インドネシア進出に必須のハラール認証の知識と申請方法
- 公開
- 2022/12/03
- 更新
- 2026/06/21
- この記事は約15分17秒で読めます。
インドネシアへの進出を検討する際、必ず押さえておきたいのが「ハラール認証」です。
ハラール(ハラル)とは、イスラム教において「許されているもの」を意味し、食品だけでなく、化粧品や医薬品、日用品など幅広い製品に関わる考え方です。インドネシアではこのハラールへの対応が制度として整備されており、多くの製品で認証や表示が義務になっています。
そのため、日本企業が製品を輸出・販売するには、ハラールの基本的な考え方に加え、現地の制度や申請方法を正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、インドネシア進出に必須となるハラール認証の基礎知識から、制度の概要、申請の流れ、実務上の注意点までを分かりやすく解説します。
ハラールとハラームの基本知識

ハラールとハラームの基本的な考え方
ハラールとは、イスラム法上「許されているもの・こと」を指し、ハラームとは「禁じられているもの・こと」を指します。日本では「食べてよいもの・食べてはいけないもの」という文脈で紹介されることが多いものの、本来のハラールとハラームの考え方は、食べ物や医薬品などの「モノ」だけに限られません。
例えば、イスラム教では、日常の行動や行為、取引のあり方などについても、ハラールかハラームかという考え方があります。嘘をつくこと、賭博、窃盗、殺人、偶像崇拝などは、いずれもハラームに当たる行為です。つまり、ハラール・ハラームは、単なる食品の分類ではなく、イスラム教徒の生活全体に関わる基準だといえます。
もっとも、事業や製品の実務において特に重要になるのは、やはり「製品がハラールかどうか」という点です。そこで以下では、主に食べ物や医薬品、その他の製品に関わるハラール・ハラームについて取り上げます。
その際に重要なのは、ある製品がハラールかどうかは、素材や成分だけで決まるわけではないという点です。原材料そのものがハラールであっても、製造、加工、保管、輸送、提供の過程でハラームな成分と接触したり、混入したりすれば、ハラールとはみなされないことがあります。
ハラール・ハラームを理解するためのポイントとしては、以下のようなものがあります。
- イスラム法上、禁じられているものはハラームになる
- 不浄とされるものや有害なものも問題になりうる
- 原材料に加え、製造・保管・流通の工程も重視される
- ハラームな成分との接触や混入があると、ハラール性が損なわれることがある
このため、ハラール対応を考える際は、製品そのものだけでなく、その製品がどのような原材料で作られ、どのような工程を経て消費者に届くのかまで含めて確認することが大切です。
ハラームに該当する代表例
ハラームには広い意味がありますが、製造や流通・販売の分野で特に問題になりやすいのは、原材料や成分、そして製造・調理の過程です。食品について言えば、食べてはいけないとされるものは実はそれほど多くありません。野菜、果物、穀物、海産物、鶏卵、牛乳など、日常的に口にしているものの多くは、基本的にハラールと考えられます。
一方、代表的なハラームの例としては、次のようなものがあります。
- 犬、豚、それらに由来するもの
- イスラム法上適切な方法で処理されていない動物
- 死肉
- 血液
- 人体に有害なもの
- 酒類などのアルコール飲料
特に注意が必要なのは、添加物や製造・調理の工程も重視される点です。
ハムやラード、豚骨スープのように、豚肉や豚由来のエキス・油脂が含まれるものは分かりやすい例ですが、それ以外にも、調味料や添加物に豚由来成分が含まれているケースがあります。
