特定技能「介護分野」の技能試験の内容、試験会場、申込方法など
- 公開
- 2025/01/16
- 更新
- 2025/02/08
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インドネシアからの人材は、特定技能「介護分野」で働く外国人の中で最も多く、日本の介護業界において重要な役割を果たしています。
彼ら、彼女らの多くは、日本語と介護技能について学び、試験に合格して在留資格を取得しています。そこで本記事では、特定技能「介護分野」の在留資格取得に必要な試験のうち、技能試験について、内容や受験方法、試験結果などを紹介します。

特定技能「介護分野」とは
特定技能「介護分野」の概要
特定技能制度は2019年4月に開始されました。人手不足が深刻で、かつ、生産性向上などの取り組みを行っても人材確保が困難な特定の産業分野において即戦力となる外国人を受け入れる制度で、介護も対象分野に含まれています。
介護というと高齢者介護を想像しやすいものの、児童発達支援、障害児入所施設などの児童福祉に関わる施設や、障害者グループホームなどの障害者福祉に関わる施設も該当します。
なお、従来は特定技能「介護分野」の外国人が就労できるサービスに、家庭訪問型のサービスは含まれていませんでした。しかし人手不足の深刻化を受けて解禁が決まり、早ければ2025年中にも開始されることになっています。
特定技能「介護分野」で働くインドネシア人

「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」より弊社作成
特定技能1号「介護分野」で働くインドネシア人は増え続けています。2024年6月時点では9,760人で出身国別でもっとも多く、特定技能制度で介護職に就く人全体の26.6%を占めます。
参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」
特定技能「介護分野」の試験の種類
特定技能1号「介護分野」の在留資格を取得するためには、以下の3つの試験に合格する必要があります。日本語試験(JLPTまたはJFT-Basic A2)は他の産業分野と共通ですが、介護分野ではそれに加えて、独自の日本語評価試験があるのが特徴です。介護日本語評価試験は、介護技能評価試験と同時に受験できます。
- 技能試験(介護技能評価試験)
- 日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))
- 介護日本語評価試験
参考:厚生労働省「介護技能評価試験」試験実施要領」
特定技能「介護分野」の技能試験の試験内容
試験の水準と構成
特定技能「介護分野」の技能試験の水準は、「介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベル」とされています。これは、介助職種・介護作業の「第2号技能実習」修了相当の水準である「介護技能実習評価試験」と同じレベルです。問題は、会場のある国の公用語で出題されます。

