インドネシアの登録輸入業者(IT)と製造輸入業者(IP)との違い

公開
2026/05/06
更新
2026/05/06
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最も多いお悩みと回答

インドネシアの登録輸入業者(IT)・製造輸入業者(IP)とは何ですか?

登録輸入業者(IT)は、主に販売・流通目的で特定品目を輸入する事業者です。製造輸入業者(IP)は、自社の製造活動や事業活動で使用する原材料・部品・設備などを輸入する事業者です。

APIとIT・IPの違いは何ですか?

APIは輸入者としての基本資格です。一方、IT・IPは特定品目をどのような目的で輸入するかを示す区分です。APIがあればすべての商品を自由に輸入できるわけではなく、品目によってIT・IPをはじめとする追加手続きが必要です。

日本企業がインドネシアへ輸出する場合、ITやIPは誰が取得しますか?

通常は、インドネシア側で輸入者となる現地企業が取得します。日本企業が輸出者となり、現地企業が輸入者となる場合、主に現地のインポーターが製品ごとの許認可を確認・取得し、輸入の実務を担います。

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インドネシアへ自社製品を輸出したい場合、現地のインポーターは基本の輸入ライセンスであるAPIを持っているだけでいいとは限りません。

実際には、製品カテゴリーや品目によって、登録輸入業者(IT)や製造輸入業者(IP)、輸入承認(PI)など追加の資格・許認可が必要になります。

IT・IPは、特定の製品について、販売目的で輸入するのか、自社使用・製造目的で輸入するのかという「輸入者の立場」を分ける制度です。

この違いを理解していないと、現地パートナー選び、契約内容、許認可取得、通関スケジュールに影響が出る可能性があります。

本記事では、APIとIT・IPの違い、IT・IPの基本的な役割、取得方法の概要、日本企業が押さえるべき実務上の注意点などを整理します。

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インドネシアの輸入ライセンス「API」と「IT・IP」の関係

インドネシアの輸入ライセンス「API」と「IT・IP」の関係

API(輸入者識別番号 / 輸入ライセンス)の役割

インドネシアで事業として輸入を行う場合、まず前提となるのがAPIです。APIには、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. API-U(一般輸入):販売目的
  2. API-P(製造輸入):自社使用目的

ここで重要なのは、APIはその企業が輸入者として活動できることを示すものであり、個別の商品ごとの輸入可否をすべて判断するものではないという点です。

なお、現在APIはNIB(事業基本番号)に統合されています。

そのため、オンラインシステム「OSS」で事業許可を申請する際にAPIの申請も同時に行い、それによって発行されるNIBがAPI-UまたはAPI-Pとして有効になっていることが、「APIをもつ」ことになります。

【補足】
規則上は、輸入者は「API-Uとして有効なNIB」または「API-Pとして有効なNIB」のいずれかを選択する建て付けになっており、同じNIBを同時に両方のAPIとして用いることはできません。

登録輸入業者(IT)・製造輸入業者(IP)の位置づけ

APIが輸入者としての基本資格だとすると、ITとIPは以下のような位置づけになります。

  • IT:API-Uとして有効なNIBを持つ輸入者の追加登録(資格)
  • IP:API-Pとして有効なNIBを持つ輸入者の追加登録(資格)

APIは「輸入者としての入口」であり、IT・IPは「特定品目について、どの目的で輸入する事業者なのか」を登録・管理するものです。事業として輸入を行う企業にとってAPIの取得は必須ですが、IT・IPの要否はその企業が扱う製品によって変わります。

APIがあれば輸入できるのか

よくある誤解の一つが、「APIを持っていれば、どの商品でも輸入できる」という理解です。しかし、これは正確ではありません。

APIはあくまで輸入者としての基本資格です。実際に輸入できるかどうかは、必要に応じてITまたはIPを取得しているか、そして品目ごとの規制に対応できているかによって決まります。

輸入に際して特定の品目に求められる許認可・手続きとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 輸入承認(PI)
  • サーベイヤー報告書(LS)
  • SNI認証
  • BPOM登録
  • ハラール認証

そのため、インドネシア向けに商品を輸出する際は、「輸入者がAPIを持っているか」だけでなく、「その商品について、どの追加許認可が必要か」を確認する必要があります

品目ごとの規制の確認や手続きを担当するのは、主に現地のインポーターなどです。そのため、インドネシアへの輸出販売では、適切なインポーターの選定が成否を大きく左右します。

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APIを持っていれば、インドネシアで自由に輸入事業ができますか?

