特定技能外国人としてインドネシア人を採用する際のプロセスや注意点

公開
2023/03/30
更新
2023/12/24
この記事は約6分14秒で読めます。

2019年に運用が始まった在留資格「特定技能」。コロナ禍の移動制限が緩和された今、受入れ機関となる日本企業、就業する外国人双方からの関心が高まっています。

2023年現在、特定技能の資格で在留しているインドネシア人はベトナム人に次いで多く、今後も増えていく可能性があります。本記事では今注目の「特定技能」について、その種類や受入れ産業分野など制度の概要と、インドネシアにおける送出し機関、インドネシア人受入れのプロセス、注意点などをご紹介します。

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特定技能とは

制度の概要

特定技能は、人手不足が深刻な産業分野に即戦力となる外国人労働者を受け入れる仕組みを整えるため創設されました。

特定技能は外国人が日本に滞在するための「在留資格」で、特定技能の在留資格で在留・就業する外国人のことを一般的には「特定技能外国人」と呼びます。特定技能は正確には「ビザ(査証)」とは異なりますが、「在留資格ビザ」という通称もよく使われています。

なおインドネシアでは、特定技能はTokutei Ginouまたは英語でSpecified Skilled Worker(SSW)と呼ばれています。

特定技能と技能実習の違い

目的の違い

特定技能制度は、人手不足が深刻で、従業員の待遇改善や業務の効率化などの努力によってもなお必要な人材を確保できず、持続可能性が危ぶまれる産業分野において、「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる」ための制度です。つまり、特定技能で在留する外国人の目的は就労です。

一方の技能実習制度は、開発途上国の人々に日本の技術や知識を習得してもらい、帰国して母国の発展に貢献してもらおうという「国際貢献」が目的の制度です。

外国人の待遇などの違い

特定技能と技能実習の間には、受入れ産業分野や在留可能な期間、転職の可否などに違いがあります。

特定技能は就労のための制度なので、条件を満たせば転職が可能である点や、特定技能2号なら無期限で在留できる点が、技能実習とのもっとも大きな違いです。

関係者の違い

技能実習制度による外国人の受入れには「監理団体」「技能実習機構」「送出機関」など複数の関係機関との連携が必要であるのに対し、特定技能の場合は原則、受入れ機関(企業)と外国人本人のみですべてのプロセスを進められます。

特定技能の資格取得の条件

特定技能1号の資格は、各産業分野の技能試験と日本語能力試験に合格するか、「技能実習2号」から移行することで取得できます。指定された特定の国を除き、どこの国から出も受入れが可能ですが、これまで特定技能1号を取得した人の多くは元技能実習生です。

なお、特定技能1号を取得する条件である各種試験が実施されるのは、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど日本との間で二国間協定を結んでいる国のみです。協定を結んでいない国の人が技能実習を経ずに特定技能の在留資格取得を目指す場合、試験を受験するために一度来日する必要があります。

特定技能2号の資格は、今のところ事実上「特定技能1号から在留資格を移行する人」のみ取得可能です。

特定技能で在留する外国人の人数

2022年12月末現在、特定技能1号で日本に在留している外国人は130,915人です。

このうちインドネシア人は16,327人で、77,135人のベトナムに次ぎ2番目に多くなっています。なお、特定技能2号で在留している外国人はこの時点で8人しかおらずインドネシア人はいません。

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数 (令和4年12月末現在)概要版|【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」

国籍・地域別特定技能外国人の割合
国籍・地域別特定技能外国人の割合
(出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数 (令和4年12月末現在)概要版|【第1-2図】国籍・地域別割合」をもとに弊社作成)

特定技能の種類

特定技能には、「1号」と「2号」の2つの種類があります。

「特定技能2号」はより熟練した技能を要する業務を行えるレベルの高い人材向けで、2023年3月現在2つの産業分野でのみ受入れられています。

受入れ分野

2023年3月現在、特定技能1号による外国人の受入れ分野(特定産業分野)は以下の12分野です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 建設
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 造船・船用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

以上の分野のうち、「建設」と「造船・船用工業」は、特定技能2号でも受入れられています。

※「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は、以前は3つの分野に分かれていましたが、2022年5月に統合されました。
※2023年3月現在、特定技能2号の産業分野を拡大するための議論が進んでおり、今後はより広い分野で受け入れられるようになる可能性があります。

特定技能1号と特定技能2号の違い

特定技能1号は、在留期間に上限があり、家族の帯同も許されません。一方で特定技能2号は、資格を更新する限り無期限で在留でき、配偶者や子どもを呼び寄せることができます。

特定技能1号特定技能2号
在留期間1年、6か月又は4か月ごとの更新
通算で上限5年
3年、1年又は6か月ごとの更新
更新する限り無期限
技能水準試験等で確認
(技能実習2号の修了者は試験等免除)
試験等で確認  
日本語能力水準生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号の修了者は試験等免除)
試験等での確認は不要  
家族の帯同基本的に認めない要件を満たせば可能(配偶者、子)
各種支援受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外

参考:特定技能総合支援サイト「特定技能制度とは」

送出し国としてのインドネシア

送出し機関の利用

続いて、特定技能における「送出し国」としてのインドネシアの特徴や制度をご紹介します。

まず、特定技能の在留資格でインドネシア人を雇用する場合、「送出し機関」を利用する必要はありません。

一方でインドネシアでは、オンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」の使用が推奨されています。IPKOLはインドネシア政府が運用するシステムで、受入れ機関は仲介業者を介さずに希望者を直接採用できます。応募者にとっても、悪質な仲介業者による被害を防げるというメリットがあります。

