「スタートアップエコシステム」インドネシア2位、バンドンの実力と可能性

公開
2025/12/19
更新
2026/01/01
この記事は約6分60秒で読めます。

インドネシアのスタートアップエコシステムにおいて、ジャカルタに次ぐ存在感を放っているのが西ジャワ州の州都・バンドンです。2025年の「Global Startup Ecosystem Index」では世界261位にランクインし、国内2位となりました。

本記事では、バンドンのスタートアップ環境の強み、課題、注目企業などについて紹介します。

はじめに

スタートアップの成長は都市のイノベーション力を象徴する指標の一つです。

本記事ではまず、各都市のスタートアップ活動を総合的に評価した「Global Startup Ecosystem Index」におけるインドネシアの都市ランキングを紹介します。次に、特に注目されるバンドンに焦点をあてて、その実力と課題を見ていきます。

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数字でみるバンドンのスタートアップ

スタートアップエコシステム都市ランキング

以下に紹介するのは、スタートアップエコシステムに関する研究を行うStartupBlinkによる「Global Startup Ecosystem Index 2025」の都市別ランキングです。スタートアップのエコシステムが優れた都市「Best Cities for Startups」として、インドネシアからは1000位以内に5都市が入りました。インドネシア国内の1位はジャカルタで世界30位、2位はバンドンで世界261位です。

スタートアップエコシステムに関してはジャカルタが群を抜いており、総合スコア(32.251)は2位のバンドン(1.814)の18倍です。強みは「Eコマース & 小売」分野で、東南アジアで第2位、世界では第17位に位置しています。

Global Startup Ecosystem Indexインドネシアの都市ランキング

  1. ジャカルタ(世界30位)
  2. バンドン(世界261位)
  3. スラバヤ(世界478位)
  4. デンパサール(世界646位)
  5. ジョグジャカルタ(世界702位)
  6. メダン(世界1030位)
  7. スマラン(世界1215位)
  8. マラン(世界1364位)

Global Startup Ecosystem Index 2025について

Global Startup Ecosystem Indexは2017年から毎年、世界の各都市のスタートアップエコシステムを数値化してランキングにしています。2025年版では118か国、1,473都市が対象となりました。評価には以下の3つのサブスコアを含む数十のパラメータが考慮されています。

数量(Quantity)
エコシステムの活動量を測定。スタートアップ数や投資家数、活動拠点数など。

質(Quality)
エコシステム内の活動の影響力と成功度を評価。投資額、従業員数、多国籍企業の数、イベントなどの数と規模、代表的なスタートアップの影響力など。

ビジネス環境(Business Environment)
スタートアップの成長を支える全体的な環境を評価。多様性指数、インターネット速度・コスト、研究開発投資額、技術サービスの利用可能性、利用可能なビザ、労働法、法人税率など。

国内2位・世界261位のバンドンのスタートアップエコシステム

バンドンの強み

「Global Startup Ecosystem Index 2025」国内2位のバンドンは、ジャカルタ以外を拠点とする企業としては初のユニコーン企業であるeFisheryを輩出するなど、存在感を見せています。

インドネシア第3の都市であり、西ジャワ州の州都でもあるバンドンには、スタートアップエコシステムを強化するうえで、以下のような強みがあります。

1. 人材・技術の供給源としての強力な大学群と起業文化

バンドン工科大学(ITB)を筆頭に、バンドンには技術・デザイン・経営分野に強い大学が多数あります。起業活動も活発で、小規模ながら革新的な、技術志向のスタートアップが生まれやすい土壌があります。

2. エコシステムの広がり

バンドンでは、地元のスタートアップエコシステムを強化する拠点やコミュニティが育ちつつあります。

先駆けとなったのはインドネシアでもっとも古いテクノパークの一つである「バンドン・テクノパーク」です。近年は、起業家やコミュニティの活動拠点となるコワーキングスペースやレンタルオフィスも増えています。

起業家支援としては、バンドン工科大学やテルコム大学のインキュベーションプログラムが知られています。また、スタートアップ企業の創業者や関係者のコミュニティ「Startup Bandung」などのコミュニティ活動や、スタートアップ関連のイベントも盛んです。

3.  生活コストと居住環境の良さ

バンドンはジャカルタに比べて家賃・人件費・オフィスコストが低く、高地にあるため比較的涼しい気候で、暮らしやすい都市であることが魅力です。高速鉄道Whooshの開通でジャカルタへのアクセスも良くなり、起業家やノマドワーカーの活動拠点として適しています。

バンドンの課題

バンドンは「Global Startup Ecosystem Index 2025」の国内ベスト10にランクインした他の都市に比べて成長率が低く、世界ランクも前年から12位落としています。バンドンが1位のジャカルタに大きく溝を空けられ、成長率も低迷している要因はいくつか考えられますが、その一つがジャカルタ一極集中です。

インドネシアでは、スタートアップ企業の数に加え、投資家やベンチャーキャピタルの関心、資金調達の機会の多くがジャカルタに集中しています。アクセラレーターやコワーキングスペース、インキュベーションプログラムの数や質、国際的なイベント開催やパートナーシップ、広範囲への影響力や発信力においても、バンドンを始めとする地方都市は、ジャカルタにかないません。

