インドネシア・ジャカルタの最新ラーメン屋事情(日系とローカルのラーメンチェーン店比較)
- 公開
- 2024/12/24
- 更新
- 2025/01/01
- この記事は約7分13秒で読めます。
インドネシアの飲食業界は急速に変化し、この10年ほどでラーメンは最も注目を集めるグルメトレンドの一つとなっています。特に、日系ラーメンチェーン店はインドネシア人にも人気で、これまで多くのチェーン店が参入を試みてきました。
そこで、日系企業がこの市場に参入を検討する際の参考情報として、本記事ではジャカルタを中心としたインドネシアのラーメン事情について整理しました。日系やローカルの人気ラーメンチェーン店情報や、インドネシアのラーメンビジネスにおける失敗例なども紹介しているので、インドネシア進出を検討中の企業様は、ぜひ最後までご覧ください。
【補足】
本記事の円表記は、2024年12月24日のレート(1ルピア=0.0097円)で換算したものです。
インドネシアにおけるラーメン人気
ひと昔前までインドネシアで「ラーメン」と言えば、限られた日本食レストランでしか食べられない珍しい食べ物でした。しかし現在ではローカルのチェーン店も増え、ラーメンは単なる「外国の料理」以上の存在になっています。
Googleトレンドを見てみると、過去10年で、ラーメンへの関心が徐々に高まってきた様子がわかります(上掲画像)。実際に、ジャカルタやスラバヤなどの大都市では、ショッピングモールや路面でラーメン専門店を探すことは難しくありません。若い世代を中心に、ラーメンは日常的な食事の選択肢となっています。
インドネシアで人気の日系ラーメンチェーン店
すでにいくつもの日系ラーメン店がインドネシアに進出し、店舗を増やしています。ここではジャカルタを中心に、インドネシアで積極的に店舗展開する日系ラーメンチェーン店をピックアップしてご紹介します。記載している参考メニュー価格は記事執筆時点のもので、実際の店頭価格とは異なることがある点はご了承ください。
一風堂
日本を代表する大手ラーメンチェーンの一風堂は2014年にインドネシアへ進出しました。2024年時点で、ジャカルタとスラバヤで8店舗を展開しています。定番メニューの「白丸」や「赤丸」はもちろん、「担々麺」などピリ辛メニューもあります。また、メインの豚骨ラーメンに加えて、鶏ラーメンのメニューも用意されています。
日系ラーメンとしては後発組に入りますが、進出当時から味が安定していたことは、さすが大手ラーメングループという印象です。インドネシアの一風堂は高級ショッピングモールに出店しており、ラーメン以外にステーキやちらし寿司、デザートなども提供しており、和食レストランとしても利用できます。
[参考メニュー]
- AKAMARU REGULAR(赤丸ラーメン)/ 9万ルピア(870円)
- SHIROMARU REGULAR(白丸ラーメン)/ 8万2,000ルピア(800円)
- PAN FRIED CHICKEN GYOZA 5pcs(鶏餃子)/ 3万8,000ルピア(370円)
- SAIKORO STEAK(サイコロステーキ)/ 13万8,000ルピア(1,320円)
Webサイト:https://www.ippudo.co.id
博多一幸舎
博多一幸舎は、福岡に本店がある博多ラーメンのお店です。2011年にインドネシアへ進出しており、日系ラーメンチェーン店としては老舗の一つです。ジャカルタ以外の都市にも積極的に出店しており、2024年時点ではインドネシア全国に18店舗を展開しています。このうち8店舗は豚骨ラーメンの店舗で、残りの10店舗は豚不使用の店舗です。
進出当初は華人の住民が多いエリアで豚骨ラーメンを販売していましたが、豚骨ラーメン主体では出店できるエリアが華人が多いエリアに限られることもあり、今後も鶏ラーメンの店舗を増やしていく可能性があります。近年はメニューもかなりローカライズが進んできています。
[参考メニュー]
- RAMEN AYAM SPECIAL(スペシャル鶏ラーメン)/ 6万8,000ルピア(660円)
- RAMEN AYAM TAMTAM(ピリ辛鶏ラーメン)/ 7万1,000ルピア(690円)
- GYOZA AYAM BAKAR 5pcs(鶏焼餃子)/ 3万9,000ルピア(380円)
- CHASHU DON AYAM(鶏チャーシュー丼)/ 3万8,000ルピア(370円)
Webサイト:http://ikkousha.co.id/
ばりうまラーメン
ばりうまラーメンは、広島発の豚骨ラーメン店です。2015年にインドネシアへ進出しており、2024年時点でジャカルタを中心に8店舗を展開しています。豚骨ラーメンをメインとしつつ、器を分けてムスリム向けの鶏ラーメンも提供しています。
