インドネシア・ジャカルタで人気の焼肉店の特徴と出店時の失敗事例

公開
2025/01/24
更新
2025/02/08
この記事は約7分50秒で読めます。

インドネシアの焼肉市場は、日本食ブームや中間所得層の増加を背景に、近年大きく成長しています。特にジャカルタでは、日本式の高級店からローカル向けの低価格店まで、様々な焼肉店が競争を繰り広げています。

日本と同じように豚肉を出す焼肉店もありますが、インドネシアで数を伸ばしているのは牛肉がメインの焼肉店です。また、最近ではAYCE(All You Can Eat)と呼ばれる食べ放題のお店も、都市部ではよく見かけるようになりました。

今回は、インドネシアにおける焼肉人気の背景や、ジャカルタで人気の焼肉店、そしてインドネシアでの焼肉ビジネスの可能性について探っていきます。

【補足】
本記事の円表記は、2025年1月24日時点のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。

インドネシアでの会社設立

インドネシアにおける焼肉人気

焼肉店の統計データは見つからなかったため、参考として直近10年のGoogle Trendsの動きを見てみます。すると、この10年で「YAKINIKU」というキーワードの人気がゆるやかに上昇してきていることがわかりました。

インドネシアの焼き肉人気

インドネシアにおいて、焼肉が近年人気を集めている要因は、主に3つ考えられます。

1つ目は「日本文化との接点の増加」です。

Netflixなどを通じて、日本のドラマやアニメなどから日本の食文化に興味を持つ若者層が増加しており、その流れの一つとして、焼肉も人気を集めています。また、近年では観光などで日本を訪れるインドネシア人も増えており、日本の代表的な食文化として「YAKINIKU」を知る人も少なくありません。

2つ目は「中間所得層の増加」です。

安い焼肉店も増えてきたとはいえ、一般的なインドネシア料理と比べると焼肉は割高です。しかしこの10年間で、インドネシアでは中間所得層が厚くなってきています。経済的に豊かな層が増えたことで外食をする人も増え、焼肉のニーズも高まったと考えられます。また、経済的に余裕が出てきたことやSNSなどの影響で、海外の食文化に対して好奇心の強い人が増えたという背景もあるでしょう。

3つ目として、「ハラール焼肉」の普及が挙げられます。

インドネシアはイスラム教徒が多数を占める国です。そのため多くの焼肉店がハラール認証を取得しており、イスラム教徒も安心して焼肉を楽しむことができる環境が整いつつあります。もちろん、ハラール認証を取得して展開する日系焼肉店も増えています。

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焼肉×食べ放題「AYCE」

皆さんはAYCEという言葉を聞いたことがありますか?All You Can Eatの頭文字を取ったもので、いわゆる「食べ放題」のことです。

インドネシアで人気の食べ放題AYCE

こちらのGoogle Trendsのデータからもわかる通り、2020年ごろからAYCEの人気度が上昇しています。ジャカルタの街中では、食べ放題のお店はもはや珍しいものではなくなりました。

AYCEは焼肉だけでなく、「BBQ」や「KOREAN BBQ(韓国焼肉)」でもよく目にする言葉です。インドネシアで焼肉店を開くなら、考慮すべきトレンドといえます。

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インドネシア(ジャカルタ)で人気の焼肉店

現在インドネシアには、日系の大手チェーン店を含め、様々な価格帯の焼肉店があります。そこで今回は、どのような客層がどのようなシーンで利用するのかをイメージしやすいよう、価格帯別に紹介していきます。

価格帯を判断する参考情報として、メニューの価格もいくつか記載します。

【補足】
メニューの価格は記事執筆時点のものです。

高価格帯の焼肉店

ジャカルタにも、日本の高級焼肉店に負けないような価格とクオリティの店舗がいくつかあります。その多くは多店舗展開せず、1店舗の質を極限まで高めています。以下で紹介するのは、日本式焼肉としてジャカルタでも定評のあるお店です。

焼肉えしな

焼肉えしな
画像出典:焼肉えしな

「焼肉えしな」は、鹿島建設が運営に関わる、中央ジャカルタの高級モール「Plaza Senayan」に長く出店している日本式の高級焼肉店です。外国人や現地富裕層をターゲットしており、個室でゆっくりと焼肉を楽しめます。お肉は基本的にスタッフの方が上手に焼いてくれます。マネジメントもしっかりしており、常に安定した評価を得ています。酒類は提供しますが、豚肉の提供はありません。

