インドネシアの就労ビザの取得条件・取得方法・期間や必要書類など

公開
2022/08/28
更新
2025/03/24
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日本人を含む外国人がインドネシアで何らかの仕事をする場合、いわゆる「ビジネスビザ」か「就労ビザ」を取得してから渡航しなければなりません。このうち、実務を伴う仕事をする場合は、必ず「就労ビザ」が必要です。また、ビザに加えて、現地に一定期間居住するための許可証も必要です。

本記事では、このような仕事に関係するビザの種類についてご説明したあと、「就労ビザ」の取得条件、取得方法、必要書類、金額などをご紹介します。さらに、コロナ禍で変更になった点についても触れていきます。

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インドネシアで申請できる就労ビザの種類

就労ビザとビジネスビザ

インドネシアでビジネスを行うためのビザには、複数の種類があります。以下に挙げる4種類のビザのうち、シングルエントリー訪問ビザ(B2/C2:旧B211A/B211B)とマルチプルエントリー訪問ビザ(D2:旧D212)は「ビジネスビザ」と呼ばれ、「就労ビザ(E23/E24:旧C312)」とは区別されます。

ビザの種類ビザの名称利用目的有効期間延長の可否
VOAB2・事務所や工場、生産現場での商品の確認、営業、打ち合わせ、商品の購入に関連する活動
・契約についての話合い、交渉、署名
・観光関連の活動や友人や家族宅への訪問
30日間30日間の延長可能
ビジネスシングルエントリービザC2同上60日間延長可能
ビジネスマルチプルエントリービザD2同上有効期間は1年、2年、または5年間、1回の滞在期間は60日間不可
就労ビザ(雇用ビザ)E23/E24専門的な業務
※インドネシアで働くときには一般的にこのビザを取得
180日(6か月)、1年、2年延長可能

参考:The Official e-Visa Website for Indonesia

就労ビザであるインデックスE23/E24は、インドネシアに一定期間移住するための暫定居住ビザ「VITAS(Visa Izin Tinggal Terbatas)」の一つです。そのためインデックスE23/E24は「暫定居住ビザ」「VITAS」などとも呼ばれますが、本記事においては「就労ビザ」で統一します。なお、E24はIT分野の就労者、E23はその他の分野の就労者が対象となっています。

もしも就労ビザ以外で入国後して「就労した」とみなされると、罰金や国外退去などの罰則対象になります。基本的に、会社・工場内での作業や現場指導など、「利益を上げることに直接つながる行為」はビジネスビザではできません。

労働局、入国管理局の査察も頻繁に行われていますので、ビジネスビザで渡航する際は、怪しまれそうな行為はしないよう気を付ける必要があります。

配偶者向けのC317ビザについて

上記のビザのほかにも、インドネシア人の配偶者を持つ人・インドネシアで働く外国人の帯同で来た人向けの「C317ビザ」があります。

ビザの有効期間は6か月~2年間で、結婚証明書や戸籍謄本、インドネシアにいる親族の身分証明書のコピーなどが必要となります。

ただし、移民総局広報の担当者は「インドネシア人またはインドネシア在住外国人の家族だと主張するすべての人がこのビザを申請できるわけではない」と述べており、C317ビザの取得条件に自身が当てはまっているかは一度確認する必要があります。

インドネシアでの就労に際してビザの他に必要なもの

インドネシアで就労するためには、上記の就労ビザの他に「暫定居住許可証ITAS:Ijin Tinggal Terbatas)」が必要です。ITASの有効期間は最長2年で、延長手続きは現地のイミグレーション事務所で行います。

ITASの有効期間内は、ビザの申請などを再度行わずに出入国可能、つまり、一時帰国が可能となります。就労ビザの申請過程では、通常、受け入れ企業が行うビザの申請がITASの申請も兼ねます。

※2018年の大統領令により、以前必要だった外国人雇用許可(IMTA:Izin Mempekerjakan Tenaga Kerja Asing)の取得は不要となりました。

なお、ITASはKITASと呼ばれることがあります。KITASの「K」はKartu(インドネシア語で「カード」)の頭文字で、この名称は、かつて暫定居住許可証がカード型だった時のものです。

現在はオンライン申請後パスポートにスタンプを押されるだけのものに変わっており、正式名称は「ITAS」となっています。従って、暫定居住許可証が2種類あるわけでも、カードかスタンプかを選べるわけでもありません。

参考:Kantor Imigrasi Kelas I Khusus TPI Soekarno-Hatta「LIMITED STAY PERMIT (ITAS)」

インドネシアの就労ビザの取得条件

日本人を含む外国人がインドネシアの就労ビザを取得するには、一定の条件があります。

まず、上述の「就労ビザの種類」からもわかる通り、外国人がインドネシアで行える仕事は、かなり制限されています。加えて、インドネシアに技術を移転する目的で、就労ビザで働く外国人にはアシスタントとしてインドネシア人をつける必要があります。

