インドネシア・ボゴールの特徴と日系企業が進出するメリットと注意点
- 公開
- 2025/04/12
- 更新
- 2025/04/29
- この記事は約7分22秒で読めます。
インドネシア・ジャワ島西部に位置するボゴールは、農業・観光・製造業など多様な産業が発展している地域です。ジャカルタからのアクセスの良さや開発余地のある広大な土地を背景に、リゾートや住宅地の開発、工業団地の整備が進んでいます。
本記事では、そんなボゴールの基本情報、アクセスや主要産業、そして日系企業にとってのメリットや注意点について紹介します。
【補足】
本記事の円表記は、2025年4月11日のレート(1ルピア=0.0085円)で換算したものです。
お試しで新規事業を行いたい企業様へ
ボゴールの基本情報

位置・面積・人口
ボゴール(Bogor)はデポック市を挟んだ、ジャカルタの南側に位置します。ボゴール県は東西に広く、東側は西ジャワ州ブカシ県、西側はバンテン州タンゲラン県と接しています。
- ボゴール県:面積約2,992㎢、人口約568万2,300人(2023年)
- ボゴール市:面積約118.5㎢、人口約107万700人(2023年)
ボゴール県の人口は、10年前の2014年の533万人から6.6%増加しています。ボゴール市の人口は、103万人から3.9%の増加です。
ボゴール県とボゴール市
ボゴールには、「西ジャワ州ボゴール県」と「西ジャワ州ボゴール市」があります。
インドネシアにおける「県(Kabupaten)」と「市(Kota)」は、行政単位としては対等です。ボゴールの場合、ボゴール市を囲むようにボゴール県が広がっていますが、「県の中に市がある」わけではなく、それぞれ独立して西ジャワ州の下に入っています。
ボゴール市の市街地にはショッピングモールやビジネスホテルが多く立地しています。一方、ボゴール県の山間部に足を延ばすと、多くのリゾートホテル、ヴィラ、キャンプ場があります。
参考:
- BPS Kabupaten Bogor「Luas Wilayah (km2), 2022-2024」「Jumlah Penduduk Kabupaten Bogor (jiwa), 2022-2024」
- BPS Kota Bogor「Luas Wilayah Menurut Kecamatan (Km persegi), 2020-2023」「Penduduk Kota Bogor Berdasarkan Kelompok Umur dan Jenis Kelamin (Jiwa), 2014-2023」
気候
ボゴール県には標高2,000~3,000メートルの山々があり、標高が高い地域では、朝晩に気温が20℃を下回る日もあります。
平地の気候はジャカルタなど他の地域と同様で、年間の平均気温が約26.5℃の熱帯気候です。季節は10月~3月頃の雨季と、4月~9月頃の乾季の2つです。雨季には各地で雨が続きますが、ボゴールは特に雨が多いことで知られます。
- 参考:BPS Kabupaten Bogor「Rata-rata Suhu Udara Menurut Bulan di Kabupaten Bogor (°C ), 2022-2023」
交通
電車
ボゴール市のボゴール駅からジャカルタまでは、通勤列車「KRLコミューターライン」が利用可能です。一方でボゴール県の大部分は山がちなこともあり、鉄道が整備されていません。
バス
ボゴール市
ボゴール市が運行する路線バス「Bis Trans Metro Pakuan(旧称BisKita Trans Pakuan)」が、ボゴール市内全域をカバーしています。
ボゴール県
ボゴール県は2024年12月から、デポック市との境界付近の地区ボジョン・グデ(Bojong Gede)とセントゥル(Sentul)を結ぶEVバスの運行を開始しました。
より広域には、路線シェアタクシー「Angkot(アンコット)」が運行しています。アンコットは運行ルートを把握していないと利用しづらいものの、ルート内であれば好きなところで乗車・下車できることがメリットで、地元住民の足として親しまれています。
インドネシアへの進出についてもっと情報が必要な方へ
(クリックすれば読みたい記事へ移動できます)
情報が足りなければ、こちらからご連絡をいただければ必要な情報を共有させていただきます。インターネットで1週間や1ヶ月時間を使って調べるよりも、弊社の進出専門家と30分お話いただくだけで、意外と簡単にお悩みが解決できたりするのでおすすめです。
日本からボゴールへの行き方
日本からジャカルタまで
ボゴールの最寄りの国際空港は、ジャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港です。
日本からは、成田空港および羽田空港からスカルノ・ハッタ国際空港への直行便が運航しています。所要時間は約8時間です。関西国際空港など他の空港からは乗継便を利用することになります(2025年4月時点)。
ジャカルタ(スカルノ・ハッタ国際空港)からボゴールまで
電車
「スカルノ・ハッタ国際空港駅」からスカルノ・ハッタ空港鉄道線で、ジャカルタのターミナル駅であるマンガライ駅まで約55分。ボゴール線に乗り換えてボゴール駅まで約1時間です。東部のナンボ駅に向かう路線へは、ボゴール線のチタヤム駅で乗り換えます。空港からマンガライ駅までの運賃は7万ルピア(600円)、マンガライ駅からボゴール駅までは5,000ルピア(43円)です。
