インドネシアの所得層別スーパーマーケットと人気の日系・日本食スーパー

公開
2023/07/02
更新
2025/03/22
この記事は約7分26秒で読めます。

日本と比べて貧富の差が激しいインドネシアでは、貧困層と富裕層が同じスーパーマーケットで買い物をすることはほとんどありません。スーパーマーケットによって、ターゲットとなる所得層が明確に分けられています。

コロナ禍が落ち着いて人々の購買意欲が高まっているなか、インドネシアへの進出を考える企業であれば、スーパーを含む小売業の動向が気になるところだと思います。

そこで本記事では、インドネシアのスーパーを所得層別に紹介するとともに、販売している商品の価格の違いについてまとめました。また、現地で日系・日本食スーパーの運営に成功している企業も紹介しているので、事業進出の参考にしてみてください。

円表記は2023年6月18日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算し、記載しています。また、本記事で紹介するスーパーマーケットの店舗数や商品の価格は記事執筆時のものです。

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インドネシアのスーパー事情

インドネシアでスーパーマーケットとは、面積が400~2,500平方メートルの小売店のことを指します。インドネシアのスーパーの店舗数は、コロナ禍の影響で2021年は減少しましたが、2017年から2020年までの3年間をみると、1,377店舗から1,450店舗へと増加していました。

インドネシアではパサールと呼ばれる伝統的な市場を利用する人も多くいます。しかし、食料品や日用品が一通り揃っていて、店舗によっては高価な輸入品も手に入るスーパーは、パサールとは違ったものとしてインドネシア人の生活に欠かせない存在になっています。

中間所得層の増加や都市開発、人口の多さなどから、スーパーを含むインドネシアの小売市場は、アジアでも特に有望な市場だという見方もされています。

参考:GoodStats「Supermarket dengan Gerai Terbanyak di Indonesia 2021」

インドネシアへの進出についてもっと情報が必要な方へ
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インドネシアの人口ピラミッドや人口推移などについて知りたい

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インドネシアの上位所得者層向けスーパー

まず、インドネシアの上位所得者層向けスーパーの特徴を紹介します。

Kem Chicks(ケム・チックス)

Kem Chicksは、インドネシアだけでなく外国人もよく利用するスーパーで、ジャカルタに数店舗展開しています。例えば、高級ショッピングモールPacific Place(パシフィック・プレイス)の中にもあります。

客層として外国人の駐在員や出張者も視野に入れていることから、アメリカ産やオーストラリア産のボリューミーなステーキ肉、ヨーロッパ産のお菓子など、輸入品も豊富です。

惣菜が並べられたバイキングコーナーも人気があります。皿の上に惣菜を並べ、蓋をしていなくても衛生面の不安が少ないのは、マナーの良い客が多く掃除が行き届いたKem Chicksだからこそでしょう。

高価なオーガニック食品やアロマテラピーグッズなど、経済的余裕があり健康志向な人々のニーズにそった商品も展開しています。インドネシアの伝統菓子や雑貨なども多いため、外国人観光客にとってはお土産を探すスポットとしても重宝します。

参考:kemchicks_pacificplace

The FoodHall(ザ・フードホール)

インドネシアのスーパーマーケットThe FoodHall(ザ・フードホール)

The FoodHallは、2023年1月時点で14店舗を展開しています。現地のものから輸入品まで幅広い商品の取り扱いがある高級スーパーで、Grand IndonesiaやPlaza Senayanなどショッピングモール内の店舗も多く、日本でいうデパ地下のような存在です。

The FoodHallは飲食品のラインナップが豊富で、高級コーヒー「コピ・ルアック」など、大衆的なスーパーではほとんど見かけることのない高価で珍しい商品も販売しています。

また、高級な石鹸やキャンドル、ワインなどの嗜好品や、機能・デザインともに優れた調理器具なども販売。ワンランク上の商品を取り入れて、生活を豊かにしたい方のニーズに応えています。

参考:Foodhall Indonesia

Ranch Market(ランチ・マーケット)

インドネシアのスーパーマーケットRanch Market(ランチ・マーケット)

Ranch Marketはもともと大衆向けのスーパーでしたが、徐々に中流から上流階級向けへとコンセプトをシフトして現在の形になりました。ジャカルタとその隣のタンゲラン、東ジャワ州のスラバヤとマランに合計20店舗以上展開しています。

インドネシアのスーパーでは、あまり新鮮とは言えない生鮮食品を販売する店もありますが、Ranch Marketでは鮮度のよい肉や魚、フルーツを提供しており、外国人観光客も安心して利用できると評判です。日本産のフルーツなど、インドネシアに長期滞在する日本人のニーズを満たす商品もあります。

