インドネシアの富裕層の実態(生活・年収・人数・価値観など)

公開
2022/08/25
更新
2026/06/25
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インドネシアの富裕層は増えていますか?

増えています。インドネシアの富裕層は2023年時点で約17.9万人、2028年には約23.5万人に増えると予測されています。人数では日本より少ないものの、増加率では日本を上回る見通しで、ジャカルタを中心に富裕層向けの商品・サービス市場が広がりつつあります。

インドネシアの富裕層にはどのような人が多いですか?

財閥・大企業のオーナー一族、資源・不動産・金融・消費財分野の企業家が多く見られます。近年では、データセンターやデジタルインフラなど、テクノロジー関連事業から生まれる新しい富裕層も登場しています。

インドネシアの富裕層はどのような暮らしをしていますか?

高級住宅街や高層レジデンスに住み、運転手を雇い、高級モール、レストラン、インターナショナルスクール、プライベート医療などを日常的に利用する層がいます。家族、教育、健康、安心、資産管理への支出を重視する点も特徴です。

富裕層市場開拓を相談

インドネシアは人口の多さや経済成長から、消費市場として注目されることが多い国です。

しかし、高価格帯の商品・サービスを検討する場合は、「人口が多い」「中間層が増えている」という見方だけでは足りません。実際に購買力を持つ層がどこにいて、どのような場所で暮らし、何にお金を使い、どのような価値観で商品やサービスを選んでいるのかを理解する必要があります。

特に富裕層向けビジネスでは、価格だけでなく、安心感、専門性、ブランドの見せ方などが重要になります。

本記事では、インドネシアの富裕層市場を理解するための第一歩として、富裕層の人数や増加率などのデータと、代表的な富豪、富裕層のライフスタイルや価値観などを整理します。

インドネシアの富裕層・超富裕層の人数と増加率

インドネシアの富裕層・超富裕層の人数と増加率

インドネシアでは、経済成長や資産価格の上昇、企業オーナー層の拡大などを背景に、富裕層・超富裕層の人数が増えています。

ここでは、純資産100万米ドル以上の「富裕層」と、純資産3,000万米ドル以上の「超富裕層」に分けて、日本とインドネシアの人数を比較します。

本記事での定義

  • 富裕層:純資産が100万米ドル以上の個人
  • 超富裕層:純資産が3,000万米ドル以上の個人

富裕層の人数と増加率

UBSの調査によると、100万米ドル以上の資産を持つ富裕層は、2023年時点でインドネシアに17万8,605人いるとされています。2028年には23万5,136人まで増えると予測されており、5年間の増加率は32%です。

一方、日本の富裕層は2023年時点で282万7,956人、2028年には362万5,208人に増えると予測されています。この場合、増加率は、28%です。

20232028年予測増加率
日本2,827,956人3,625,208人28%
インドネシア178,605人235,136人32%

総人口に占める割合で見ると、日本では富裕層が人口の2%台を占める一方、インドネシアでは0.1%未満にとどまります。つまり、インドネシアの富裕層は増えているものの、人口全体から見れば、まだ非常に限られた層です。

超富裕層の人数と増加率

次に、3,000万米ドル以上の資産を持つ超富裕層を見てみます。

Knight Frankの調査によると、インドネシアの超富裕層は2023年時点で1,479人、2028年には1,984人まで増えると予測されています。5年間の増加率は34.1%です。

一方、日本の超富裕層は2023年時点で2万1,710人、2028年には2万4,502人に増えるとされています。増加率は12.9%という予測です。

20232028年予測増加率
日本21,710人24,502人12.9%
インドネシア1,479人1,984人34.1%

2023年時点で比較すると、インドネシアの富裕層は日本の約16分の1、超富裕層は約15分の1です。日本と比べると人数はまだ少ないものの、今後の増加率の予測を見ると、インドネシアでは富裕層・超富裕層が日本より速いペースで増えていく可能性があります。

