すると、日本においてSOは技能実習生の募集や選定のほか、人材を日本の監理団体へ送り出すなど、橋渡しの役割を果たす機関を指します。2024年5月時点で、SOはインドネシアに435機関あります。
参考:外国人技能実習生機構「制度説明」
SOの資格取得条件
厚生労働省はSOになるための条件として、以下を含む12項目を設定しています。
- 所在する国の公的機関から推薦を受けていること
- 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送り出しを行うこと
- 技能実習生などから徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表すること
- フォローアップ調査への協力など、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること
- 技能実習生またはその家族などの金銭またはその他の財産を管理しないこと
インドネシアでSOになるためには、まずLPK(Lembaga Pelatihan Kerja、職業訓練機関)の資格を取得する必要があります。このLPKについては、次から詳しく説明します。
SOとLPKの違い・関係性
LPKとは、インドネシア人登録者が国内外で職に就くためのさまざまなサポートを行う職業訓練機関のこと。その国で働くために必要な外国語スキルや技能の習得を目的とした教育のほか、求人情報の提供などを行います。
SOとLPKの違いとして、LPKは職業訓練をする資格は持っているものの、SOのような送り出しに関わる許可は持っていないことが挙げられます。なお、LPKの資格を取らずにSOになることはできません。
SOを通した技能実習生送り出し・就労の流れ
上の図は技能実習生として日本に送り出されるまでの流れを示したものです。
例えば上の「送り出し機関の許可がないLPK」を通して技能実習生として日本で働きたい登録者は、まずLPKで3~4か月の研修を受けます。そして研修終了後、LPKからSOに引き継がれ、技能実習生として渡航するための面接を受けます。
この面接に合格したら、SOのサポートのもと渡航準備を行い渡日することができます。SOによる渡航準備サポートには、パスポートやビザの取得、空港トランスポートの手配、日本の受け入れ団体とのやりとりなどが含まれます。
それに対して、下の「送り出し機関の許可があるSO」の登録者は、途中で別の機関に引き継がれるLPKと違い、3~4か月の研修から出国まで同じSOのサポートを受けることが可能です。昨今はLPKとSOの両方の資格を持とうとする機関が増えつつあり、研修から出国まで同じ機関でサポートを受けられるケースが珍しくありません。
SOの資格取得方法
まだインドネシアで法人を設立していない状態からSOになるためには、以下の3つの手続きを行う必要があります。
- 法人を設立する
- LPKの資格を取得する
- SOの資格を取得する
次から、この3つの項目について説明します。
法人を設立する
インドネシアで日本人を含む外国人が法人を設立する場合、内資法人または外資法人のどちらで設立するかを選ぶことになります。外資法人であってもLPKやSOになることはできるので、予算などを考えて設立方法を検討します。
内資法人と外資法人の主な違いとして、資本金が内資法人は1,250万ルピア(12万1,000円)で済むのに対して、外資法人は100億ルピア(9,646万3,300円)と高額であることが挙げられます。
ただ、内資法人は資本金は安いものの、外国人が株主になれないといったデメリットがあるので、それぞれのメリット・デメリットを比較する必要があります。
インドネシアの内資法人・外資法人の立ち上げについてより詳しい情報を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
インドネシアにおいて外資法人(PMA)を設立する場合は資本金を100億ルピア(約1億円)を準備した上で、外資特有の規制なども理解する必要があります。
LPKの資格を取得する
以下は、SOになるために必要なLPKになるための方法の詳細です。
KBLIコードの取得
インドネシアでは、法人を設立する際にKBLIコードと呼ばれる事業コードを取得します。KBLIコードは事業分野ごとに割り振られている番号のことで、それぞれの番号ごとに事業内容や事業範囲、リスクレベルなどが決められています。
SOとして活動するために必要なLPKになるためには、以下の職業訓練に関わるいずれかのKBLIコードを取得しなければいけません。
- 78421(技術者職業訓練)
- 78422(情報技術職業訓練)
- 78423(クリエイティブ産業職業訓練)
- 78424(観光・ホスピタリティ職業訓練)
- 78425(ビジネス・管理職職業訓練)
- 78426(家政婦・介護・保育などの職業訓練)
- 78427(農業・水産業職業訓練)
- 78429(その他の職業訓練)
地方役所への申請と研修施設の登録
適切なKBLIコードを取得し法人設立が完了したら、地方の役所へLPKになるための許可を申請します。その際には、以下の情報が必要となります。
- 責任者の身分証明書および履歴書
- NPWP(納税番号)のコピー
- 組織構造および職務内容が分かるもの
- LPK の 1 年間の業務計画と資金調達計画
- 認定を受けた講師および訓練担当者のリストと履歴書
- 職業訓練施設やインフラの所有権、またはそれをレンタルすることを証明するもの
LPKの認可が下りたあとは、これから事業で使う研修機関について労働省の公式サイトから登録すれば、LPKとしての申請・登録はすべて完了です。
SOの資格を取得する
LPKの資格を持つ機関がSOになろうとする場合、インドネシアの労働省および在日本インドネシア大使館での手続きが必要となります。
その際、以下の書類が必要になります。
- 組織構造や職業訓練カリキュラムなどLPKとしての実態を証明するもの
- 受け入れ機関(AO)との覚書
- 労働省職業訓練・生産性向上総局実習開発局への申請書
- 州からの推薦状
- 技能実習終了後のサポート計画 など
ただし、必要書類は状況によって変わるため、その時々の最新情報を確認することをおすすめします。
SOの資格取得にあたっての注意点・ポイント
ここでは、SOになるにあたっての注意すべきポイントを紹介します。
該当のKBLIコードの取得が必要
インドネシアでは、国内で行える事業内容がKBLIコードで厳格に定められており、KBLIコードで定められていない事業を行った場合は大きな問題となります。
