インドネシアのクレジットカード事情と人気のカードや保有者の特徴

公開
2023/08/06
更新
2024/03/15
この記事は約7分11秒で読めます。

日本では1人でクレジットカードを何枚も持つケースが珍しくありませんが、インドネシア人にとってクレジットカードは日本ほど身近な存在ではありません。

2021年時点でクレジットカードを利用している人の割合は5%と低く、インドネシアで最近広まっているQRコード決済と比べると市場の成長速度は遅いと言えます。

ただ、まだあまり広まっていないからこそ、インドネシアのクレジットカード市場には伸びしろがあると捉え、将来性を期待する企業もあります。

そこで本記事では、インドネシアのクレジットカード事情を紹介するとともに、インドネシアでよく利用されるクレジットカードをまとめました。

円表記は2023年7月19日のレート(1ルピア=0.0093円)で換算し、記載しています。

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インドネシアのクレジットカード普及率

みずほファイナンシャルグループの調査によると、インドネシアの2021年のクレジットカード普及率はわずか5%(発行枚数1,651万枚)でした。2016年時点でも5%だったことから、この5年間で普及率に大きな変化が起きていないことが分かります。

インドネシアは銀行口座の保有率自体が低く、同じ東南アジアのシンガポールの保有率が98%であるのに対し、インドネシアは52%でした(2021年)。

クレジットカードの普及率が低い理由には発行審査の基準が厳しいことが挙げられますが、そもそもクレジットカードの利用に必要な銀行口座を持っている人が少ないことも、要因の1つと考えられます。

参考:みずほファイナンシャルグループ「インドネシア マーケット環境」
参考:statista「Number of credit cards in Indonesia from 2017 to 2021」

普及率は低いものの世代によっては利用に前向き

インドネシアのクレジットカード普及率は低いものの、1981年〜1996年に生まれたミレニアル世代は、概してクレジットカードの利用に前向きな姿勢を見せています。

ミレニアル世代向けにデジタルコンテンツを提供するBrilio.netによると、調査に参加したミレニアル世代1,021人のうち、478人がクレジットカード所有者であったとのこと。クレジットカード支出の主な内容は、電子機器(27%)、食料品(25%)、旅行(23%)、ファッション(15%)となっています。

また同調査から、インドネシアのミレニアル世代はクレジットカードのプロモーションを積極的に活用し、節約しようとする人が多いということが分かりました。

今はまだクレジットカード普及率が低いインドネシアですが、情報感度の高い若い世代がこれから増えること、国民の所得が上がり中間所得層が増えることなどを考えると、クレジットカードの普及率に変化が出てくる可能性は十分にあるでしょう。

参考:Bisnis.com「Ini 8 Karakteristik Milenial Indonesia dalam Memakai Kartu Kredit」

インドネシア人がクレジットカードを発行する際の手順

ここでは、保険とテクノロジーを掛け合わせたサービスを提供するQoala(コアラ)社の情報をもとに、インドネシア人がクレジットカードを発行する手順を紹介します。特にクレジットカードの発行要件は日本と異なる点もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

※クレジットカード発行の詳細な手順は各銀行によって異なります

参考:Qoala「Cara Membuat Kartu Kredit di Semua Bank, Tanpa Slip Gaji!」

1. 銀行とカードの種類を選ぶ

インドネシアではほぼすべての銀行がクレジットカードを発行していますが、銀行によってカードの限度額や機能が異なります。そのためまずは、自身の経済力やニーズに合ったクレジットカードを比較しながら探すところから始めます。

2. 発行要件を満たしているか確認する

日本では満18歳以上であればクレジットカードを発行でき、多くの場合、収入に厳しい条件もありません。

一方、インドネシアのクレジットカード発行要件は、特に収入面で日本と比べると厳しく設定されています。各銀行で異なりますが、一般的に下記の条件を満たす必要があります。

  • KTP(住民登録票)のコピーを提出すること
  • 21歳以上であること
  • 最低でも月300万ルピア(27,990円)の収入があること
  • 給与明細のコピーを提出すること
  • NPWP(納税者登録番号)のコピーを提出すること
  • 過去3ヶ月分の通帳のコピーを提出すること
  • すでにクレジットカードを持っている場合は過去3か月分の請求書を提出すること

