インドネシアへの輸入と販売に必須のBPOM申請
- 公開
- 2022/06/24
- 更新
- 2025/01/01
- この記事は約4分19秒で読めます。
BPOMはインドネシア医薬品食品監督庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan)の通称で、インドネシアで医薬品や化粧品、食品などの流通を監督している機関。日本の厚生労働省にあたる組織で、人々の生活に欠かせない日用品や食品の安全管理を行っています。
インドネシアで食品や医薬品など指定されたカテゴリーの製品を流通・販売するには、BPOMからの認証が必要です。BPOM認証は国民の認知度も高く、店内のものがすべてBPOM認証を取得済みであることを謳い文句にする小売店もあります。
そこで本記事では、BPOMとその認証について紹介するとともに、認証ための申請方法や注意点なども解説します。
BPOMとは
BPOMは国家レベルの独立機関として、大統領府の下に設立されています。医薬品、伝統医薬品、化粧品、健康補助食品(サプリメント等)、食品(加工食品)等のカテゴリーにおいて安全管理の中心的役割を担っており、カテゴリーごとに医薬品・食品調査センターなど細かな組織が置かれ全体を構成しています。一部のものを除き、これらのカテゴリーに分類される製品をインドネシアで流通させるには、BPOMの認証が必要です。
BPOMの認証なしに商品を販売した場合、罰金が課され、当該商品は二度とインドネシア国内で販売できないという重い罰則があります。そのため、インドネシアで販売する際には、BPOMの認証は必須となります。
TokopediaやShopeeなどでBPOM未取得で販売されている商品がありますが、インドネシア人が個人としてこっそりハンドキャリーで輸入しているようなケースが多く、それを企業がやることは推奨できません。
また、インドネシア人のアンケート調査から、BPOMを知っている方が約94%(参考)、BPOMに認証を得られていると安心して購入しやすい方が約87%を占めていることがわかります。
BPOMが設立された背景として、かつて流通している食品の多くが安全基準を満たしておらず、食中毒等の健康被害が多数報告されていたことが挙げられます。
医薬品分野でも、不適切な品質管理や偽医薬品の流通、病院や保健所等での医薬品の不適切な管理・投与等が度々告発されていました。こうした事態の改善のため、インドネシア政府は2001年よりBPOMを設置し、安全管理体制を強化しています。
BPOMの申請方法
製造業者、あるいはその代理人がBPOMを申請します。いずれも公証役場や大使館での手続きに要する書類の提出が求められますが、正確な書類が手元にそろえば、その後は比較的スムーズに手続きが完了します。
申請は所定のフォームに必要書類を添付して、オンラインで行うことができ、申請後3営業日以内に申請手数料を支払う必要があります。申請書に不備がある場合、30日以内で3回のみ再申請することができます。
比較的スムーズとは言え、それはあくまでもBPOMの申請に慣れた企業のお話。初見でインドネシアに頼れる人がいない状態で申請を通すのは至難だと言えます。弊社ではインドネシア医薬品食品監督庁の直接ルートがあるため、スピードとコストの面で他社様よりも自信があります。BPOM申請に興味がある企業様はこちらからご連絡をください。
尚、必要な書類はカテゴリーによって異なります。例えば、化粧品では下記の書類が必要になります。
- 自由販売証明書
- 適正製造基準証明書
- 販売委任状
- 成分チェックシート
- 製品サンプル
- 表示ラベル
- BPOM届出書面
- 製品のパッケージと写真のデータ
- 流通業者の事業許可証の写し
BPOM申請時の注意点
「自由販売証明書」と「適正製造基準証明書」の証明書は、在日本インドネシア共和国大使館または領事館が公認した公文書であることが必須です。「自由販売証明書」については、現在、日本の化粧品についてCFSの発行が認められている機関は、厚生労働省およびJCIA(日本化粧品工業連合会)のみとなります。
化粧品の禁止成分と制限成分の数については、条件付で使用が認められる化粧品の原料が110種類。色料、保存材・紫外線防止剤として使用が認められる原料、使用が禁止される現在料1,370 種類があり、チェックが必要な成分は「禁止成分」と「制限成分」に分けられます。(参考:2011 JETRO インドネシアにおける化粧品輸入制度)
「禁止成分」が含まれている場合は、当該成分を製品から除外する必要があります。「制限成分」が含まれている場合は、許容範囲内に含有量が収まっているかの確認が必要であり、制限を越えている場合は、当該成分の含有量の調整が必要です。
日本で使用されている成分の内、防腐剤がアセアン化粧品指令のチェックに該当しやすい傾向にあるため、日本で問題ないからといって、輸出できるとは限りませんので、ご注意ください。BPOM申請に通るか否かの「成分表チェックサービス」もご提供していますがので、興味がある企業様はこちらからご連絡をください。
