インドネシア全土の病院と提携。異国でゼロから事業の立ち上げに成功したSMSIDの軌跡

公開
2023/09/10
更新
2023/11/16
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人口の増加、それに伴い経済成長も著しいインドネシア。様々な日本企業が好機を見出し、インドネシアに進出しています。一方、習慣や嗜好が異なるため、インドネシアのトレンドやマーケティングについてまだ知られていないことも多いと考えています。本連載は実際にインドネシアに進出している日系企業のマーケティング担当者に戦略や戦術などをお伺いする企画です。

今回お話を伺ったのは、医療を通じたプロモーション支援を専門とするメディカル広告会社PT. Senior Marketing System Indonesia(以下、SMSID)のインドネシア責任者である豊永牧人さんです。

同社は、高齢社会における医療課題の解決を目指している株式会社エス・エム・エスのインドネシア支社になります。エス・エム・エスは日本及びAPAC(アジア・パシフィック地域)を中心に18の国・地域で事業を展開しており、それぞれ現地のニーズにそった事業を展開しているのが特徴です。

豊永さんは、新卒で日系の旅行会社で働いた後、2020年6月にエス・エム・エスに入社。マレーシア支社を経験し、2021年1月からインドネシア支社で営業経験を積んでから、インドネシア責任者に就任しました。現在は、メンバーのパフォーマンスの向上や仕事への取り組み方を指導する社員のマネージメント、営業戦略といった事業開発を中心に取り組んでいます。

「日本での営業スタイルがインドネシアでは通用せず、新規のクライアントを獲得するまで3年ほどかかりました」と、取材では苦労を述べてくれました。同社は、1,000施設以上もの病院、40万人以上の医療従事者とのネットワークを築いて事業を展開しています。本記事では、日本で培った経験やスキルをどうアンラーンし、学び直したことを事業やマネジメントに活かしていったかを伺いました。

インドネシアのほぼ全ての病院と提携して事業を展開

はじめに、エス・エム・エスがインドネシアに進出した理由を教えてください。

豊永 他の日系企業と同じような理由ですが、日本は人口が減少しており、市場が縮小傾向にあることから、勢いがある東南アジアの国々に事業展開しようと進出を決定しました。現在、インドネシアと同様のプロ―モーション支援事業を行っている拠点はフィリピンとマレーシアとなっており、インドネシアは設立して10年目になります。

国によって展開している事業は異なるのでしょうか?また、事業の強みを教えてください。

豊永 日本は、高齢社会から発生する医療課題として、シニアライフの支援に注力しています。例えば、介護施設の支援や医療・介護従事者の人材紹介などを事業としています。一方で、インドネシアでは、健康製品や乳児用の製品などのプロモーション支援を専門にいくつか事業を展開しています。

インドネシアでのメイン事業は、病院内でのサンプリング活動です。弊社が提携している病院に、クライアントの商品サンプルを配布しています。医師や病院、病院患者に商品が認知され、ブランド力の向上を目的にしています。

他にも、商品の認知度を上げるために、病院でイベントやセミナーの運営、医師・助産師を活用したインフルエンサーマーケティング、SNS向け記事・コンテンツの作成なども行っています。

私たちの強みは、1,000施設以上におよぶインドネシアの病院と連携し、約40万人の医療従事者とのネットワークがあることです。

他には、弊社のメンバーとして、インドネシア人の医師と助産師がいることでしょうか。医師や消費者に向けて商品をどうプロモーションをしたらいいか、どんな病院をターゲットにしたらいいかなど、医師と助産師の目線からアドバイスを受けられるのは、すごく強みになっています。

医師協会・助産師協会とのタイアップイベント開催時の様子
医師協会・助産師協会とのタイアップイベント開催時の様子

日本の事業とは違う事業を展開して、それだけ大規模のネットワークを築いているのはすごいですね。インドネシア進出する際に、どんな事業をするかは決まっていたのでしょうか?

豊永 いや、進出前はあまり事業内容が決まっていませんでした。進出してからニーズを手探りで検証していきました。

同じ東南アジアでも、フィリピンとマレーシア、インドネシアではそれぞれ異なったサービスを提供しています。事業進出する際は、その国にどんな課題があるか、何が求められているか、他にも宗教や規制、法律などに準じて事業をゼロから作っています。

プロモーションを担当する商品を販売している企業は、日系とローカルどちらが多いのでしょうか?

