インドネシア・バンドンの特徴と日系企業が進出するメリットと注意点

公開
2025/04/17
更新
2025/04/25
この記事は約9分17秒で読めます。

バンドンは、首都ジャカルタから約150km南東にあります。西ジャワ州の州都として政治や経済の中心地であり、製造業や観光、IT分野など多彩な産業が発展する大都市です。2023年にはジャカルタからの高速鉄道が開通し、アクセスが大きく改善されました。

本記事では、バンドンの地理や交通など基本情報を始め、主要産業の特徴や進出のポイントついて、データや動画を交えながら紹介します。

【補足】
本記事の円表記は、2025年4月16日のレート(1ルピア=0.0085円)で換算したものです。

「インドネシア市場の特徴や魅力を調査しておいて」
と上司から突然依頼されてお困りの担当者様へ
「インドネシア 市場調査」とGoogleで検索して調べると簡単なアンケート調査で50万円や、少し手間がかかる調査だと簡単に100万円や200万円を超えたりします。もっと安価に、かつ、全体感を見通せるような市場調査サービスを利用してみませんか。

バンドンの基本情報

インドネシア・西ジャワ州バンドン
グーグルマップより

位置・面積・人口

バンドン(Bandung)は、ジャカルタの南東方向に位置します。ジャカルタの中心部からバンドン市までは、約150㎞の距離があります。

バンドンの面積と人口(2024年)

  • バンドン県:面積 約1,762㎢、人口 約375万3,000人
  • 西バンドン県:面積 約1,287㎢、人口 約188万4,000人
  • バンドン市:面積 約167㎢、人口 約252万8,000人

バンドンは、2つの県と1つの市を合わせると人口が800万人を超える大都市です。10年前の2015年の人口と比較すると、バンドン県は6.2%、西バンドン県は15.7%、バンドン市は1.9%増加しています。

参考:

バンドン県とバンドン市

バンドンには、「西ジャワ州バンドン県」「西ジャワ州西バンドン県」、そして西ジャワ州の州都である「西ジャワ州バンドン市」があります。

インドネシアにおける「県(Kabupaten)」と「市(Kota)」は、行政単位としては対等です。バンドンの場合、バンドン市がバンドン県と西バンドン県に囲まれていますが、県の中に市があるわけではなく、それぞれ独立して西ジャワ州の下に属しています。

バンドン市の市街地にはショッピングモールやビジネスホテルが多く立地しています。一方、バンドン県と西バンドン県の山間部に足を延ばすと、多くのリゾートホテル、ヴィラ、キャンプ場、行楽地があります。北側に隣接するスバン県は、温泉リゾートで有名です。

気候

バンドンは高地にある都市です。盆地になっているバンドン市の低いところでも標高700m前後、山間部は1,000mを超えます。

そのため、基本はジャカルタなどインドネシアの多くの地域と同じ熱帯でありながら、朝晩は冷え込むこともあります。バンドン市の年間平均気温は24.3℃(2023年)で、インドネシア平均の27.2℃よりも涼しいことがわかります。

季節は10月~3月頃の雨季と、4月~9月頃の乾季の2つです。

交通

電車

KAIコミューターが運行する中距離列車、「バンドン・ラヤ線」が、バンドン市の北西に位置するプルワカタ駅(プルワカルタ県)からバンドン市を横断し、バンドン県の東端に近いチチャレンカ駅までを結んでいます。通勤や通学にもよく利用されます。

バス

トランス・メトロ・バンドン(Trans Metro Bandung)

トランス・メトロ・バンドンは、バンドン市が運営する路線バスです。バンドン市内と周辺地域を幅広く結ぶ7路線があります。

メトロ・ジャバル・トランス(Metro Jabar Trans)

西ジャワ州はバンドンの路線バスを2025年にリブランディングし、BRT(バス高速輸送システム)の「メトロ・ジャバル・トランス」として運行を開始しました。JabarはJawa Barat(西ジャワ)の意味です。主にバンドン市内をカバーする6路線が整備されています。

その他

バンドン市およびバンドン県、西バンドン県内のほぼ全域を網羅する路線シェアタクシー「アンコット(Angkot)」が、地域住民の足として親しまれています。

また観光客向けには、バンドロス(Bandros)と呼ばれるツアーバスが運行されています。バンドロスには観光ガイドが同乗しており、バンドン市内を周りながら観光スポットの説明を聞くことができます。