また、ハラール性は原材料だけでなく、製造や提供の過程でも左右されます。例えば、本来は食べてもよいとされる鶏肉であっても、調理場、食器、包丁、揚げ油などがハラームの食材と共用されていれば、ハラールとはみなされないことがあります。
そのため、事業者がハラール対応を検討する際には、原材料、添加物、製造設備、洗浄方法、保管方法、輸送方法まで含めて確認する必要があります。「原料に豚由来成分やアルコールが入っていないか」を確認するだけでは不十分と覚えておきましょう。
最終的な判断のための認証・表示
以上のように、ハラールやハラームの基本的な考え方はイスラム法に基づいていますが、現代では原材料が複雑な加工食品も多い、国際的なサプライチェーンを経て提供される製品が多いなどの事情から、個々の製品について判断が難しいことも増えています。
例えば、流通過程が不明な鶏肉、成分表だけでは由来が判断しづらい菓子類、あるいは自然発酵によるごく微量のアルコール成分を含むしょうゆや味噌などは、ハラールかどうかが分かりにくいものとして扱われることがあります。こうした、ハラールかハラームかの判断がつきにくいものは「シュブハ」と呼ばれます。
イスラム教徒の中には、原材料に明確な問題がなければ口にするという人もいれば、少しでも疑わしいものは避けるという人もいます。判断の慎重さには個人差や環境差がありますが、いずれにしても、その背景にあるのは単なる好みではなく、信仰に基づく価値判断です。
どのような価値観の人であっても、判断基準がなければ口にする・しないを安心して判断できません。すべての製品について一つひとつ原材料や製造工程を確認することが難しい消費者が、ハラールかどうかを判断するための重要な目印となるのが、ハラール認証・ハラール表示です。
ハラール認証マークが付されている製品は、一定の基準に基づいて、原材料や製造方法などが確認されたものであることを示します。食品や飲料だけでなく、医薬品、化粧品、生活関連製品などでも、こうした認証や表示が重視されます。
ただし、ハラール認証には世界共通の単一基準があるわけではありません。世界には多くのハラール認証機関があり、それぞれの国や地域、制度に応じて審査や承認が行われています。そのため、同じ「ハラール認証」であっても、どの認証がどの国で受け入れられるかは一様ではありません。
したがって、輸出品については、単にどこかの認証を取得すればよいというわけではなく、輸出先の国で求められる制度や、現地で受け入れられる認証に適合しているかを確認することが重要です。インドネシア向けの製品であれば、インドネシアの制度に沿った対応が必要になります。
インドネシア市場でハラールが重視される背景
インドネシアは、世界最大のムスリム人口を抱える国であり、国民の約9割がイスラム教徒です。そのため、ハラールかどうかは単なる宗教上の問題にとどまらず、消費者の購買行動に大きく影響する重要な要素となっています。
また、ハラールは「宗教的に許されている」という意味だけでなく、安全性や品質管理が一定水準で担保されていることの目安としても受け止められる傾向があります。
さらに、インドネシアでは法制度としてもハラール対応が進められており、単に「需要がある」というレベルではなく、事業者にとって対応が前提となるルールへと移行しています。
実務面でも、ディストリビューターや小売業者がハラール対応を重視するケースは多く、ハラール認証の有無が取引条件に影響することもあります。したがって、日本企業がインドネシア市場に参入する際には、ハラール対応はマーケティング上の選択肢ではなく、市場参入の前提条件の一つとして捉える必要があります。
インドネシア市場への参入をご検討の方は、ハラール対応を含めた進出戦略の整理が重要です。具体的な進め方については、こちらからお気軽にご相談ください。
-
ハラールとハラームの違いは何ですか?