バス
スカルノ・ハッタ国際空港の国際線ターミナル(ターミナル3)のバス停からボゴールへは、Damri(ダムリ)と呼ばれるバスが運行しています。
行先は、ボゴール駅からも近いショッピングモール「ボタニスクエア」と、ボゴール県北部の「チビノンシティモール」です。ボタニスクエア行きは運賃13万ルピア(1,110円)、チビノンシティモール行は運賃12万ルピア(1,020円)です。
タクシー
スカルノ・ハッタ国際空港からボゴール市中心部までは、約85㎞あります。スムーズなら、所要時間は車で1時間半ほどです。空港からは、信頼できるタクシー会社として知られるブルーバードタクシーを利用できます。料金は45万ルピア(3,830円)前後で、別途高速道路料金が必要です。
ただし、交通渋滞が世界屈指に酷いと言われているジャカルタを通るので、時間帯によってはボゴールまで4時間も5時間もかかることがあります。タクシーで行くよりは、レンタカーを1日借りた方が良いと言えます。
ボゴールの主要産業
農業
ボゴール県では、キャッサバ、ニンジンなどの野菜、マンゴー、ドリアンなどの果物、茶、コーヒー豆など、多様な農作物が生産されています。また、畜産業も盛んです。
ボゴールは観光地としても人気があり、農業と観光を組み合わせたアグリツーリズムも注目されています。田植えや果物狩り、畑作業などを体験できる大規模な観光農園を兼ねたレジャー施設や宿泊施設も多数あり、個人だけでなく学校団体などの遠足にも対応しています。
製造業
ボゴールには、ボゴール工業団地、セントゥル工業団地という2つの工業団地があります。
ボゴール工業団地はデポック市との境界に近い幹線道路沿いにあり、食品、建築資材、工業用品などさまざまな企業の工場が建ち並びます。
セントゥル工業団地は、近年住宅地や行楽地として注目されるセントゥル地区に、2025年中の完成を目指して建設中です。すでに多くの企業が工場や倉庫を構えており、周辺では住宅、商業施設、ホテルの建設も進んでいます。高速道路も整備され、ジャカルタ方面からのアクセスも良い地区です。
食品加工業
製造業のなかでも農業が盛んなボゴールで特徴的なのが、食品加工業です。ボゴールに生産拠点を構える大手食品製造業者としては、PT Nutrifood Indonesia(ニュートリフード・インドネシア)、 PT Cisarua Mountain Dairy Tbk (チサルア・マウンテン・デイリー)などがあります。
牛乳やヨーグルトで有名ブランド「Cimory」を展開するCisarua Mountain Dairyは、ボゴールでレストランやレジャー施設も運営しています。
観光業
「雨の街」として知られるボゴールでは、涼しい気候と自然豊かな環境を活かした観光業が盛んです。規模が大きく昔から有名なのはボゴール植物園やサファリパークで、他にも、公園、プール、アミューズメントパークなどが多数あります。
山間部にはリゾートホテル、ヴィラ、グランピング・キャンプ施設が多く、ジャカルタ周辺の住民が泊りがけで休暇を過ごすための身近で手軽な選択肢になっています。観光客に対応するための飲食店の需要も高いといえます。
トレッキング、ラフティング、キャンプなどのアクティビティを提供するレジャー施設や企業・団体もあります。
不動産業
ボゴールはジャカルタから比較的近いこともあり、ベッドタウンや行楽地として注目されています。開発可能な土地も広く、住宅地やリゾート施設が次々と建設されています。住民の増加に合わせて、企業のオフィスや店舗を集めたビジネスエリアも各地にできています。
ここまで記事をご覧いただいて何かご不明点や疑問点があれば、下記よりご質問ください。
一両日中にご返信をさせていただきます。
ボゴールに進出している日系企業
ボゴールに工場やオフィスなどを持つ日本企業を紹介します。
- 住友電工
- パナソニック(ソリューション&イノベーションセンター)
- シャトレーゼ
- アンデルセングループ
- グンゼ
- コニシ
ボゴール県の南隣にあるスカブミ県には、大塚製薬(ポカリスエット)やヤクルトの工場があります。また北隣のデポック市には、ヤンマー、YKKなどの工場があります。
インドネシアで雇用代行サービスを活用してみませんか
下記からインドネシアにおける雇用代行サービスを解説した無料の資料ダウンロードができます。
同時に、ニュースレターの無料会員にもご登録されますので予めご了承ください。無料なので試しに一度ご覧いただき、お役に立てなければご解約いただければと思います。メール文中からワンクリックで解約できます。
ボゴールに進出する上での注意点
ジャカルタに近く広い土地を確保でき、さまざまな産業が盛んなボゴールですが、進出する上では注意点もあります。
道路渋滞
ボゴールでは、山間のレジャー施設が集まるエリア「puncak(プンチャック)」の渋滞が特に有名です。この地域では土日や連休中、「ワンウェイ」と呼ばれる交通規制が行われます。これは一定の時間、上下どちらかの車の流れを止め、もう一方のみを流す規制で、タイミングによっては通り抜けるのに想定以上の時間を要します。
また近年は、セントゥルも渋滞することが増えています。住宅地が開発され住民が増えていることに加え、レジャー施設が増えていることが影響しているようです。