また、インドネシア労働省によると、就労ビザを取得しようとする個人(赴任者)も以下の条件を満たしている必要があります。

条件を満たしていない場合、申請が受理されなかったり、希望通りの有効期間のビザが取れなかったりする可能性があります。ただし、条件が明確に決まっているわけではなく、個別の事情により対応が変わるため、すべての条件を満たしていないとビザが取れないわけではありません。

  • 就任するポジションの資格に応じた教育を有していること
  • 就任するポジションの資格に応じて5年以上の実務経験または相当する能力をもつこと

学歴については「大学卒業以上の学歴所有者(専門学校、短大も可)」が目安とされますが、個別の事情が考慮されます。また年齢についてはかつて、「およそ60歳未満」という説明があったものの、こちらもあくまでも目安ということのようです。

参考:Pelayanan Penggunaan TKA Online「SYARAT PENGAJUAN DOKUMEN PERIZINAN PENGGUNAAN TENAGA KERJA ASING」


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インドネシアの就労ビザを申請・取得するためのステップ

インドネシアの就労ビザ取得の流れは、以下のようになっています。

  1. 外国人従業員雇用計画書(RPTKA)を労働移住省に提出 
  2. 外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)の支払い
  3. 就労ビザ(VITASインデックスC312)の取得
  4. 暫定居住許可証(ITAS)の取得

以上のうち、最後の「ITASの取得」以外は、オンラインで完了できるようになっています。

それでは、それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

1.外国人従業員雇用計画書(RPTKA)を労働移住省に提出

外国人従業員雇用計画書(RPTKA)は、企業が外国人(日本からの駐在員など)を雇用する態勢が整っていることをインドネシア側に示すもので、会社の組織図や外国人従業員の数、職務、在任期間、給与、勤務地などを提示します。なお、TKAはTenaga Kerja Asing(外国人労働者)の略です。

このステップでは、雇用主(企業)がオンラインシステム(TKA Online)に登録し、必要事項を記入したり書類をアップロードしたりしたものを労働移住省に提出し、承認(外国人労働者通知)を得ます。書類に不備がなければ、2営業日後には承認が得られます。

承認が出たら、次は赴任者のデータをアップロードします。

TKA Onlineのサンプル画面

参考:General of ImmigrationONLINE VISA APPROVAL

外国人労働者通知は、就労ビザ・ITASの推薦状としても使用されます。ここでTKA Onlineにアップロードされた情報が出入国管理総局に通知され、その後就労ビザ発行のプロセスに入るため、就労ビザの申請についてあらたに必要な手続きはほとんどありません。

※以前はここでIMTAの申請が必要でしたが、現在は不要となっています。

2.外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)の支払い

外国人労働者通知を受領したら、企業は技術能力開発基金の指定銀行に対し、外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)として、1名・1か月あたり100米ドルを前払いで納めます。

DKP-TKAは、外国人労働者通知と共に通知される「請求コード」を使って、通知から1営業日以内に支払う必要があります。(雇用主が政府機関などである場合を除く)

3.就労ビザ(VITASインデックスE23/E24)の取得 

就労ビザ申請・取得の流れは、以下の通りです。

  1. 入国管理総局が雇用主(企業)に対し、申請にかかる手数料納付を指示する
  2. 納付が確認されると、犯罪歴など外国人労働者のバックグラウンドに関する審査が行われる
  3. 問題がなければ、手数料納付後4営業日以内に就労ビザが発給される

以前は就労ビザ発給の前に本人が在外公館へ出向く必要がありましたが、2024年現在はオンラインで完結するシステムとなっています。赴任者はメールで送付されたeVisa(visa elektoronik)を印刷し、携行することで、インドネシアに入国できます。

ビザ発行から90日以内にインドネシアに入国する必要があり、90日を過ぎてしまうとビザが無効になるので、注意が必要です。

4.暫定居住許可証(ITAS)の取得

2018年の大統領令発出以降、就労ビザの申請はITASの申請にもなるとされています。つまり、就労ビザとITASの申請を別々に行う必要はありません。就労ビザの発給を受けた外国人労働者は、指定された空港に到着した際、空港の入管の特別審査カウンターでITASを受け取ります。

ITASの取得場所

通常ITASは、入国後に申請・取得することもできます。訪問目的に沿ったビザさえ持っていれば、入国は可能だからです。ただし、コロナ禍の対応として、在外公館(在日本インドネシア大使館など)にてITASを取得済みでないと、入国できない場合があります。必ず最新情報をご確認ください。

