自動車運送業分野(ドライバー)で働けるインドネシア人材を採用する方法と費用

公開
2025/07/11
更新
2026/01/01
この記事は約10分39秒で読めます。

2024年、特定技能制度に自動車運送業分野が追加され、外国人ドライバーの受け入れが可能になりました。人手不足が深刻化する日本の運送業界にとって、これは大きな転換点です。運用は始まったばかりですが、今後、多くの外国人ドライバーが誕生するでしょう。

本記事では主に、特定技能制度を利用してインドネシア人ドライバーを採用するための要件や採用の流れ、メリット・注意点などの概要を紹介します。

【補足】
本記事の円表記は、2025年7月10日時点のレート(1ルピア=0.0090円)で換算したものです。

日本の自動車運送業分野で働くインドネシア人の現状

特定技能「自動車運送業分野」

2024年より採用開始

自動車運送業分野は、2024年3月の閣議決定により、在留資格「特定技能1号」で外国人材の受け入れが新たに可能になった分野の一つです。出入国在留管理庁によると、2024年から5年間で合計24,500人の受け入れが見込まれています。

なお、特定技能2号や、技能実習制度の代わりに新設される育成就労制度に同分野を含めるかどうかは、現状では未定です。

3つの業種

特定技能「自動車運送業分野」は、トラック運送業、バス運送業、タクシー運送業の3つの業種に分かれています。

運転免許

特定技能「自動車運送業分野」の在留資格取得のためには、日本の運転免許を取得する必要があります。

居住国の運転免許証があり、日本の運転免許証をまだ持っていない人の場合、まず、在留資格「特定活動」で渡日し、外国免許切替(外免切替)の手続きを行って普通自動車の運転免許証を取得します。国際運転免許証を所持していても、日本の運転免許証がなければ特定技能の在留資格を取得できません。

海外で日本の中型自動車や大型自動車にあたる運転免許を取得している場合も、外免切替手続きにおいては、まずは普通自動車免許を取得する必要があります。その後(日本の普通自動車免許を取得し在留資格を「特定技能」に変更したあと)、要件を満たせば中型自動車や大型自動車への外免切替が可能です。

そもそも運転免許を持っていない場合、一般の日本人と同様に、日本で教習を受けて免許を取得する方法もあります。なお2024年6月から、運転免許の学科試験や外免切替の際の知識確認問題が多言語対応になり、インドネシア語での受験も可能になりました。日程や会場については、各都道府県警察のWebサイトなどで確認できます。

受験資格特例教習

第二種免許および中型免許、大型免許の試験を受けるには、年齢制限(21歳以上など)と経験年数の規定(普通免許等保有年数が3年以上など)があります。しかし、これでは特定技能外国人が就労を始めるまで非常に長い期間を要することになります。

そこで利用できるのが、受験資格特例教習です。この教習を修了すれば、受験資格要件が「19歳以上」「普通免許等保有1年以上」に緩和されます。

在留資格取得の条件

特定技能「自動車運送業分野」の資格取得のために、外国人は以下の試験に合格する必要があります。

トラック
  1. 第一種運転免許
  2. 特定技能評価試験(トラック)
  3. 日本語能力試験N4または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
バス・タクシー
  1. 第二種運転免許
  2. 特定技能評価試験(バスまたはタクシー)
  3. 日本語能力試験N3

自動車運送業分野の特定技能評価試験は、2024年12月に始まりました。日本の各都道府県に設置された会場や、インドネシアの主要都市の会場で受験できます。

特定技能の資格取得に求められる日本語力は、多くの分野が日本語能力試験N4ですが、接客が必要なバスとタクシーの運転手については、N4よりもレベルが高いN3合格が求められます。なお、分野・職種を問わず、第2号技能実習を良好に修了した者については、トラック分野のみ、日本語試験が免除されます。

参考:

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特定技能「自動車運送業分野」によるドライバーの採用

採用の流れ

特定技能「自動車運送業分野」において、海外に居住し、運転免許を持つ外国人材を採用する流れは、以下の通りです。なお、留学、技能実習などの在留資格を持ち、日本に居住している外国人の場合、各種試験を日本で受験することができます。

