インドネシアの飲食店店舗数ランキング、Janji Jiwaが1,100店舗で1位

公開
2025/02/27
更新
2025/02/27
この記事は約4分50秒で読めます。

コーヒー豆の世界的な生産国であるインドネシアですが、庶民が口にするのは主にインスタントコーヒーという時代が長く続きました。少し前までは、モダンなコーヒーショップというとスターバックスなどやや高価なお店ばかりで、そこに通えない多くの人々が利用するのは、温かいインスタントコーヒーを出す伝統的な喫茶店「Warkop」でした。

はじめに

長らく庶民の憩いの場としての「カフェ」文化が浸透していなかったインドネシアに、ここ数年で変化が起こっています。国産のコーヒー豆を使い、スターバックスの半額以下の値段で本格的なコーヒーを提供する、モダンなコーヒーショップやカフェチェーンが次々と登場しています。

その一つが、5年で1000店舗以上を展開する最大手となったJanji Jiwa。本記事ではJanji Jiwaを始めとするインドネシアの飲食店とカフェ文化について、データと動画で紹介します。

数字でみるインドネシアで人気の飲食店とカフェ文化

インドネシアの飲食店、店舗数1位はJanji Jiwa

アメリカ農務省(USDA)の2022年の調査によると、インドネシアで最も店舗数が多い飲食店はコーヒーショップ「Janji Jiwa」でした。

Janji Jiwaは、2018年創業のインドネシアのコーヒーチェーンです。「グラブ&ゴー」がコンセプトのホットサンドブランド「Jiwa Toast」を始め、複数のブランドで店舗を展開しています。

フードメニューは長らくサンドイッチのみでしたが、最近はバーガー、丼もの、フライドポテトなども登場。創業当初の「コーヒースタンド」というイメージから、徐々に「カフェ」に近づいています。

店舗数2位のKopi Kenanganもインドネシアのコーヒーチェーンです。2017年創業で、2022年には飲食業として東南アジア初のユニコーン企業となりました。2022年の売上高はJanji Jiwaより大きく、9,330万ドル(141億5,860万円)に達しています。

価格はJanji Jiwaとほとんど変わらない一方、コーヒー以外のドリンクメニューが豊富なのが特徴です。一部の大型店舗を除き、メニューは飲み物と、パンやクッキーのみ。座席があるカフェスタイルの店舗もありますが、ガソリンスタンドの空いたスペースなどでコーヒースタンドとしてオープンしている店舗もあります。

インドネシアの飲食店店舗数ランキング

同調査によるインドネシアの飲食店店舗数ランキングは以下の通りです。

Janji JiwaとKopi Kenangan以外では、8位のJ Co Donuts & Coffee(カフェ)、9位のHoka Hoka Bento(日本風定食・弁当店)、10位のRestoran Sederhana(インドネシア(パダン)料理店)がインドネシアのローカル企業が運営する飲食店です。

  1. Janji Jiwa(ジャンジ ジワ)(1,100店舗)
  2. Kopi Kenangan(コピ ケナンガン)(932店舗)
  3. KFC(831店舗)
  4. Pizza Hut(562店舗)
  5. Chatime(443店舗)
  6. Starbucks(443店舗)
  7. McDonalds(269店舗)
  8. J Co Donuts & Coffee (254店舗)
  9. HokBen(旧Hoka Hoka Bento)(183店舗)
  10. Restoran Sederhana(スデルハナレストラン)(151店舗)

以上のうち、Janji JiwaとKopi Kenangan、5位のChatimeと6位のStarbucks、8位のJ Co Donuts & Coffee はカフェやコーヒーまたはティーショップ。ケンタッキー・フライド・チキンやマクドナルドも、大型店舗にはカフェを併設しており、インドネシアでのドリンクスタンドやカフェ人気が垣間見えるランキングとなっています。

参考:databoks「10 Restoran dengan Jumlah Gerai Terbanyak di Indonesia pada 2022」

円表記は、2023年11月13日のレート(1ドル=151.75円)で換算したものです。

映像でみるインドネシアで人気の飲食店とカフェ文化

5周年を迎えたJanji Jiwa

5周年を迎えたインドネシアのコーヒーショップチェーンJanji Jiwa

動画は、南ジャカルタのビジネス地区Sudirman Central Business District(SCBD)のJanji Jiwaの店舗の様子です。

創業当初はモノクロに華奢なフォントのロゴでシックなイメージのJanji Jiwaでしたが、2023年、創業5周年を記念してオレンジ系のポップなロゴに変更。店舗のカラーも一気に明るくなりました。ドリンクは1杯200円ほどから。フードとドリンクを頼んでも数百円で、セット割引やアプリのクーポン券を利用すると、より安く購入できます。

動画に登場するのは座席が多い、比較的大きな店舗。大学や会社のお昼休みにさっと利用する人もいれば、パソコンを持ち込んで仕事をする人の姿も見られます。

インドネシアの若い世代のカフェ文化

インドネシアの若い世代のカフェ文化

インドネシアでは昔からWarkopと呼ばれるインスタントコーヒーを出す小さな喫茶店があちこちにありました。

Warkop文化のまだ残るインドネシアに、ここ数年で急速に普及したのが、Janji JiwaやKopi Kenanganに代表される、カフェやテイクアウトのコーヒーショップです。都市部に住み、中間所得層以上に属する若い層は、Warkopで1杯数十円のコーヒーを飲みながら夜な夜なおしゃべりに興じる上の世代の文化はそのままに、1杯200円台のチェーン店のコーヒーをたしなむようになっています。

1年中暑い日が続くインドネシアの多くの地域では、動画に登場するカフェのように、露天や半露店の店舗も少なくありません。開放的な空間で音楽ライブなどのイベントを開催するカフェもあります。

SNSが普及したことにより、SNSでの話題作りのためにカフェやコーヒーショップを巡ることを趣味のようにしている人たちもいます。そこで、SNS好きな若者たちをターゲットにした「映える」内装やメニュー、ユニークなコンセプトを売りにしている店も増えてきました。

コーヒーを地産地消するインドネシアのカフェ文化

インドネシアを統治していたオランダによって広められたインドネシアのコーヒー生産は、かつては主に輸出目的でした。しかし今ではインドネシア人自身も消費するようになっており、例えば本記事で紹介したJanji Jiwaは、国内各地の農家から仕入れたコーヒー豆を使った、本格的でおいしいコーヒーを強みにしています。

インドネシア語でコーヒーはkopi、コーヒーを飲むことはngopiと言います。ngopi文化が十分に浸透した今は、ngopiはコーヒーを飲むことそのものに限らず、家族や友人を誘って飲んだり食べたりしながらくつろぐことを指す言葉になっています。

これからも盛り上がりを見せそうな、インドネシアのコーヒー産業とカフェ文化。どのように変化していくか注目していくとおもしろいでしょう。

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