特に、ジャカルタを中心とする都市部では、高所得層・富裕層向けの消費市場が形成されつつあります。

インドネシアは人口規模が大きい国ですが、高価格帯の商品・サービスを購入できる層は限られています。進出前には、インドネシア市場の全体像を把握することが欠かせません。

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インドネシアの富裕層の特徴

ここでは、インドネシアの富裕層にどのような人が多いのか、具体的な人物や企業グループを見ながら紹介します。

財閥・大企業のオーナー一族が多い

インドネシアの富裕層を見ると、財閥・大企業のオーナー一族が大きな存在感を持っています。銀行、たばこ、食品、不動産、資源、製造業、流通など、長年にわたって事業を展開してきた企業グループの創業家・オーナー一族が、富裕層の上位に多く並んでいます。

また、インドネシアの大企業グループでは、華人系インドネシア人の創業家・経営者が大きな役割を果たしてきました。例えば、Djarum(ジャルム)グループのHartono(ハルトノ)一族、Sinar Mas(シナル・マス)グループのWidjaja(ウィジャヤ)一族などは、インドネシア経済を代表する企業オーナー一族として知られています。

インドネシアの総人口に占める華人の割合は約3%と言われています。割合は大きくないものの、歴史的な背景もあって経済力が強い人が多く、国内の財閥系企業の多くが華人創業の企業です。財閥以外でも、企業の経営者や要職者が華人系の人物であることは珍しくありません。

こうした財閥・大企業オーナーは、1つの事業だけでなく、金融、消費財、不動産、通信、資源、テクノロジーなど複数の分野に事業を広げていることが多く、インドネシアの富裕層を理解するうえで重要な存在です。

インドネシアの総人口に占める華人の割合を正確に把握することは困難で、はっきりとはわかりません。2010年の国勢調査によると1.2%ですが、実際はそれよりも多いと推定されています。

インドネシアで最も裕福な人たち

以下では、Forbesの「Indonesia’s 50 Richest(2025)」のトップ10に入っている、インドネシアでも特に裕福な人物・一族を紹介します。

R. Budi Hartono & Michael Hartono(ブディ・ハルトノ、マイケル・ハルトノ)

  • 推定保有資産:438億米ドル

インドネシアで最も裕福な人物として長年知られているのが、ハルトノ兄弟です。Forbesのランキングでは、兄弟で首位となっています。

ハルトノ兄弟は、たばこメーカーのDjarum(ジャルム)で知られるほか、インドネシア最大の民間銀行であるBank Central Asia(BCA)への投資でも有名です。また、近年はECプラットフォームのBlibli(ブリブリ)など、デジタル関連事業にも関わっています。

Prajogo Pangestu(プラジョゴ・パンゲストゥ)

  • 推定保有資産:398億米ドル

プラジョゴ・パンゲストゥ氏は、Barito Pacific(バリト・パシフィック)グループを率いる実業家です。もともとは木材関連事業から出発し、その後、石油化学、エネルギー、再生可能エネルギーなどへ事業を広げてきました。

特に、Chandra Asri Pacific(チャンドラ・アスリ・パシフィック)などの石油化学関連事業で知られており、近年はインドネシア有数の富豪として大きな存在感を持っています。

Widjaja family(ウィジャヤ一族)

  • 推定保有資産:283億米ドル

ウィジャヤ一族は、Sinar Mas(シナル・マス)グループを築いた一族として知られています。シナル・マスは、紙・パルプ、農園、不動産、金融、通信、エネルギーなど、幅広い分野に事業を展開するインドネシア有数のコングロマリットです。

創業者のEka Tjipta Widjaja(エカ・チプタ・ウィジャヤ)氏は、インドネシアを代表する実業家の一人として知られ、現在も一族がグループの主要事業に関わっています。

Sinar Masのように、複数の産業をまたいで事業を展開する財閥系グループは、インドネシアの富裕層構造を理解するうえで欠かせない存在です。

Low Tuck Kwong(ロー・タック・クォン)

  • 推定保有資産:249億米ドル

ロー・タック・クォン氏は、石炭会社Bayan Resources(バヤン・リソーシズ)の創業者として知られる富豪です。シンガポール出身で、若いころにインドネシアへ移り、建設業や石炭事業を通じて資産を築きました。

