インドネシアの外資規制とネガティブリスト/プライオリティリスト
- 公開
- 2022/08/29
- 更新
- 2026/06/20
- この記事は約8分59秒で読めます。
-
インドネシアでは外資100%で会社設立は可能ですか?
-
多くの分野では外資100%での会社設立が可能です。ただし、防衛、輸送、メディアなど一部の分野では出資比率の上限やパートナーシップ要件が定められており、事業内容によって条件が異なります。
-
インドネシアの外国投資に関するプライオリティリストとは何ですか?
-
プライオリティリストとは、インドネシア政府が投資を促進したい分野を示したものです。「基本的には100%外資出資も可能」という前提に立ったうえで、「優先事業分野」や「例外的に条件付きとなる分野」がまとめられています。
-
インドネシア進出で最初に何を確認すべきですか?
-
まず自社の事業がどのKBLI(事業コード)に該当するかを特定し、そのうえで外資規制や優先分野への該当有無を確認します。これを誤ると、設立後に考慮すべき規制が発覚する可能性があるため注意が必要です。
インドネシアで会社設立を検討する際に、外資として参入するとどのような規制があるのかが気になると思います。最近ではネガティブリストという言葉に加えて、プライオリティリストという言葉も聞くようになりました。
インドネシアにおける会社設立は難易度が高いため自社だけで進めていくのは至難です。ただし、そうは言っても外部のコンサルに丸投げするのではなく、インドネシアの外資規制やネガティブリストの概要を把握するだけでも、プロジェクトを進めやすくなります。
この記事ではその外資規制やネガティブリストに焦点をしぼって説明していきます。なお、事業ライセンスの話については、こちらの記事を参考にしてください。
インドネシアの外資規制とは

外資規制の概要
インドネシアでは、外資の参入が禁止または規制されている分野があります。以前は、その内容を投資ネガティブリスト(通称:ネガティブリスト)で整理していました。
2021年に投資事業分野に関する大統領規則第10号が施行され、旧ネガティブリスト(2016年大統領規則第44号)は廃止されました。現在は、いわゆる「プライオリティリスト」を含む新しい投資分野の枠組みで、外資参入の可否や条件が整理されています。
インドネシアへの投資を考える際には、自社が進出しようとしている業種がどの区分に入るのか、また、どのような条件が付されているのかを確認しておく必要があります。
旧制度「ネガティブリスト」とは
ネガティブリストは、旧制度のもとで、投資が禁止される分野や、一定の条件のもとでのみ参入できる分野を整理していたリストです。
インドネシアで外資系企業を設立する際には、まずこのリストを確認し、自社の事業分野が外資に開放されているか、あるいは出資比率や提携先に制限があるかを見極める必要がありました。
旧ネガティブリストそのものは2021年に廃止されていますが、現在でも「どの事業分野に、どのような条件が付くのかを確認する」という実務上の考え方は変わっていません。なお、投資が禁止される分野や、中央政府のみが実施できる分野は、プライオリティリストの例外として引き続き残されています。
新制度「プライオリティリスト」とは
新たに導入された投資プライオリティリストは、従来のネガティブリストに代わり、特に投資を促進したい事業分野を示したものです。
ネガティブリストは「外資規制」をリスト化したものでしたが、プライオリティリストは「基本的には100%外資出資も可能」という前提に立ったうえで、「例外的に条件付きとなる分野」をまとめたものといえます。
大統領規則によると、開放分野は、
- 優先事業分野
- 中小企業向け割当または提携分野
- 特定条件付き分野
- その他すべての投資家が実施可能な分野
に整理されています。
つまり、以前ネガティブリストに「外資規制のある分野」として整理されていた分野が、大幅に絞り込まれたうえで、「外資も条件付きで参入可能」という位置づけに改められたことになります。
優先事業分野に該当する場合には、法人税の優遇、一時的な税負担の軽減、関税面の優遇などの財政的措置に加え、許認可取得の容易化などの非財政的支援の対象となることがあります。
インドネシアに進出する上で最初に確認しなければいけないのが外資規制の有無や規制の内容ですが、それ以外に、個別の許認可の要否や資本金・投資額の規定なども、進出判断の精度を大きく左右します。そのため、まずは全体像を把握し、基本を整理したうえで検討を進めるのがおすすめです。
法人設立や進出の流れを体系的に整理した「インドネシア進出ハンドブック」は、こちらから無料でダウンロードできます。
-
インドネシアのネガティブリストとは何ですか?
