インドネシアで人気のWebメディアとマネタイズの方法
- 公開
- 2022/09/25
- 更新
- 2025/03/23
- この記事は約8分55秒で読めます。
日本と同じくインドネシアにも多くのWebメディアがあり、ニュース、仕事、子育て、健康、趣味など色々な情報を提供しています。
本記事ではそれらのWebメディアの中から、インドネシア人に特に人気があるニュースサイトを中心に、どのようなWebメディアが読まれているのか、インドネシアのWebメディアはどのようにマネタイズしているのかなどをご紹介します。
「インドネシア人はあまり読書をしないと聞くけど、Webメディアの記事はどれくらい読まれているのだろうか」「Webからの集客手法としてのWebメディアにはどれくらいの可能性があるのか」といったことに興味がある方も是非最後までご覧ください。
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インドネシアの有名なWebメディア
Kompas.com
Kompas.comは、大手新聞社Kompasが1995年に始めたWebサイトを前身とする、インドネシアのWebメディアのパイオニア的存在です。現在はインドネシア最大級のメディアグループKompas Gramediaの傘下にあり、国内外の多様なジャンルのニュースを扱っています。同グループのWebメディアとしては、地域密着型の情報に強いTribunnews.comも人気です。
Detik.com
Detik.comはテレビ局Trans TVなどを有するTrans Media傘下のWebメディアです。「Detik(秒)」という名称が示すようにニュース速報に強く、インドネシアで最も人気のあるニュースサイトの一つとなっています。
Liputan6.com
Liputan6.comは2000年に開設されたオンラインニュースサイトです。開設当初は民放テレビ局SCTVで放送されたニュースのみを取り扱っていましたが、後にSCTVから分離し、独自のWebメディアとして多様なカテゴリーの情報を掲載するようになりました。運営元であるKapanLagi Youniverse傘下のWebメディアとしては、トレンド情報や読み物が豊富なMerdeka.com、エンターテインメント情報に特化したKapanlagi.comも人気です。
Pikiran-rakyat.com
Pikiran-rakyat.comは西ジャワ州バンドゥンに本社を置く新聞社のWebメディアです。新聞自体は首都ジャカルタに隣接する西ジャワ州とバンテン州で発行されており、Webメディアもローカルニュースが豊富です。
Katadata.co.id

Katadata.co.idは経済・ビジネス分野に特化したWebメディアです。運営元のKatadataは調査会社で、Katadata.co.idとは別に統計データポータルサイトDataboksも運営しています。
Alodokter.com

Alodokter.comは3万人以上の医師が参加するインドネシア最大の健康情報サイトで、インドネシア保健省のオフィシャルパートナーとなっています。このサイトは健康に関する幅広い話題の記事を提供する他、医師のチャット(有料)、病院予約、医薬品やベビー用品の当日配送などのサービスも備えています。類似のWebメディアとしてはHalodoc.comも人気で、どちらも記事は公開されていますが、その他のサービスを利用するには無料会員登録が必要です。
Goal.com/id

Goal.com/idは、イギリスのDAZN(ダゾーン)グループが運営するGoal.comのインドネシア向けサイトです。国内外のサッカーリーグの試合予定、結果、選手情報などに加え、サッカー関連のニュース記事も豊富で、サッカー好きのインドネシア人に大変人気があります。
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インドネシア人はWebメディアの記事を読むのか
本は読まないがWebメディアは見るインドネシア人
インドネシア人が読書を好まないことは、色々な調査で明らかになっています。
例えばOECDによる読書への関心に関する調査(2019年)によると、インドネシア人の読書への関心の高さは、調査対象となった70か国中62位という結果でした。またUNESCOの調査によると、読書に興味のあるインドネシア人はわずか0.001%、つまり1000人に一人とされています。
出典:Portal Bisnis KUMKM「Harbuknas 2022 : Literasi Indonesia Peringkat Ke-62 Dari 70 Negara」
このように読書の習慣があるインドネシア人はごくわずかですが、Webメディアは意外と読まれています。
イギリスのメディア企業We Are Socialのレポート(2022年)によると、インドネシア人のインターネット利用時間は1日あたり8時間52分で、そのうちソーシャルメディアが3時間17分とされています。紙面・オンラインを問わずニュースを読む時間は、1時間47分という結果でした。