●Webサイト:https://esinayakiniku.com/

メニュー例

  • カルビ / 26万ルピア (2,500円)
  • タン塩 / 23万6,000 ルピア (2,270円)
  • 和牛サーロイン / 108万ルピア (1万400円)

Yawara

インドネシアの日本食レストランYAWARA
画像出典:Yawara

「Yawara」は南ジャカルタの高級商業エリア「Senopati」に店を構える日本料理店です。焼肉専門店ではなく、寿司や刺身、うどんなども提供しています。現地の外国人や富裕層の間で特に人気のお店で、高い評価を得ています。酒類は提供しますが、豚肉の提供はありません。

なおYawaraには、ジャパニーズダイニング「Kiwami」やジャパニーズベーカリー「Tsuru」などの姉妹店があります。

●Webサイト:https://www.yawara.group/yawara

メニュー例

  • US 和牛カルビ / 20万ルピア (1,930円) 
  • 黒毛和牛カルビ / 62万ルピア (5,970円)
  • US プライムタン塩 / 23万5,000ルピア (2,260円)

中価格帯の焼肉店

中間所得層が増えているインドネシアで最も注目度が高いのが、ここで紹介する中価格帯の焼肉店です。日系企業が目立つカテゴリーでもあります。代表的なお店をご紹介します。

KINTAN

インドネシアの焼き肉店Kintan
画像出典:Shaburi Kintan Buffet

KINTANは日本のDining Inovationが現地企業Boga Groupとの協業で展開する焼肉ビッフェのお店です。しゃぶしゃぶのShaburiも展開しており、店舗によっては焼肉もしゃぶしゃぶも提供しています。

KINTANはインドネシアでいままさに伸び盛りの中間所得層をターゲットとしており、中堅~高級ショッピングモールを中心に出店。2025年1月時点で、KINTAN単体ではインドネシア全土に21店舗を展開しています。KINTANはハラール認証取得済みです。

●Webサイト:https://shaburi-kintanbuffet.id

メニュー例

  • 大人 90分食べ放題 / 23万5,000 ルピア (2,260円)
  • 子供 90分食べ放題 / 10万9,000 ルピア (1,050円)

牛角

インドネシアの牛角
画像出典:Summarecon Mall BEKASI

牛角は元々、ジャカルタの高級モールPlaza Senayanに、富裕層向けのGyukaku Primeを出店していました。現在は食べ放題とアラカルトが選べるJAPANESE BBQ RESTAURANT GYUKAKUとして店舗を増やし、2025年1月時点でジャワ島の都市部を中心に41店舗を展開しています。牛角はハラール認証取得済みです。

●Webサイト:https://gyu-kaku.id

メニュー例

  • 大人 90分食べ放題 / 23万9,800ルピア (2,290円)
  • 子供 90分食べ放題 / 15万9,800ルピア (1,530円)

焼肉LIKE

インドネシアの焼肉LIKE
画像出典:Yakiniku Like

焼肉LIKEは日本と同じく「一人でも楽しめる焼肉」を提供しています。店内の作りが特徴的で、自分で焼肉を焼きながら定食を食べることができます。

日本と同様にインドネシアにおいてもそのスタイルは珍しく、後発ながら店舗数を伸ばしています。KINTANと同じくDining InovationとBoga Groupが展開し、2025年1月時点でジャカルタには7店舗、他の地域も含めると合計15店舗あります。焼肉LIKEはハラール認証取得済です。

●Webサイト:https://yakinikulike.id/

メニュー例

  • プライムカルビ 100g / 12万5,000ルピア (1,200円)
  • ハラミステーキ 100g / 6万9,000ルピア (660円)
  • ハラミステーキセット 100g / 7万9,000ルピア (760円)

低価格帯の焼肉店

Teras Japan

インドネシアの焼肉店Teras Japan
画像出典:Instagram Teras Japam

Teras Japanは、数百円から焼肉を楽しむことができる、現地の若者に人気の日本式焼肉店です。日本で育ったインドネシア人の方が業態開発から運営までを手がけており、日本式焼肉を極限までローカライズした姿を見ることができます。激安のアラカルト焼肉だけではなく、餃子やラーメンなど、一品ものメニューが豊富なのも特徴です。

