ジャカルタの物価やジャカルタで暮らすインドネシア人の生活費

公開
2024/03/02
更新
2025/01/02
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インドネシア中央統計庁は、2022年のジャカルタの世帯あたりの1か月の生活費を1,488万ルピア(14万4,000円)と発表しました。約14万円の生活費というと、インドネシアで今増加している中間所得層の生活水準にあたります。

家賃だけで10万円を超えることも珍しくない東京と比べると、ジャカルタの生活費は安いように思えるかもしれません。ただ、ここで考えたいのは、この生活費がジャカルタの賃金水準や物価と比べてどうなのかという点です。

そこで本記事では、ジャカルタに住むインドネシア人の生活費事情についてまとめました。また、そもそもインドネシアは生活費が安いのかについて、日本との価格差がわかる情報も紹介しているので、参考にしてみてください。

円表記は2024年2月23日のレート(1ルピア=0.0097円)で換算したものです。

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ジャカルタに住むインドネシア人の生活費

以下は、インドネシア中央統計庁が2022年の調査に基づいて発表した、ジャカルタに住む人々のKebutuhan Hidup Layak(通称KHL)の表の一部です。

KHLとは、1人の人間がまともな生活を送るために必要なニーズのこと。「ジャカルタで衣食住に困らず、身体的・精神的に健康な状態で日常生活を送るためには、最低でも1か月あたり以下のような支払いが必要」という指標です。

項目内容金額
インターネット15GBのパケット10万ルピア(970円)
テンペ(発酵食品)・豆腐4.5kg10万3,000ルピア(990円)
鶏肉2kg7万ルピア(680円)
果物4.5kg1万2,000ルピア(120円)
鮮魚1.2kg5万4,000ルピア(520円)
2kg5万4,600ルピア(530円)
10kg13万9,000ルピア(1,340円)
砂糖1.2kg2万1,300ルピア(210円)
野菜7.5kg29万7,100ルピア(2,870円)
コーヒー4袋(75g)4万5,900ルピア(440円)
シャンプー100ml2万1,900ルピア(210円)
食器洗い洗剤800ml5万1,400ルピア(500円)
歯磨き粉80g1万8,000ルピア(170円)
賃貸住宅の家賃16m四方270万ルピア(2万6,000円)
交際費1週間10万ルピア(970円)を想定40万ルピア(3,860円)
バイク維持費バイク1週間あたりのガソリン代7万ルピア(680円)と駐車場46万ルピア(4,440円)

以下では、上記の表も参考にしながら、ジャカルタの生活費事情について紹介します。

参考:CNBC Indonesia「Biaya Hidup di Kota-Kota Besar RI, Jakarta Paling Mahal」

最低賃金は上がっているものの十分とはいえず

2024年のジャカルタのUpah Minimum Provinsi(州最低賃金、通称UMP)は1か月506万7,381ルピア(48,900円)で、2023年から16万5,583ルピア(1,600円)増加しています。

このUMPは、上掲の表で示したようなそれぞれの地域のKHLをもとに決定されます。一方で、最低賃金を受け取っていれば安心というわけではありません。先ほどの紹介したジャカルタのKHLも513万5,818ルピア(49,540円)で、最低賃金より生活費のほうが高いことがわかります。

最低賃金やそれよりやや高い程度の賃金水準で働いている人の場合、貯金や投資をできる余裕はないでしょう。ジャカルタの最低賃金が上がっているとはいっても、日々の生活を送るだけで精一杯な人も多いのが現状です。

参考:CNBC Indonesia「Biaya Hidup di Kota-Kota Besar RI, Jakarta Paling Mahal」

ジャカルタの人々の生活費の中で特に高い項目

例えばジャカルタの1つの世帯に最低賃金で働く人が2人いた場合、世帯あたりの収入はおおよそ1,000万ルピア(96,500円)です。これはインドネシア全体で見ると高いほうですが、ジャカルタの物価を考えると十分とはいえません。

ジャカルタに住む人々は、しばしばこの生活費と賃金水準のギャップに悩まされます。大きなギャップが生じる要因の1つは、ジャカルタの物価がほかの地域と比べて高いことにあります。加えて、地元を離れ、賃貸住宅で生活する家庭ならではの費用がかかることも挙げられるでしょう。

インドネシア中央統計庁が実施した生活費調査「Survei Biaya Hidup(SBH)2022」によると、ジャカルタに住む人々の最も消費割合が高い項目は電気料金(6.6%)で、以降は賃貸住宅の賃貸料(5.6%)、ガソリン代(4.9%)、そしてアパートなど家具付き賃貸の賃貸料(4.3%)と続きます。