参考までに、インドネシアと日本の調査結果を並べてまとめてみます。
インドネシア | 日本 | |
---|---|---|
インターネット利用時間(1日あたり) | 8時間36分 | 4時間26分 |
ソーシャルメディア利用時間(1日あたり) | 3時間17分 | 51分 |
ニュースを読む時間(1日あたり) | 1時間47分 | 35分 |
インドネシア人のインターネット利用時間は日本人の2倍、SNS利用時間は約3.8倍です。ここまでを見るかぎりでは、「インドネシア人はSNS好き」「Instagramや動画投稿サイトに夢中」というイメージをお持ちになるかもしれません。
実際に、Instagram、Youtube、TikTokなどは大変人気で、若者の中には「文字はほとんど読まず、情報収集の大部分を画像や動画に頼っている」という人もいます。
一方で、(誌面かオンラインかを問わず)ニュースを読む時間が日本人の約2.8倍というのは、特筆すべきポイントでしょう。
インドネシア人はニュース記事が好き
同レポートの「最もよく見られたWebサイトランキング(SEMRUSH調べ)」では、3位にDetik.com、5位にTribunnews.com、6位にKompas.comと、10位以内にニュースサイトが3つ入っています。

これに対し日本のベストテンは、Yahoo、Google、楽天、Wikipedia、Twitter、Syosetsu.com(小説家になろう)、Amazon、ライブドア、PIXIV、アメブロです。
2つの調査結果を比較すると、インドネシア人はオンラインニュース、特に新聞社やテレビ局のニュースサイトをよく見ていることがわかります。現に、インドネシアのモバイルインターネトユーザーの75.6%が携帯端末で1日に3回以上ニュースを読み、インターネットユーザーの56.5%が1日に4~12本のニュース記事を読んでいるという調査結果もあります。
出典1:Andi.Link「Hootsuite (We are Social): Indonesian Digital Report 2022」
出典2:We Are Social「SPECIAL REPORT DIGITAL 2022 Your ultimate guide to the evolving digital world」
出典3:Meredeka.com「Survei: 95 persen orang Indonesia baca berita melalui ponsel」
インドネシアにおけるWebメディアのマネタイズ
各種のWeb広告
インドネシアで人気のWebメディアを見ていると、多くがネイティブ広告、バナー、動画広告など各種広告を主なマネタイズ手段としていることがわかります。Webメディアに広告を出すのは日本でも一般的ですが、インドネシアのWebメディアはとにかく広告が多いのが特徴です。
例えば本記事でもご紹介したDetik.comのトップページにアクセスしてみると、画面の上から広告・サイト名・メニュー・広告、その下がやっと記事の紹介になっています。ご覧の通り、画面の左右には目を引く縦長の広告もあります。

続いて、記事の画面をご覧ください。

左上に写っている文章は、この記事の最初のパートです。
その文章の真下、右側、右のサイドバー、画面下部と、全部で4つの広告領域が設けられています。広告が多すぎるという苦情も寄せられるそうですが、インドネシアのWebメディアにおいて、広告が多いのはDetik.comに限ったことではありません。
アフィリエイト(他社サイトへの導線)
Amazon、Googleの他、Shopee、Tokopedia、LazadaなどのECプラットフォームのアフィリエイトシステムも人気です。
例えばこちらの製品紹介サイトは、アフィリエイトと広告を併用しています。

出典:ProductNation productnation「13 Merk Coklat Enak dan Lezat, Bisa Buat Kado untuk Orang Tersayang! Productnation」
自社商品の販売(自社ECへの導線)
インドネシアでは日本と同じく、訪問者を自社ECサイトへ誘導することで商品を販売する方法がよく用いられます。
例えばSharp Indonesiaは、公式Webサイトにオンラインショップを設置していません。そのため、サイト訪問者を自社のオフィシャルショップを開設している、あるいは自社製品を取り扱っているECプラットフォームへ誘導しています。
以下の画像の中央にあるヘアドライヤーの販売店を探したい場合は、商品写真の下の「WHERE TO BUY」というボタンをクリックします。

すると、以下の画像のように、該当商品を取り扱っているECプラットフォームまたはリアルのショップが表示されます。

サブスクリプション
日本の多くの新聞社と同じく、インドネシアでも複数の新聞社が、Webメディアや新聞のデジタル版を有料会員制にして収入を得ています。
2021年、イギリスのロイタージャーナリズム研究所がアジア太平洋地域の国々を対象に実施した「有料ニュースコンテンツに関する調査」では、回答者の19%が過去1年間にオンラインニュースにお金を払ったと答えています。
「インドネシア人は文字を読まない」という先入観を持っていると意外に感じますが、これは調査対象国・地域のうち2番目に高い割合です。なお、日本はたったの10%でした。