  1. 外国人が居住国で特定技能評価試験と日本語試験に合格する
  2. 企業と外国人が募集/応募・選考・内定・採用(雇用契約書の締結)のプロセスを進める
  3. 企業と外国人が日本入国準備(事前ガイダンス、在留資格・査証(ビザ)取得など)を行う
  4. 外国人が在留資格「特定活動」で日本に入国する
  5. 外国人が外免切替手続きを進めながら日本語研修を受ける
    ※バス・タクシー運送業は最大12か月、トラック運送業は最大6か月で延長不可
    ※バス・タクシー運送業は外免許切替の後に二種免許を取得
    ※在留資格「特定活動」でも車両の清掃等の関連業務に従事することは可能
  6. 外国人が在留資格を「特定技能」に変更
  7. 就労開始

このプロセスの中で、「特定活動」で取得が認められるのは普通自動車免許(一種・二種)の取得のみです。目的が達成されたら、在留期限を待たずに在留資格を変更する必要があります。大型免許など他の運転免許が必要な場合、在留資格の変更後に取得します。

受け入れ機関になる条件

企業など外国人を雇用する機関は、受け入れ機関(特定技能所属機関)としての条件を満たしていなければなりません。全産業分野に適用される条件としては、「1年以内に解雇者がいない」「1年以内に行方不明者がいない」「5年間出入国・労働法違反がない」など、企業の適正に関する項目があります。

加えて、特定技能外国人に対する支援体制が整い(登録支援機関に委託可)、適切な支援計画を立てている必要があります。雇用契約が適切であることは言うまでもありません。

また、自動車運送業分野においては、以下のような条件があります。

  1. 道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営していること
  2. 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員となること
  3. 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」に基づく認証を受けていること
    ※トラック運送業の場合、全日本トラック協会による「Gマーク制度」に基づく認定も可

参考:

自動車運送業分野特定技能協議会への入会

特定技能「自動車運送業分野」の受け入れ機関になるには、出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になる必要があります。申請は、国土交通省WebサイトからGoogleフォームで行います。

入会が受理されると、事務局から登録番号が送付されます。入会費などの費用は、現状では徴収されていません。なお、同分野に関係する登録支援機関も、協議会への入会が求められます。

原則1対1で直接採用可能

特定技能制度では、原則、候補者と受け入れ機関は1対1のやりとりで採用を決定できます。

しかし、現状では候補者個人と企業が直接つながるのは難しく、インドネシアの場合は政府から認可を得た移民労働者紹介会社(P3MI)を通すのが一般的です。日本の受け入れ機関は、提携するP3MIに求人情報を提供し、候補者探しやマッチングを依頼することができます。

インドネシア側のシステムとしては他に、政府が運用するオンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」もあります。また日本側も、各産業分野の管轄省庁や業界団体が、交流会の開催やマッチング支援などを行っています。

インドネシア政府は特定技能制度を活用した人材派遣に力を入れる方針で、マッチングシステムの強化を目指しています。現状ではP3MIやIPKOLの利用は候補者にとっても受け入れ機関にとっても任意ですが、今後、制度の変更がある可能性もあります。

採用後のサポート

特定技能1号外国人の場合、受け入れ機関には定められたさまざまな支援を行う義務があります。例えば、事前ガイダンス、出入国時の送迎、公的手続きへの同行などです。受け入れ機関としての基準を満たしてはいるものの、定められたすべての支援を自ら実施するのが難しい受け入れ機関は、この業務を登録支援機関に委託することができます。

費用は機関や支援内容により、外国人1人あたり、初期費用30~40万円、就労開始後は月額2~4万円程度となっています。

必要な支援をすべて受け入れ機関が行う場合も、特に初期には準備や人材育成にそれなりの時間とコストがかかります。そのため、特に外国人材を初めて受け入れる企業の場合、登録支援機関の利用も検討する価値があります。

仕事内容

バス・タクシー運転手の主な仕事内容は、運行業務と接遇業務です。トラック運転手は、運転業務と荷役業務とされています。

付帯業務については、その会社に雇用されている日本人ドライバーが、通常、業務として行う内容であれば、特定技能外国人でも従事できるとされています。例えば、車内清掃作業、営業所内清掃作業、運賃精算などが挙げられています。