認可までの期間は商品によって異なります。食品と化粧品は比較的早く4〜6ヶ月程度、一般用医薬品やサプリメントは1年程度、医療用医薬品の場合は1年以上が平均的に要する期間となっています。また、BPOMの認可取得後の有効期限は5年間となります。
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BPOM認証後の手続き
BPOMから承認を得られた後、インドネシアに輸出する際に税関で必要な書類は下記になります。
- 税関申告書
- インボイスの写し
- 船荷証券(B/L)の写し
- 化粧品BPOM届出書⾯面
- 輸⼊品の価値申告書
- 原産地証明書
BPOMの認証を通過した製品には英字表記が付され、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで手に取る商品の包装ラベルを見れば、その製品のカテゴリー、生産地が一目でわかるようになっています。
例えば化粧品の表示義務では、パッケージや容器など読みやすい場所に、下記の内容をわかりやすく表示することが義務付けられています。
- 化粧品名
- 効用・効能
- 使用方法
- 原料名
- 製造者の氏名・国名
- 流通許可届出申請者の氏名と住所
- バッチ番号
- サイズ・内容量
- 使用有効期限(年月日)
- 流通許可届出番号
- 警告・注意書き、その他の説明
上記のうち、「効用・効能」、「使用方法」、「警告・注意書き、その他の説明」はインドネシア語での表示が義務付けられています。
BPOMのWebサイトでは、カテゴリー別にBPOMに登録された製品の生産元や成分及びその含有量等の詳細情報が公開されています。付与された番号を入力すると、登録情報を確認することができます。
「Pendaftar」は登録会社(または輸入会社)で、「Diproduksi oleh」は製造業者のことです。現在、食品カテゴリーでは148,347品目、化粧品カテゴリーでは294,556品目、医療用医薬品では21,445品目、伝統医薬品では15,346品目、一般用医薬品では1,113品目、健康補助食品では4,501品目が記載されています。
実際に販売されているBPOMの認証を得られた商品
実際にインドネシアで販売されている、BPOMの認証を得られている日本の商品をご紹介します。
商品名:Pocky CHOCOLATE FLAVOUR
製造地:インドネシア
商品名:Yakult
製造地:インドネシア
BPOMを申請してインドネシア国内で商品を流通させるのは、想像されているよりも多くの苦労と工数がかかります。また、その商品がインドネシアで果たして本当に売れるのかも分からないので、新規事業とは言え一定のリスクはつきまといます。
そういった状況を改善すべく、弊社ではインドネシア国内で食品を開発する体制を持ちました。つまり、お客様がインドネシアに会社を設立して、大きな設備投資をする前に、テストマーケティング的に食品を開発して現地で販売する機会をご提供することができます。
インドネシアで受け入れられている飲食企業様の商品は、日本国内の味をそのまま輸出するというよりも、やはりインドネシアにローカライズした食感や味にすることを心掛けられています。そういったローカライズのお手伝いも上記の開発体制の中で可能です。
インドネシアでBPOMを取得したいという企業様からのご相談や、飲食関連企業様からの現地でのテストマーケティングのご相談もお待ちしています。
インドネシアでのビジネスにお悩みの方へ
最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。
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インドネシアのBPOMとは何ですか。
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BPOMはインドネシア医薬品食品監督庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan)の通称で、インドネシアで医薬品や化粧品、食品などの流通を監督している機関です。インドネシアで該当するカテゴリーの製品を販売する場合、BPOMによる認証を受ける必要があります。
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BPOMの認証が必要な商品にはどんなものがありますか。
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医薬品、伝統医薬品、化粧品、健康補助食品(サプリメント等)、食品(加工食品)などがあります。
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BPOMの認証の申請はだれがどのように行うのですか。
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製品の製造者か代理人がオンラインで手続きします。
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