出典1:Good News From Indonesia「Indonesia Peringkat 2 Negara dengan Konsumsi Berita Berbayar Terbanyak di Asia Pasifik」
出典2:「Overview and key findings of the 2022 Digital News Report」
ここまで記事をご覧いただいて何かご不明点や疑問点があれば、下記よりご質問ください。
一両日中にご返信をさせていただきます。
インドネシアのビザ関連のご質問であれば何でも構いません。
インドネシアで人気の有料会員制Webメディア
以下では新聞社とその他のWebメディアの中で、有料会員制を取り入れている人気のメディアをご紹介します。
参考のため、料金には2022年9月23日現在のレート(1ルピア0.0094円)で円換算した金額も併記しています。
Kompas.com

本記事で最初にご紹介したKompas.comも、有料会員コース「Kompas.com+」を設けています。ただ、会員向け記事が特別にあるわけではなく、「すべてのニュースを広告なし・改ページなしで読める」ことが会員特典となっています。
先にご紹介したDetik.comほどではないものの、Kompas.comも広告掲載が非常に多いサイトです。「情報は信頼できるのに広告が煩わしい」と感じている読者なら、「1か月140円くらいなら会員になって、広告なしで記事を読みたい」という人も多いでしょう。
1か月 | 15,000ルピア(約140円) |
12か月 | 119,000ルピア(約1,120円) |
なお、Kompasには有料会員制のオンラインデジタル新聞「Kompas.ID」もあります。
Majalah Tempo.co

Majalah Tempo.coは大手週刊誌TEMPOのWebメディアで、記事は無料公開していますが、雑誌のデジタル版を読むには有料会員登録が必要です。
TEMPOは週刊誌の他にオンラインデジタル新聞Koran Tempo.coも運営しており、会員はどちらも読み放題になります。一生涯分の会費を一括で支払う、ユニークなコースもあります。1か月58,000ルピアとすると、25か月で元が取れます。
デジタル週刊誌・新聞のみのプラン | 金額 |
---|---|
1か月 | 58,000ルピア(約550円) |
12か月 | 594,000ルピア(約5,580円) |
一生涯 | 14,000,000ルピア(約131,600円) |
デジタル+週刊誌購読プラン | 金額 |
---|---|
3か月 | 600,000ルピア(約5,640円) |
6か月 | 1,080,000ルピア(約10,150円) |
12か月 | 2,340,000ルピア(約22,000円) |
DailySocial.id

DailySocial.idはテクノロジーを中心に、ビジネスや各種調査に関する記事を掲載するWebメディアです。
掲載されている記事の中には、一般に公開されている記事と、有料会員のみが読める「プレミアム記事」があります。個人の他、企業会員も募集しています。
1か月 | 150,000ルピア(約1,410円) |
3か月 | 350,000ルピア(約3,290円) |
12か月 | 1,033,000ルピア(約9,710円) |
Hukum Online.com

Hukum Online.comはインドネシアの法律に関する情報を提供するWebメディアです。
こちらも一般に公開されている記事と有料会員向けの「プレミアム記事」があります。有料会員になるとすべての記事が読める他、Hukum Onlineが主催するウェビナーなどに特別料金で参加できる特典が付きます。
3か月 | 150,000ルピア(約1,410円) |
6か月 | 400,000ルピア(約3,760円) |
12か月 | 500,000ルピア(約4,700円) |

効果的な集客手法としてのWebメディア
繰り返しとなりますが、インドネシア人の大部分は読書の習慣を持ちません。特にZ世代を中心とする「SNSネイティブ世代」には活字をほとんど読まないという人もいます。こういった若者と多く触れあっていると「Webメディアの長い文章など誰が読んでいるのだろう」と疑いたくなりますが、実は、Webメディアへの関心は、読書への関心ほど低いわけではありません。
インドネシア人が情報収集をインターネットに頼っていることは、各種調査から明らかです。今後も色々な企業や団体が、色々なジャンルのWebメディアを作り、競争がますます激しくなっていくことが予想されます。
関連記事内に必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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インドネシアではどんなWebメディアが人気ですか。
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インドネシアのWebメディアとしては、Kompas.com、Detik.comなど、新聞社やテレビ局の関連会社が運営するニュースサイトが人気です。
-
インドネシアのWebメディアの一般的なマネタイズ方法にはどんなものがありますか。
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インドネシアでも日本と同じく、Webメディアのマネタイズ方法としては、Web広告各種、アフィリエイト、自社製品の販売などが挙げられます。
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インドネシアには有料のWebメディアはありますか。
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インドネシアのWebメディアの中でも特にニュースサイトや特定の業界関係者向けの情報サイトでは、一部のコンテンツを無料で公開する一方で、有料会員向けのメニューを用意するメディアもあります。
読後のお願い
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