参考:

メリット・デメリット

人材の質

特定技能制度で就労する外国人は、技能試験と日本語試験に合格してから日本に来ます。ある程度の知識や技能が身についているため、即戦力になるというメリットがあります。

ただ、試験に合格しているとはいえ、初めて日本で働く外国人は、多かれ少なかれ不安を感じています。特に運転手という仕事とは切り離せない交通事故のリスクは、企業だけでなく、従業員にとっても大きな不安要素です。日本の環境や仕事に不慣れな間は、お互いが納得・安心できるきめ細やかな指導や支援、配慮が必要です。

雇用の安定性

特定技能には1号と2号があり、最初は1号からスタートします。特定技能1号の在留期間は最大5年で、2号になると無期限になります(特定技能2号に自動車運送業分野が追加されるかどうかは未定)。自社になじんだ優秀な人材を長く雇用できる可能性がある一方、特定技能制度では転職が可能である点に注意が必要です。

なお、特定技能「自動車運送業分野」の外国人の雇用は直接雇用で、派遣は認められていません。また、フルタイムで業務に従事するものとされています。

コスト面

採用前~渡日までのコスト

採用前については、人材派遣会社を利用する場合、紹介料などの費用がかかります。また、場合によっては外国人の渡航費、ビザ申請費用、運転免許取得費用などを負担する必要があります。

自動車運送業分野の場合、運転免許取得と、それに向けた教育が必要であるため、他の分野に比べて就労前のコストが高くなる傾向があります。一般的に、初期費用は30万円前後ですが、自動車運送業分野では50~60万円になるケースもあります。

就労開始後のコスト

特定技能制度では、技能実習制度で義務となっているような監理団体との契約は不要です。そのため採用後は、登録支援機関に外国人支援を委託しない場合、別の機関への月ごと、年度ごとの支払いは発生しません。継続的に発生するコストとしては、支援、研修、各種補助・手当のための費用が挙げられます。

特定技能外国人の給与

外国人であっても、労働時間や給与などの労働条件は、日本人労働者と同等にする必要があります。

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インドネシアにおける自動車運送業分野の現状

インドネシアで自動車運送業に従事するには

応募方法

まず前提として、インドネシアでは新卒一括採用は行われず、企業は必要な時期に必要な人数を募集します。運送業に限らず、最も一般的なのが、親戚や学校の先輩などからの紹介、つまりコネ入社です。

加えて、企業のWebサイトやSNS、求人情報サイトなどに掲載される求人に応募したり、地域の就職フェアなどのイベントに参加して応募したりする方法があります。物流ドライバーの場合、運送業者のほか、製造業者や外食業者などが募集するケースがあります。

トラック運転手になるための要件

インドネシアでトラック運転手の求人に応募するには、営業用大型免許(SIM B2 Umum)を所有している必要があります。営業用大型免許取得までには、普通自動車免許の取得から最低でも4年必要です。

バス・タクシー運転手になるための要件

インドネシアで路線バスや観光バスの運転手の求人に応募するためには、一般的に、営業用中型免許(SIM B1 Umum)または営業用大型免許(SIM B2 Umum)が必要です。

タクシーの場合、正式に運転手になるには営業用普通自動車免許(SIM A Umum)が必要ですが、企業によっては、普通自動車免許(SIM A)または中型免許(SIM B1)のみでも応募できます。他に、「運転免許取得後1年以上経過していること」などの要件がある場合もあります。

なお、GojekやGrabのような配車アプリのパートナードライバーについては、営業用普通自動車免許(SIM A Umum)が必要です。

バス・タクシー共に、多くの場合、20代から50代まで、幅広い年齢の人が応募できます。

インドネシアの自動車運送業従事者の給与

インドネシアでは中央統計庁(BPS)が業種別の平均月給の統計を出していますが、運転手に限定したデータはありません。これには、一言に「運転手」といっても雇用形態や給与体系がさまざまで、データを集めにくく、統計を出しにくいことが関係している可能性があります。