ビザサービス

日本からバンドンへの行き方

日本からジャカルタまで

バンドンにアクセスする場合、一般的にはまず、ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港を目指します。

日本からは、成田空港および羽田空港からスカルノ・ハッタ国際空港への直行便が運航しています。直行便の所要時間は、約8時間です。関西国際空港など他の空港からは乗継便を利用することになります(2025年4月時点)。

なお、バンドン市内にはフセイン・サストラヌガラ国際空港が、バンドン市から北東方向に100㎞ほどのマジャレンカ県にはクルタジャティ国際空港(西ジャワ国際空港)があります。

ただし、フセイン・サストラヌガラ国際空港は現在国内線のみの就航で、クルタジャティ国際空港も日本からの直行便は就航していません。ジャカルタを経由せずクルタジャティ国際空港を目指す場合は、スクート航空を利用しシンガポールで乗り継ぐ方法があります。

ジャカルタ(スカルノ・ハッタ国際空港)からバンドンまで

電車

電車を利用する場合、ジャカルタ・バンドン高速鉄道「Whoosh」が便利です。スカルノ・ハッタ国際空港からジャカルタのハリム駅まではダムリ(Damri)と呼ばれる高速バスが30分ごとに運行しています。運賃は8万ルピア(680円)です。

ジャカルタのハリム駅から西バンドン県に位置するパダララン駅までの所要時間は、約40分です。運賃は通常22万5,000ルピア(1,910円)~35万ルピア(2,970円)で、乗車する便によって異なります。

パダララン駅からバンドン各地へは、バスやタクシーを利用できます。電車でバンドン駅まで行く場合、パダラランン駅で乗り換え、約20分です。

バス

スカルノ・ハッタ国際空港の各ターミナルからバンドン市内まで、高速バス「リンタスシャトル」が運行しています。スケジュールはおよそ30分間隔で、運賃は通常19万ルピア(1,610円)となっています。リンタスシャトルのWebサイトやスマホアプリから予約できます。

前述のダムリは2025年4月時点でバンドンまでの路線を設けていませんが、将来的には開通する可能性もあります。

20250507(964 x 1200 px)

バンドンの主要産業

製造業

バンドン(バンドン県・西バンドン県・バンドン市)には複数の工業団地があり、食品、飲料、繊維、皮革製品、医薬品など、多様なジャンルの製造業が古くから発展しています。少し古いデータですが、バンドン市のGRDP(域内総生産)において製造業が占める割合は、19.4%にのぼります。

バンドンの主な産業団地

チマレメ(Cimareme)工業団地
  • 西バンドン県
  • 繊維産業を中心に、医薬品、化粧品、飲食料品などもさかん
チバドゥユット(Cibaduyut)工業団地
  • バンドン市
  • 革靴を始めとする皮革製品の製造で有名
ランチャエケック(Rancaekek)工業団地
  • スメダン県(バンドン市東隣)
  • 繊維、化粧品、電子部品、飲食料品など多様な製造業がさかん
コポ(Kopo)工業団地
  • バンドン県
  • 繊維、飲食料品、日用品などの製造業がさかん
スカルノ・ハッタ(Soekarno Hatta)工業団地
  • バンドン市
  • スカルノ・ハッタ通りに沿いに工業機械、電子部品、飲食料品などの工場や物流倉庫が多数

観光業

涼しい気候と豊かな自然が魅力のバンドンは、観光地としても人気があります。自然だけでなく、文化面でも国内外からの観光客を惹きつけています。

例えばバンドンは、Tripadvisor「Travelers’ Choice Awards Best of the Best 2024」の「World Trending Destinations」カテゴリーで、インドネシアの都市として唯一、リストに名を連ねました。また、TasteAtlasが発表した「100 Best Food Cities」でトップ10入りを果たしたり、バンドン発のストリートフードがSNSを通じてインドネシア各地に広まったりと、グルメも注目されています。

参考:

バンドンでは観光業をさらに盛り上げ、地域の中小零細企業にビジネスチャンスを提供するため、渋滞の軽減、観光スポット各所のリノベーションなどによる最適化、起業支援やビジネス研修などを積極的に行っています。これに伴い、建設業の需要も高まっています。また、インフラ投資もさかんです。