なお、インドネシアには労働者の海外への送出しを行う職業紹介事業者(P3MI)があります。特定技能についてもこの事業者を通す仕組みを構築する計画があり、近い将来、特定技能外国人の求人・求職の流れに変更があるかもしれません。

参考1:Magang Jepang「Apa Itu IPKOL? Pahami Sebelum Mendaftar Kerja di Jepang」
参考2:JITCO「在留資格「特定技能」とは|2送出し国政府機関名・2国間協力覚書締結日・認定送出機関数・送出し体制」」
参考3:JITCO「インドネシア労働省との協議の実施」

「送出し機関」と「LPK」

LPKは、インドネシアで一定の技能訓練を行う資格を持つ日本語教育・職業訓練機関であり、認定を受けた「技能実習生の送出し機関」です。

LPKは本来、特定技能の送出し機関ではありません。また、前述の職業紹介事業者(P3MI)とも別の機関です。ただし、特定技能の制度が開始されて以降、特定技能の在留資格によるインドネシア人の紹介や派遣も行っているLPKもあります。詳細は各機関にお問い合わせください。

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インドネシアからの「特定技能外国人」受入れの流れと必要書類

特定技能で在留するインドネシア人を受け入れる場合、技能実習生など「もともと日本に在留している人」か「インドネシアから新たに呼び寄せる人」かによってそのプロセスが異なります。

日本国内在留者を特定技能で受け入れる場合の企業側のプロセス

  1. 外国人本人が試験に合格、または技能実習2号を修了
  2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
    ※契約締結後に受入機関または提携する登録支援機関が「受入れ機関等による事前ガイダンス」や「健康診断」を実施する必要があります。
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定する
  4. 地方出入国在留管理局で在留資格変更許可申請を行う
    ※原則は外国人本人による申請です。
  5. 特定技能1号へ在留資格変更
  6. 就労開始

海外(インドネシア)在留者を特定技能で新たに受け入れる場合の企業側のプロセス

  1. 外国人本人が試験に合格、または技能実習2号を修了
    ※技能実習2号を良好に修了した人であれば、帰国済みであっても試験は免除されます。
  2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
    ※契約締結後に受入機関または提携する登録支援機関が「受入れ機関等による事前ガイダンス」や「健康診断」を実施する必要があります。
  3. 特定技能外国人の支援計画を策定する
  4. 地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行う
    ※原則は外国人本人による申請です。
  5. 在留資格認定証明書受領(受入れ機関から本人への送付)
  6. 在外公館にビザを申請する
  7. ビザを受領する
  8. 入国
  9. 就労開始

特定技能外国人受入れに関するポイント・注意事項

登録支援機関との委託契約

受入れ機関が支援機関の基準を満たす場合、1号特定技能外国人支援計画の一部の実施の全部または一部を登録支援機関に委託することができます。

特定技能外国人の内定と雇用契約

特定技能制度では、特定技能外国人と受入れ機関との雇用契約締結は、外国人が各試験に合格した後に行うことが想定されています。試験合格の前に内定を出したり雇用契約を結んだりすることもできますが、試験に合格しなければ受入れは認められません。

参考:特定技能総合支援サイト「雇用の流れ」

特定技能申請の必要書類

上述の通り、日本に在留している外国人の場合は「在留資格変更許可申請」、これから来日する外国人の場合は「在留資格認定証明書交付申請」を地域の出入国在留管理局で行います。申請の名称は異なりますが、必要書類は大きくは違わず、基本的には以下のようなものを準備することになります。

  • 申請書(外国人本人と受入れ機関がそれぞれ作成)、添付する写真
  • 外国人本人のパスポートと在留カード
  • 技能水準、日本語能力水準に関する書類
  • 労働条件に関する書類
  • 労働保険・社会保険・税に関する書類(外国人本人と受入れ機関がそれぞれ作成)
  • 特定技能1号の外国人の支援に関する書類

なお必要書類は、受入れ機関が法人か個人かや、どの産業分野の機関かによって少しずつ違います。詳しくは出入国在留管理庁のWebサイトでご確認ください。

参考1:特定技能総合支援サイト「申請に必要な書類」
参考2:出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」|在留資格認定証明書交付申請|在留資格変更許可申請」

まとめ

特定技能の在留資格による外国人の受入れは2019年に始まりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、制度の運用はまだまだ始まったばかりと言えます。

既にご紹介した通り、現在、日本側では特定技能2号の受入れ産業分野の拡大、インドネシア側では職業紹介事業者(P3MI)の仲介による送出しが検討されており、今後も様々な変更点が出てくると予想されます。

そのため、特定技能外国人の雇用を検討する際は、制度の概要をしっかりと把握した上で、こまめに最新情報を確認するのがおすすめです。

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特定技能とは何ですか。

特定技能は、人手不足が深刻な産業分野に即戦力となる外国人労働者を受け入れる仕組みを整えるため創設された在留資格です。

特定技能で在留するインドネシア人は何人いますか。

2022年12月末現在、特定技能1号で日本に在留している外国人は130,915人、このうちインドネシア人は16,327人です。

インドネシアに特定技能の送出し機関はありますか。

2023年3月現在、インドネシア人を特定技能の在留資格で呼び寄せる場合に利用が必須となっている送出し機関はありません。ただし将来的にはインドネシア人労働者の海外への送出しを行う職業紹介事業者(P3MI)を介すシステムになる可能性があります。

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