インドネシアのサービス業界で日系企業が掴むビジネスチャンス

公開
2025/09/25
更新
2026/01/01
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弊社には毎日のようにインドネシア進出の相談がありますが、総じて、モノを扱うビジネスの進出ハードルは高いです。

テスト営業的にモノを販売する時でも、各種の輸入申請が必要になり、雑貨などであれば早ければ3ヶ月以内で輸入申請が取れますが、健康食品やサプリメントなどは1年近く時間がかかることもあります。

一方で、サービスであれば物理的にモノをインドネシアに運ぶわけではないので、素早く展開が可能です。一昔前と違い、現在のインドネシア、特に首都のジャカルタでは一人当たりの所得水準が高まり、購買力が増しています。

このタイミングを逃さずに、自社のサービスをインドネシア人見込み客に販売するための、カジュアルなインドネシア進出を目指してみませんか。

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3経済の魅力
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インドネシア経済の現在地点

安定的な経済発展

海外進出事業部などに所属している人を除けば、一般的な日本人がインドネシアに抱くイメージは「ASEANのどこかの国」といった漠然としたものにとどまっていることが少なくありません。

経済規模についても、必ずしも発展途上国とまでは思われていないものの、それに近い小規模な国だと理解されている場合が多いようです。

また、日々のビジネスニュースやビジネス誌でインドネシアが特集されることはほとんどなく、欧米、中国、韓国などと比べると、インドネシアに関するビジネス情報に触れる機会は圧倒的に少ないのが現状です。そのため、多くの日本人が上記のような印象しか持てないのも無理はないのかもしれません。

実際には、インドネシア経済はすでに相応の規模を誇っています。名目GDPでは世界第16位に位置し、オランダやスペインを上回り、メキシコや韓国に迫る水準です。さらに、2030年代には世界トップ10入りを果たすとも予測されています。

東南アジアの中では当然ながら最大規模であり、しばしば比較対象となるタイやベトナムと比べても、その経済規模は2倍から3倍以上に達しています。

所得水準の上昇と中間層の拡大

ジャカルタでは、一人当たり所得の上昇に伴い、消費意欲の高い中間層が急速に拡大しています。外食、教育、娯楽、フィットネスといった分野を中心に、生活水準の向上を背景とした新しいサービスへの需要が高まっています。

実際にジャカルタを訪れると、その変化を肌で感じることができます。中間所得層以上が集うショッピングモールでは、店内の商品やサービスの価格は日本とほぼ同等、あるいはそれ以上の水準に達しています。例えば、カフェラテ1杯が約600円、ユニクロの衣料品も日本と同等かやや割高です。さらに、ランチをモール内で食べると多くの店で1000円前後かかります。

この実態を踏まえると、インドネシア全体の平均月収が約4万円と言われる一方で、ジャカルタの生活コストは格段に高いことがわかります。昨年ジャカルタ当局が発表したデータによれば、同市の1世帯あたりの平均生活費はすでに15万円を超えており、地方との格差は顕著です。

つまり、ジャカルタでは中間層の台頭により都市生活の質が大きく変わりつつあり、サービス市場の成長余地は非常に大きいといえます。

若年層の多さと人口ボーナス

インドネシアは世界で4番目に大きい人口を抱えています。インド、中国アメリカについて約2億8000万の人口を抱えています。

また、平均年齢が30歳前後と若く、デジタルリテラシーの高い層が増加しています。若年層は教育、エンタメ、金融サービスの主要な消費者層であり、今後長期的に市場を支える存在となります。

なお、インドネシアの人口は現在でも増え続けており、2030年には3億人を突破する勢いで人口が増えています。人口ボーナスが今なお続いている非常に魅力的な市場だといえます。

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インドネシア人の消費行動

デジタル化とスマホ普及率の高さ

インドネシアではスマートフォンの普及率が高く、ECやキャッシュレス決済も急速に浸透しています。そのため、SaaS、オンライン教育、デジタルヘルスケアといったデジタル完結型サービスが拡大しやすい環境が整っています。

一方で、日本と異なりiPhoneのシェアは低く、利用率は全体の1割程度にとどまります。圧倒的多数がAndroidユーザーであることは、アプリ開発やサービス提供の戦略に直接的な影響を及ぼします。特に、ユーザー体験の最適化や課金モデル設計においては、Android市場を主眼に置いたアプローチが不可欠です。

さらに、首都ジャカルタでは公共エリアを中心に無料Wi-Fiが広く整備されています。その結果、多くのユーザーが空き時間に無料ゲームを楽しんだり、SNSを常時利用する習慣が根付いています。この行動特性は、広告やオンラインサービスの利用促進にも大きな可能性をもたらします。

総じて、インドネシア市場は高いデジタル親和性を背景に、オンラインサービスが受け入れられやすい土壌を持っています。ただし、プラットフォームの選択やユーザー行動の特性を十分に踏まえた戦略設計が求められます。

SNS主導の購買行動

インドネシアでは、InstagramやTikTokといったSNSが購買決定に大きな影響を与えています。インフルエンサーの発信は商品の信頼性を高める役割を果たしており、ECとSNSがシームレスに結びついた「ソーシャルコマース」が急速に拡大しています。