クリエイティブ産業

ファッション・デザイン

オランダ植民地時代から「Paris van Java(ジャワのパリ)」と称されるバンドンは、新旧の文化が融合したクリエイティブ産業の街としても知られています。

代表的なのが、ファッションやデザイン分野です。バンドンはファッショントレンドの発信地であり、優れたローカルブランドが多数存在します。チハンペラス通り、リアウ通り、ダゴ通りなど、有名なファッションエリアもあります。

映像作品

インドネシアで初めての映画とされる「Loetoeng Kasarung」の撮影地として知られ、「映画の都」の称号を持つバンドンでは、1987年から「バンドン映画祭」が開催されています。その影響もあり、バンドンは映画、舞台芸術、音楽などの分野で才能あるクリエイターを多数輩出しています。

IT・情報通信業

バンドンは、IT・情報通信業の重要な拠点の一つです。2020年、バンドン市のGRDP(域内総生産)における情報通信分野の貢献度は、14.2%となっています。

バンドン市がIT・情報通信分野で注目される理由としては、まず、同市のスマートシティ・プロジェクトが挙げられます。

バンドン市は情報通信技術により行政サービスや経済、社会生活、環境など各分野において、透明性の確保や効率化を推進しています。これまでに、各地域の住民向けに無料のインターネットを整備したり、住民サービス用のスマホアプリを提供したりしてきました。

また、バンドン工科大学、テルコム大学、インドネシア・コンピュータ大学など、情報通信や情報工学分野のスペシャリストを養成する大学の存在も見逃せません。バンドンで育った人材が現地の企業に就職したり起業したりして、バンドンのIT・情報通信業を支えているのです。

こういった理工系の学生を狙って、バンドンでオフショア開発を検討される企業様からのご相談もここ数年増えてきました。もしそういったニーズがあるようでしたら、こちらから弊社までお気軽にお問い合わせください。

代表的なバンドン発の企業には、ゲーム開発会社「Agate」、水産業分野のアグリテック「eFishery」、交通・地域密着型観光テック「Jaramba」、デジタルマーケティング会社「Idea Imaji」などがあります。

首都ジャカルタに近く、インターネットインフラが比較的整っていること、ジャカルタに比べて建物の賃料や物価が安いことなどが、このようなIT系スタートアップ企業の成長に影響していると考えられます。


ここまで記事をご覧いただいて何かご不明点や疑問点があれば、下記よりご質問ください。
一両日中にご返信をさせていただきます。
インドネシアビジネス関連のご質問であれば何でも構いません。

バンドンに進出している日系企業

バンドンと隣接する地域には、以下のような日本企業が生産拠点を設けています。

  • AGCテクノグラス(IWAKI)
  • 広島化成
  • 三栄ケース
  • 阪神電線
  • アウンデ紡織
  • 東洋紡
  • 日野自動車(プルワカルタ県)

他にも日本の自動車・バイクの販売店や修理店、飲食店、コンビニエンスストアなどがバンドン各地に出店しています。パナソニックがショッピングモール「チハンペラス・ウォーク」の照明を手掛けたように、日本企業が特定のプロジェクトに参加する例もあります。

インドネシア進出についての情報が必要な方へ
(クリックすれば読みたい記事へ移動できます)

01

インドネシアの人口ピラミッドや人口推移などについて知りたい

02

インドネシアの平均月収や平均年収について知りたい

03

ジャカルタの物価やジャカルタで暮らす人たちの生活費について知りたい

04

インドネシアを代表する7つの財閥とその主要な事業内容について知りたい

情報が足りなければ、こちらからご連絡をいただければ必要な情報を共有させていただきます。インターネットで1週間や1ヶ月時間を使って調べるよりも、弊社の進出専門家と30分お話いただくだけで、意外と簡単にお悩みが解決できたりするのでおすすめです。

バンドンに進出する上での注意点

道路渋滞

バンドンはインドネシアでも有数の「渋滞の街」で、国際的な調査でも上位にランクインしています。例えば、ナビゲーション機器メーカーのTomTomが発表した世界の渋滞状況に関するレポート「TomTom Traffic Index 2024」では、バンドンが「世界で最も渋滞がひどい都市(人口80万人以上の都市が対象)」の第10位になっています。

バンドン市政府は、道路渋滞が特に観光業に悪影響を与えているとして、道路インフラの整備を進めるとともに、LRT(ライトレールトランジット)の建設を含む統合された公共交通システムの構築を目指しています。