参考:JETRO「インドネシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 「在留許可」詳細」

就労ビザの例外的な申請方法

上述した手順以外に、到着ビザ(VOA)で入国後、一度出国して就労ビザを取得する方法もあります。

到着ビザとは、その名の通りインドネシアに到着した後、空港で取得する訪問ビザで、観光、家族訪問、商談などのビジネス目的で利用できます。有効期間は30日で、1回まで30日延長可能です。

この到着ビザでインドネシアに入国した後、一度出国し、在外公館にて就労ビザを取得することもできます。この場合よく利用されるのは、隣国であるシンガポールのインドネシア大使館です。

到着ビザ(VOA)申請に必要なもの

  • 残存期間6か月以上のパスポート
  • 飛行機の往復チケット
  • 費用50万ルピア
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就労ビサを申請・取得するために必要な書類

就労ビザの申請は雇用主(企業)とビザ申請代理業者が行う場合がほとんどですが、赴任者が自ら用意すべき書類もあります。

申請書、誓約書、契約書などについては、ビザ申請代業者によって呼称や推奨フォームが異なります。サンプルやひな型が提供される場合もありますので、ご確認ください。

雇用主(企業)が用意するもの

  • 受け入れ企業代表者または採用担当者の身分証明書
  • 納税者番号(NPWP)
  • 所在地証明書(Domisili Perusahaan、現地役所発行)
  • 営業許可証(SIUP、管轄省庁発行)
  • 登記簿謄本(AKTA Perusahaan)
  • 定款認証(Pengesahan Kehakiman / Legalisir 、管轄省庁により認証されたもの))
  • 会社組織図
  • 申告誓約書(Wajib lapor persahaan)        
  • 会社登録証明書(TDP、現地RT(隣組)/RW(町内会)発行)
  • 雇用契約書(Wajib lapor persahaan)
  • 申請書
  • 外国人労働者雇用補償金(DKP-TKA)
  • ビザ発給手数料
  • 英文招聘状
  • 英文推薦状(日本の所属先がある場合、日本の会社が作成)

赴任する人が個人で用意するもの

  • パスポート
    最長180日間の滞在:残存期間12か月以上
    最長1年間の滞在:残存期間18か月以上
    最長2年間の滞在:残存期間30か月以上
  • 証明写真(縦6㎝×横4㎝)
  • 英文卒業証明書・履歴書(Personal Date Form)または当該職位のための十分な学歴があることを示す証明書
  • 英文能力証明書・職歴書(Curriculum Vitae)または当該職務5年以上の経験があることを示す証明書(過去に在籍した企業の在籍証明書など)  
  • インドネシアにいる間の本人および/または家族の生活費のため、最低2,000米ドルまたは同等の額を用意できることの証明(預金通帳のコピーなど)
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インドネシアでのビザ申請は変更・例外が常

インドネシアにおける就労ビザの手続きは近年簡素化され、以前に比べると格段に楽になりました。ビザ発給プロセスのオンライン化は、コロナ禍の影響と共に公的手続きのペーパーレス化を進めるというインドネシア政府の意図もあります。

ただし、就労ビザの申請条件にはまだまだ不透明な部分が多いのが現状で、企業や赴任者の個別の事情により、あるいは入国管理担当職員により、対応が分かれる可能性があります。

その上、インドネシアの規則は頻繁に変更されます。最新情報を確認しつつ、余裕を持ったスケジュールで準備を進められることをお勧めします。

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インドネシアでの会社設立

インドネシアの就労ビザにはどんな種類がありますか。

インドネシアで就労するためのビザは「就労ビザ(C312)」で、暫定居住ビザ、VITASなどとも呼ばれます。他に、視察や商談、緊急時の対応などの目的で渡航する際に取得する「ビジネスビザ」として、シングルエントリー訪問ビザ(B211AとB211B)とマルチプルエントリー訪問ビザ(D212)があります。

インドネシアの就労ビザ(C312)を持っていると何ができますか。

インドネシアでは就労ビザ(C312)で品質管理、検査、監査、アフターサービス、機械修理、映画製作、船舶など海上輸送機関での仕事、現地就労予定者のスキルテストなどが可能です。

インドネシアの就労ビザ(C312)取得にはどのような条件がありますか。

インドネシアの就労ビザ(C312)取得の条件として、一般的には「大学卒業以上の学歴所有者(専門学校、短大も可)’」、「5年以上の職務経験者」、「およそ60歳未満」が挙げられますが、ビザ発給の可否は個別の事情を考慮して判断されるため、必ずしもすべての条件を満たしている必要はありません。

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