2025年1月時点で、インドネシア全土に32店舗を展開しています。ハラール認証は確認できませんが、ハラール焼肉として展開しています。

●Webサイト:https://terasjapan.com/home

メニュー例

  • ショートプレート 100g  / 2万8,000ルピア (270円)
  • 牛タン 100g / 3万6,000ルピア (350円)
  • WAGYU 100g / 6万5,000ルピア (630円)

Hattori

インドネシアの焼肉店Hattori
画像出典:Instagram Hattori

Hattoriはインドネシア人がインドネシア人のために開発した、低単価食べ放題の焼肉店です。プロモーションで割引になることも多く、安い時は800円程度で焼肉食べ放題を提供しています。2025年1月時点で、ジャカルタ市内に6店舗を展開しています。

●Instagram:https://www.instagram.com/hattori.id

メニュー例

  • 大人 90分食べ放題 / 10万8,800ルピア (1,050円)
  • 子供 90分食べ放題 / 5万8,000ルピア (560円)

【番外編】韓国焼肉

本記事では日本式焼肉について紹介してきましたが、ジャカルタには「韓国焼肉(KOREAN BBQ)」のレストランも多数あります。インドネシアでは韓国ドラマの人気が高いこともあり、焼肉を始めとする韓国グルメも非常にポピュラーです。

ジャカルタ市内ではGAHYOやCHUNGGIWAのように豚肉とお酒を提供するお店もありますが、GUBHIDAのようにハラール韓国焼肉・低価格・AYCEの組み合わせで店舗数を増やすお店もあります。価格も比較的リーズナブルです。

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インドネシアの焼肉店にある失敗事例

ここでは、インドネシアで焼肉店を展開するうえで、明暗を分けるポイントとなりそうな事柄を紹介します。

焼いてもらうか、自分で焼くか?

現在はともかく、10年前はまだ、日本式焼肉は主に富裕層向けでした。インドネシアの富裕層には「やってもらう」ことがサービスであるという考え方があり、もちろん焼肉であってもほとんどの人は自分たちで焼くことはしません。過去にはここを読み違えて自分で焼くタイプの高級焼肉店を開き、オープン直後にスタッフトレーニングを迫られたという事例があります。

現在でも、焼いてもらう方が好きな人は多く、テーブルに焼肉設備が整っているお店でも、「キッチンで焼いて出しますか?」と聞かれるお店もあります。

そこに風穴を開けているのが、上述の焼肉LIKEです。富裕層は依然として手厚いサービスを受けることを好みますが、焼肉店のターゲットとなっている新たな中間所得層の人々は、「何でも自分でやってみたい」「自分が好きな方法で楽しみたい」という価値観を持つ人も多いようです。

競争激化による差別化の難しさ

冒頭で触れたとおり、焼肉人気は年々上昇しています。日本式焼肉だけでなく、韓国式も含め、YAKINIKUやBBQは、都市部では珍しいものではなくなりました。このような状況なので、「日本式焼肉」というだけでは、差別化は不十分でしょう。どのような差別化戦略をとるのか、事前に準備しておく必要があります。

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インドネシアにおける焼肉ビジネスの可能性

インドネシアの焼肉市場は、安定した盛り上がりを見せています。ジャカルタなど都市部では日本発の有名店がしのぎを削っていますが、地方都市にはまだ大きな成長ポテンシャルが秘められています。

成功のカギの一つは、日本の焼肉文化の良さを守りつつ、インドネシアの食文化や宗教に合わせられる柔軟な対応力です。また地方へ広く展開するならば、ハラールの認証取得は必須であり、地元で手に入る原料を使ったタレやメニュー開発も重要です。

さらに、若者やファミリー客の多いインドネシアでは、食べ放題の需要が大きいことも考慮すべきポイントといえます。

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インドネシアには日本の焼肉店がありますか。

インドネシアでは日本風の焼肉が人気で、高級店から低価格店まで多くの店があります。

インドネシアに進出した日本の焼肉店はありますか。

Kintan、焼肉Like、牛角などが日本からインドネシアに進出しています。

インドネシアの焼肉店の特徴は何ですか。

以前はインドネシアで焼肉というとほとんどが高級店でしたが、今では自分で肉を焼くリーズナブルな店も増えています。イスラム教徒に配慮し、豚肉を扱わない店が多くなっています。

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