-
ハラールはイスラム法上「許されているもの・こと」、ハラームは「禁じられているもの・こと」を指します。食品だけでなく、行動や取引など生活全体に関わる概念ですが、実務では主に製品や原材料がハラールかどうかが重要になります。
ハラール認証・表示の義務化
ハラール義務化とは
インドネシアでは、2014年に「ハラール製品保証法(JPH法)」が制定され、国内で流通・販売される対象製品に対してハラール認証を義務付ける枠組みが整備されました。その後、2017年には制度の実施機関としてBPJPH(ハラール製品保証実施機関)が設立され、2019年に同法が施行されています。
さらに、2021年の政令に続き、2024年には実施ルールを具体化する政令(2024年第42号)が公布され、ハラール義務化の内容がより明確になりました。
この政令の中核となるのが、以下の規定です。
第2条
(1)インドネシア領域内に輸入され、流通し、取引される製品は、ハラール認証を取得しなければならない。
(2)ハラーム(禁じられた)原料に由来する製品は、ハラール認証取得義務の対象から除外される。
(3)第2項にいう製品には、非ハラールである旨の表示を付さなければならない。
ここでいう「製品」については、本政令で「食品、飲料、医薬品、化粧品、化学製品、生物製剤、遺伝子組み換え製品、および一般の人々が着用、使用、または利用する消費財に関連する物品および / またはサービス」と定義されています。
この規定を整理すると、次のように理解することができます。
ハラール義務化の基本構造
①原則:対象製品はハラール認証が必要
インドネシア国内で流通・販売される製品は、原則としてハラール認証を取得しなければなりません。食品・飲料に限らず、医薬品、化粧品、化学製品、さらには関連サービスまで幅広く対象となります。
②例外:ハラーム原料を含む製品は認証義務の対象外
豚由来成分やアルコールなど、明確にハラームとされる原料を含む製品については、ハラール認証の取得義務は課されません。これが、認証を取得せずに流通できるほぼ唯一の例外です。
③認証可能なのに未取得の製品は流通できない
したがって、ハラール認証を取得できる性質の製品であるにもかかわらず、認証を取得していない場合、義務化が完全に適用された段階では、流通・販売が認められなくなるという構造になります。
ハラール義務化の対象となる製品・サービスの範囲
JPH法および関連規定では、ハラール義務の対象は非常に広く定義されています。
製品分野
- 飲食料品
- 医薬品
- 化粧品
- 化学製品
- 生物由来製品
- 遺伝子組み換え製品
- ハラール製品と接触する製品(包装材・設備など)
サービス分野
- 食肉処理
- 加工
- 保管
- 包装・流通
- 販売
- 提供(飲食サービスなど)
このように、ハラールは単なる「食品の問題」ではなく、製造から流通、販売に至るまでのサプライチェーン全体に関わる制度となっています。
非ハラール製品の取り扱い
ハラール義務化というと、「ハラームの製品は販売できなくなるのではないか」と誤解されることがありますが、実際にはそうではありません。
ハラーム原料を含む製品については、前述のとおりハラール認証の義務は課されませんが、その代わりに非ハラールである旨の表示が求められます。つまり、制度の目的は「禁止」ではなく、製品の性質を明確に区分し、消費者に正確な情報を提供することにあります。
ハラール義務化の期限
| カテゴリー | 義務化期限 |
|---|---|
| 食品・飲料(中規模・大企業) | 2024年10月17日まで |
| 食品・飲料(零細・小規模企業) | 2026年10月17日まで |
| 食品関連原材料・添加物・と畜関連 | 2024年10月17日まで(企業規模により一部猶予あり) |
| 化粧品・サプリメント・天然医薬品など | 2026年10月17日まで |
| 衣類・日用品・文房具など | 2026年10月17日まで |
| 一般用医薬品 | 2029年10月17日まで |
| 医療機器(中リスク) | 2029年10月17日まで |
| 処方薬・高リスク医療機器 | 2034年10月17日まで |
ハラール義務化は製品カテゴリーごとに段階的に進められてきましたが、食品については輸入品を含めて2026年10月までに義務化が完了するスケジュールとなっており、すでにハラール対応が前提となっています。
自社だけでこのハラールの課題に取り組むのは限界があり、インドネシア側の輸入者やディストリビュータの協力が不可欠です。そういったパートナーを探す支援もしておりますので、こちらのサービス概要をご覧ください。
【補足】
サービス(流通・保管・販売など)のハラール義務化の期限は、対象となる製品の期限に連動します。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 42 Tahun 2024|Pasal 1-2,155, 159-161」
-
インドネシアではハラール認証は必須ですか?
