ボゴール:インドネシアで最多の儒教信仰者8,529人が暮らす都市

公開
2025/04/24
更新
2025/09/27
この記事は約5分48秒で読めます。

インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を抱える国ですが、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、儒教を信仰することも認められ、複数の宗教の文化、価値観、信者が共存する国です。なかでも少数派である儒教は、2000年になって新たに公認されました。

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  • インドネシアのGDP成長率
  • インドネシアの人口とその特徴
  • インドネシアのEC市場規模
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はじめに

インドネシアには、儒教を信仰する人々が約7万7,000人暮らしています。そのなかでも特に多いのが、西ジャワ州のボゴールです。

本記事では、ボゴールおよびインドネシア各地における儒教信仰者の人数や居住地、儒教信仰者に多い華僑の文化について、データと動画で紹介します。

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数字でみるインドネシア・ボゴールの儒教信仰者

インドネシアで儒教信仰者が一番多い都市ボゴール

インドネシア内務省人口・住民登録局のデータによると、2024年6月時点でインドネシアの儒教信仰者の数は7万6,636人でした。県・市別で見ると、儒教信仰者がもっとも多いのは西ジャワ州ボゴール県・市で、インドネシアの儒教信仰者の11.1%にあたる8,529人でした。

次いで儒教信仰者が多いのはバンカ県・市(8,341人)、パンカルピナン市(7,905人)、中央バンカ県・市(7,249人)となっています。

儒教信仰者が多い都市(2024年)

  1. ボゴール(西ジャワ州) 8,529人
  2. バンカ(バンカ・ブリトゥン州) 8,341人
  3. パンカルピナン市(バンカ・ブリトゥン州) 7,905人
  4. 中央バンカ(バンカ・ブリトゥン州) 7,249人
  5. 西バンカ(バンカ・ブリトゥン州) 3,729人
  6. ポンティアナック(西カリマンタン州) 3,411人
  7. サンバス(西カリマンタン州) 2,988人
  8. ベンカヤン(西カリマンタン州) 2,487人

参考:GoodStats「Daftar Kabupaten/Kota dengan Penduduk Beragama Khonghucu Terbanyak」

州別のデータ(2022年)を見ると、バンカ・ブリトゥン州が2万8,348人と群を抜いて多く、西カリマンタン州(1万3,093人)、ボゴールを含む西ジャワ州(1万1,688人)が続きます。

バンカ・ブリトゥン州は、スマトラ島南東部の海に浮かぶバンカ島とブリトゥン島から成る州です。また、西カリマンタン州で特に儒教信仰者が多い都市は、西海岸沿いにあります。つまり、いずれも中国からマレー半島を経由して移民が到達しやすかったエリアです。

一方、ボゴールなど西ジャワ州に中国からの移民が多かったのには、オランダ東インド会社の政策が影響しているといわれています。

参考:databoks「Pemeluk Agama Konghucu di Provinsi Ini Terbanyak Nasional」

インドネシアの宗教・信仰別人口

内務省人口・住民登録局によると、2024年時点でインドネシアの人口の 87.1% はイスラム教徒です。人数にすると2億4,597万3,915人で、世界最大のイスラム教徒人口を抱える国といわれています。

次いで多いのはプロテスタントで2,091万1,697人(7.4%)です。儒教は全体の0.03%にあたる7万6,636人で、インドネシア政府が公式に認めている宗教のうちもっとも少なくなっています。

インドネシアの宗教別人口(2024年)

  • イスラム教 2億4597万3915人
  • プロテスタント 2091万1,697人
  • カトリック 866万7,619人
  • ヒンドゥー教 474万4,543人
  • 仏教 200万4,352人
  • 儒教 7万6,636人
  • その他 9万8822人

参考:databoks「Mayoritas Penduduk Indonesia Beragama Islam pada Semester I 2024」

正確な数の把握は難しいものの、インドネシアにはタイに次いで世界で2番目に多い700万人以上の華人・華僑がいるといわれています。この数字が正しい場合、総人口に占める割合は3%弱になります。インドネシアの華人・華僑のうち約半数は仏教徒で、儒教信仰者はその中でも数パーセントに満たない少数派です。

儒教は本来宗教とは違い、学問または思想体系の一つですが、インドネシアにおいては2000年に、政府により認められた宗教に含まれることになりました。

インドネシアの宗教

インドネシアでは現在、イスラム教、キリスト教(プロテスタント・カトリック)、ヒンドゥー教、仏教、儒教の5つの宗教が公式に認められています。これにより行政手続き上は、すべての国民がいずれかの宗教の信者に分類されています。

一方で、それぞれの民族が古くから信仰してきた宗教の存在も認知されています。

そこで2017年11月、インドネシア憲法裁判所は、上記の5つ以外の宗教を信仰する人を「信仰継承者」と呼び、行政上認めるという決定を下しました。これによりその他の信仰を持つ人も、住民登録などの際に宗教の欄を空白にしたり、便宜上別の宗教を登録したりしなくてよいことになりました。

また2025年3月にはインドネシアのNatalius Pigai(ナタリウス・ピガイ)人権大臣が、現行の「宗教保護法」とは別に「信教の自由法」を制定する案を提起しました。大臣は政府が認めた5つの宗教を信仰することを国民に事実上強制していることや、5つの宗教以外を信仰する人に対する差別や不平等があることを問題視しています。

参考:

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映像でみるインドネシア・ボゴールの儒教信仰者

儒教礼拝所で神像のお清め

儒教礼拝所で神像のお清め

こちらは儒教の礼拝所「Klenteng(クレンテン)」で、春節を前に神像を清める儀式(洗像)が行われている様子です。

ボゴールの「Hok Tek Bio(ホク・テック・ビオ)」は、1600年代初頭に建立された歴史あるKlentengです。Klentengと呼ばれているものの、実際は儒教に加え、道教と仏教の信仰が融合した場所で、それぞれの教祖や神、仏が祭られています。

Hok Tek Bioは信仰者の礼拝所として使われるだけでなく、様々な社会活動の場としても利用されており、経済的に困窮している人々のためのクリニックも併設されています。

春節を祝う行事

春節を祝う行事

Lawang Suryakencana(ラワン・スルヤクンチャナ)はボゴール市中心部にある中華街で、近くには中華系住民の居住区があります。

華人・華僑の多くが商売を営んでいたことから、この通りはかつて「商業通り」と呼ばれていました。現在は仏教や儒教の宗教観光スポットとして知られ、ユニークなグルメも人気です。この通りの北側にはボゴール最古の市場とされるボゴール市場があり、その近くにHok Tek Bioがあります。

こちらの動画に映っているのは春節の行事の一つで、獅子舞、ブラスバンド、神輿などさまざまな出し物が出ている様子がわかります。春節からその15日後の元宵節までの期間中、インドネシア各地でさまざまな行事が行われますが、特に華人・華僑が多い地域は盛大です。

儒教からみるインドネシアの多様性

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