インドネシアは石炭、ニッケル、パーム油など資源関連産業が大きな経済的役割を持つ国です。そのため、同氏のような資源系の企業家は、インドネシアの富裕層を語るうえで重要な存在です。

Anthoni Salim & family(アントニ・サリム一族)

  • 推定保有資産:136億米ドル

アントニ・サリム氏は、サリムグループを率いる実業家です。サリムグループは、食品、流通、通信、金融、不動産など幅広い分野に事業を展開する、インドネシアの代表的な企業グループの一つです。

特に、インスタント麺のIndomie(インドミー)で知られるIndofood(インドフード)は、インドネシアだけでなく海外でも広く知られています。日用品・食品など、国民生活に近い分野で大きな事業基盤を持っている点が特徴です。

Otto Toto Sugiri(オットー・トト・スギリ)

  • 推定保有資産:113億米ドル

オットー・トト・スギリ氏は、データセンター大手DCI Indonesiaの共同創業者として知られています。

インドネシアでは、EC、配車アプリ、動画配信、クラウドサービス、金融サービス、AI関連サービスなどの利用拡大に伴い、データセンターの需要が高まっています。DCI Indonesiaは、こうしたデジタル経済を支えるインフラ企業の一つです。

Tahir & family(タヒール一族)

  • 推定保有資産:98億米ドル

タヒール氏は、Mayapada(マヤパダ)グループの創業者として知られています。マヤパダグループは、金融、医療、不動産、小売など複数の分野に事業を展開してきました。

特に、Bank Mayapada(バンク・マヤパダ)やMayapada Hospital(マヤパダ・ホスピタル)など、金融・医療分野での事業が知られています。同氏は慈善活動家としても有名で、教育や医療などの分野で社会貢献活動にも取り組んでいます。

Marina Budiman(マリナ・ブディマン)

  • 推定保有資産:82億米ドル

マリナ・ブディマン氏も、DCI Indonesiaの共同創業者の一人です。

インドネシアの富裕層上位は、長らく財閥・資源・金融・不動産系の人物が中心でした。その中で、オットー・トト・スギリ氏やマリナ・ブディマン氏のようにデータセンター事業を背景に上位へ入る人物が出てきたことは、インドネシアの富の源泉が少しずつ変化していることを示しています。

Wijono Tanoko & Hermanto Tanoko(ウィジョノ・タノコ、ヘルマント・タノコ)

  • 推定保有資産:81億米ドル

ウィジョノ・タノコ氏とヘルマント・タノコ氏は、塗料メーカーAvia Avian(アヴィア・アヴィアン)や、Tancorp(タンコープ)グループで知られる実業家です。

アヴィア・アヴィアンは、インドネシアの建築・住宅関連市場で広く知られる塗料ブランドです。インドネシアでは、住宅開発、都市化、リフォーム需要などを背景に、建材・塗料などの市場も成長してきました。

Sri Prakash Lohia(スリ・プラカシュ・ロヒア)

  • 推定保有資産:80億米ドル

スリ・プラカシュ・ロヒア氏は、Indorama Corporation(インドラマ・コーポレーション)の創業者として知られています。インドラマは、石油化学、繊維、包装材、肥料など、製造業を中心にグローバルに事業を展開しています。

このように、インドネシアの富裕層上位には、財閥・金融・資源・食品・製造業に加えて、近年ではデータセンターなどのテクノロジー分野で成功した人物も見られます。従来型の大企業オーナーに加え、デジタル経済の成長によって生まれた新しい富裕層が上位に入ってきている点は、インドネシア市場を見るうえで注目すべき変化です。

また、ランキング上位ではないものの、EC、配車アプリ、フィンテック、SaaS、物流テックなどの分野でも、スタートアップ創業者や投資家が新しい高所得層・富裕層予備軍として存在感を高めています。

【補足】
インドネシアでは日本の相続税にあたる税制度がないとされており、資産家一族や企業オーナー家系では、事業・不動産・株式などの資産が次世代へ承継されやすい側面があります。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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インドネシアの富裕層のライフスタイル