試験は試験会場のコンピュータを使用したコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます。 試験時間は60分で、学科と実技の試験があります。構成は以下の通りです。
学科試験:40問
- 介護の基本(10問)
- こころとからだのしくみ(6問)
- コミュニケーション技術(4問)
- 生活支援技術(20問)
実技試験:5問
- 生活支援技術(5問)
※写真等を提示して、正しい介護の手順等についての判別、判断等を行わせる試験
受験資格
特定技能の技能試験の受験には、以下の通り年齢制限があります。新しく在留資格を取得する人は自国での受験になりますが、すでに在留資格を有する人であれば、日本国内で受験できます。
- インドネシア国籍者の場合は18歳以上(ほかは17歳以上)
試験免除者
以下に当てはまる人は、特定技能1号「介護分野」の在留資格の取得にあたり、技能試験と日本語試験が免除されます。
- 介護職種の第2号技能実習を良好に修了した方
- 介護福祉士養成施設を修了した方
- EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方
合格基準
特定技能1号「介護分野」の技能試験の合格基準は、「問題の総得点の60%以上」とされています。
試験終了後、試験会場のコンピュータ画面上に試験結果が表示されます。また、試験実施後5営業日以内を目途に、専用のWebサイト上でスコアレポートを確認できます。
参考:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて|試験の概要」
特定技能「介護分野」の技能試験の受験者数と合格率
日本の試験会場とインドネシアの試験会場の2023年度の受験者数と合格率を紹介します。日本の試験会場には、インドネシア人以外の受験者の結果も含まれます。
日本の試験会場
実施月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年4月 | 542人 | 377人 | 69.6% |
2023年5月 | 746人 | 517人 | 69.3% |
2023年6月 | 711人 | 452人 | 63.6% |
2023年7月 | 847人 | 616人 | 72.7% |
2023年8月 | 834人 | 559人 | 67.0% |
2023年9月 | 907人 | 619人 | 68.2% |
2023年10月 | 870人 | 615人 | 70.7% |
2023年11月 | 862人 | 575人 | 66.7% |
2023年12月 | 806人 | 512人 | 63.5% |
2024年1月 | 852人 | 535人 | 62.8% |
2024年2月 | 1,275人 | 847人 | 66.4% |
2024年3月 | 808人 | 583人 | 72.2% |
受験者数合計:1万60人 | 合格者数合計:6,807人 | 合格率平均:67.7% |
インドネシアの試験会場
実施月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年4月 | 222人 | 158人 | 71.2% |
2023年5月 | 408人 | 307人 | 75.2% |
2023年6月 | 402人 | 305人 | 75.9% |
2023年7月 | 384人 | 300人 | 78.1% |
2023年8月 | 941人 | 689人 | 73.2% |
2023年9月 | 414人 | 306人 | 73.9% |
2023年10月 | 1,019人 | 821人 | 80.6% |
2023年11月 | 520人 | 415人 | 79.8% |
2023年12月 | 904人 | 728人 | 80.5% |
2024年1月 | 784人 | 599人 | 76.4% |
2024年2月 | 782人 | 673人 | 86.1% |
2024年3月 | 159人 | 127人 | 79.9% |
受験者数合計:6,939人 | 合格者数合計:5,428人 | 合格率平均:77.6% |
参考:厚生労働省「介護分野における特定技能試験結果について」
特定技能「介護分野」の技能試験の会場と日程
日本の試験会場
特定技能「介護分野」の技能試験は、日本でもインドネシアでも受験できます。日本国内ではすべての都道府県に試験会場があり、毎週3~5日、試験を行う会場が多くなっています。平日がメインですが、土日に受験可能な会場もあります。
インドネシアの試験会場
インドネシアでは、以下の都市に試験会場が設けられています。
- ジャカルタ首都特別州
- バンドン(西ジャワ州)
- デンパサール(バリ州)
- マナド(北スラウェシ州)
- メダン(北スマトラ州)
- スマラン(中部ジャワ州)
- スラバヤ(東ジャワ州)
- ジョグジャカルタ特別州
このうちジャカルタには5か所の会場があります。他の都市はそれぞれ1か所です。週3~7日の頻度で試験を実施する会場が多くなっています。
国内外の試験会場と日程は、以下の出入国在留管理庁のWebサイトに掲載されています。詳細は、試験を実施するプロメトリック株式会社のWebサイトにログインすることで確認できます(後述)。
- 特定技能総合支援サイト「特定技能に関する試験情報」:https://www.ssw.go.jp/about/sswv/exam/
※右にスクロールできます
特定技能「介護分野」の技能試験の申込方法と受験料
申込方法と申込期限
まず、プロメトリック株式会社のWebサイトからIDを取得します。そのIDでログインすると試験の申込ページが表示されます。申込ページから、現在申し込める試験日程や空席状況を確認できます。
- プロメトリック株式会社特定技能試験サイト:https://www.prometric-jp.com/ssw/
申し込みや予約の変更は、試験日の59日前から試験日の3営業日前の23時59分(日本時間)まで可能です。試験日が土・日、日本の祝日の場合は、4営業日前までとなります。なお、試験受験後、45日間は次の受験ができません。
受験料
特定技能「介護分野」の技能試験の受験料は、日本では1,000円です。インドネシアの会場では、11万ルピアとなっています(2025年1月時点)。支払いはWebサイト上から、クレジットカードなどで行います。
増えるインドネシア人介護士
特定技能は、介護業界における人手不足解消の鍵となる制度であり、多くの外国人がその仕組みを通じて日本で働いています。特にインドネシア人材の存在感は大きく、訪問介護への従事が解禁されることもあり、ますます活躍が期待されます。
すでに紹介したように、介護分野の技能試験は会場が比較的多く、しかも頻繁に実施されています。そのため、日本での就業を目指すインドネシア人にとって、介護は挑戦しやすい分野の一つになっています。
インドネシア人の派遣や受け入れに興味をお持ちの企業さまは、ぜひ一度お気軽に、弊社カケモチまでお問い合わせください。
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特定技能の介護分野では、どのような試験が実施されますか。
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特定技能1号「介護分野」の在留資格を得るためには、技能試験(介護技能評価試験)、日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))、介護日本語評価試験の3種類の試験に合格する必要があります。
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特定技能の介護分野の試験は、どこで実施されますか。
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特定技能1号「介護分野」の技能試験は、日本の47都道府県の会場および海外の会場で実施されています。
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特定技能の介護分野で働くインドネシア人は何人いますか。
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特定技能1号「介護分野」で働くインドネシア人は、2024年6月時点で9,760人でした。出身国別でもっとも多く、特定技能制度で介護職に就く人全体の26.6%を占めます。
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