豊永 ローカルが8割、日系が2割ですね。日系企業としてのブランド力・サービスの良さといった価値をローカル企業の方がより感じてもらいやすかったため、ローカル企業にフォーカスして事業拡大を目指しています。

マネジメントも営業も、“日本スタイル”を脱ぐ

豊永さんはピープルマネジメントを中心に取り組んでいると伺いました。SMSIDに所属する人たちはどのような人たちで、どんなカルチャーなのか教えてください。

豊永 弊社のメンバーは、平均年齢が25〜26歳と若い人が多く、ほとんどがインドネシア人女性です。なので、社内は女子校のようで、賑やかな雰囲気です(笑)。

カルチャーとしては、よくメンバーから言われるのが「SMSIDはファミリーだ」という言葉です。日本企業ではあまりイメージしにくいかもしれませんが、弊社では恋愛相談や家族の悩みなどプライベートのことまで何でも話します。他にも、作った料理を持ち寄って、みんなで食べながら仕事をするような毎日です。

私がマネジメントをしていく中で意識していることは、仕事をしつつ楽しいと感じられる環境作りですね。日本でのマネジメント方法を適用するのではなく、ここに合うものを模索してきました。

そうすると、インドネシア人は日本人に比べて、感情論で物事が動き出すことが多かったなと思い、“楽しさ”を重視するようになりました。

従業員との集合写真

若い女性が多いということは、子育てをしている方も多いのでしょうか?

豊永 そうです。子育てしながらでも働けるように、弊社ではシフト制を採用しています。子どもの体調が悪かったら休むことを勧めつつ、女性が働きやすい環境を作っています。

インドネシアは人口が多く、若年層が余っている状態ということもあり、子どもが生まれて会社を辞めてしまうと、なかなか復帰しにくいという課題があります。弊社ではそうならないよう、子育てと仕事が両立できるようサポートしています。

次に、メンバーのスキルがレベルアップしていくために、どんなことに取り組んでいるか伺いたいと思います。SMSIDの事業内容だと、営業チームが中心の組織体制になるのでしょうか?

豊永 そうですね。従業員は営業担当者がほとんどになります。

営業スキルを向上させるためにどんなサポートをしていますか?

豊永 そもそも日本とインドネシアでは営業スタイルが異なると感じています。日本ではロジックを詰めて、抜け目がないよう説明していくのが主流ですが、インドネシアは感情に訴えかけるような指導・営業が向いているなと。

インドネシアにきてそれに気づき、自分自身の営業スタイルを変えるまでにも時間がかかりました。

どれくらい時間をかけましたか?

豊永 スタイルを身につけるのには1年くらいはかかったと思います。新規のクライアントが安定的に取れるようになるまでは3年ほどかかりました。

身につけたものをリセットして、学び直すのは時間がかかりますよね。

豊永 ですが、インドネシアでの営業スタイルを確立できたら、教えるのは比較的容易です。弊社では、教育に重点をおいて、スキルは後からついてくるという考えです。人を採用する時も、今のメンバーが素晴らしいので、メンバーと合わない人は採用していないです。スキルは後からいくらでも伸ばすことはできますが、マインドは変えることはより難しいと思っています。

偏見なき目で、どんな人かを見ていく

最後に、インドネシア進出を考えている企業の方にアドバイスをお願いします。

豊永 インドネシアは人口増加や出生率が上がっており、どんどん市場が伸びていくイメージを抱いていると思います。しかし、ビジネスが成功するかは別の話で、名だたる大手企業が撤退しているのも事実です。すぐに利益をあげようとするのではなく、インドネシアの文化・人柄の知見を深めながら、長期的な目線で地道に事業を作っていく心意気が必要だと感じます。

また、日本や他の国でうまくいっている事業が、インドネシアでも同じように展開できるわけではありません。例えば、医者がインフルエンサーとなって商品をプロモーションする事業をフィリピンで展開していますが、インドネシアは規制が厳しく、医師が商品のプロモーションに直接関わってはいけないことになっています。「インドネシア=緩い」という固定観念で物事を見てしまっていては、苦労する可能性が高いです。

最後に、インドネシアを理解しようとする姿勢が大事です。「インドネシア人はこうだ!」という固定観念を持たないことが大事かと思います。個人的に、インドネシア人は日本と同じように本音と建前の文化が強いと思っていますが、もちろん全員がそういう訳では無く、スマトラ島に住む人たちは日本でいう関西寄りでズバズバと発言する人が多い印象だったのと、ジャワ島の都市部は関東寄りで比べるとおとなしい人が多かったり、私が駐在して始めて知ることばかりでした。

しっかり人を見て、どういう人たちなのかを理解していく。長い道のりに見えますが、成功するためには欠かせないと思います。

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