インドネシアのばりうまラーメンは、ベジタリアンラーメンやカレーラーメンのような、ユニークで話題性のあるメニューも出しています。
[参考メニュー]
- AJITAMA UMA(豚骨味玉のせラーメン)/ 8万4,000ルピア(820円)
- TORI AJITAMA UMA(鶏味玉のせラーメン)/ 7万9,000ルピア(770円)
- HANETSUKI GYOZA 5pcs(羽根つき餃子)/ 4万5,000ルピア(440円)
- ISHIYAKI CHAOFAN CHASHU(石焼チャーシュー飯)/ 5万9,000ルピア(570円)
Webサイト:https://www.bariuma.asia
清六屋
清六屋は、2014年にインドネシアへ進出し、2024年時点でジャカルタを中心に19店舗を展開しています。日本の本店は茨城にある豚骨ラーメン屋ですが、インドネシアでは鶏白湯ラーメンの店になっています。ハラール認証も取得しており、インドネシアにおける「日系ハラールラーメン」の代表格といえます。また、他の日系ラーメン店と比べて価格帯がやや低いのも特徴です。
ハラールと聞くと「日本人には物足りないのでは」と心配する人もいますが、清六屋のハラールラーメンは、インドネシア人はもちろん、ラーメンを食べ慣れた日本人でもおいしく食べられる、バランスの良い仕上がりです。
[参考メニュー]
- TORIPAITAN EKSTRIM(鶏白湯エクストリームラーメン)/ 7万ルピア(680円)
- TORIPAITAN SHOYU(鶏白湯醤油ラーメン)/ 6万2,000ルピア(600円)
- GYOZA PANGGANG 5pcs(鶏焼餃子)/ 3万5,000ルピア(340円)
- CHAHAN(チャーハン)/ 3万7,000ルピア(360円)
Webサイト:https://www.seirock-ya.asia
インドネシアで人気のローカルラーメン店
インドネシアでは日系のラーメンチェーン店だけではなく、ローカル※のラーメンチェーン店も人気です。ここからは、店舗数の多い、ラーメン専門店として展開するローカルラーメンチェーン店をいくつかご紹介します。
【補足】
ここでは、日本人が関わっていても日本に本店がない、インドネシア発祥のラーメン屋も、ローカルに含みます。
Ramen Sanpachi(ラーメン38)
ラーメン38は、日本人が2003年に1店舗目をオープンし、2024年時点でジャカルタを中心に7店舗を展開しています。インドネシアにおける日本式ラーメン発祥の店、と言っても過言ではないでしょう。
豊富なラーメンメニューに加え、野菜炒めや鶏の唐揚げなどのアラカルトメニュー、丼メニューなども豊富で、定食屋のような店になっています。価格は日系のラーメンに近く、庶民にとって安くはないものの、根強い人気を誇ります。
最初からインドネシアのマーケットを狙って展開しているため、メニューも味付けもインドネシア人好みです。インドネシアに進出してメニューをローカライズする際の参考になるでしょう。
[参考メニュー]
- SHOYU RAMEN(醤油ラーメン)/ 6万2,000ルピア
- ENMA RAMEN(スパイシーラーメン)/ 7万ルピア
- GYOZA 8pcs(鶏 or 豚焼餃子)/ 5万5,000ルピア
- BUTA SHOGA YAKI DON(豚生姜焼うどん)/ 5万9,000ルピア
Instagram:https://www.instagram.com/ramen38official/?hl=ja
IKKUDO ICHI (一喰堂 いち)
一喰堂いちは、2012年に1店舗目をオープンし、2024年時点でジャカルタを中心に15店舗を展開しています。最初は豚骨ラーメンがメインでしたが、近年はエリアによって鶏ラーメンの店も出店しています。38ラーメンがインドネシアにおけるラーメンの始祖だとすれば、IKKUDOはそれを発展させた立役者と呼べるかもしれません。
メニュー構成から味つけまで、インドネシア人の好みを深く理解した内容となっています。インドネシア人の好みを理解するためには、ぜひ立ち寄るべきお店といえます。
[参考メニュー]
- SIGNATURE PORK RAMEN(豚骨ラーメン)/ 6万500ルピア(590円)
- SIGNATURE TORI RAMEN(鶏ラーメン)/ 5万2,000ルピア(500円)
- AGE GYOZA 4pcs(揚げ餃子)/ 3万5,000ルピア(340円)
- Truffle Caviar Chicken Ramen(トリュフキャビア鶏ラーメン)/ 12万1,000ルピア(1,170円)
Instagram:https://www.instagram.com/ikkudoichi
RAMEN YA!