-
インドネシアのネガティブリストとは、外資の参入が禁止されている分野や、出資比率などに制限がある分野をまとめた制度です。2021年の制度改正により廃止され、現在はプライオリティリストを含む新しい投資分野の枠組みに再編されています。
外資の参入が禁止されている分野
禁止分野には、投資全般に閉鎖された分野と、中小企業などに留保されたため外国投資が入れない分野があります。
以下では分野ごとに主な業種をまとめますが、厳密には下記の分野・業種の事業が全て禁止されているわけではなく、より具体的な規定があります。そのため最終判断は、業種名ではなくKBLI(事業コード)と事業スコープで行う必要があります。
| 分野 | 具体例 |
|---|---|
| 農業 | 米・トウモロコシ・大豆の作物・サトウキビなどの甘味植物・タバコ・綿花・ゴムなどの栽培、畜産業(豚の飼育、鶏の飼育と交雑)、プランテーション作物の加工業 |
| 林業 | シナモンなどの森林プランテーション事業、製材業、ラタン加工一次産業 |
| 製造業 | 穀物・根菜などの加工食品産業、手描きのバティック製造、特定の文化遺産や芸術的価値を有する手工芸産業、家庭用の陶磁器産業、二輪車の修理・メンテナンス産業 |
| 公共事業 | 工事金額が500億ルピア(約4億6,000万円)までの建設業、100億ルピア(約9,200万円)までのコンサルタント業 |
| 文化・観光 | 旅行代理店、観光ガイドサービス業 |
| 情報通信技術 | コミュニティー放送機関(LPK)、インターネットカフェ |
特に農業の場合、事業内容以外にも農園の規模など細かい条件がつけられています。どの分野も、実際に進出を検討する際は最新の投資プライオリティリストとKBLIの確認が必須です。
【補足】
円表記は2026年4月20日のレート(1ルピア=0.0092円)で換算したものです。
-
インドネシアでは外資100%で会社設立は可能ですか?
-
多くの分野では外資100%での会社設立が可能です。ただし、防衛関連、輸送、メディアなど一部の分野では外資比率の上限やパートナーシップ要件などの条件が定められています。そのため、事業内容ごとに該当する規制を個別に確認することが重要です。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
外資参入が制限される分野と主な規制パターン
次に、外資参入は可能だが、提携・出資比率・特別許可などの条件が付くパターンです。主な条件は下記の3種類で、国内企業とのパートナーシップや合弁会社の設立が必要です。
- 中小企業、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野
- 外資比率が制限される分野
- その他特別な条件が科される分野
外資規制は分野ごとに条件が異なり、自社だけで正確に判断するのが難しいケースも少なくありません。
自社事業に当てはめて確認したい方や、進出の進め方について相談したい方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
中小企業、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野
まず、内資の中小企業または協同組合とのパートナーシップが条件付けられている分野です。こちらも同様に下記の全ての分野が制限されているわけではなく、法令でより具体的に規定されています。
現地中小企業などとのパートナーシップによって参入する場合、事業許認可申請時に提携内容の提示が必要になることがあります。したがって、単に提携先を見つけるだけでなく、役割分担や協業内容を明確にした契約関係を構築し、その内容を許認可申請時に説明できる状態にしておくことが重要です。
| 分野例 | 具体例 |
|---|---|
| 農業 | 肉用鶏の養鶏 |
| 林業 | 年間2,000㎥未満の生産能力の製材産業 |
| 海洋水産業 | 魚の育成・肥育、塩の生産・抽出、水産加工業、水産物の販売 |
| 工業 | 魚の缶詰、野菜・果物の塩漬加工業、醤油・テンペなど豆類を使った食品産業、ラタン加工業、ヤシ産業、精油産業、4輪以上の自動車の部品及び付属品産業、通信機器・家電機器の修繕 |
| 商業 | オペレーティングリース活動(陸上輸送機、農業機器、オフィス機器など) |
| エネルギー鉱物資源 | 電力設備分野のコンサルティング |
| 情報通信 | 国際宅配便の代理店事業 |
| 保健 | A級医療機器産業、クリニック保健ラボラトリー |
| 公共事業・住宅 | ビル建設、橋・高架橋の建設 |
外資比率が制限される分野
続いて、外資比率の上限が定められている分野です。大統領規則第49号の付属書では、防衛関連産業、海運・渡船・河川湖沼輸送、航空運送、宅配、報道・放送分野などにおいて、外資比率の制限や特別な条件が定められています。
これらの分野では、外資による参入自体は可能であるものの、出資比率の上限や資本構成、事業形態に関する条件を満たす必要があります。
外資49%までとされる主な分野
外資比率の上限が49%に設定されている主な分野は、以下の通りです。
- 武器・弾薬、軍用車両、防衛レーダー、軍艦、軍用航空機などの防衛関連産業