バンドン市内に加えて郊外の行楽地周辺も、休日を中心に大渋滞になることが多くなっています。バンドンに拠点を構える際は、周辺の道路状況を確認しておくことをおすすめします。

洪水

雨季になると大雨が多くなるインドネシアでは、各地で洪水の被害が発生しています。

バンドンも例外ではなく、特にバンドン県の東部や南部で毎年洪水が起こり、甚大な被害が出ることもあります。土地利用や治水に関する管理・計画、開発の許可を出す際の環境調査が不十分なことが指摘されていますが、いまだに効果的な対策を打ち出せていません。

インドネシア進出無料セミナー

初めてインドネシア進出を検討されている企業様向けに、外資・内資法人の設立メリットやデメリットを比較してご説明していきます。

詳しくはこちら >

映像でみるバンドンの街と産業

バンドンの有名スポット

バンドンの有名スポット

こちらの動画で、バンドンの有名なスポットを見てみましょう。

人工芝の緑が鮮やかなバンドン広場、「Gedung sate(サテビル)」の通称で知られる歴史的建造物の西ジャワ州庁舎、長さ2.8㎞のパスパティ橋、そしてスメダン県のアルジャバル大モスクが紹介されています。

パスパティ橋の遠景からは、バンドン市が山々に囲まれた盆地にある大都市だということがわかります。

バンドンの縫製工場

バンドンの縫製工場

「Garment South Legend」は、バンドンの衣料品製造業者です。こちらの動画は、工場に地域の学校関係者が訪れ、ユニフォーム製作の相談をしているところです。

バンドンにはこのような衣料品や皮革製品の製造業者の工場が、多く立地しています。

バンドンの新しい工業団地

バンドンの新しい工業団地

建設中のクタワリンギン(Kutawaringin)工業団地は、バンドン県西部、西バンドン県との境界付近にあります。高速道路の出入り口に近く洪水の被害を受けにくい戦略的なロケーション、広い用地、充実したセキュリティシステムが整った工業団地で、モダンで多機能、多様なニーズに合わせた工場や倉庫を提供しています。

地域の特性を理解した進出戦略を

バンドンは多様な産業が集積し、若く優秀な人材が豊富なインドネシア有数の都市です。涼しく過ごしやすい気候と首都ジャカルタに近い立地は、ビジネス展開の面でも魅力です。人口が増加し、インフラ開発がまさに進んでいる最中というポテンシャルにも注目が集まります。

一方で、深刻な交通渋滞や洪水リスクといった課題も存在し、現地のインフラ状況や行政施策を把握したうえでの進出戦略が重要です。興味をお持ちの企業さまはぜひ一度、弊社カケモチにお問い合わせください。

関連記事内に必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

LINE

インドネシアのバンドンはどこにありますか。

インドネシア・西ジャワ州の州都であるバンドンは、首都ジャカルタから約150km南東にあります。

バンドンの主要産業は何ですか。

バンドンは製造業、観光業、クリエイティブ産業、IT・情報通信業などがさかんです。

バンドンに進出するうえで注意すべき点は何ですか。

道路渋滞や洪水などのリスクがあるため、バンドンに進出を決める前に、候補地周辺の状況をあらかじめ調査しておく必要があります。

読後のお願い

弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。

記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。

そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!

SNSでも積極的に情報発信をしています

おすすめのインタビュー記事

  • 【インタビュー】インドネシアの財閥グループに参画したBeautynesiaの強みとインフルエンサーマーケティングの秘訣

    月間約400万人のインドネシア人女性が訪れるライフスタイルメディア「Beautynesia(ビューティーネシア)」のマーケティング戦略や組織運営をお伺いしました。

  • 【インタビュー】お客さんやスタッフとの綿密なコミュニケーションが成功の鍵。インドネシアで洗車とコーティングを提供する「SENSHA」が歩んだ道のり

    インドネシアで洗車とコーティングを提供するSENSHA INDONESIA・代表取締役の別所陽耶さんへインタビューを実施しました。

すべての記事を見る

インドネシアで会社を設立する際、予算と目的に合わせた設立方法があります。
弊社では豊富な設立実績があるためまずは一度ご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

050-1721-9794

(9:00〜19:00)

カケモチの自己紹介
LINEで無料相談をするLINEで無料相談をする
プロに無料相談をするプロに無料相談をする