消費割合が高いものには契約が絡む項目が多く、個人の努力だけで節約できるものではありません。そのため、食事を質素なものにしたり、バイクや電子機器は中古品を買ったりと、日々の倹約や我慢を強いられる人が多くいます。

一方で、上記のような平均を見ていても分からない事情がジャカルタにはあります。自社商品を購入してくれそうなインドネシア人見込み客はどういった生活実態なのかを調べることも弊社では可能です。そういったリサーチに興味がある企業様はこちらをご参照ください。

参考:Kompas.com「Menyiasati Mahalnya Biaya Hidup di Jakarta」
参考:Kompas.com「Ketika Biaya Hidup di Jakarta Hampir Tembus Rp 15 Juta, Tapi UMR Masih di Kisaran Rp 5 Juta per Bulan」

生活費の高いインドネシアの都市

生活費の高い都市ベスト10

都市の規模が大きくなるほど、賃金水準も生活費も高くなる傾向にあります。以下は、生活費の高いインドネシアの10の都市と世帯あたりの1か月の生活費です。

1位:Jakarta(ジャカルタ)|1,488万ルピア(14万4,000円)
2位:Bekasi(ブカシ)|1,434万ルピア(13万8,400円)
3位:Surabaya(スラバヤ)|1,336万ルピア(12万8,900円)
4位:Depok(デボック)|1,235万ルピア(11万9,800円)
5位:Makassar(マカッサル)|1,150万ルピア(11万9,200円)
6位:Tangerang(タンゲラン)|1,096万ルピア(10万5,800円)
7位:Bogor(ボゴール)|1,073万ルピア(10万3,600円)
8位:Kendari(ケンダリ)|1,023万ルピア(9万8,700円)
9位:Batam(バタム)|1,003万ルピア(9万6,830円)
10位:Balikpapan(バリクパパン)|987万ルピア(9万5,300円)

ジャワ島以外では、南スラウェシ州の州都マカッサル、南東スラウェシ州の州都ケンダリ、リアウ諸島最大の都市バタム、東カリマンタン州で2番目に大きい都市バリクパパンなどがランクインしました。

ジャワ島以外でランクインしたこれらの都市は、規模が大きいだけでなく、大きな貿易港を持っていたり、石油などの豊富な資源があったりと、インドネシアを代表する産業を持っています。そのため生活費は高いものの給与が高い仕事も多く、高給だからという理由で同じ島の農村部から引っ越してくる人も少なくありません。

ジャカルタと日本の物価をカフェメニューで比較

インドネシアと日本の物価差を知る1つの指標として、それぞれの国のカフェのメニューの価格表を以下に作成しました。

Tamani Kafeドトールコーヒー銀座ルノアール
アメリカーノ
(アメリカンコーヒー)
3万3,000ルピア(320円)250円、300円670円
カフェラテ3万9,000ルピア(380円)
※カプチーノ
340円、390円、440円720円
モカチーノ(カフェモカ)4万5,000ルピア(430円)390円、440円、490円770円
アイスティー2万9,000ルピア(280円)260円、310円、360円670円
抹茶ラテ/ほうじ茶ラテ3万5,000ルピア(340円)430円、480円、530円770円
※ほうじ茶ラテ
ケーキ4万6,000ルピア(440円)
※チョコレートケーキ
480円
※チョコムースケーキ
640円
※オリジナルケーキ各種
※ドトールコーヒーショップは左からS、M、Lサイズ

インドネシアのカフェには、ジャカルタに10店舗を展開し、中間所得層向けのショッピングモールKota Kasablanka(コタ・カサブランカ)内にも出店しているTamani Kafe(タマニ・カフェ)を選定。日本のカフェには、中価格帯のチェーン店ドトールコーヒーショップ、そして高級喫茶店の銀座ルノアールを選定しました。

表からわかる通り、Tamani Kafeとドトールコーヒーショップのメニューの価格はほとんど変わりません。日本と比べて物価の安いイメージを持たれやすいインドネシアですが、ジャカルタと日本の中間所得層向けカフェに関しては、大きな価格差はないといえます。

参考までに、銀座ルノアールはほかの2つのカフェと比べると2倍近くの価格差がありますが、ジャカルタで高級カフェと呼ばれるカフェも、おおよそこのくらいの価格帯です。高級と言わないまでも、チェーン店のスターバックスも近しい金額感ですが、どのモールにあるスタバもインドネシア人顧客がいつも多数入っています。

提供するメニューにもよりますが、ジャカルタのカフェに関していえば、日本もインドネシアも中間所得層をターゲットにした店同士、上位所得層をターゲットにした店同士の場合は、そこまで価格差はないと考えてよいでしょう。