そのため、たとえすでにインドネシアで法人を立ち上げていて、何らかのKBLIコードを持っている事業者でも、それが職業訓練のKBLIコードでない場合は新たに取得する必要があります。
スケジュールに余裕を持った手続きが必要
SOになるためには、まずLPKになることが不可欠です。法人設立からSOの資格取得までにはある程度の期間が必要で、また手続きの状況によっては追加で資料が求められることになり、予想外に長い時間を要する可能性があります。
設立してみませんか
インドネシアで活躍するSOの例
最後に、インドネシアで活動しているSOの例を紹介します。
LPK Japan Mandiri Indonesia(LPK・ジャパン・マンディリ・インドネシア)
中部ジャワ州に拠点を持つLPK Japan Mandiri Indonesiaは、日本で働くための高度なスキルを持った人材を育成する送り出し機関(SOの資格を持つLPK)です。
エンジニア分野と医療・介護分野の職業に就くためのプログラムを中心に提供しており、技能だけでなく規律や就労態度、労働倫理など、マナーや精神面での教育にも注力しています。
また、まずは短期間だけ働いてみたいという人向けのインターンシッププログラムや、日本に留学中のインドネシア人向けの就労プログラムなど、技能実習に留まらない幅広い働き方を提案しているのが特徴です。
参考:LPK Japan Mandiri Indonesia
LPK Trimitra Matahari Mandiri(LPK・トリミトラ・マタハリ・マンディリ)
LPK Trimitra Matahari Mandiriは、日本で働くための技術を持ち、ビジネス習慣を理解している人材の育成と送出しに力を入れている送り出し機関です。日本にもオフィスを持っており、日本に渡航後のフォローや監理団体との連携に力を入れています。
中部ジャワ州のWonogiri(ウォノギリ)に日本語の研修施設があり、日本語のネイティブスピーカーから指導を受けることも可能。また、ジャカルタから近いBekasi(ブカシ)にも事務所を構えています。
今までの日本への技能実習生の送出人数は1,300名超で、2017年の創業から現在まで、農業や建設、食品、機械金属など幅広い分野に人材を送り出しています。
参考:LPK Trimitra Matahari Mandiri
LPK MOMIJI(LPK・モミジ)
LPK MOMIJIも、技能実習生の送出しを行う大手送り出し機関の1つです。1~4か月間行われる日本語教育プログラムでは、介護職に就きたい人向けの日本語能力試験N4取得プログラムや、模擬面接トレーニングを行います。
その後、入国前講習として日本での生活一般に関する知識や日本での技能習得に関する知識もレクチャー。このトレーニング期間中、登録者は研修施設から近い寮や図書室を利用することができます。
日本に幅広いネットワークを持っていること、日本語に精通した講師から質の高い指導を受けられること、寮や図書室完備で学習環境が整っていることを強みとしています。
参考:PK MOMIJI
LPK Jogja Kenshu Senta(LPK ジョグジャ研修センター)
LPK ジョグジャ研修センターは、中部ジャワ地区のジョグジャカルタにあるLPKです。ジョグジャカルタは、大学が130校以上ある教育レベルが高いエリアで、日本語が必須科目になっている高校が100校以上もある日本語教育レベルの高いエリアです。
ブローカーを一切使わず、中部ジャワ地区の地元人材を直接リクルートしており、家族構成、家庭環境、両親希望、本人希望、本人健康状態等を確認した子を選抜、登用しています。
また、窓口に日本人スタッフが常駐していることも強みの一つ。煩雑なやり取りや細かな書類作業のやり取りもストレスなくスピーディーに対応してもらえます。インドネシア現地面接出張時のスケジュール管理、コーディネート、飛行機・ホテル手配等、様々なご要望に柔軟に応えてもらえます。
インドネシアで職業訓練・送り出し事業を検討している企業様へ
日本で働きたいと考えるインドネシア人は多く、インドネシアの職業訓練・送り出し事業には一定の需要があります。そのためインドネシアで何らかのビジネスを始めたい人にとっては、LPKやSOも1つの選択肢となるでしょう。
ただ、インドネシアで職業訓練・送り出し事業を始める際に高いハードルとなるのが、法人設立やLPKの資格取得などの各種手続きです。特にインドネシアは日本と比べて、どのタイミングでどういった手続きを行えばよいのか分かりにくいのが難点です。
インドネシア進出の手続きに不安を抱えている企業様は、弊社カケモチまでご相談ください。法人設立に関わる事務手続きはもちろん、市場調査や集客支援を通してインドネシア進出をサポートいたします。
インドネシア人の紹介ビジネスに関わる方へ
最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。
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インドネシアのSOとは何ですか?
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SO(Sending Organization)は日本語で送り出し機関と呼ばれます。日本においてSOは技能実習生の募集や選定のほか、人材を日本の監理団体へ送り出すなど、橋渡しの役割を果たします。
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インドネシアのSOになるためには何が必要ですか?
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SOになるためには「所在する国の公的機関から推薦を受けていること」など、12の項目を満たす必要があります。また、SOになるためには、まずLPK(Lembaga Pelatihan Kerja、職業訓練機関)の資格を取得することが必須です。
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インドネシアで活動しているSOの機関を教えてください。
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インドネシアで活動しているSOには、LPK Japan Mandiri Indonesia、LPK Trimitra Matahari Mandiri、LPK MOMIJIなどがあります。
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