APIは輸入者としての基本資格ですが、すべての商品を自由に輸入できることを意味するものではありません。対象商品のHSコードや品目規制によって、追加の資格や手続きが必要になる場合があります。

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登録輸入業者(IT)・製造輸入業者(IP)とは

ITとIPの最大の違いは、輸入した物品を販売・流通させるのか、自社で使用するのかです。

項目登録輸入業者(IT製造輸入業者(IP
主な目的販売・流通自社使用・製造
対応するAPIAPI-UAPI-P
再販売販売・譲渡を想定原則不可
主な利用者商社、インポーター、販売代理店製造業者、加工業者、OEM事業者

登録輸入業者(IT)とは

ITの役割

ITはImportir Terdaftarの略で、日本語では「登録輸入業者」と訳されます。ITは、輸入した商品をインドネシア国内で販売・流通させる事業者の登録証明(資格)です。

輸入者が商品を自社で使うのではなく、国内の小売店、卸売業者、最終消費者などに販売・供給する場合、対象品目によってはITとしての登録が必要になります。

例えば、スマートフォン、アルコール飲料、一部の化学品などでは、単にAPI-Uを持っているだけでは足りず、品目ごとに要件を満たし、ITとして登録する必要があります。

ITの対象となる主な品目

ITが関係する可能性がある品目は、消費財や流通規制の強い品目に多く見られます。具体的には、以下のようなカテゴリーが挙げられます。

  • 携帯電話・タブレット端末
  • アルコール飲料
  • 一部の化学品
  • 一部の繊維製品・衣料品
  • 一部の消費財

ただし、ここで注意が必要なのは、「食品」「化粧品」「玩具」などの大きなカテゴリー名だけでITの要否が決まるわけではないことです。

ITをはじめ輸入者が取得すべき追加の資格・許認可は、主にHSコードと品目別規則に基づいて確認します。

製造輸入業者(IP)とは

IPの役割

IPはImportir Produsenの略で、日本語では「製造輸入業者」と訳されます。こちらは、輸入した原材料や部品、設備などを自社の製造活動に使う事業者の登録証明(資格)です。

例えば、インドネシア国内に工場を持つ企業が、海外から原材料、部品、補助材料、生産設備などを輸入し、それを自社の生産工程で使用する場合に、IPが必要になることがあります。

また、OEM生産を行う場合も、インドネシア側の工場が輸入者となり、原材料を自社生産に使うのであれば、IPが関係します。

IPを取得するのは、API-Pを持つ企業です。API-PやIPの枠組みで輸入した物品をそのまま第三者に販売・譲渡することは、原則としてできません。

【補足】
API-Pを持つ企業は、原則として輸入品を再販売することはできませんが、例外的に、コンプリメンタリー品、市場テスト用、アフターセールス用の商品を輸入できる場合もあります。そのため、実務では「IT=販売、IP=製造」という基本を押さえつつ、品目別の例外も確認する必要があります。

IPの対象となる主な品目

IPの対象となるのは、自社の製造活動や事業活動に使用する前提の、以下のようなカテゴリーの製品です。

  • 食品・飲料産業向けの原材料・補助材料
  • 工業原材料・化学品
  • 製造用の資本財・設備
  • 再資源化・加工向けの特殊品目
  • 製造業の部材・原料として使う工業製品

IT・IPの要否の確認方法

ITやIPの要否は、インドネシア政府が提供するオンライン検索システム「INTR(Indonesia National Trade Repository)」でHSコードを検索することで確認できます。

ただし、INTRは簡易検索ツールであり、最新の法令などの情報が完全に反映されているとは限らないため、最終的には各製品カテゴリーの輸入規制などを定めた商業大臣規則の添付表などで確認することになります。

例えば、電子製品は2025年商業大臣規則第21号、食品・飲料を含む消費財は同第23号、化学品・危険物・鉱物資源は同第20号およびその改正規則である同第32号というように、カテゴリーごとに規制がまとめられています(2026年4月時点)。

輸入規制は頻繁に変更される傾向があるため、その都度、最新情報を確認することが重要です。

2025年商業大臣規則第23号の添付表「アルコール飲料」
2025年商業大臣規則第23号の添付表の一部。各種ビールのIT欄にチェックが入っている。

登録輸入業者(IT)と製造輸入業者(IP)は、1社につき1つしか取得できませんか?