一般的なインドネシアの富裕層の暮らしは、一言でいえば「都市型の利便性」「家族中心の上質な生活」が組み合わさったものです。もちろん、資産規模や家族構成によって差はありますが、ジャカルタを中心とする富裕層の生活には、住まい、移動、買い物、食事、教育などに共通した特徴が見られます。

住まいは高級住宅街や高層レジデンス

ジャカルタの富裕層が住むエリアとしては、Menteng(メンテン)、Pondok Indah(ポンドック・インダ)、Kebayoran Baru(クバヨラン・バル)、Senayan(スナヤン)周辺などがよく知られています。中でもPondok Indahは、大きな邸宅、静かな道路、インターナショナルスクール、ゴルフ場、ショッピングモール、病院などがそろう高級住宅地として知られています。

一方で、ビジネス街として知られるSudirman(スディルマン)やSCBD周辺の高級レジデンスに住む人もいます。このような住まいには、オフィス、モール、レストラン、ジムなどが近く、日常的に行き来しやすいというメリットがあります。

また、こうした高級住宅やレジデンスでの快適な暮らしを支えているのが、インドネシアに根強い「使用人文化(家事の外注)」です。

富裕層の家庭では、家事手伝いやベビーシッター、警備員、運転手などを複数人雇うことがごく一般的です。家事や育児、邸宅の管理を外部の人手に任せることで、住環境を常に美しく快適に保つだけでなく、自身の仕事や趣味、そして健康管理に使える「時間的なゆとり」を生み出す重要な基盤となっています。

移動は運転手付きの自家用車が中心

ジャカルタでは公共交通よりも車移動が中心です。富裕層の場合、自家用車を所有し、通勤や子どもの送迎、買い物などを運転手に任せることも珍しくありません。渋滞が多いため、自分で運転するよりも、車内で電話やメッセージ対応をしながら移動する方が効率的だからです。

一方、近距離の移動ではGrabやGojekなどの配車アプリやタクシーを使うこともあります。超富裕層や著名人の世界では、プライベートジェットが話題になることもありますが、日常生活ではさまざまな移動手段を場面に応じて使い分けるイメージです。

買い物・外食は高級モールが中心

買い物や外食では、Plaza Indonesia(プラザ・インドネシア)、Pacific Place(パシフィック・プレイス)、Grand Indonesia(グランド・インドネシア)、Pondok Indah Mall(ポンドック・インダ・モール)などの高級モールや大規模モールがよく利用されます。

一方、モールの使い方自体は、一般消費者と変わらない部分もあります。つまり、モールに出かけて単に買い物をするだけでなく、家族で食事をし、子どもを遊ばせ、友人と会ったり商談をしたりと、必要なものをまとめて済ませる生活や活動の拠点としてモールを活用しています。

富裕層向けの商品・サービスの販売に向けては、統計データだけでなく、実際の生活環境や購買現場を見ることも重要です。高級モール、住宅街、飲食店、ウェルネス施設などを現地で確認することで、ターゲット像をより具体的に把握できます。

弊社では、視察先の選定からアポイント調整、当日の同行までサポートしています。インドネシア現地視察支援サービスの詳細は、こちらをご覧ください。

健康・ウェルネスへの投資を重視

近年、ジャカルタの富裕層、特にミレニアル世代や若手エリート層の間では、健康やウェルネスへの投資が一種の社会的ステータスとなっています。

サウナやジャグジー、最新マシンを備えた高級ジムへの入会はもちろん、女性の間ではピラティスが人気です。加えてここ数年は「パデルテニス」が流行しており、プライベート感のあるコートや会員制施設も増えています。また、高級スポーツウェアを身にまとい、毎週日曜朝の「カーフリーデー(歩行者天国)」に参加することを日課としている人もいます。

食生活における意識も高く、高級モール内にあるオーガニックカフェを利用したり、カロリーや栄養素が計算された「ヘルシーケータリング(お弁当デリバリー)」を日常的に取り入れたりして体型や健康の維持を図ることも一般的です。

