インドネシアの法人設立で重要な資本金と株主の注意点

公開
2023/12/30
更新
2026/06/20
この記事は約7分43秒で読めます。

インドネシアで外資法人の設立を検討されている企業の悩みどころは資本金の額で、内資法人の設立を検討されている企業の悩みどころは株主を誰にするかになることが多いです。

外資法人としてインドネシアで法人を設立するなら、KBLIあたり100億ルピア(約9,200万円)の投資が必要になります。これはインドネシアでの成功の可否が分からない時点で投資するには、多くの企業にとって悩ましい金額だと言えます。

一方で、内資法人としてインドネシアで法人を設立するなら、いわゆるノミニーと呼ばれる名義貸しの制度を利用するために、インドネシア人の株主を2名を見つけてこないといけません。せっかく作った法人の株式を自ら所有できないという点が、内資法人設立の最大のリスクでもあります。

ノミニーによる内資法人設立についてはこちらの記事に詳細が書いてあるので、本記事では法人法人設立時の資本金に焦点を当てて説明をしていきます。また、払い込みのタイミングや増資についても説明しているので、ポイントを押さえておきましょう。

本記事の円表記は2026年1月27日のレート(1ルピア=0.0092円)で換算したものです。

法人設立に必要な資本金

インドネシアで法人を設立する場合、大きく分けて外資法人(PMA)と内資法人(PMDN)の2つの選択肢があります。

外資法人の場合、インドネシア人のパートナーを見つけなくても設立でき、外国人でも法人の実権を握れるのがメリット。ただ、外国の企業がインドネシアで外資法人を設立する場合、業種によっては出資比率に制限があったり、現地企業とのパートナーシップが条件付けられたりと、内資法人にはない規制を受けるのがデメリットです。

内資法人の場合、大半の業種で出資比率や外資に課されるような規制を受けずに法人を設立できるのがメリットですが、その一方で外国人が株主になれないことがデメリットとして挙げられます。株主はインドネシア人個人でも、インドネシアの法人でも構いません。

基本的にはこの2択を迫られるわけですが、インドネシアでの成功可否が見えないなかで、多額のお金やリスクを負って法人設立をするという意思決定は非常に難しいと言えます。

まずは法人を設立せずに、もっとカジュアルにインドネシア進出を検討したいのであれば、こちらのサービスをご検討ください。

次に、外資法人と内資法人の大きな違いとして、資本金と払込資本金の話があります。

外資法人

2025年の投資大臣規則により、外資法人の資本金および総投資額は以下のように定められています(例外規定のある産業分野を除く)。

  • 払込資本金:最低25億ルピア(約2,300万円) ※以前は100億ルピア
  • 土地および建物を除く総投資額:100億ルピア超(約9,200万円)

最低払込資本金とは、実際に株主が払込みする資本の額のこと。総投資額とは、資本金と借入金などの合計金額のことを意味します。

外資法人の最低払込資本金は、25億ルピアだったものが2021年に100億ルピアに引き上げられ、2025年にまた25億ルピアに戻されました。

外資法人を設立したいのであれば、何千万円もの大金を本当に一括で振り込まないといけないのですか?

このご質問を外部のコンサルティング会社にされると、会社によって回答内容が異なってくるご質問となります。このお話は非常にデリケートなので、興味がある企業様はこちらからお問い合わせをお願いします。

内資法人

内資法人(株式会社:PT)の場合、設立時に発行可能な資本金の上限(授権資本)は発起人が決定し、そのうち少なくとも25%は、株主が引き受けて実際に払い込む必要があります。

外資法人と比べて資本金の負担が軽いため、インドネシア進出を考える際、資金面を理由に内資法人での設立を検討される企業様が少なくありません。

ただ、内資法人の場合は外国人(外国企業)による出資が一切認められておらず、法人を設立してから外国人(外国企業)が株主になることも許されていません。そのため、内資法人で設立するかどうかは、資本金以外の面もよく考えた上で決める必要があります。

インドネシアでの法人設立においては、外資より内資法人での設立のご相談の方が多いです。

今まで見聞きしてきた内資法人の失敗事例は多数あり、それらにはある共通した失敗のポイントがあります。そこさえ気を付けていれば、内資法人の運用もうまくいくことが多いのですが、「情報として知らなかった」というだけで経営が失敗に終わってしまっているのです。

リスクを極力抑えた内資法人設立のノウハウや知識について知りたい方は、是非一度弊社までお問い合わせください。オンラインのお打ち合わせでお話をお伺いしながら、最適な法人設立の方法についてご提案します。お問い合わせはこちらからお願いします。

インドネシアで法人設立の際に払い込んだ資本金は、引き出して使えますか?