-
原則として、インドネシアで流通・販売される対象製品はハラール認証の取得が義務付けられています。ただし、ハラーム原料を含む製品は例外として認証義務の対象外となり、その場合は非ハラールである旨の表示が必要です。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
ハラール認証の対象となる製品・サービス

ここではハラール認証の対象となる各カテゴリーの製品について、もう少し詳しく整理します。
食品・飲料
前述のとおり、食品分野については義務化がすでに大きく進んでいます。2024年政令第42号では、ハラール認証義務の対象として、食品そのものと、以下のような関連要素が挙げられています。
- 食品・飲料
- 原材料(主原料)
- 食品添加物
- 加工補助剤(製造工程で使用される補助材料)
- と畜産物およびと畜サービス
繰り返しになりますが、完成した製品単体ではなく、原材料から製造、保管、流通、販売に至るまでの一連の工程全体が対象となる点に注意が必要です。
化粧品・医薬品・生活関連製品
ハラール認証は食品に限らず、幅広い製品に適用されます。化粧品、医薬品、生活関連製品のハラール認証の義務化の対象としては、次のような製品カテゴリーが挙げられています。
- 医薬品(天然由来医薬品、一般用医薬品など)
- サプリメント・準医薬品
- 化粧品
- 化学製品
- 遺伝子組換え製品
- 日用品や生活関連製品(衣類、文房具などを含む幅広いカテゴリー)
前述のとおり、ハラールの考え方では、口にするものだけでなく、人体に触れるものや日常的に使用するものも対象になりえます。
そのため、例えば、
- 化粧品:動物由来成分、アルコール、香料など
- 医薬品:カプセル素材、ゼラチン、添加物など
- 日用品:素材や製造工程、接触物
などについては、特に確認が必要になります。
飲食業・物流・保管などサービス分野
ハラール制度は、形のない「サービス」にも適用されます。BPJPHでは、ハラール認証の対象となるサービス分野として、以下のようなものを挙げています。
- と畜(食肉処理)
- 加工
- 保管
- 包装
- 流通
- 販売
- 提供(飲食サービスなど)
特に誤解しやすいのが、物流分野です。BPJPHは物流サービスに「保管・包装・流通が含まれる」と定義したうえで、ハラール認証の対象はトラックや倉庫そのものではなく、「食品・医薬品など対象製品に関連する物流サービス」であると説明しています。
つまり、すべての物流業者が一律に認証を取得する必要があるわけではなく、対象製品を扱う業務の範囲で、管理体制が求められるということになります。
- 参考:
DATABASE PERATURAN「Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 42 Tahun 2024|Pasal 155」
BPJPH「BPJPH Tegaskan Sertifikasi Halal untuk Jasa Pendistribusian, Bukan Kendaraan Pengangkut」
対象かどうか個別確認が必要なケース
ここまで具体的な製品カテゴリーを挙げてきましたが、「自社製品がハラール認証の対象なのか判断しづらい」というケースも少なくありません。
例えば、
- 製品が複数のカテゴリーにまたがる
- 原材料の由来が不明確
- 既存の分類リストに該当しない
といった場合です。
このようなケースについてBPJPHは、分類が明確でない製品については、登録手続きの中で製品カテゴリーの判定を受ける仕組みを提示しています。
ハラール認証が必要かどうか判断できない製品についてはそのまま放置せず、認証取得のプロセスを通じた公式な判断に従うことになります。
ハラール認証対象外の製品・材料
飲食料品については、ハラール認証対象外(認証不要)の製品もあります。
加工を経ていない天然由来の植物および鉱物資源
BPJPHは「加工なしまたは物理的加工のみ」という条件で、以下のような製品・材料について、ハラール認証は不要としています。
- 植物由来の原材料
- と畜を伴わない動物由来の原材料
- 微生物発酵由来の原材料
- 天然水(同様に、加工なしまたは物理的加工のみ)
例えば、生鮮野菜、新鮮な鶏卵や魚(生・冷凍・乾燥・塩蔵)などは、このカテゴリーに該当します。
ハラーム原料を含むリスクがないと分類されるもの