3.申し込みフォームに記載する

必要書類を揃えた後は、銀行の窓口へ行って申し込みフォームに記載します。申し込み後、銀行が申込者の今までの信用取引の記録、さらに自宅や職場などを調査し、問題なければクレジットカードが自宅に送られます。

インドネシア人に人気のクレジットカード

インドネシアで多いクレジットカードの銘柄は、VisaとMaster Cardで、この2つが大部分を占めます。一部、JCBや銀聯(ぎんれん:ユニオンペイ)のカードを発行する銀行もあります。

それでは、インドネシアではどの銀行のどのクレジットカードがよく利用されているのでしょうか。ここではインドネシアでよく利用されているクレジットカードを3つ紹介します。

Kartu Kredit BNI Pertamina(ベーエヌイー・プルタミナ・クレジットカード)

Kartu Kredit BNI Pertaminaは、インドネシアの国営銀行Bank Negara Indonesia(バンク・ヌガラ・インドネシア)が発行するカードです。ブランドはマスターカードで、ゴールドとプラチナの2種類があります。

国営の石油会社Pertamina(プルタミナ)とコラボしたクレジットカードということもあり、カードを使ってPertaminaのガソリンスタンドで燃料を購入した場合、最大で100万ルピア(9,330円)のキャッシュバックを受けられるといった特典も用意されています。

そのほか、一部の飲食店やスーパーマーケット、自動車販売店でクレジットカードを使えば割引を受けられる、空港のエグゼクティブ・ラウンジを利用できるなどのメリットもあります。

参考:BNI「Kartu Kredit BNI Pertamina」

BCA Everyday Card(ベーチェーアー・エブリデイ・カード)

BCA Everyday Cardは、インドネシア最大の民間銀行Bank Central Asia(バンク・セントラル・アジア)が発行するクレジットカードです。

Bank Central Asiaは多くの種類のクレジットカードを発行していますが、そのなかでもBCA Everyday Cardは年会費や現金の引き出し手数料が安く設定され、たくさん使わない人でも持ちやすいカードです。

取引額に応じてBCAポイントが獲得でき、ポイントが貯まればさまざまなプレゼントと交換できるなど、クレジットカードを積極的に使いたくなるような特典も充実。クレジットカードで支払いをすれば、割引が適応される店舗も多くあります。

参考:BCA「BCA Everyday Card」

Mandiri Kartu Kredit Shopee(マンディリ・ショッピー・クレジットカード)

Mandiri Kartu Kredit Shopeeは、インドネシアの国営銀行Bank Mandiri(バンク・マンディリ)が手がけるクレジットカードの1つです。

Bank Mandiriでは多様な種類のカードを提供していますが、Mandiri Kartu Kredit Shopeeは、ECプラットフォームShopeeの利用者の日常的なショッピングがお得になるカードです。

1,000ルピア(9円)またはその倍数の金額を支払うごとにShopeeコインが付与されるなどのお得なプログラムも定期的に開催。また、クレジットカードで購入した商品に関して、最大2,500万ルピア(233,250円)の保険がつくなど手厚い補償制度も用意しています。

参考:mandiri「Mandiri Kartu Kredit Shopee

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インドネシア人でクレジットカードを持つ人の特徴

インドネシア国民の大半が持っていないクレジットカードを持っているのは、一体どのような人なのか。ここでは、インドネシア人でクレジットカードを持つ人の特徴を考察しました。

一定以上の収入と安定した職がある人

インドネシアで気軽にクレジットカードを発行できない理由として、カードの発行要件に一定以上の収入が求められており、審査を通るのが難しいことが挙げられます。

例えば、クレジット発行の要件の1つとして、月300万ルピア以上の収入を求めるケースが多く見られます。月300万ルピアといえば、日本円にすると27,990円。インドネシア人の平均月収が約26,000円であることを考えると、多くの人にとってハードルの高い額といえます。