- 国内海上輸送(旅客・貨物・観光・特別貨物など)
- 渡船輸送(州間・県市間・県市内)
- 河川・湖沼における旅客・観光・貨物輸送
- 航空運送業(定期・不定期を含む)
- 宅配・クーリエ業
特に航空運送業については、外資比率49%という上限に加えて、国内資本が外国資本全体を上回る必要があるとされており、単なる出資比率だけでなく、実質的な支配が国内側にあることが求められます。
設立時は内資100%、拡張時のみ外資参加が認められる分野
報道・放送分野については、通常の外資上限とは異なる扱いとなっており、設立時と事業拡張時で条件が分かれています。
- 新聞・雑誌などの出版:設立時は内資100%、事業拡張時は外資49%まで
- 民間放送機関:設立時は内資100%、事業拡張時は外資20%まで
- 有料放送機関:設立時は内資100%、事業拡張時は外資20%まで
このため、これらの分野では「外資参入不可」と判断するのではなく、参入方法(新設か既存事業への参画か)によって可能性が変わる点を理解しておくことが重要です。
内資100%とされる分野
前述のとおり、外資参入自体が認められていない(内資100%)分野も残っています。例えば以下のような分野です。
- 地理的表示を取得したコーヒー加工業
- 型押しバティックや伝統工芸関連産業
- 木製建材や伝統的化粧品、伝統医薬品
- 伝統的な木造船の製造
- 芸術スタジオ(文化活動)
- ウムラ・ハッジ(巡礼)の旅行業(イスラム教徒であることも要件)
これらは主に、文化・伝統産業の保護や宗教的要素への配慮を背景として、外資参入が制限されています。
特別な条件が科される分野
投資分野リスト上は参入可能でも、実際の事業開始には主管省庁などからの追加許認可が必要な場合があります。分野・事業の内容で異なりますので、やはり最新の投資プライオリティリストの確認が必須です。
本記事では外資の参入が規制されている分野において、説明を割愛した分野がいくつかあります。自社ビジネスに関わる分野はどうなのか疑問に思った企業様は、こちらよりお気軽にお問い合わせください。
- 参考:DATABASE PERATURAN
「Peraturan Presiden (PERPRES) Nomor 10 Tahun 2021」
「Peraturan Presiden (PERPRES) Nomor 49 Tahun 2021」
インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。
- 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用してリサーチチームを作り、バンドンでのLPKの調査や大学との連携可能性を確認。事業化の見通しが立った段階で正式な進出を決定した。
- 営業経験のあるインドネシア人を2名チームで雇用し、スポーツジムや病院、リハビリ施設などへの営業活動を実施。販売代理店候補の開拓や市場ニーズを調査し、調査後に販売体制を構築した。
- 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。
上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。インドネシア向けのビジネスとして、貴社でもそれが可能です。
優先事業分野リスト
2021年の制度改正により、従来のネガティブリストに代わって、投資を促進する分野を示した「優先事業分野リスト」が新たに導入されました(大統領規則第10号)。このリストでは、インドネシア政府が重点的に投資を呼び込みたい事業分野が明示されており、全体で245分野が指定されています。
優先事業分野に該当する場合、以下のような優遇措置の対象となる可能性があります。
- 法人所得税の減免(タックスホリデー・アローアンスなど)
- 関税・輸入税の優遇
- 許認可取得の簡素化・迅速化
- インフラ・エネルギー・労働力確保に関する支援
対象となる分野は、主に以下のような性質を持つ事業です。
- 国家戦略プロジェクトに関連する分野
- 資本集約型または労働集約型の産業
- 高度技術・先端産業
- 輸出志向型産業
- 研究開発・イノベーション関連分野
一方で、優先事業分野に該当していても、自動的に優遇が受けられるわけではなく、KBLIや投資内容に応じた要件の確認が必要です。また、前章で説明したような外資比率や提携条件などの規制が併せて適用される場合もあります。
このように、現行制度では「規制対象かどうか」だけでなく、優先分野に該当するかどうかも含めて投資スキームを検討することが重要となっています。
【補足】
2021年の大統領規則以降、優先事業分野リスト自体は大きく改訂されていませんが、近年は脱炭素関連分野や鉱物資源の下流産業、新首都(IKN)開発などにおいて、別途政策的な優遇措置が強化されています。これらの分野は、プライオリティリスト上の位置づけに加えて、実務上はより高い優先度で扱われています。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Presiden (PERPRES) Nomor 10 Tahun 2021」
-
インドネシア進出で最初に確認すべきことは何ですか?