こちらについてBPJPHは、「天然由来原料以外のものや、鉱物由来または無機・有機合成によって製造された化学物質など」と説明しています。例えば、塩や水など、そもそも動物由来成分が混入する可能性がない原料が該当します。
有害ではなく、かつハラーム原料と接触しないもの
このカテゴリーに該当するものとしてBPJPHは、以下の2つを挙げています。
- 天然原料の採掘や精製によって得られる化学物質
- 無機および有機合成によって得られる化学物質
つまり、生産・製造工程について明らかに問題がないことが確認できるものが該当すると考えられます。
ただし、これらに該当するかどうかは個別判断になるため、「対象外だろう」と自己判断するのではなく、法令やBPJPHの最新情報を確認することが重要です。こちらからお問い合わせをいただければ、弊社でも確認が可能です。
- 参考:
DATABASE PERATURAN「Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 42 Tahun 2024|Pasal 70」
BPJPH「Penting Diketahui, Ini Bahan yang Dikecualikan dari Kewajiban Bersertifikat Halal」
「インドネシア進出を前向きに検討しているものの、コンサルティング費用に月額20万〜30万円をかけるのは悩ましい。」そんな企業様にも気軽にご利用いただけるよう、弊社では月額5万円のインドネシア進出支援サービスをご提供しています。
- 定期的なオンライン会議と随時のメール相談を通じて、初めてのインドネシア進出を丁寧にサポートいたします。月1回のオンライン会議に加え、ご不明点やご相談にも迅速に対応いたします。
- インドネシア市場への本格的な進出に先立ち、現地での販売を担うディストリビューターやインポーターとの業務提携を円滑に進められるよう、提携候補先の選定やマッチングをサポートいたします。
- 現地企業への継続的なフォローアップを実施します。面談や商談を行った企業との円滑なコミュニケーションを支援し、次回の商談や具体的なビジネス機会の創出につなげます。
インドネシアのハラール認証制度と関係機関
ハラール認証機関BPJPHの役割
インドネシアでは、2014年のJPH法に基づき、2019年以降はBPJPHがハラール認証の申請受付および認証発行を担っています。
従来はMUIが認証を発行していましたが、現在は以下のように役割が整理されています。
- BPJPH(ハラール製品保証実施機関):申請受付、制度運営、認証発行
- LPH(ハラール検査機関):製品・工程の検査
- MUI(インドネシア・ウラマー評議会):宗教的観点からの最終判断(ファトワ発行)
BPJPHは申請を受理した後、検査機関(LPH)を指定し、検査結果とMUIの判断を踏まえて認証を発行します。
なお、BPJPHが発行するハラール認証は、発行後、原材料の構成またはハラール製品プロセスに変更がない限り有効とされています。変更がある場合は、認証の更新が必要です。
【補足】
ハラール判定の主体は通常MUIですが、小規模・零細事業者の自己申告型認証の場合など特定のケースでは、KFPH(ハラール製品認証委員会)になります。
ハラール認証マークと表示の考え方
ハラール認証を取得した製品には、パッケージ等に認証マークを表示する必要があります。
制度の移行に伴い、従来のMUIの認証マーク(緑色・円形のマーク)からBPJPHの認証マーク(紫色・山形のマーク)へと切り替えが進められており、現在は国家制度に基づく統一マークへの移行が進行中です。
また、ハラール制度では、前述のとおり、非ハラール製品についても適切な表示が求められます。つまり、消費者が判断できるようにするための「表示制度」としての側面も重要です。
インドネシアのハラール認証基準(SJPH)
ハラール認証では、製品そのものだけでなく、企業に対してハラール保証体制(SJPH:Sistem Jaminan Produk Halal)の構築が求められます。そのため、LPHやMUIの審査では、書類とともに、原材料管理や製造工程の管理体制が実際に運用されているかどうかなども確認されます。
対象は主に製造業者ですが、製品の流通形態によっては、輸入業者や保管・輸送を担う事業者、さらには飲食店などの提供事業者も関係します。
SJPHの主な要件
① 組織体制とコミットメント
- ハラールポリシー(ハラール製品を継続的に生産する宣言)
- ハラール管理チームの設置