一方で、日本との違いとして注目すべきはリスティング広告の活用方法です。インドネシアでもリスティング広告は消費行動に影響を与えていますが、その後の導線設計は日本と大きく異なります。日本では長文のランディングページで商品理解を深めさせる手法が一般的ですが、インドネシアではこうしたページはほとんど利用されていません。

その背景には、インドネシアの消費者が長文を読むことを好まず、直感的で簡潔な情報を求める傾向があることが挙げられます。実際、広告をクリックすると、多くの場合は直接ECサイトや企業のコーポレートサイトに遷移するよう設計されています。

このような小さな違いも、インドネシア市場でサービスを拡大していく上では重要な考慮要素となります。SNSを活用した購買喚起と、シンプルな広告導線を組み合わせることが、現地消費者に最も効果的にアプローチする鍵となります。

サブスクリプションモデルへの抵抗感の低下

音楽、動画、教育、フィットネスといった分野で、月額課金型のサブスクリプションサービスは急速に普及しています。かつては「所有すること」に価値を置く傾向が強く見られましたが、現在ジャカルタでは特に若年層を中心に「必要なときにアクセスできること」に価値を見出す消費スタイルが定着しつつあります。

一方で、こうしたサービスの普及に伴い、1つのアカウントを複数人で不正に共有し、利用するケースも少なくありません。日本でも見られる行為ですが、海外ではさらに広く行われているのが実情です。

特に、音楽や動画など家庭で気軽に楽しめるサービスは不正利用の温床となりやすく、提供事業者にとっては収益面で大きなリスクとなります。一方、フィットネス系のサービスは個人の身体情報や進捗管理と紐づくため、本人以外が利用することは難しく、不正利用の可能性は比較的低いといえます。

したがって、今後サブスクリプション型サービスを展開する際には、分野ごとの不正利用リスクを見極め、利用環境の制御やアカウント管理の強化といった対策を講じることが不可欠です。

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日系SaaS系企業の進出事例

JOSYSは2023年10月、現地IT企業であるIDstarおよびIFT Groupと提携し、インドネシア市場への展開を公式に発表しました。SaaSやデバイスの統合管理を強みとする同社は、パートナーシップを通じて現地での事業基盤を築いています。

一方、Cybozuは業務アプリ構築PaaS「kintone」を軸に、マレーシアなど東南アジア拠点から域内での展開を強化しています。インドネシアではKDDI Indonesiaを通じて提供ページが公開されており、公式パートナー網にも同国が含まれるなど、現地での販売・導入体制が整備されています。

さらに、Money Forwardは自社SaaSを直接展開する形ではなく、投資や提携を通じて現地市場に深く関与しています。同社はインドネシアの大手SaaS企業Mekariの資金調達をリードし、パートナーシップを拡大することで、市場へのコミットメントを強めています。

社会課題解決型サービスの需要

交通渋滞、医療アクセス不足、教育格差など、インドネシア特有の課題を解決するサービスは強い需要があります。日本企業が得意とする「品質」や「信頼性」はこうした分野で特に競争力を発揮します。

Evermos」

2018年創業のEvermosは、大都市郊外や地方都市における流通ネットワークを構築し、シャリーア(イスラム法)を遵守した統合コマースサービスを提供しています。ユーザーはEvermosのアプリ、講習会、コミュニティなどを通して学習しながら、資金がなくても再販ビジネスを始められます。

Evermosは、家事や育児の合間の時間を使いたい主婦層に、特に人気があります。現在は90万人以上のアクティブセラーと6,400社以上の中小零細企業パートナーを擁する、インドネシア最大の再販売ネットワークになりました。

同社はこれまでに、フォーブス・アジア「100 to Watch賞」、国連女性機関「Indonesian Women Empowerment Principles 2022」、日経アジアアワード2023など様々な業界賞を受賞してきました。将来が期待される、今注目のスタートアップの一つです。

Ruangguru(小中高校生向けオンライン・オンサイト塾)

Ruangguruはインドネシアの教育系スタートアップ企業の代表格Ruang Raya Indonesia(2014)が提供するオンデマンド授業サービスで、3,800万人が利用しています。

同社はRuangguruの他、オンラインチューターサービス、企業の従業員向けプログラム、小学生以下の子ども向けのライブティーチングやアニメーションプログラム、オンライン英会話教室、そしてオンライン授業と組み合わせることができる対面授業の塾など、様々なカテゴリーのサービスを提供しています。

2022年7月の報道によると、Ruangguruの評価額は8億ドルを超えており、あと一歩で10億ドルに届いて「ユニコーン企業」になるとされています。

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日本ブランドへの信頼

製造業や自動車産業で築かれた「日本=高品質・信頼性」というブランドは、サービス業にも転用可能です。金融、教育、ヘルスケアといった信頼性が重要な分野では特に優位性があります。

輸入規制の影響を受けにくいことに加え、所得水準の上昇、デジタル化、若年層の多さ、社会課題の存在など、インドネシアは日系サービス企業にとって極めて魅力的な市場です。

すでに一部のSaaS企業が進出しているように、今後も幅広い業種で日本企業の活躍余地が拡大していくと考えられます。

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