インドネシア人女性向けマーケティング基礎情報(社会進出、収入、消費傾向、オンラインショッピング需要など)

公開
2023/06/09
更新
2023/12/24
この記事は約8分53秒で読めます。

家父長な文化が根強く残るインドネシアですが、昔と比べて女性の地位は向上し、専門職や管理職のポジションで活躍する女性も増えてきています。また、オンラインショッピングの普及により、女性のお金の使い方も以前とは変わってきています。

本記事では、インドネシア人女性の社会進出や収入などの現況をまとめました。また、インドネシア人女性が何にどのくらいのお金を使っているのか、具体的な1か月の生活費についても紹介しています。

インドネシア人女性の消費の傾向が分かる内容となっているので、インドネシアビジネスをお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

※価格の円表記は2023年5月30日のレート(1ルピア=0.0094円)で換算しています。

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インドネシアで増える「働く女性たち」

はじめに、インドネシア人女性の就業状況や社会進出について見ていきます。

労働参加率・大学進学率

インドネシア人女性の労働参加率(※) は、2019年の53.9%がこの30年間で最も高く、直近の2022年は52.7%でした。2020年と2021年にはコロナ禍の影響などもあり落ち込みましたが、2005年の45.9%から2019年まで右肩上がりとなっています。

また、2012年からインドネシア人の大学進学率は男性より女性の方が高い状態が続いており、2021年は男性が29%、女性が33.4%という調査結果も出ています。

注釈:労働参加率とは生産年齢人口(15歳~64歳の人口)のうち、実際に働いている人、働く意思を表明している人の割合

参考1:the Global Economy.com「Indonesia: Female labor force participation」
参考2:databoks「Angka Partisipasi Kasar (APK) Perguruan Tinggi 2011-2021」

専門職の割合が増加

インドネシアでは女性の労働参加率が上がっているのに加えて、仕事の内容にも変化が見られてきています。

インドネシア中央統計庁によると、技術者や建築士、会計士など全専門職従事者に占めるインドネシア人女性の割合は2020年時点で48.8%でしたが、2021年には50%にまで増加。この10年間で、女性の専門職の割合が高まっています。男性の補助的な役割を担うのではなく、手に職をつける女性が目立つようになってきました。

なお、女性の専門職の割合が最も高いのが西スマトラ州の59.1%で、次がスラウェシ島のゴロンタロ州の58.8%、そして南スマトラ州の56.2%です。

参考:DataIndonesia.id「Makin Banyak Perempuan Indonesia Jadi Pekerja Profesional」

未婚率も増加

インドネシアでは16~30歳の若者の未婚率が上昇しており、女性の社会進出が増える理由と相関関係があるとされています。

インドネシアの日刊紙kompasによると、インドネシアには夫は妻よりも社会的地位と経済的力が高いことが理想だという伝統的な考え方があるとのこと。しかし、昨今は女性の大学進学率の上昇や社会進出の増加により、男性は自分より社会的地位と経済力の低い女性、女性は自分より社会的地位と経済力の高い男性を以前よりも見つけにくくなっているといいます。

専門職のインドネシア人女性が増加し、経済的に自立した人が目立つようになってきたインドネシア。今後、社会で活躍する女性が増えれば、未婚率にも影響がありそうです。

参考1:databoks「Jumlah Pemuda Lajang di Indonesia Lebih Tinggi dari yang Kawin」
参考2:KOMPAS.COM「Lajang Indonesia Dianggap Masalah dan Hadapi Tekanan Sosial」

インドネシア人女性の収入

次に、インドネシア人女性が実際どのくらい稼いでいるのか、役職の有無によって収入はどのくらい変わるのかを見ていきます。

平均収入

インドネシア人の2022年の平均月収は、男性が333万ルピア(3万1,160円) で女性が259万ルピア(2万4,240円)でした。男女の賃金格差は22.1%で、2021年の20.4%から1.7ポイントの増加となっています。

インドネシアでは女性の社会進出が進んでいるとはいえ、男女間の大きな賃金格差が存在しているのが課題です。

参考:DataIndonesia.id「Kesenjangan Upah Gender di Indonesia Meningkat pada 2022」

ミドルクラスと非ミドルクラスの仕事

ミドルクラスの仕事に就いているインドネシア人の割合は、2018年時点で15%でした。その中でも、女性の割合はわずか29%という結果が出ています。なお、ここでいうミドルクラスとは、月収380万ルピア(3万5,560円)以上で、福利厚生が提供されている職業を指します。