- 定期的な教育・トレーニング
② 原材料管理
- 原材料、添加物、加工補助剤、包装材などの管理
- ハラール性を証明できる資料の整備(重要原料)
③ 製造・設備管理
- 製造設備・保管設備・輸送設備の管理
- ハラーム物質との接触防止(交差汚染防止)
- 必要に応じた専用設備または適切な洗浄管理
④ トレーサビリティと手順管理
- 原材料から製品まで追跡可能な仕組み
- 製造・保管・輸送などの手順書(SOP)の整備
⑤ 監査と改善
- 定期的な内部監査(年1回以上)
- マネジメントレビューによる改善
このように、ハラール認証は単に「成分が問題ないか」を確認する制度ではなく、原材料の調達から製造、保管、流通、販売に至るまでの一連の工程全体を管理する仕組みである点が大きな特徴です。また、SJPH実施状況の検査はハラール認証取得後も、少なくとも4年に1回実施されます。
― ビジネス最前線の声
インドネシアのハラール認証申請方法
2つの認証申請ルート
インドネシア向けにハラール対応を行う方法には、大きく分けて以下の2つがあります。
- 通常どおりBPJPHにハラール認証を申請する方法
- BPJPHと相互承認(MRA)関係にある海外ハラール機関の認証を取得し、その証明書をBPJPHに登録する方法
2024年以降、BPJPHは外国ハラール証明書登録(RSHLN)の仕組みを本格運用しており、対象となる海外認証を取得している場合は、インドネシア向けに改めて通常の認証申請をせず、登録手続で対応できる場合があります。
ただし、海外機関の認証であれば何でもよいわけではなく、BPJPHが認めた海外ハラール機関(LHLN)の認証であること、そしてインドネシアで流通させる前にBPJPHで登録を済ませることが前提です。
日本の認定機関
2026年3月時点で、日本の認定機関としてBPJPHの一覧に掲載されているのは、以下の5機関です。
- 宗教法人ムスリム協会(JMA)
- JIT(Japan Islamic Trust)
- 一般社団法人ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会(MPJA)
- Nippon Asia Halal Association
- NPO法人日本ハラール協会(JHA)
【補足】
対応可能な製品分野や有効期限は機関によって異なる可能性があります。
ハラール申請の基本的なプロセス

通常のハラール認証申請は、BPJPHの電子システムを通じて行います。現在はSIHALALが申請窓口として案内されています。流れとしては、概ね上掲の図のとおりです。
一方、海外の認定機関で認証を取得している場合は、輸入者またはインドネシア国内の正式代理人が、SIHALAL上で外国ハラール証明書登録(RSHLN)を申請します。
この場合は、海外証明書の有効性や書類の整合性をBPJPHが確認し、問題がなければ登録番号が発行されます。
申請時に準備すべき主な情報・書類
通常のハラール認証申請について、少なくとも次の情報・書類が必要です。
- 事業者データ
- 製品名・製品種類
- 使用する製品および原材料の一覧
- 製造・加工工程に関する説明
- 事業者データの裏付け資料(NIBなどの事業許可情報)
「製造・加工工程の説明」には、原材料の購入・受入・保管、製造、包装、完成品の保管など、工程全体に関する情報が含まれます。したがって、その製品について、どの原材料を使い、どのような工程で製造・管理するかまで整理しておく必要があります。
海外認証を利用してBPJPH登録を行う場合は、
- インドネシア側申請者への委任を示す書類
- 海外ハラール証明書の写し
- 輸入予定品目リスト(HSコード付き)
などが必要になります。
ハラール認証の費用
ハラール認証にかかる費用は、製品カテゴリー、申請主体、申請方法によって数千円規模から十万円超までと、幅があります。
例えば、零細・小規模事業者向けの制度と、中堅・大企業や外国事業者向けの通常申請とでは費用水準が異なりますし、食品・化粧品・医薬品・サービスなど、どの分野で申請するかによっても検査費用が変わります。
さらに、通常のハラール認証申請か、外国ハラール証明書登録かによっても必要な費用が異なります。
ハラール認証の取得や現地対応には、制度理解と実務対応の両方が求められます。弊社では申請サポートや現地連携支援も行っていますので、詳しくはこちらからお問い合わせください。
-
ハラール認証はどのように取得しますか?