法人設立時の払込資本金は、法人の運営に必要な支出(運転資金、資産購入、事業活動など)を除き、原則最低12か月間は保持する必要があります。

インドネシア経済の魅力について

資本金払い込みのタイミング

法人設立プロセスにおける資本金の払い込み

インドネシアで法人を設立する際の大まかな手順は、以下の通りです。大枠の理解を目的に大雑把に書いていますので、詳しいフローを知りたい方は弊社までお問い合わせください。

  1. 基本情報の確定
  2. 定款(Akta)の作成
  3. 法務人権大臣決定書(SK)の受領
  4. 納税者番号(NPWP)の取得
  5. 事業基本番号(NIB)の取得
  6. 銀行口座の開設
  7. 資本金の払い込み
  8. 登録完了・情報引き渡し

上記では「銀行口座の開設のあとに資本金の払い込み」となっていますが、一般的には定款作成後、取引保全(エクスロー)口座やいずれかの発起人の口座または共同口座などへ入金します。SKの申請に、資本金の払込票か、発起人と取締役が作成した「資本金を払い込んだ旨の宣誓書」が必要になるためです。

その後、NIBを取得すると銀行に法人口座を作れるようになります。口座開設後に払込資本金をそちらに移動することで、払い込みが完了します。

インドネシアでの法人設立の流れと実務ポイント:定款作成から事業開始まで

外資企業がインドネシアで株式会社(PT)を設立する際の全体像を整理しつつ、各ステップでつまずきやすいポイントや実務上の考え方を解説します。

資本金を送金する銀行口座について

前述のとおり、SK申請のために資本金を払い込む段階では、仮の銀行口座が必要です。発起人の口座なども活用できますが、「資本金送金用の仮口座」を作る方法もあります。

この銀行口座は、実際に事業を始めたときの売上の入金などには使えず、資本金の送金を目的としたもので、NPWPやNIBがまだ割り振られていなくても開設できます。

資本金送金用の仮口座は、遠隔でも開設可能です。スムーズに手続きを進められるように、全国的に幅広いサービスを提供する主要な銀行(BNI、BCA、Mandiri、BRIなど)で開設しておくと安心です。

また、資本金払込みのタイミングで法人設立・事業許可取得の手続きが滞らないよう、銀行口座の開設手続きはスケジュールに余裕を持って進めておくとよいでしょう。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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外資(PMA)の最低総投資額

外資法人設立の際の払込資本金は、例外規定のある一部業種を除き、1企業につき最低25億ルピア(約2,300万円)必要になります。

一方、「最低総投資額」は、法人の数ではなく、事業の数(KBLI(事業コード)の取得数)とプロジェクト所在地で決まります。

たとえば、1つの法人であっても飲食事業と化粧品事業の2つの事業を行う場合は2つのKBLIが必要で、最低総投資額は200億ルピア(約1億8,400万円)となります。

【補足】
飲食事業および化粧品事業には、実務上さらに詳細なKBLI分類が存在しますが、本記事では投資額の概要をご理解いただくことを目的としているため、分類の詳細については簡略化しております。以降の説明も同様です。

※プロジェクト所在地:事業許可申請を行うOSSシステム上で「その場所で事業活動(生産・サービス提供など、収益につながる実体活動)を行う拠点」として扱われる所在地であり、支店や支所の数と必ずしも一致しません。

また、何らかの製品のメーカーが自社で製造したものをEC販売する場合、製造事業とEC事業が可能なKBLIをそれぞれ取得するので、同じく最低総投資額は200億ルピア(約1億8,400万円)となります。

なお、この総投資額については一般的に、法人設立後のLKPM(投資活動報告)で報告する投資計画に沿って段階的に投資を進めればよく、法人設立時にまとめて投資する必要はありません。

上記の例は極めて大雑把に説明しており、トータルでいくらの投資額が必要になるのかは、事業分野・内容、支店・支所・生産拠点などの扱いなどによって異なります。そのため、実際に計算してみると、当初想定していた金額よりも何億円も高くなることがあります。

将来的な予定も含め、どのような事業を展開するのかについては、進出前に慎重に検討することが大切です。

【補足】
投資・ワンストップ統合サービス局(DMPTSP)によると、現状では、KBLIを追加せずに支店・支社を新たに設立する場合、投資額として100億ルピアを追加する必要はありません。ただし、個別のケースについては、確認が必要です。

カジュアルにインドネシア進出を試した企業様の事例

インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。

  • 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用してリサーチチームを作り、バンドンでのLPKの調査や大学との連携可能性を確認。事業化の見通しが立った段階で正式な進出を決定した。
  • 営業経験のあるインドネシア人を2名チームで雇用し、スポーツジムや病院、リハビリ施設などへの営業活動を実施。販売代理店候補の開拓や市場ニーズを調査し、調査後に販売体制を構築した。
  • 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。