さらに、日頃の健康維持だけでなく、医療そのものに対する「海外志向」が強いのも、富裕層の特徴です。

国内の高級病院(Pondok Indah病院など)も利用しますが、本格的な人間ドック、高度な治療、あるいは出産といった重要な局面では、シンガポールやマレーシアへ渡航する「メディカルツーリズム」を選択することも少なくありません。

カジュアルにインドネシア進出を試した企業様の事例

インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。

  • 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用してリサーチチームを作り、バンドンでのLPKの調査や大学との連携可能性を確認。事業化の見通しが立った段階で正式な進出を決定した。
  • 営業経験のあるインドネシア人を2名チームで雇用し、スポーツジムや病院、リハビリ施設などへの営業活動を実施。販売代理店候補の開拓や市場ニーズを調査し、調査後に販売体制を構築した。
  • 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。

上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。インドネシア向けのビジネスとして、貴社でもそれが可能です。

インドネシアの富裕層の価値観

インドネシアの富裕層の価値観

インドネシアの富裕層を見るうえでは、どのような商品を買うかだけでなく、何を大切にしているのかを理解することも重要です。

高級ブランド、海外旅行、高級車といったわかりやすい消費は、現在も富裕層消費の象徴として注目されます。しかし近年の調査を見ると、インドネシアの富裕層は、現在の生活水準を維持するための将来設計、子どもの教育、健康、資産防衛、専門家によるアドバイス・プライベートなサービスなども重視していることがわかります。

将来設計を重視

世界的に実施された調査「HSBC Quality of Life 2024」に関するHSBC Indonesiaの発表によると、インドネシアの富裕層は、退職準備を現在のファイナンシャルプランにおける上位3つの目標の一つとして重視しています。

背景にあるのは、単に「老後に備える」という考えだけではありません。現在の生活水準を将来も維持したい、医療費や生活費の上昇に備えたい、経済的な不安を減らしたいという意識が強くあります。なお、HSBC Indonesiaのリリースでは、インドネシアの富裕層が退職後に必要と考える理想の資産額は34万米ドルとされています。

また、インドネシアの富裕層の5割は、老後も働き続ける予定だと回答しています。生活の質を維持し、資産を守りながら、仕事や社会とのつながりを持ち続けることを重視する人が多いということでしょう。

家族・教育への支出を重視

インドネシアの富裕層にとって、家族は非常に重要なテーマです。

特に、子どもの教育への支出は、富裕層の価値観を理解するうえで欠かせません。HSBC Indonesiaの発表では、子どもの海外留学は、生活費の上昇や世界経済の不確実性などと並んで、退職計画に影響を与える要因の一つとして挙げられています。

実際、インドネシアの富裕層の多くは、子どもをインターナショナルスクールに通わせたり、シンガポール、オーストラリア、英国、米国などへ留学させたりしています。教育は、子どもの将来の選択肢を広げるための投資であり、家族全体の資産形成・ライフプランとも深く結びついています。

また、家族旅行も富裕層の消費行動として重要です。HSBC Indonesiaのレポート「HSBC Affluent Investor Snapshot 2025」でも、インドネシアの富裕層投資家の金融目標として「休暇・余暇のための貯蓄」が上位に入っています。国内ではバリ島やラブアン・バジョなどのリゾート地、海外ではシンガポール、日本、欧州などが旅行先として選ばれています。

このように、インドネシアの富裕層は、現在の自分自身のための支出だけでなく、家族、子どもの教育、将来の安心につながる支出を重視する傾向があります。社会とのつながりを重視する傾向もあり、慈善活動や社会貢献活動に対する支出を重視する人も多いのが、インドネシアの富裕層の特徴の一つです。

楽観的だが、資産運用では慎重

インドネシアの富裕層は、将来に対して比較的前向きな見方を持ちながらも、資産運用では慎重な姿勢を見せています。

「HSBC Affluent Investor Snapshot 2025」によると、インドネシアの富裕層投資家の生活の質への満足度は84%で、グローバル平均の76%を上回っています。また、短期・中期・長期の金融目標達成に対する自信も、それぞれ87%、80%、85%と高い水準にあります。