ITやIPは、企業ごとに1つだけという性質のものではありません。対象品目やカテゴリーに応じて複数の登録・認定が必要になる場合があります。

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登録輸入業者(IT)・製造輸入業者(IP)の取得方法

インポーターが申請・取得

IT・IPは、インドネシア側の輸入者、つまりAPIとして有効なNIBを持つ企業が申請します。

日本企業がインドネシアに商品を輸出するだけであれば、通常、日本企業自身がITやIPを取得するわけではありません。一般的に、現地のインポーター(輸入業者)が対象になります。

APIと異なり、IT・IPは会社ごとに1つだけ取得するものではありません。対象品目やカテゴリーに応じて、複数のIT・IPが必要になる場合があります。また、取り扱う製品カテゴリーによっては、ITやIPが不要な場合もあります。

申請方法

IT・IPなどの輸入分野の事業許認可は、原則としてオンライン手続きが可能です。主な入口となるのは、インドネシアの国家シングルウィンドウ・システム「SINSW」で、審査は商業省が行います。

申請には、品目により、管轄省庁からの推薦状や、技術診断書(Pertek、技術見解書とも)などが求められます。また、同じ品目でも、申請するのがITかIPかによって、必要な書類や手続きが異なる場合があります。

IT・IP取得から輸入まで

申請が承認されると、対象品目について、輸入者としての登録・認定が有効になります。

ただし、IT・IPは「その品目を輸入する主体として認められる」ための制度であり、ただちに輸入を開始できることを意味するわけではありません。品目によっては、さらに輸入承認(PI)やサーベイヤー報告書(LS)など、個別の許認可が必要になります。

【補足】
IT・IPの有効期間は対象の製品によって異なります。3年間有効とされるものもあれば、事業を継続している限り有効とされるものもあり、個別に確認する必要があります。

ここまで見てきたように、インドネシアの輸入事業は、複数の制度の組み合わせで成り立っています。そのため、特に初期段階では、インドネシアにおけるビジネスについて、その全体像をまとめて理解しておくことが重要です。

インドネシア進出の全体像を整理したい方は、「インドネシア進出ハンドブック」をご活用ください。無料ダウンロードはこちらから可能です。

登録輸入業者(IT)と製造輸入業者(IP)はHSコードごとに取得するものですか?

IT・IPは、対象となる品目カテゴリーや規制区分に応じて取得・管理されるもので、HSコードごととは限りません。ただし、規制の判定や申請対象の確認はHSコードを基準に行われるため、実務上はHSコードの確認が非常に重要です。

日本企業が押さえるべき実務ポイント

輸出販売をしたい日本企業(現地パートナー活用)

輸入主体は現地企業

日本企業がインドネシアに商品を輸出販売したい場合、多くのケースでは、日本企業は「輸出者」となり、インドネシア側の企業が「輸入者」となります。

このとき、ITやPIなど追加の資格・許認可を取得するのは、原則としてインドネシア側の輸入者です。

そのため、日本企業がまず確認すべきなのは、自社商品を扱う現地パートナーが、対象品目を輸入するために必要な資格や許認可を持っているかどうかです。

インポーター選定が成否を左右する

インドネシアの輸入事業では、インポーターが多くの実務を担当し、法的責任を負います。

インポーターの主な役割は、以下のとおりです。

  • HSコードの確認
  • 必要な許認可の確認・対応
  • 通関手続き
  • 輸入後の流通・在庫管理
  • 当局への報告

これらの実務は、輸出側が単独で行うことはできません。そのため、輸入実務や許認可対応を適切に行えるインポーターを選べるかどうかが、ビジネスの成否に直結します。

インドネシアでの輸入・流通パートナー選定や進め方について個別に相談したい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。

現地で輸入事業をしたい日本企業(自社主体)

自社でITまたはIPを取得する必要がある

日本企業がインドネシアに現地法人を設立し、自社で輸入事業を行う場合は、現地法人が輸入主体になります。

この場合、現地法人がAPIとして有効なNIBを持ち、対象品目に応じてITまたはIPを取得します。

販売会社として輸入販売する場合は、API-Uを前提に、対象品目に応じてITを取得します。製造会社として原材料や設備を輸入する場合は、API-Pを前提に、対象品目に応じてIPを取得します。