パサールでは見かけない珍しいフルーツや野菜が種類豊富で、栄養価にも配慮された乳製品、高級ワイン、グルテンフリー製品など、ライフスタイルにこだわりたい人向けのヘルシーで特別感のある商品が手に入るスーパーマーケットです。

参考:Ranch Market

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インドネシアの中間所得者層向けスーパー

次に、インドネシアの中間所得者層向けスーパーとその特徴を紹介します。

Lotte Mart(ロッテ・マート)

インドネシアのスーパーマーケットLotte Mart(ロッテマート)

Lotte Martは、食料品や家電、雑貨など幅広いラインアップが特徴で、一度の買い物で多様なニーズを満たせるスーパーです。Lotte Martが家庭用の商品を取り扱っているのに対して、同じグループのLotte Grosir(ロッテ・グロシール)は業務用の商品を主に販売しており、大容量で安く買えると評判です。

Lotte Martは、上位所得者層向けスーパーと比べるとお酒やコーヒー、オーガニック食品など高級な嗜好品にはこだわっていませんが、お手頃価格で購入できるスナックやインスタントヌードルなど、一般的な家庭で馴染みある商品が豊富です。まとめ買いすると安くなるものもあるため、大量購入する人をよく見かけます。

また、韓国企業が運営するスーパーということもあり、ほかのスーパーと比べて韓国のインスタント食品やレトルト食品に力を入れているのも特徴です。

参考:LOTTE

Super Indo(スーパー・インド)

インドネシアのスーパーマーケットSuper Indo(スーパー・インド)

韓国のLotte MartやフランスのTransmart、日本のAEON STOREなど多くの外資系スーパーがインドネシアに進出するなか、Super Indoは1997年創業のインドネシアの老舗スーパーとして根強い人気を誇ります。ジャワ島を中心に店舗を多数展開しており、身近なスーパーとして地域に根差した存在です。

店内は商品の並べ方が雑だったり、値札がない商品があったりと、上位所得者層向けスーパーや外資系のスーパーと比べると店内の雰囲気には気を配られていない印象を受けますが、飲食品や日用品が比較的安く手に入ります。

近年は輸入品や健康志向の食品を増やしたり、プライベートブランドに力を入れたりと、幅広い商品を取り扱っています。

参考:Super Indo

Transmart(トランスマート)

インドネシアのスーパーマーケットTransmart(トランスマート)

Transmartはフランス系のスーパーで、もともとはCarrefour(カルフール)の名前で営業していました。食料品や飲料、文具、家電製品など幅広い商品が置いてあり、ディスカウントストアのような雰囲気も感じられます。

ショッピングモールに出店していることも多く、店内ではファミリー客の姿をよく見かけます。衣類のセールが頻繁に行われていることから、子ども用の服を安く購入したい親など、食料品や日用品以外のものを目当てに訪れる人も少なくありません。

また、インドネシアの雑貨やスイーツが安く手に入るので、自国へのお土産を安く購入したい外国人旅行者にも人気です。上位所得層者層向けスーパーと比べて価格帯が低いことや店舗の面積が広いことも特徴です。

参考:Transmart Carrefour


ここまで記事をご覧いただいて何かご不明点や疑問点があれば、下記よりご質問ください。
一両日中にご返信をさせていただきます。

所得別スーパーの主な商品の価格帯

以下は先ほど紹介したスーパーで販売される商品の価格帯です(※Kem Chicksはデータなし)。上位所得層向けスーパーと中間所得層向けスーパーでは取り扱う商品だけでなく、価格帯も変わるので参考にしてみてください。