特定の目的に特化した決済をしたい人

インドネシアのクレジットカード発行元の中には、ターゲット層を明確に設定しているケースがよく見られます。

例えばBank Mandiriでは、先ほど紹介したShopee利用者向けのカードのほか、旅行、自動車、ゴルフなど、目的別のクレジットカードを発行しています。

それぞれについて特定の分野での買い物がお得になるプロモーションが用意されており、例えばゴルフをする人向けのカードなら、ゴルフコースや練習場、販売店でクレジットカード決済すると、最大600万ルピア(55,980円)のキャッシュバックを受けられます。

日本ではクレジットカードを日常の買い物で使う人が多いですが、インドネシアでは趣味や娯楽など特定の目的に特化した決済をお得にするために、クレジットカードを使う人も多いのかもしれません。

参考:mandiri「Mandiri Golf Signature」

インドネシアで進むキャッシュレス化

普及が進まないクレジットカードに対して、QRコードを利用したキャッシュレス決済がインドネシアでは急速に進んでいます。

例えば2019年に始まったQRIS(クイック・レスポンス・コード・インドネシア)というQRコードの一元化も、キャッシュレス化促進の取り組みの1つです。

以前は店舗によって決済に利用できるe-walletサービスが異なるケースがよく見られましたが、QRコードを一元化したことで、GoPayやOVO、DANAなど、どの電子ウォレットサービスを利用していても決済ができるようになりました。

2020年の電子ウォレット利用者数の割合は39%でしたが、その1年後の2021年には50%にまで増加。調査対象者の78%が「今後さらに頻繁にキャッシュレス決済を利用する予定」と答えており、市場の成長性にも期待がかかります。

参考:VISA「Consumer Payment Attitudes Study 2022 NAVIGATING A NEW ERA IN PAYMENTS|P12. QR CODE PAYMENTS」

クレジットカード事業に参入する日本企業

オリエントコーポレーション(通称オリコ)は2023年6月、クレジットカード関連事業を手がけるインドネシアのHonest Financial Technologies International Private Limitedに出資したことを明らかにしました。

シンガポールに本社を置く同社は、クレジット事業のライセンスを持つスタートアップ企業です。融資や決済など信用販売関連の事業を展開するほか、インドネシアで初となるバーチャル・ナンバーレスカードを発行したことで注目を集めました。

今回の出資は、今後成長する余地のあるクレジットカード市場で顧客獲得の基盤を築くことが目的です。加えて、オリコとHonestが持つ金融サービス・デジタル技術を活かして顧客を相互送客することや、新規ビジネスを創出することも狙いだとされています。

参考:Yahoo!JAPANファイナンス「<27日の動意株>オリコ、インドネシアでクレジットカード事業展開のスタートアップ企業に出資」

今後の成長に期待がかかるインドネシアのクレジットカード市場

キャッシュレス化の影響でインドネシア人の決済方法に変化が見られること、所得が上がり今後はクレジットカードを持つ人が増える可能性もあることなどを考えると、インドネシアのクレジットカード市場にはポテンシャルがあるという見方もできます。

一方で、ECプラットフォームなどでPay laterと呼ばれる後払い機能の導入が相次いでいます。Pay laterは本人確認だけで買い物の代金を後払いにできる機能で、利用者が増えています。「これがあればクレジットカードはいらない」と考える人も少なくありません。

とはいえ、インドネシアでは収入が増え、クレジットカードを作れるようになったり、クレジットカードの利用が便利な高級品を購入できるようになったりする人も増えていくと見られます。

特にインドネシアで金融サービス関連の事業を展開しようと考える企業様は、最新のクレジットカード事情に注目しておいて損はないでしょう。

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インドネシアではどのくらいクレジットカードが普及していますか?

みずほファイナンシャルグループの調査によると、インドネシアの2021年のクレジットカード普及率はわずか5%(発行枚数1,651万枚)でした。

インドネシアでよく利用されるクレジットカードについて教えてください。

インドネシアでよく利用されるクレジットカードの例としては、Bank Negara IndonesiaのKartu Kredit BNI Pertamina、Bank Central AsiaのBCA Everyday Card、Bank MandiriのMandiri Kartu Kredit Shopeeなどが挙げられます。

インドネシアにクレジットカード事業で参入している日本企業を教えてください。

オリエントコーポレーション(通称オリコ)が2023年6月、クレジットカード関連事業を手がけるインドネシアのHonest Financial Technologies International Private Limitedに出資したことで知られています。

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