インドネシア・ジャカルタで人気の居酒屋の特徴と出店の失敗事例

公開
2025/01/13
更新
2025/03/22
この記事は約7分47秒で読めます。

インドネシアに対してイスラム教のイメージを持っている方も少なくないでしょう。事実、インドネシアでは国民の約9割がイスラム教を信仰しています。そしてイスラム教では原則的にお酒は禁じられています。

ここまでお伝えすると、今回のテーマについて「インドネシアで居酒屋なんてビジネスになるのだろうか?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

結論からお伝えすると、インドネシアでは居酒屋(現地ではIZAKAYA)は増加傾向にあり、ビジネスとして可能性のある業態だと言えます。

本記事ではジャカルタを中心に、インドネシアにおける居酒屋事情について整理します。居酒屋のタイプ、価格帯、居酒屋における失敗例なども紹介しているので、インドネシア進出を検討中の企業様は是非参考にしていただければと思います。

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インドネシアにおける居酒屋の普及

居酒屋人気の動向

インドネシアで居酒屋というと「イスラム教徒の多い国で居酒屋業態の展開は不可能」と感じる方もいるでしょう。もちろんインドネシアの全国津々浦々まで展開するとなると、難しい面も出てくるかもしれません。しかし、少なくともジャカルタやスラバヤなどの都市部においては、いまや居酒屋は、簡単に見つけられるようになっています。

インドネシアにおける居酒屋の普及

インドネシアのGoogleトレンドを見ると、この10年での「Izakaya」の人気度が徐々に上昇していることがわかります。10年前にインドネシアで居酒屋といえば、現地駐在員のためのお店が多い状況でした。

一方現在は、現地のインドネシア人をターゲットにしたお店が増えています。それも、比較的裕福でイスラム教以外の宗教を信仰し、お酒も豚肉も食す華人系のインドネシア人に留まらず、イスラム教徒を含む若者層に人気のお店も出現しています。

インドネシア人を幅広く取り込むことを狙う居酒屋では、お酒は出しつつも「No Pork, No Lard」を謳うなど、イスラム教徒でも入りやすい工夫をしています。もちろんお酒を扱う店を一切利用しないイスラム教徒もいますが、あまり気にしない人もいるのです。

お酒を売らない「ハラール居酒屋」も登場

インドネシアの居酒屋ブーム、その極めつけは「お酒を扱わない居酒屋」の登場です。ハラール居酒屋では一切アルコールは提供せず、「日本食+カフェドリンク」でメニューを構成しています。

「コーヒーを徳利で出す」など、日本風居酒屋の雰囲気を維持しつつ、イスラム教の人でも安心して雰囲気を楽しむことのできる居酒屋を展開しているのです。

【補足】
ハラール認証を取得していない店舗を含みます。

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インドネシア・ジャカルタで人気の焼肉店の特徴と出店時の失敗事例について

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インドネシア・ジャカルタで人気の居酒屋の特徴と出店の失敗事例について

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インドネシアで人気のカフェチェーンとコーヒーの楽しみ方について

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インドネシアで人気の日本食とジャカルタにある日本食チェーン店

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インドネシア(ジャカルタ)で人気の居酒屋

紹介したように、インドネシアにはすでに居酒屋(IZAKAYA)と名がつくお店が多数あります。ただ、日系企業が直接展開するものは少なく、現地で業態を開発した店の方が目立ちます。

そのため本パートでは「日系」と「ローカル系」のような区分ではなく、インドネシア人客を含めた幅広い層をターゲットとする居酒屋を、おおよその価格帯別にお店を紹介します。

単純なメニューによる価格の比較は難しいため、「お酒を2~3杯飲み、おつまみ数品と食事を取った場合の金額」を目安として記載しています。筆者の主観も多少含まれることはご了承ください。お酒を飲まなければ単価は下がります。

高価格帯の居酒屋

比較的高価格帯の居酒屋をピックアップしてご紹介します。客単価の目安は6,000円以上です。

Okuzono

ジャカルタの居酒屋Okuzono
画像出典:Instagram OKUZONO Japanese Dining

南ジャカルタの高級店が立ち並ぶエリア「セノパティ」にある、本格的な日本食を提供する高級居酒屋です。現在はバリにも支店があります。

Okuzonoのメニューは日本人から見ても非常に本格的で、日本で食べる日本食に近い印象です。そのため、現地では「本格的な日本料理ならOkuzono」として、インドネシア人富裕層にも知られています。日本人にも利用されつつ、インドネシア人にも愛されるメニュー作りは、居酒屋を現地展開するうえで参考になるでしょう。