また、カフェに限らず、ジャカルタにある中間所得層以上が好んで行くショッピングモール内の価格で言えば、もはや日本のそれとほぼ同じです。飲食もアパレルも化粧品もガジェットも。ここらへんは実際にジャカルタに現地視察に行くとよく分かりますし、興味があれば弊社までお問い合わせいただければアレンジします。

参考:Tamani Kafe「Menu」
参考:ドトールコーヒーショップ「メニュー」
参考:銀座ルノアール「メニュー」

インドネシアの物価と日本の物価とを衣食住で比較

インドネシアの中間所得層の人々の暮らしを、衣食住の物価をもとに日本と比較します。「思ったよりも高い」と思われるかもしれません。

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インドネシアの富裕層の生活

インドネシアの旅行情報サイトTribun Travel.comは過去に、インドネシアの富裕層の子どもたちの休暇の過ごし方に関して取り上げた記事を投稿しました。この記事の中では、ヨットや乗馬を楽しむ、クルーズ船に乗って島々を巡る、1回の食事に数十万円かけるなど、華やかな休暇の過ごし方が紹介されています。

今回、ジャカルタの生活費の高さに対して賃金水準が見合っておらず、誰もが余裕のある生活ができるわけではないことを紹介しました。

ただ、一般の人々より収入の高い「富裕層」や「超富裕層」と呼ばれる人々は別です。インドネシアでは昨今この2つの層の人口割合が高まっており、こういった裕福な人々を対象としたサービスも充実してきています。

そこで最後に、2023年にニュースになった、インドネシアの富豪一家について紹介します。

シンガポールの高級住宅3軒を購入した富裕層

ジャカルタ・シンガポール間は飛行機を使えばわずか2時間弱で行き来でき、インドネシアの裕福な人々のちょっとした旅行先として人気があります。

2023年、インドネシアの富裕層一家がシンガポールの高級住宅を3軒購入したことで話題を呼びました。価格は3軒で2兆3,000億ルピア(222億円)です。

3軒ともシンガポールの中でもハイクラスな人々が住むNassim Road(ナシムロード)沿いにあり、各住宅は1,406平方メートルの広さで、スイミングプールと5つの寝室を備えているとのこと。

購入者は「インドネシアの富裕層にあたる家族」ということしか明らかにされていませんが、投資目的ではなく、自分たちで使うために購入したと予想されています。

インドネシアからシンガポールへ頻繁に訪れる裕福な人たちの中には、別荘を購入するケースがしばしば見られます。しかし、ここまでの高級住宅を3軒購入する事例は非常に稀なため、いくつかのメディアでニュースとして取り上げられました。

参考:Kompas.com「3 Rumah Mewah di Singapura Dibeli Orang Kaya Indonesia Rp 2,3 Triliun」

インドネシアの富裕層の実態(生活・年収・人数・価値観など)

経済成長著しいインドネシアでは富裕層の数が急増中です。例えば2016年から2021年の富裕層の増加率で見ると、日本では10%、インドネシアでは50%でした。

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都市部と地方で大きく変わるインドネシアの生活費

経済成長が進んでいるインドネシアですが、インドネシアに対して「物価の安い国」のイメージを持っている人はまだ多くいます。確かに日本と比べて賃貸住宅の家賃などは安く済む傾向にありますが、それでも食費や交際費、日用品代における日本との価格差はかなり縮まっています。

特にジャカルタなどの都市部は生活費が高く、日本と比べて安く生活できると思って訪れると予想外の出費に驚くことがあるので、その点については注意しておきたいところです。

また、今回の記事ではジャカルタの生活費をメインに取り上げましたが、インドネシアは都市部と地方で生活費も賃金水準も大きく変わります。そのためこれからインドネシアへ進出する方は、インドネシア全体だけでなく、進出先の地域の情報も調べておくのがおすすめです。

インドネシアでのビジネスにお悩みの方へ

最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。

ジャカルタに住むインドネシア人の生活費はどのくらいですか?

インドネシア中央統計庁は、2022年のジャカルタの世帯あたりの1か月の生活費を1,488万ルピア(14万4,000円)と発表しています。

生活費の高いインドネシアの都市を教えてください。

生活費の高いインドネシアの都市は上からジャカルタ、ブカシ、スラバヤ、デポック、マカッサル、タンゲラン、ボゴール、ケンダリ、バタム、バリクパパンです。

インドネシアと日本の物価の違いを教えてください。

インドネシア特にジャカルタなど都市部の物価は、日本と縮まってきています。商品や店舗にもよりますが、例えばカフェに関していえば日本もインドネシアも中間所得層をターゲットにした店同士、上位所得層をターゲットにした店同士の場合は、そこまで価格差はありません。

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