女性が中流階級の仕事に就きにくい理由の1つが、女性の労働市場に低賃金の仕事が集中していることです。健康や教育の分野で活躍する女性は多いですが、これらのサービス業は給与が低い傾向にあります。

また女性は出産で仕事を離れる可能性があること、女性は男性の補完的な役割だという考え方が未だに根付いていることなどから、同じ仕事内容でも女性の方が給与を低く設定されやすいという背景もあります。

参考:WORLD BANK BLOGS「Building pathways to middle-class jobs for Indonesian women」

インドネシア人女性の生活費と消費の傾向

本章では、ジャカルタやバンドゥンなど都市部で生活するインドネシア人女性を想定した生活費をまとめました。なお、ここで紹介する生活費の具体的な金額は、金融サービス企業DanamasのWebメディアLancarによるシミュレーションを参考にしています。

参考:Lancar「Rincian Biaya Hidup di Jakarta untuk karyawan」

家賃(光熱費含む)

ジャカルタで生活するインドネシア人女性には、日本でいうアパートや学生寮・社宅のような「コス」という住居を利用している方が多くいます。

ジャカルタのコスの家賃は1か月あたり約150万ルピア(約1万4,040円)。ただし、ベッドなどの家具家電がなく必要最低限の設備だけの場合は40万~80万ルピア(3,740円~7,490円)程度。家具家電完備で部屋が2つある場合は700万ルピア(6万5,500円)など、間取りや設備によって家賃に差があります。

数千円の安価なコスに住むケースは多くはないと思われますが、家賃はおおよそこの価格帯に収まると考えて良いでしょう。

ちなみに、ジャカルタ市内から車で2時間ほどの場所にある西ジャワ州の州都バンドゥンの家賃は1か月50万ルピア(4,680円)ほどで、ジャカルタの約3分の1という調査結果があります。

参考:lifepal「Rincian Biaya Hidup di Bandung dengan Gaji UMR」

食費

1か月の食費は180万ルピア(1万円6,840円)ほどで、1食あたり2万ルピア(190円)です。ジャカルタの1か月の家賃が平均約1万4千円ということを踏まえると、家賃よりも食費の方が出費の負担が大きいインドネシア人女性もいると考えられます。

インドネシア人は世界的に見て外食をする割合がやや高いものの、コロナ禍の影響により自炊をする人が増えたというデータもあります。

自炊をする人が増えたこと、デリバリーサービスの需要が高まっていることなど、コロナ禍をきっかけに食生活が変わった人も多いはず。インドネシア人女性の食へのお金のかけ方も、時流や時勢とともに変わっていく可能性が高そうです。

参考:data boks「Masyarakat Lebih Sering Memasak di Rumah sejak Pandemi Covid-19」

通信費

インドネシア人の通信費については、男女で比較するのではなく、地域や年齢で分けて考えた方がよいかもしれません。まず、ジャカルタで生活しているインドネシア人の1か月の通信費は約17万ルピア(1,590円)です(Wi-Fi代は含まれていません)。

ただし、これは大都市ジャカルタに住むインドネシア人をもとにした金額であり、インターネット普及率の低い農村部ではさらに金額が低い可能性もあります。例えば、インドネシア中央統計庁の調査では、3か月間のうち都市部では96.7%の若者がインターネットを利用したとされる一方、農村部は91.6%でした。

インドネシア人の通信費は男女で単純に分けられるものではなく、地域や年齢、所得などさまざまな要因が絡まっているため、複合的に考える必要があります。

参考:BADAN PUSAT STATISTIC「Statistik Pemuda Indonesia 2020|P63. Gambar 3.8 Persentase Kepemilikan dan Penggunaan Telepon Seluler (HP)/Nirkabel Selama 3 Bulan terakhir pada Pemuda Menurut Tipe Daerah, Jenis Kelamin, dan Kelompok Umur, 2020」

衣類代

衣類にお金をかけるのは女性というイメージがあるかもしれませんが、インドネシアにおいては男性の方がファッションに費用をかけるという調査結果が出ています。

消費者動向の調査サービスを展開するPopulixによると、女性回答者の12%が月に100万ルピア(9,360円)以上をファッションにあてていることが分かりました。一方、男性の割合は19%で、女性よりも7ポイント高くなっています。

