インドネシアの出稼ぎ労働者の行き先、1位は台湾、日本は5位(2023年)
- 公開
- 2024/12/13
- 更新
- 2024/12/13
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インドネシア人出稼ぎ労働者の数は近年増えてきており、2023年にはコロナ禍前の水準に戻りました。
インドネシアは世界第4位、東南アジアにおいては最大の人口を抱える国であり、その労働市場は国内外ともに注目を集めています。今後も出稼ぎ労働者は増えていく可能性があります。
はじめに
インドネシア人出稼ぎ労働者が増えている背景には、どのような事情があるのでしょうか。
本記事ではまず、インドネシア人出稼ぎ労働者の行き先ランキングを紹介します。続いて、出稼ぎ労働者が増えている背景や、実際に日本での就労を目指す人々の様子を、データや動画を交えながら紹介します。
数字でみるインドネシアの出稼ぎ労働者
出稼ぎ先1位は台湾、日本は5位
インドネシア移民労働者保護庁(BP2MI)の報告書によると、2023年に出発したインドネシアの出稼ぎ労働者の数は、27万4,965人でした。前年比で37%、2021年と比較すると176%増加し、コロナ禍前の水準に戻っています。
もっとも多くのインドネシア人が出稼ぎ先に選んだのが台湾で、8万3,216人でした。これは全体の30.3%に相当します。
2位はマレーシアで7万2,260人、3位が香港で6万5,916人、4位が韓国で1万2,580人でした。日本は5位で9,673人です。
台湾、香港、韓国、日本では、農家や工場従業員に加え、特に介護士の需要が高くなっています。またマレーシアなど東南アジアや中東の一部の国では、家政婦やベビーシッター、プランテーションの労働者の需要が高い傾向があります。
なお、2024年1月から8月の統計では、1位香港、2位台湾、3位マレーシア、4位日本、5位韓国と、順番が少しずつ入れ替わっています。2024年全体では、2023年とは違った結果が出るかもしれません。
参考:
databoks「Ini Daftar Negara Tujuan Utama Pekerja Migran Indonesia Sepanjang 2023, Taiwan Juaranya」
Antaranews「Deretan negara yang didominasi pekerja migran Indonesia」
失業率の高さと出稼ぎ労働者数の関係
出稼ぎ労働者の増加の背景には、国内の失業率の高さがあります。2024年2月時点のインドネシアの失業率は4.8%と、6%を超えていたコロナ禍以降、低下しているものの、まだ高い水準です。
失業率の低下の要因は主に、インフォーマルセクターの雇用によるものと指摘する専門家もいます。実際、2024年2月の全国労働力調査によると、1億4,218万人の就業者のうち、59.2%にあたる8,413万人がインフォーマルセクターに従事しています。
インフォーマルセクターで働く人の割合は、2019年8月から2024年2月にかけて3.29ポイント増加しています。コロナ禍で失業した人が、フォーマルセクターに戻れず、インフォーマルセクターでの就業を余儀なくされているケースも多いと考えられます。つまり、失業率の低下が、雇用の安定や生活の安定に繋がっているとは限らない状況なのです。
インドネシア政府は失業率の更なる低下や外貨獲得を目指し、出稼ぎ労働者の派遣に積極的です。2024年9月には労働大臣が、それまで5年で10万人としていた特定技能制度によるインドネシア人の派遣数を、「5年で25万人」とすると表明しました。
参考:
BPS「Tingkat Pengangguran Terbuka (TPT) sebesar 4,82 persen dan Rata-rata upah buruh sebesar 3,04 juta rupiah per bulan」
CNBC Indonesia「Cari Kerja Sulit, Warga RI Ramai Kabur ke Luar Negeri Demi Sesuap Nasi」
映像でみるインドネシアの出稼ぎ労働者
日本へ旅立つインドネシア人女性
こちらの動画は、特定技能制度での就労が決まった女性が、インドネシアの空港から日本へ出発する様子です。まずは家族と抱擁や握手で挨拶。腕に日本国旗を付けた制服の男性は、女性が学んだ職業訓練機関(LPK)の職員のようです。
インドネシアの出稼ぎ労働者のうち、69.8%が女性です(2024年8月)。これには、出稼ぎ先で家政婦、ベビーシッター、介護士など主に女性が従事することの多い仕事の需要が高いことが関係しています。もちろん、インドネシアにおいて、女性が男性以上に就職しづらいことや賃金格差があることなども影響していると考えられます。
一方で、女性が海外へ働きに出る状況は、「自立した女性が増えたことの表れ」と捉えることもできます。
一昔前であれば、高校や専門高校を出たものの進学も就職もできないとなったとき、女性たちは、家業や家事を手伝いながら結婚相手を探すのが普通でした。そのため、自ら進んで海外に働きに出る選択肢があることが、女性の自立を後押ししていると考える人もいます。
参考:CNBC Indonesia「Cari Kerja Sulit, Warga RI Ramai Kabur ke Luar Negeri Demi Sesuap Nasi」
日本行きの入り口になるLPK内試験
こちらの動画は、日本向けLPKが実施する試験の様子です。
LPKの中には、生徒たちが日本での就労に耐えられるかどうかを見極めるため、このような試験を実施するところもあります。
動画の中で生徒たちが走ったり腹筋運動をしたりしているのは、体力テストの一環です。一般的にはほかに、基礎日本語のテスト、面接、心理テストなどが行われ、合格すると、求人情報を受け取れたり、マッチングに登録できたりと、日本行きがぐっと近づきます。
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世界で注目されるインドネシア人労働者
インドネシアの出稼ぎ労働者は、国内外の労働市場において重要な役割を担っています。就職難など国内の事情に加え、海外での労働需要の増加も、その動向に大きな影響を与えています。もちろん日本も、重要な関係国の1つです。
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