上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。インドネシア向けのビジネスとして、貴社でもそれが可能です。

外資(PMA)の最低総投資額に関する例外

最低総投資額には、例外が適用されている業種があります。

業種最低総投資額(※100億ルピア=9,200万円)
卸売(大規模商業)業KBLI先頭4桁ごとに、土地・建物を除き100億ルピア超
飲食サービス業KBLI先頭2桁ごとかつ1地点ごとに、土地・建物を除き100億ルピア超
※「地点」は県・市(kabupaten/kota)単位
建設サービス業KBLI先頭4桁ごとに、土地・建物を除き100億ルピア超
※建設コンサルティングサービス事業、建設施工事業、統合建設事業のいずれか1つについて
製造業1つの生産ラインで複数の製品種類/品目を作る工業は、土地・建物を除き100億ルピア超
※「KBLIごと」ではなく「同一ラインの総額」
不動産開発業建物全体または統合住宅団地(複合開発)なら土地・建物を含めて100億ルピア超、ユニット単位で「建物全体/団地全体」ではない場合は、土地・建物を除き100億ルピア超
EV充電ステーション1州(provinsi)単位で、土地・建物を除き100億ルピア超
経済特区(KEK)内の事業製造・加工、物流・流通、研究、デジタル経済・技術開発、観光、エネルギー開発等のKEK内は、最低投資額は投資分野に関する大統領規則の定めに従う
宿泊・農業・プランテーション・畜産・養殖投資額基準に土地・建物を含める

大規模商業事業に関しては、以前のBKPM規則2020年1号では、上2桁が異なるものに最低総投資額の要件を満たすよう課されていました。それが2021年5号以降、上2桁が同じでも4桁目まで見たときに異なる場合は最低総投資額の要件を満たす必要があるなど、規定が厳しくなっています。

また、建設サービス業の場合は活動ごと、工業の場合はラインごとに100億ルピア(9,200万円)加算されるのが特徴です。また、建設サービス業に関しては、建設コンサルティングサービス事業を建設施工事業や統合建設事業とまとめて一緒の事業として扱うことは許可されていません。

なお、KBLIコードは1桁〜2桁が大分類(広範な業界)、3桁〜4桁が中分類(下位カテゴリー)、5桁〜6桁が小分類(より具体的な事業活動)を表しています。

インドネシアにおける内資法人とは何ですか?

インドネシアにおける内資法人とは、インドネシア企業またはインドネシア人(個人)が100%出資する法人です。内資法人の場合、外国企業または外国人(個人)による出資は一切認められません。

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外資(PMA)の増資の手順

増資の決定から株券の発行まで

資本金に話を戻します。

法人設立後、増資を行う場合の手続きの大きな流れは、以下の通りです。

  1. 株主総会の開催
  2. 投資認可の変更(投資調整庁(BKPM)へ届け出)
  3. 資本金払込み
  4. 定款の変更 ※授権資本枠を超える増資を行う場合
  5. 登記
  6. 株券の発行

上記の手順の中で、押さえておくべきポイントを次で説明します。

株主総会の開催

日本では、授権資本の枠内であれば取締役会の決議のみで増資できる場合がありますが、インドネシアでは授権資本の枠内であっても株主総会の決議が必須です。

授権資本枠内で増資を行う場合は、原則、議決権付き株式総数の過半数の出席定足数を満たし、かつ、出席者が投じた総議決権の過半数の賛成が必要です。増資後は法務人権大臣に通知し、法人登録簿に記録されます。

授権資本枠を超える増資を行う場合は、まず授権資本額を増やす必要があり、これは定款変更に該当します。そのため、原則、議決権付き株式総数の3分の2以上の出席と、投じられた総議決権の3分の2以上の賛成が必要で、あわせて定款変更について法務人権大臣の承認が必要です。

※定款に記載される法人が発行できる株式の総数

法人の予算や状況に合わせて設立形態を選ぶこと

(KBLIの数によっては)数億円の資本金が必要になるため、大手企業であったとしても、インドネシアでの外資設立はなかなかハードルが高いのが現状です。そのため、最低払込資本が低い内資法人の設立も選択肢に入ります。

どのような形態で法人を設立するにしても、それぞれの設立形態にメリットとデメリットがあることを理解しておく必要があります。資金面だけでなく、どのような事業を展開するのか、信頼できるパートナーを見つけられるのかなど、総合的に考えて設立方法を選択すべきでしょう。

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