また、女性の43%が1か月に25万~40万ルピア(2,340~3,470円)をファッションにあてていると答え、同調査において最も高い割合を占めたのがこの価格帯でした。ちなみに、ファッションにかける1か月あたりの支出が25万ルピア(2,340円)未満の割合は、男女ともに20%です。

なお、同調査はジャカルタ、スラバヤ、メダン、バンドン、スマランなどの大都市に住む18~55歳を対象にしており、都市部より所得の低い農村部の場合はさらに金額が下がる可能性もあります。

その他の費用

下記は、そのほかの費用の目安です。

・交通費(MRTの場合):6万ルピア(560円)
・BPJS(健康保険料):18万ルピア(1,680円) ※保険料は職業などにより異なる
・家庭用品:20万ルピア(1,870円)
・外食費:20万ルピア(1,870円)
・交際費:40万ルピア(3,740円)

ただし、上記の費用はジャカルタで生活した場合を想定しているため、農村部と比べて費用が高めに設定されています。また、交通機関にはトランス・ジャカルタやKRLコミューターライン、MRT などがあります。

トランス・ジャカルタはジャカルタ市内で運行している路線バス、KRLコミューターラインは通勤電車、MRTは都市高速鉄道などそれぞれで料金も異なるため、日常的にどれをどの程度使うかによっても費用は変わります。

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インドネシア人女性のオンラインショッピング利用率が増加

インドネシア人女性の消費の特徴として、コロナ禍以降にオンラインショッピングを利用する人が増えたことが挙げられます。

インドネシア人女性のオンラインショッピング利用率は2019年時点で46%だったものの、2021年には53%にまで増加。反対に男性は2019年には54%と女性よりも高水準でしたが、2021年には47%にまで減少しています。

利用率だけでなく、オンラインショッピングに費やす時間が長い割合も女性の方が高く、コロナ禍をきっかけに女性の買い物のスタイルが変わりつつあることが伺えます。

参考:databoks「Tren Belanja Online di Kalangan Perempuan Naik Sejak Pandemi, Bagaimana Laki-laki?」

「Hari Belanja Online Nasional」で女性に人気なのは美容・ボディケア商品

インドネシア人女性がオンラインショッピングを最も利用する時期が、断食月の「ラマダン」を迎える前です。ラマダン明けには豪華な食事を用意したり、プレゼントを贈り合ったりするため、オンラインショッピングを利用する人が多くいます。

また、オンラインショッピングの祭典「Hari Belanja Online Nasional alias Harbolnas(オンラインショッピングの日:通称Harbolnas)」は、特に女性が楽しみにしているイベントです。

このプロモーション期間で、最も人気があるのが美容・ボディケア商品で、ほかにも洋服や飲食物などがよく購入されます。そのほか、家具や電子製品、赤ちゃん・子ども向けの商品、趣味のアイテムなども人気を集めています。

ちなみに、Harbolnas期間に最も利用されたプラットフォームはShopee(90%)で、その次にTokopedia(66%)、Lazada(34%)という結果も出ています。

参考1:DataIndonesia.id「Perempuan Lebih Banyak Belanja Online pada 2021」
参考2:databoks「Survei: Konsumen Perempuan Paling Banyak Berburu Produk Kecantikan Saat Harbolnas」

ビジネスをする上で見逃せない「働くインドネシア人女性」の存在

男女間の賃金格差は未だにあるものの、インドネシア人女性の地位は着実に向上しています。昔のインドネシアでは珍しかった「未婚で高収入のインドネシア人女性」も今後さらに増える可能性はあり、女性向けの商品の市場規模にも大きく影響しそうです。

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インドネシアの女性の労働参加率はどのくらいですか?

インドネシア人女性の2022年の労働参加率 は52.7%でした。労働参加率とは生産年齢人口(15歳~64歳の人口)のうち、実際に働いている人、働く意思を表明している人の割合を指しています。

インドネシアの女性の収入はどのくらいですか?

インドネシアの女性の2022年の平均月収は259万ルピア(2万4,240円)です。

インドネシアの女性はオンラインショッピングでどんな商品を買っていますか?

インドネシアの女性は「Hari Belanja Online Nasional alias Harbolnas」というオンラインショッピングのプロモーション期間中、美容・ボディケア商品をよく購入したという調査結果が出ています。

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