Kurune

ジャカルタの居酒屋Kurune
画像出典:Instagram KURUNE

こちらもセノパティエリアにある居酒屋で、裕福なインドネシア人が好んで利用するお店です。藁焼きや手巻き寿司、ミルフィーユ鍋など、見た目のインパクトも重視したメニュー構成が特徴です。日本らしい雰囲気を維持しつつも、写真映えするメニューが多いなど、若者層にも「おしゃれな日本食スポット」として認識されています。

Kuruneを展開するチームは、Sumibi(炭火)という炉端居酒屋も展開しています。Kuruneと共に、ローカル客に長く支持されているお店です。

中価格帯の居酒屋

比較的中価格帯の居酒屋をピックアップしてご紹介します。富裕層だけではなく、中間層も、特別なシーンでの活用を検討できる価格帯のお店です。客単価の目安は3,000~6,000円程度です。

Kushimusubi

ジャカルタの居酒屋Kushimusubi
画像出典:Instagram Kushimusubi

Kushimusubiは、中央ジャカルタのオフィス街、スディルマンにあるショッピングモールCity Walk内の居酒屋です。

スディルマンには日系企業が多く、日本人も多く住んでいます。そのためKushimusubiも日本人客が多いのですが、最近はインドネシア人客からの人気も高く、現在は日本人客とインドネシア人客が半々くらいの印象です。

普段使いできる居酒屋メニューを提供しつつ、日本人が握る寿司コースや和牛などもあります。日本人の駐在員から現地のファミリー層まで、幅広い客層を取り込んでいるのが特徴的です。

Nishi Izakaya Japanese Resto & Bar

ジャカルタの居酒屋Nishi Izakaya Japanese Resto & Bar
画像出典:Instagram Nishi Izakaya Japanese Resto & Bar

Nishi Izakayaは、南ジャカルタのテベットエリアにある居酒屋です。テベットは、日本人を始めとする外国人が多いエリアからやや離れた、大きな公園や伝統的な市場で知られるエリアです。

そんなテベットに位置するNishi Izakayaのメニューは、本格的な日本食に加え、「寿司ロール」などのローカライズされたものが目立ちます。インドネシアの中間層がイメージする「日本食」や「寿司」には、むしろこちらの方が近いかもしれません。

ラーメンや定食メニューも展開し、デザートも豊富なので、ファミリーレストランやカフェのような使い方もできる、便利なお店です。お酒はビール、焼酎、カクテルが中心です。

低価格帯の居酒屋

続いて、比較的低価格帯の居酒屋を紹介します。客単価の目安は3,000円未満です。インドネシアの中間層も肩ひじを張らずに利用できる価格帯で、現地の若者層にも人気のお店をピックアップしました。

Izakaya Kashiwa

Kashiwaは、かつて日本人街として知られた、南ジャカルタのブロックMエリアにある居酒屋です。
近年は多くの店舗が入れ替わり、流行の発信地として若者が押し寄せるブロックMで長年営業するKasiwaは、以前は日本人向けのお店でしたが、最近は「日本人向けの爆安居酒屋」ということで現地の若者たちに再発見されています。

Kashiwaの特徴は、なんといってもそのメニューの安さです。日本円にして300円程度からオーダーできるものが多く、日本の立ち飲み屋のようなお得感があります。

Yabe! Izakaya

バンドンの居酒屋Yabe! Izakaya
画像出典:Instagram Yabe! Izakaya by Sangmaha Group

ジャカルタ以外のIzakayaも参考としてご紹介します。Yabe! Izakayaは、インドネシア第3の都市バンドンにある居酒屋です。ジャカルタからビジネスや避暑で訪れる人も多いバンドンは、ジャカルタの流行を敏感に取り入れる街で、最近はバーや居酒屋が増えています。