-
最初に確認すべきなのは、自社の事業がどのKBLI(事業コード)に該当するかです。そのうえで、当該分野が外資参入可能か、出資比率の制限やパートナーシップ要件があるか、優先事業分野に該当するかなどを確認します。
日本企業が進出前に確認すべきポイント
ここまで見てきたように、インドネシアの外資規制は「参入できるか・できないか」だけでなく、「どのような条件で参入できるか」「優遇対象になるか」という複数の観点で整理されています。
そのため、進出を検討する際には、単に業界単位で判断するのではなく、自社の具体的な事業内容が制度上どのように扱われるかを確認することが重要です。
KBLIの特定
まず確認すべきなのは、自社の事業がどのKBLI(事業コード)に該当するかです。
同じ「製造業」や「物流業」でも、具体的な事業内容によってKBLIが異なり、外資参入が禁止される場合、出資比率に上限がある場合、あるいは100%外資出資で参入可能な場合に分かれます。
該当する外資規制の確認
次に、その事業が禁止分野・条件付き分野・優先事業分野のいずれに該当するかを確認します。
特に条件付き分野では、外資比率の制限や、現地企業とのパートナーシップが求められる場合があります。また、優先事業分野に該当する場合でも、別途要件を満たさなければ優遇措置は適用されないため注意が必要です。
業種ごとの追加要件の確認
さらに、投資プライオリティリストで問題がない場合でも、実際に事業を行うには業種ごとの許認可や追加条件が課されることがあります。例えば、輸送業やメディア関連などは、別の法令や主管省庁の規制が適用されるケースも少なくありません。
このように、インドネシア進出では、「KBLIの特定」「外資規制の確認」「個別許認可の確認」を事前に整理しておくことで、現地法人設立後の手戻りや想定外の制約を避けることができます。
外資規制は「可否」ではなく「条件」で見る
インドネシアの外資規制は、単に「参入できるかどうか」を判断するものではなく、事業内容ごとに「どのような条件で参入できるか」を整理した制度です。
禁止分野、外資比率の制限、パートナーシップ要件などが組み合わさっているため、業界名だけで判断するのではなく、具体的な事業内容とKBLIに基づいて確認することが重要です。
また、2021年の制度改正により、優先事業分野が新設され、投資を後押しする仕組みも整備されています。規制の有無だけでなく、自社事業が優先分野に該当するかどうかを確認することで、税制や許認可面でのメリットを活用できる可能性があります。
インドネシア市場への進出を成功させるためには、制度の全体像を理解したうえで、自社に当てはめて整理することが重要です。
弊社では会社設立の経験豊富なインドネシア人スタッフが多数在籍しているので、安心してご依頼いただけます。まずはインドネシア事情をお聞きになるだけでも参考になるため、お気軽にお問い合わせください。
また、本記事のような情報に興味がある方は、ニュースレターにご登録いただくと毎日インドネシアの最新ビジネス情報が手に入ります。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
なんでもご相談ください!
法人設立
雇用代行
現地視察
ビザ申請
















いつでもお気軽にご相談ください
-
WEBからお問い合わせ
ご相談はいつでも無料24時間受付(2営業日以内に返信いたします)
-
すぐにでも日程調整を行いたい
日程調整フォームへ代表の柳沢が説明いたします。