また、ジャカルタに近いことは、バンドンのスタートアップ界にとって強みであるとともに弱みでもあります。有望なエンジニアや起業家がキャリアのためにジャカルタに移るケースも多く、高等教育機関の卒業生の地元定着が課題となっています。

バンドン発のスタートアップ

StartupBlinkが四半期ごとの資金、トラフィック、従業員数を元に発表した、バンドンの2025年版スタートアップランキングを紹介します。

【ベストユニコーン】

eFishery(アグリテック)

バンドンを拠点とする唯一のユニコーン。水産養殖業の持続可能な成長を支援するツールとデジタルプラットフォームを提供。

【補足】
2024年12月、eFisheryの内部告発により、同社が数年間にわたり売上高と利益を水増ししていた疑惑が浮上しました。これを受け、共同創業者であるGibran Huzaifah(ギブラン・フザイファ)氏とChrisna Aditya(クリスナ・アディティア)氏が解任されています。

【ベストスタートアップ】

1位 Evermos(EC

ムスリム向け日用品を取り扱うリセラーとブランドをつなぐデジタルプラットフォームを通し、地方都市の個人が資金不要で販売活動に参加できるモデルを提供。

2位 Waste4Change(サステナビリティ)

企業や個人、自治体向けに廃棄物削減とリサイクル支援を行う環境系スタートアップで、ごみの埋立量削減や教育プログラムも展開。

3位 Finansialku(フィンテック)

個人や家族が資産運用や予算管理を行えるプラットフォームを提供。

4位 ASSEMBLR(アプリケーション開発)

誰でも簡単にAR(拡張現実)コンテンツを作成・共有できるプラットフォームを提供。

5位 Praktis(エンタープライズ・テクノロジー)

ブランドの業務効率を高めるためのサプライチェーン運営支援ツールを提供。

6位 Elevarm (アグリテック)

小規模農家を支援しながら、企業向けに安定した農産物供給を行う農業バリューチェーン最適化プラットフォームを提供。

7位 Gently(コンシューマーグッズ)

自然由来成分にこだわり、安全性とやさしさを重視したパーソナルケアブランドで低刺激のスキンケア製品を展開。

8位 Gelora(エンタープライズ・テクノロジー)

スポーツ施設の予約をオンラインで簡単に行えるデジタルプラットフォームを提供。

9位 MYCL(バイオテクノロジー)

農業廃棄物とキノコ菌糸体を使って開発した再生可能で革のような素材「MYLEA」を製造。

10位 Bobobox Indonesia(スマート宿泊サービス)

手頃な価格で清潔・快適な滞在ができるカプセルホテル型宿泊施設を提供。

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映像でみるバンドンのスタートアップ

バンドンのベストスタートアップ「Evermos」

バンドンのベストスタートアップ「Evermos」

2018年創業のEvermosは、大都市郊外や地方都市における流通ネットワークを構築し、シャリーア(イスラム法)を遵守した統合コマースサービスを提供しています。ユーザーはEvermosのアプリ、講習会、コミュニティなどを通して学習しながら、資金がなくても再販ビジネスを始められます。

Evermosは、家事や育児の合間の時間を使いたい主婦層に、特に人気があります。現在は90万人以上のアクティブセラーと6,400社以上の中小零細企業パートナーを擁する、インドネシア最大の再販売ネットワークになりました。

同社はこれまでに、フォーブス・アジア「100 to Watch賞」、国連女性機関「Indonesian Women Empowerment Principles 2022」、日経アジアアワード2023など様々な業界賞を受賞してきました。将来が期待される、今注目のスタートアップの一つです。

Waste4Changeのリサイクル施設

Waste4Changeのリサイクル施設

2024年に創業10周年を迎えたWaste4Changeは、家庭・オフィス・店舗などの廃棄物を回収し、リサイクルすることで、ごみ削減や、環境問題対策に取り組んでいます。

動画で紹介されているのは、Waste4Changeがバンドン県に建設した「マテリアル・リカバリー・ハウス」です。ここに集まった食品廃棄物はすべて堆肥や家畜飼料にリサイクルされ、最終処分場に運ばれることはありません。プラスチックや金属などは、経験と知識のあるオペレーターにより細かく分別されたあと、提携するリサイクル業者に提供されています。

バンドンはジャカルタ一極集中を打破できるか

バンドンは、優れた教育機関と豊富な技術人材、コストパフォーマンスの高い都市環境を背景に、ジャカルタに次ぐスタートアップ都市として確かなポジションを築きつつあります。ユニコーン企業eFisheryを始めとする多様なスタートアップの活躍は、その成長ポテンシャルを物語っているといえます。

一方で、バンドンのスタートアップエコシステムについては、首都ジャカルタへの一極集中や人材流出といった課題も依然として残ります。今後はエコシステムの自立的発展と外部との連携強化が鍵となるでしょう。

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