一方で、84%が生活費の上昇を、79%が経済の不確実性を懸念しています。

同調査では、インドネシアの富裕層投資家はポートフォリオの25%を金に配分しており、金は最大の資産クラスとなっています。また、現金も19%を占めています。金や現金は為替変動の影響を受けにくい、比較的安全な資産と見なされやすく、インドネシアの富裕層の投資に対する慎重な姿勢が垣間見えます。

体験・健康・個別対応を重視

富裕層というと、高級ブランド品、高級車、高級住宅といった派手な消費をイメージしがちです。もちろん、インドネシアでも高級モール、ラグジュアリーブランド、高級車、海外旅行などは富裕層消費のわかりやすい象徴です。

HSBC Indonesiaの発表によると、インドネシアの富裕層向けサービスの重要な柱として、ウェルスマネジメント、ライフスタイルとウェルネス、国際教育が挙げられています。具体的には、ファイナンシャル・ヘルスチェック、メディカルチェックアップ、旅行関連の特典、空港送迎、旅行保険、購入商品の補償サービス、海外口座や国際送金のサポートなどが紹介されています。

これらの内容からは、インドネシアの富裕層が求めているものが、単なる「贅沢品」だけではないということがわかります。健康を維持したい、旅行を安心して楽しみたい、子どもの海外留学をスムーズに支えたい、資産を専門家と一緒に管理したいといった、生活全体を支えるサービス個別の手厚いフォローへの関心が高まっています。

インドネシアの富裕層は、家族、教育、健康、資産防衛、専門家による個別対応を重視する傾向があります。商品・サービスの設計には、現地の価値観に合わせた見せ方が欠かせません。富裕層向けビジネスの進め方や現地パートナー探しについては、こちらからご相談ください。

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インドネシアでは富が一部の層に集中

ここまで、インドネシアの富裕層の人数、特徴、ライフスタイル、価値観などを見てきました。

最後に、インドネシアの富裕層市場を理解するうえでは、富が一部の層に集中しているという社会的な側面も簡単に紹介します。

World Inequality Databaseのデータ(2024年)によると、インドネシアでは上位10%が国全体の富の60.4%を保有しているとされています。一方、下位50%が保有する富は2.4%にとどまります。上位1%だけを見ても、富全体の21.3%を保有しているとされており、インドネシアでは一部の富裕層に資産が集中していることがわかります。

区分富の保有割合
上位10%60.4%
上位1%21.3%
下位50%2.4%

このような富の集中は、インドネシアの富裕層市場を考えるうえで重要なポイントです。インドネシアは人口が多く、若年層も厚い国ですが、高価格帯の商品・サービスの主な顧客は、都市部の限られた高所得層・富裕層に集中しやすい傾向があります。

そのため、富裕層向けビジネスを検討する際には、「人口が多いから市場が大きい」と単純に考えてはいけません。実際に購買力を持つ層がどこにいて、どのような生活圏・消費行動を持っているのかを見ることが重要です。

富裕層市場は「人数」よりも生活圏と価値観を見ることが重要

インドネシアでは、富裕層・超富裕層の人数が増えており、ジャカルタを中心に高所得層向けの商品・サービス市場も広がりつつあります。

一方で、総人口に占める富裕層の割合はまだ小さく、富も一部の層に集中しています。そのため、富裕層向けビジネスを考える際は、市場全体の規模を見るだけでなく、実際に購買力を持つ人たちの生活圏、家族構成、教育方針、健康意識、資産防衛意識、情報収集の方法まで具体的に見ることが重要です。

高級モール、住宅街、インターナショナルスクール、プライベート医療、ウェルネス施設、海外旅行などは、インドネシアの富裕層消費を理解するうえでわかりやすい接点です。自社の商品・サービスがどの層に届くのか、どのような見せ方が受け入れられるのかを見極めることで、インドネシア市場での戦略はより具体的になります。

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