インドネシアの解雇者数、1年で7万7,965人(2024年)

公開
2025/12/29
更新
2026/01/01
この記事は約4分49秒で読めます。

2024年、インドネシアでは企業の大規模リストラが相次ぎ、解雇者数は前年比20.2%増の7万7,965人に達しました。本記事では、最新の解雇状況やリストラの背景と影響を、データと動画でみていきます。

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はじめに

インドネシアでは近年、経済成長が続く一方で、労働市場における課題も深刻化しています。特に2024年は、製造業を中心に大規模なリストラが相次ぎ、多くの労働者が職を失いました。輸入規制緩和、原材料の輸入依存、EC市場の拡大による競争激化など、複数の要因が重なった結果です。

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数字で見るインドネシアのリストラ

2024年の解雇者、7万7,965人で前年比20.2%増

インドネシア労働省は、2024年の1年間で7万7,965人の労働者がリストラにあったと発表しました。2023年の解雇者数(6万4,855人)と比較すると、20.2%の増加となります。大規模リストラを行った企業は60社に上りました。

同省によると、解雇者が多くなった最大の要因は、2万4,013人の労働者が解雇された製造業分野にあります。製造業に次いで解雇者が多かったのは、サービス業(1万2,853人)、農林水産業(3,997人)でした。

製造業で相次ぐリストラ

製造業のなかでも特にリストラが多かったのは縫製業で、大規模リストラを実施した企業は30社以上にのぼりました。グループ会社や工場を閉鎖したために、一社あたりの解雇者が1,000人を超えた企業もあります。従業員が沈痛な面持ちで工場閉鎖の知らせを聞く様子や、涙を流しながら同僚たちと別れの挨拶を交わす様子が、度々SNSで拡散しました。

縫製業以外では、韓国を拠点とするタイヤメーカーHung-A Indonesiaが工場を閉鎖し、1,500人を解雇しました。また2025年には、ヤマハが楽器工場(2か所)を3月に、サンケンが電機部品工場を6月に閉鎖する予定です。ヤマハの工場閉鎖では少なくとも1,100人、サンケンの工場閉鎖では457人が解雇される見込みとなっています。

2024年に1,000人以上の大規模リストラを行ったインドネシアの縫製業者

  • PT Sri Rejeki Isman Tbk:3,000人
  • PT Sai Apparel Semarang:8,000人
  • PT Sinar Panca Jaya Semarang:2,000人
  • PT Pulomas Bandung:1,000人
  • PT Kusuma Grup:1,600人
  • PT Sri Rejeki Isman Tbk:2025年2月までに1万965人

※後日、新事業開始などにより一部解雇者を再雇用した企業もあります。

近年は中国やベトナムからの安価な繊維製品がECを通して出回るようになり、インドネシアの縫製業は以前から雲行きが怪しくなっていました。そこに2024年の輸入規制緩和が追い打ちをかけたとみられています。安価な既製品のなかには、中古衣料品など輸入が禁止されているものも含まれ、取り締まり切れていないことも問題視されています。

また、インドネシアの繊維産業は原材料を輸入に頼っていることから、ルピアの為替レートが下落すると状況が一気に悪化するというリスクを常に抱えています。

外部要因とは別に、国内の縫製業界には、設備や技術の刷新が追い付いておらず、競合国に比べて生産力が低くコストが高いことも指摘されています。

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最後の勤務日

解雇者最後の勤務日

これは2025年1月に大規模リストラが行われたPT. Victory Chingluh Indonesiaの従業員の最後の勤務日の様子です。上司に挨拶しようと、多くの従業員が列を作っています。

同社は台湾が拠点の靴製造業者でNIKEの靴の製造を請け負っていることで知られますが、大幅な受注減などにより人員削減を余儀なくされました。解雇者は約2,400人に上るとされます。

集団面接のための行列

インドネシアの集団面接のための行列

こちらはある企業の集団面接に応募した人たちの行列です。画面に映し出されている文字は、「仕事に疲れたというなら、求人に応募する彼らの努力を見てごらん」という意味です。

近年は求人情報への応募や面接がオンラインで行われることも一般的ですが、中には予約不要の集団面接日を設ける企業もあります。この動画もそのような面接に集まった人たちで、手に持った茶封筒には履歴書が入っています。この後きちんと面接してもらえればまだよい方で、せっかく足を運んだのに履歴書を回収されるだけで帰されてしまうケースもあります。

失業率が5%前後で推移するインドネシアで、求職活動は運試しのようなもの。求人情報サイト経由でいくつ履歴書を送っても、返信すら一通も来ないというのが常です。

SNSアカウントから求人情報を発信する企業も増えていますが、多くの場合、ある程度の知識や経験が必要です。また、年齢制限があることも多く、30歳を過ぎると途端に応募しづらくなります。

競争力強化が課題の企業と荒波にもまれる労働者

2024年のインドネシアでは、特に人手に頼って製品を製造してきた製造業者が、業績不振などにより大規模リストラを実施する例が相次ぎました。経済のグローバル化や輸入規制の変化、為替の影響など、さまざまな要因が解雇の増加を引き起こしています。

失業者の中にはSNSのアフィリエイトや動画コンテンツで収入を得る人も増えています。とはいえ、多くの人が生活に困っている状況は、インドネシアの経済や社会にとって、よいことではありません。

労働市場の安定には企業の適応力や政府の対策が不可欠です。引き続き最新情報を追いながら、雇用環境の変化を注視していきたいところです。

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