求人や給与に関するWebメディアやニュースメディアの情報を総合すると、タクシー大手BlueBirdの運転手の平均月給は500万~600万ルピア(4万5,000~5万4,000円)、ジャカルタの路線バスTransJakartaでは月給700万~800万ルピア(6万3,000円~7万2,000円)前後です。ただし、業界全体では月給200万~1,000万ルピア(1万8,000円~9万円)程度の幅があります。

バス・タクシー、トラック運転手の給与額は、企業、雇用形態・給与体系、勤務地、経験などによって大きく異なります。またこの職種では、給与が月収ではなく出来高によって支払われることも一般的で、仕事の繁閑によって毎月の給与額に差が出る人もいます。

インドネシアの自動車運送業のイメージ

トラック運転手

インドネシアにおいてトラック運転手は、一般的に「きつい仕事」というイメージを持たれています。これは、運転する距離の長さ、荷物の積み降ろしなどの業務の過酷さ、長時間労働、交通事故などのリスク、給与の低さなどが関係しています。また、トラック運転手を不法な条件(給与が低いなど)で雇用する企業があることも問題視されています。

このような事情から、若者人口が多く失業率が高いインドネシアでも、トラック運転手の仕事は敬遠されがちで、人手不足が指摘されています。

バス・タクシー運転手

一方、バスやタクシーの運転手に対する社会的なイメージは、比較的ポジティブです。特にBlueBirdのような大企業や政府系交通機関の場合、その傾向は顕著です。多くの市民が、このような有名企業・交通機関の運転手は概してよいサービスを提供していると評価しています。

また運転手本人にとっても、法に則った規則的な労働時間、仕事量に見合った給与額が魅力です。

【動画】自動車運送業分野のインドネシア人ドライバー

初めての外国人バス運転手

初めての特定技能外国人バス運転手

インドネシア出身のイユスさんは、2024年12月の技能評価試験に合格し、自動車運送分野で全国初の合格者となりました。日本語試験にはすでに合格しており、大型二種免許も取得済みで、実務研修などを経て本格的に運転手としての業務を開始します。

特定技能外国人の多くは、元技能実習生です。自動車運送業の場合、同じ産業分野の技能実習生はいませんが、留学、技能実習、その他の就業ビザでもともと日本にいる人からの採用が近道といえます。

日本でドライバーになるための研修

日本でドライバーになるための研修

こちらは日本でドライバーになるため、インドネシアで研修を受ける人たちの様子です。動画の前半では座学の様子が、後半では外に出て、実際に安全確認を行う様子が紹介されています。

インドネシアは日本と同じ、右ハンドル・左側通行の国ですが、道路標識、道路環境、運転のルール・マナーには違いがあります。職業訓練を受ける生徒たちは、運転のスキルだけでなく、日本の労働文化や労働倫理、運転マナーなども学び、日本での就労を目指します。

特定技能「自動車運送業分野」の今後の展開に注目

特定技能制度に自動車運送業分野が追加されるまで、バス・タクシー、トラックのドライバーになれる外国人は、「永住者」など日本人と同じ条件で就業できる一部の在留資格を持つ人に限られていました。それが特定技能外国人に広がったことは、たいへん大きな変化です。背景に運送業界の人手不足があることは、いうまでもありません。

特定技能外国人の採用は、企業のドライバー不足や高齢化の解決策になり得ます。一方で、他の分野に比べて教育や資格取得のため、時間や費用がかかることには注意が必要です。

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日本でインドネシア人はトラックやバスの運転手として働けますか?

2024年から特定技能制度に自動車運送業分野が追加され、インドネシア人もバス・タクシー・トラックの運転手になれるようになりました。

特定技能で日本に来るドライバーに必要な条件は何ですか?

インドネシア人を含め、外国人が特定技能制度により日本でバス・タクシー・トラックのドライバーになるには、日本語試験と技能試験に合格し、日本の運転免許を取得する必要があります。

外国人ドライバーの派遣は可能ですか。

特定技能制度を利用する外国人ドライバーは直接雇用で雇用する必要があり、派遣は認められていません。

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