バンドンはジャカルタよりも全体的に物価が安く、Yabe! Izakayaのメニューの価格も低めに設定されています。日本円にして100円程度からオーダーできるおつまみもあり、現地の若者に日常的に利用されています。ビール、日本酒、焼酎、ウィスキーなどお酒のメニューも比較的豊富で、ジャカルタ以外のエリアのローカル向け居酒屋として、一見の価値があるお店です。

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インドネシア(ジャカルタ)で人気の居酒屋【番外編】ハラール居酒屋

最近はIZAKAYAと名がつきつつも、お酒を出さないムスリム向けの居酒屋も登場しています。人口の9割をイスラム教が占めるインドネシアですので、当然の帰結かもしれません。参考として1店舗ご紹介します。

Sore Izakaya

ジャカルタの居酒屋Sore
画像出典:Instagram SORE Ramen & Yakitori

Sore Izakayaはジャカルタやお隣のタンゲランで3店舗を展開する居酒屋です。IZAKAYAと名がついていますが、お酒の扱いはありません。ドリンクメニューはコーヒーやお茶、ジュースで構成されており、居酒屋というよりも「日本食カフェ」です。

価格設定は低めで、焼き鳥は90円程度から、ラーメンや丼は400円程度からとなっています。カジュアルな日本食を楽しみ、食後にコーヒーを飲みながらおしゃべりを楽しむ。インドネシアならではの居酒屋の形かもしれません。


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インドネシアの居酒屋における失敗事例

以上で紹介したのはどこも人気のお店ですが、当然ながら不人気な居酒屋や閉店してしまう居酒屋もあります。ここからは、読者の皆さんのご参考になりそうな失敗例をご紹介します。

想定した客単価のずれ

ジャカルタに徐々に居酒屋が増え始めた10年ほど前、華人系インドネシア人が多く住む北ジャカルタのPIKエリアにオープンした居酒屋がありました。華人系インドネシア人の中にはビールを飲む人も多く、居酒屋も受け入れられるだろうという狙いでした。

出店地は、当エリアの中でも比較的家賃の安い、居住区に近い場所でした。全体的に安い店が多いこともあり、プロモーションのビールと安いおつまみで長居するお客さんが増え、経営を圧迫しました。

このお店は結果として維持費を賄うことができず、短期間で閉店となりました。想定していた単価と実際の消費額が異なっていたと言う失敗例です。

品質管理の人材不足

インドネシア人オーナーと日本人の料理人のタッグで経営されている、本格派の日本料理を提供する居酒屋の話です。

しばらくの間は人気を保っていたのですが、ある時トラブルで日本人の料理人が去ってしまいました。当時残された調理スタッフの中には本物の日本食を知る人はおらず、マニュアルに沿ってそれなりのものができるのですが、やはり細かい部分で味の劣化が進みました。

最終的には、日本食経験の長いインドネシア人料理人を雇用し事なきを得ましたが、日本食はインドネシア人にとっては特殊な料理であり、きちんと品質管理ができる人材を置かなければすぐに品質が維持できなくなることを示すケースでしょう。

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インドネシアにおける居酒屋ビジネスの可能性

ここまで書いてきた通り、インドネシアの都市部では、この10年ほどで居酒屋という業態が増えてきました。また、現在インドネシアでは日本を訪れる観光客も急激に増えており、日本で本物の日本食に触れて帰ってくるインドネシア人も増えています。

このことから、今後もインドネシアでは、日本食を提供する居酒屋の需要が高まる可能性があります。また、紹介した通り、お酒を出さない居酒屋も一定の人気を獲得しています。日本人から見るとそれは単なる日本食カフェですが、IZAKAYAという言葉が浸透し、おしゃれなカフェメニューとして日本風の料理が受けているというトレンドの表れといえるでしょう。

寿司が海外でSUSHIとして特殊な進化を遂げたように、居酒屋もIZAKAYAとして、独自進化を続けていくのかもしれません。

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インドネシアに居酒屋はありますか。

インドネシアでも居酒屋(IZAKAYA)は、都市部を中心に人気があります。

インドネシアの居酒屋でお酒は飲めますか。

インドネシアでも都市部や観光地を中心に、お酒を取り扱う居酒屋も多くあります。

インドネシアの居酒屋にはどのようなフードメニューがありますか。

インドネシアには、本格的な日本料理を提供する高級店から、ラーメンや定食、カフェメニューも取りそろえるカジュアルな店まで、さまざまな居酒屋があります。

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