-
インドネシアでは、BPJPHの電子システム(SIHALAL)を通じて申請を行い、検査機関(LPH)の審査とMUIによる宗教判断を経て認証が発行されます。また、BPJPHが認めた海外認証を取得し、登録手続きを行う方法もあります。
ハラール認証申請時の主な注意点
原材料だけでなく、製造・保管・輸送まで見られる
ハラール認証というと、まず原材料の成分を確認するイメージが強いかもしれません。しかし実際には、審査の対象は原材料だけではありません。添加物や加工補助剤、包装材に加え、製造設備、保管方法、輸送時の取扱いまで含めて確認されます。
たとえ原材料自体に問題がなくても、製造ラインや倉庫、輸送過程で非ハラール物質と接触するおそれがあれば、ハラール性に影響する可能性があります。申請前には、製品そのものだけでなく、工程全体を見直しておくことが大切です。
自社製品がどの区分にあたるかを先に整理しておく
インドネシアのハラール制度は、食品・飲料だけでなく、化粧品、医薬品、生活関連製品、さらには一部サービス分野まで対象が広がっています。その一方で、すべての製品が同じ扱いになるわけではなく、ハラール認証が必要なもの、非ハラール表示で流通できるもの、対象かどうか個別確認が必要なものがあります。
自社製品がどのカテゴリーに該当するのかが曖昧なまま進めてしまうと、後で手続きが止まる原因になりかねません。まずは製品の性質、原材料、用途を整理し、必要に応じてBPJPHの制度や登録手続の中で確認するのが安心です。
海外認証があっても、インドネシア側の確認は別に必要
日本などでハラール認証を取得している場合、「そのままインドネシアでも使えるのでは」と考えがちですが、実際にはそう単純ではありません。BPJPHが認めた海外機関の認証であることに加え、インドネシアで流通させる前にBPJPHへの登録が必要になります。
つまり、海外認証はそれだけで完結するわけではなく、インドネシア側の制度にきちんと接続する必要があります。海外認証を利用する場合は、どの認証機関が認められているのか、追加でどの手続きが必要なのかを事前に確認しておきたいところです。
ハラール認証だけで完了しないケースも多い
ハラール認証は重要な要件の一つですが、それだけで販売準備がすべて終わるわけではありません。食品・飲料、化粧品、医薬品などでは、BPOM登録や輸入関連の手続きなど、別の規制対応が必要になることがあります。
そのため、実務では「ハラール認証を取る」ことだけを個別に考えるよりも、製品の輸入から販売までに必要な手続きを全体で整理しておくほうがスムーズです。特にインドネシア向け輸出では、どの制度が並行して関わるのかを早い段階で把握しておくことが、結果的に手戻りを防ぐ近道になります。
ハラール対応は「製品」ではなく「仕組み」で考える
インドネシアのハラール制度は、単に製品の成分を確認するものではなく、原材料の調達から製造、保管、流通、販売に至るまでの一連の工程全体を対象とする仕組みです。
対象となる製品は食品に限らず、化粧品や医薬品、日用品、さらには関連するサービスにも広がっています。また、義務化はすでに段階的に進んでおり、今後は「対応しているかどうか」が市場参入の前提となる場面が増えていきます。
実務では、自社製品が対象となるかを正しく把握し、必要に応じて認証取得や表示対応を進めることが重要です。ハラール対応は個別対応ではなく、企業としての体制づくりとして捉えることが、スムーズな進出の鍵となります。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
お客様の声
なんでもご相談ください!
法人設立
雇用代行
現地視察
ビザ申請
















いつでもお気軽にご相談ください
-
WEBからお問い合わせ
ご相談はいつでも無料24時間受付(2営業日以内に返信いたします)
-
すぐにでも日程調整を行いたい
日程調整フォームへ代表の柳沢が説明いたします。