RAMEN YA!は、一喰堂の経営メンバーだったYansen Salim(ヤンセン・サリム)氏が、2018年から展開するラーメン店です。ハラール認証を取得しており、メニューはすべてハラールです。各地のショッピングモールに次々と店舗をオープンさせており、2024年時点でインドネシア全国に100店舗近くを展開しています。
1杯300円台というのは、日系チェーンのラーメンと、ローカルの麵料理の間くらいの価格帯です。ラーメン38や一喰堂に比べても安く、学生でも食べられるラーメンというイメージです。また、激辛メニューが多いのも特徴で、若者に人気があります。
味は言わずもがな、インドネシア人の好みに寄せられているので、日本人としては好き嫌いが分かれるでしょう。
[参考メニュー]
- LEGENDARY CHICKEN RAMEN(伝説の鶏ラーメン)/ 3万3,000ルピア(320円)
- HOT RAMEN(激辛ラーメン)/ 4万5,000ルピア(440円)
- GRILLED GYOZA 2pcs(焼餃子)/ 9,800ルピア(95円)
- CHICKEN DON(鶏の照り焼き丼)/ 3万8,000ルピア(370円)
Webサイト:https://ramenya.id
インドネシアに進出してみませんか
インドネシアのラーメンビジネスにおける失敗例
順調に店舗数を増やすラーメン店の影には、いくつもの失敗例があります。ここでは読者の皆さんの参考になりそうな、インドネシアにおけるラーメンビジネスの失敗例をご紹介します。
日本すぎる味
日本人だけをターゲットにする場合は別ですが、現地での広がりを求めるならばローカライズは必須です。
失敗例として、カツオを使った「魚介系ラーメン」を提供した日系ラーメンが挙げられます。日本人には人気でしたが、ローカルにはあまり受け入れられず、最終的には閉店となりました。ラーメンがより一般的になり、種類も増えてきた現在であれば可能性があるかもしれませんが、少なくとも当時は受け入れられませんでした。
需要のない場所への出店
インドネシアでは、ラーメンが一般的になってきたとはいえ、まだラーメンを食べたことのない、経済力が弱い層や、食に対して保守的な層も多いのが事実です。過去には中間層以下の住民が日常的に使う古いローカルモールに出店し、撤退したラーメン店もありました。渋滞が蔓延するジャカルタでは商圏が狭く、出店場所の選定は非常に重要です。
高すぎる価格
過去に日本からスープを持ち込み、「日本の本店と同じ味」にこだわった日系ラーメンがありました。味は申し分なかったのですが、当時の平均的な日系ラーメンの価格の1.5倍程度という価格の高さがネックで、超高級ショッピングモール内の店舗でも客足が伸びず、撤退となりました。
インドネシアにおけるラーメンビジネスの将来性
紹介したとおり、この10年でインドネシアでは日本式ラーメンが浸透し、ローカルの大手ラーメンチェーン店も誕生しました。一見すると飽和状態に見えますが、人口の多いインドネシアには、まだまだチャンスが眠っていると考えることもできます。
一つは都市部と郊外のギャップです。都市部では専門店が増えている一方、そこから少し離れると、ラーメンはまだ珍しい、特別な食べ物です。
インドネシアは世界第二位のインスタント麺消費国であり、ラーメンが受け入れられる土壌は調っています。現地企業との競争も激しくなってきてはいますが、ラーメンは数ある日本食メニューのなかでも、ポテンシャルの高いビジネスといえるでしょう。
海外向けの飲食店ビジネスに関わる方へ
最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。
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インドネシアには日本のラーメン店が進出していますか。
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インドネシアには多くの日本のラーメンチェーンが進出しています。例えば、一風堂、ばりうまラーメン、清六屋などです。
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インドネシアではどのようなラーメンが人気ですか。
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インドネシアではイスラム教徒が多いことから、主流なのは鶏ラーメンですが、豚骨ラーメンも出店エリアによっては人気があります。辛いラーメンも人気です。
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インドネシアのローカルラーメンチェーンには、どのようなものがありますか。
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インドネシアのローカルラーメンチェーンとしては、ラーメン38、一喰堂いち、RAMEN YA!などが有名です。
読後のお願い
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記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
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