Food HallRanch MarketLotte MartSuper IndoTransmart
牛肉牛スライス1kg
331,600ルピア(3,140円)
牛ブロック1㎏
179,900ルピア(1,710円)
牛ブロック1㎏
104,900~225,900ルピア(990円~2,140円)
牛ブロック1kg
167,500~174,500ルピア(1,588円~1,650円)
牛ダイスカット1kg
198,500~263,880ルピア(1,880円~2,500円)
豚肉生ハム
85,900ルピア(810円)
※分量データなし
豚スライス1kg
250,000ルピア(2,370円)
データなしデータなし豚ブロック1kg
145,000ルピア(1,370円)
鶏肉鶏むね肉1kg
189,800ルピア(1,800円)
鶏むね肉1kg
100,000ルピア(950円)
鶏むね肉1kg
109,800ルピア
(1,040円)
鶏ひき肉1kg
82,900ルピア(790円)
鶏むね肉1kg
81,600ルピア(770円)
白身魚の切り身1kg
97,800ルピ(930円)
Tongkol
69,900ルピア(660円)
※分量データなし
Tongkol 1kg
39,900ルピア(380円)
Tongkol 1kg
57,800ルピア(550円)
白身魚の切り身1kg
54,650ルピア(520円)
パック10個
34,900ルピア(330円)
1㎏(16個前後)34,500ルピア(330円)1kg
31,700ルピア(300円)
1kg
27,900ルピア(260円)
1㎏
34,900ルピア(330円)
調味料ケチャップマニスBango735ml
36,900ルピア(350円)
ケチャップマニスBango735ml
33,500ルピア(320円)
ケチャップマニスBango735ml
28,000ルピア(270円)
ケチャップマニスBango735ml
30,490ルピア(290円)
ケチャップマニスBango520ml
24,400ルピア(230円)
フルーツマンゴーHarum Manis 1kg
59,900ルピア(570円)
マンゴーHarum Manis 1kg 42,600ルピア(400円)マンゴーHarum Manis 1kg
38,900ルピア(370円)
データなしデータなし
牛乳Greenfields Freshmilk 1L
33,900ルピア(320円)
Greenfields Freshmilk 1L 31,400ルピア(300円)Cimory Freshmilk 950ml
23,900ルピア(230円)
Greenfields Freshmilk 1L
24,900ルピア(240円)
Diamond UHT Full Cream 1L
22,800ルピア(220円)
お菓子Sukro Kedele 120g
11,500ルピア(110円)
Sukro Kedele 140g
10,500ルピア(100円)
Sukro Kedele 100g
7,900ルピア(70円)
Sukro Kedele 100g
8,790ルピア(80円)
Sukro Kedele 120g
10,000ルピア(90円)

Lotte MartとSuper Indoは豚肉の価格データがありませんでした。インドネシアはイスラム教徒が大半を占めるため、ジャカルタやその近郊のイスラム教徒の住民が多い地域では、そもそもお店に豚肉やアルコール飲料を置いていないケースも珍しくありません。


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インドネシアに進出している日系・日本食スーパー

最後に、インドネシアに進出する日系・日本食スーパーの中でも特に知名度の高いpapaya(パパイヤ)とAEON STORE(イオン・ストア)の2つを紹介します。

papaya(パパイヤ)

インドネシアのスーパーマーケットpapaya(パパイヤ)

papayaはスラバヤで誕生した日本食スーパーで、現在はジャカルタを中心としたジャワ島、そしてバリ島に展開しています。うどんやそば、納豆、カレールー、漬物、醤油、みそ、焼肉のタレなどの日本の食品のほか、調理済みの弁当や寿司も販売されています。

インドネシアの調味料や食材も並んでいますが、それぞれの商品の値札には日本語で商品名が書かれているため、インドネシア語を読めない日本人でも言語のハードルなく買い物が可能です。

そのほか、チューブタイプのわさびやにんにく、混ぜるだけで作れるパスタの素など、日本の便利な商品も販売されています。

参考:papaya

AEON STORE(イオン・ストア)

インドネシアのスーパーマーケットAEON STORE(イオン・ストア)

AEON STOREは商業施設AEON Mallの中にあるスーパーで、2023年6月時点でインドネシアに5店舗あります。日本の商品も手に入りますが、現地の商品も充実していることから、先ほどのpapayaと比べるとインドネシア人の姿は多めです。

日本のAEONと同様に惣菜コーナーにはさまざまな料理が揃っており、天ぷらやコロッケなどを購入後、イートインコーナーでそのまま食べる人もいます。醤油やみそなど日本の調味料が一通り揃っているほか、手作りの豆腐など手の込んだ商品もあります。

また、鮮度や清潔さにも気を配っているため、日本人でも抵抗なく利用できます。papayaと同様に弁当や寿司が容器に入れて販売され、現地採用や駐在でインドネシアに暮らす日本人の食事のニーズを満たしてくれます。

参考:AEON STORE

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ここ最近はオンラインショッピングに頼る人も出てきたとはいえ、自分の目で商品を見定めることができるスーパーは安心感があり、生活に欠かせない存在だといえます。コロナ禍でスーパーを含む小売業は一時的に打撃を受けたものの、将来性にはまだまだ期待できます。

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インドネシアにはどのような上位所得層向けスーパーがありますか?

インドネシアの上位所得層向けスーパーにはKem ChicksやThe FoodHall、Ranch Marketなどがあります。

インドネシアにはどのような中間所得層向けスーパーがありますか?

インドネシアの中間所得層向けスーパーにはLotte MartやSuper Indo、Transmartなどがあります。

インドネシアの日系・日本食スーパーについて教えてください。

インドネシアで有名な日系・日本食スーパーには、papayaやAEON STOREなどがあります。

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