追加の許認可との関係を事前に整理する

IT・IPだけでなく、品目ごとの規制も必ず確認する必要があります。

具体的には、食品や化粧品であればBPOM、電気製品や玩具であればSNIが関係します。また、PIやLSが求められる品目もあります。加えて、幅広いカテゴリーでハラール認証が義務化されていることにも注意が必要です。

そのため、現地法人を設立して輸入事業を行う場合は、会社設立後に許認可を調べるのではなく、設立前の段階で「どの商品をどの目的で輸入するのか」を整理しておくことが重要です。

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【補足】インドネシアの輸入関連資格・許認可

インドネシアの輸入関連資格・許認可

インドネシアの輸入制度は、「事業者としての資格」と「製品ごとの許認可」に分けられます。

まず、事業者側の基本となるのが、輸入ライセンスとしてのAPIです。前述のとおり、APIには、販売目的のAPI-Uと、自社使用・製造目的のAPI-Pがあり、現在はAPIとして有効なNIBを取得することで、輸入業者としての資格を取得できます。

そのうえで、規制対象品目を輸入する場合には、追加の事業者資格としてITまたはIPが必要になることがあります。販売目的の輸入ではIT、自社使用・製造目的の輸入ではIPが求められます。

さらに、製品ごとの許認可として、輸入時に必要となるPIやLS、輸入時や輸入後の流通・販売に関係するBPOM登録、SNI認証、ハラール認証などがあります。これらの要否は、基本的にHSコードや品目別規則に基づいて判断します。

つまり、インドネシアでは、適切な資格(APIやIT・IP)を持つインポーターが、取り扱う製品について求められる許認可を整えることで、初めて、輸入手続きを開始できるようになります。

映像でみるインドネシアのIT・IPとインポーター(輸入業者)

インドネシアのアルコール飲料インポーター

インドネシアのアルコール飲料インポーター

PT Jaddi Internasional(ジャディ・インターナショナル)は、ビール・ワイン・スピリッツなどを取り扱う、インドネシアのアルコール飲料インポーター兼ディストリビューターです。

アルコール飲料の輸入には、登録輸入業者(IT)に加え、商業省のアルコール輸入登録番号の取得も求められます。

こちらの動画は、同社も関わる「ウイスキー・ライブ・ジャカルタ2026」の様子です。ウイスキーに加えワインや日本酒なども含めたプレミアム酒類の試飲・商談イベントとして開催され、ブランド発信と業界関係者の交流の場となりました。

書類不備の輸入品の摘発

書類不備の輸入品の摘発

こちらの動画は、2024年、当時のZulkifli Hasan(ズルキフリ・ハサン)商業大臣が、違法輸入品の保管状況を視察している様子です。

報道によると、ジャカルタ北部の倉庫で、輸入承認(PI)やサーベイヤー報告書(LS)、SNI関連書類、インドネシア語ラベルなどが不備または未取得の状態の輸入品、約400億ルピア(約3億7,200万円)相当が発見されました。

インドネシアでは、輸入に関する法的責任は基本的にインポーターが負います。そのため、単にAPIやITなどの資格を持っているだけでなく、PI、LS、SNI、ラベル表示などの規制対応を適切に行える事業者であることが重要です。

【補足】
円表記は、2026年4月29日のレート(1ルピア=0.0093円)で換算したものです。

IT・IPは「輸入主体の性質」を決める制度

インドネシアの輸入制度を理解するうえで、APIとIT・IPの違いは非常に重要です。

APIは、輸入者としての基本資格です。これに対して、IT・IPは、特定品目を輸入する際に、その輸入主体が販売目的なのか、自社使用・製造目的なのかを示す制度です。

日本企業が現地インポーターを使う場合は、現地インポーターが必要なライセンスを持っているかを確認する必要があります。現地法人を設立して自社で輸入する場合は、自社の事業内容に応じてAPI-UまたはAPI-Pの取得、さらにIT・IPの要否確認が欠かせません。

インドネシアの輸入制度は、品目ごとに細かく要件が分かれているため、初期段階で制度の全体像を理解しておくことが、スムーズな輸出販売・輸入事業の第一歩になります。

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