ボゴールに限りませんが、インドネシアに拠点を構える際には、周辺の交通状況を把握しておくことが重要です。
環境への配慮
自然豊かなボゴールでは特に、地域の開発、工場などの建設にあたって、環境へ配慮することが求められます。
最近では、ボゴール県で建設中のリド特別経済区(KEK Lido)建設のプロジェクトが、環境林業省により一時停止されたことがニュースになりました。すべての環境許認可を満たしていることが確認されない場合、区域の封鎖や遅延金の課徴などの行政処分が行われます。
一方で、環境に配慮する企業姿勢を示せれば、地域社会に向けたアピールになります。
例えばボゴール工業団地では、企業に製造過程において環境に優しい技術の導入が推奨されています。地方政府や工業団地、ビジネス地区が設定する方針に沿って、環境に配慮した事業を展開することが重要です。
大雨災害
ボゴールはインドネシアのなかでも特に雨が多い地域です。山がちなことや、インフラが脆弱な地域が多いことから、雨季になると大雨や洪水により、毎年のように被害が出ます。
新しく住宅地、工業団地、ビジネス地区などを建設する場合には、洪水の少ないエリアが選ばれていることが多いものの、周辺の地域で被害が出れば、物流や従業員の生活に支障が出る可能性があります。ボゴールへの進出を検討する場合、拠点の周辺だけでなく、より広い範囲の環境をあらかじめ確認しておくと安心です。
トレンドの変化と競争
ジャカルタで既に複数の店舗を展開するブランドが、次なるエリアの1つとして視野に入れるのがボゴールです。開発が進み、新しい若い世代の住民が増えている影響もあり、ボゴールにはインドネシア各地から大手ブランドが店舗展開を進めています。
インドネシアでは概して、ジャカルタで成功した飲食店やアパレルブランドがボゴールやデポックなどの郊外都市、そして地方都市に進出する流れになることが多く、海外ブランドも例外ではありません。国内で店舗数を増やしたいブランドは、競合他社の動きやトレンドに、常に注目しておく必要があります。
映像でみるボゴールの街と産業
ボゴールのアグリツーリズムスポット

広い茶畑が広がるこちらは、アグリツーリズムを実施するレジャー施設Gunung Mas Wisata Puncak(グヌン・マス・ウィサタ・ブンチャック)です。こちらの施設では数十ヘクタールの面積を誇る茶畑を、リフトや遊歩道から見学できます。
エリア内にはレストラン、宿泊施設、キャンプ場、プール、サッカー場、釣り堀などがあり、個人の旅行のほか、遠足や企業のイベントなど、さまざまな用途で利用できます。乗馬やATV(四輪バギー)、パラグライダーなどのアクティビティも充実しています。
セントゥル工業団地

セントゥル工業団地では、工場のほか、さまざまな規模の倉庫が提供されています。
こちらはオフィスと倉庫が一体となった、比較的コンパクトな建物です。高速道路の出口から近く、緑豊かな工業団地の様子がわかります。
地域特性を理解した進出計画を
ボゴールは、ジャカルタからのアクセスが良く、多様な産業や観光資源を有する魅力的な地域です。
内陸の広い土地の確保が可能であることや、成長市場としての将来性など、多くのビジネスチャンスが存在する地域ですが、一方で、交通渋滞や自然災害などのリスクもあります。
インドネシア進出の際は、地域特性をしっかりと理解することが重要です。興味をお持ちの企業さまは、ぜひ一度、弊社カケモチまでお問い合わせください。
関連記事内に必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
インドネシアでの新規ビジネスに関わる方へ
最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。
どのような進出形態を検討していても、その進出方法だけに固執はしないでください。進出ハードルが高いインドネシアでは、リスクを管理して慎重にステップを踏みながら進出することをおすすめしています。
-
市場調査フェーズ
会社を作らない
-
雇用代行フェーズ
会社を作らない
-
会社設立フェーズ
会社を作る
*上記のサービス名をクリックすれば詳細ページまで移動します。
-
インドネシアのボゴールはどこにありますか。
-
ボゴールはジャワ島西部にあります。ジャカルタの南側に位置し、ボゴール市の市街地に近いボゴール駅まではジャカルタから電車でアクセス可能です。
-
インドネシアのボゴールの主要産業は何ですか。
-
ボゴールは農業や観光業が盛んです。工業団地があり、製造業も発達しています。
-
インドネシアのボゴールの気候について教えてください。
-
インドネシアの多くの地域は熱帯気候で、季節は乾季と雨季です。ボゴールも同じですが、国内でも特に雨が多いという特徴があります。
読後のお願い
弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。
記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!
SNSでも積極的に情報発信をしています
おすすめのインタビュー記事
-
【インタビュー】なぜスラバヤで美容サロン?グロースから売却までを経験した、元金融ビジネスマンから見るインドネシアの美容業界
インドネシアの美容サロン「TOKYO BELLE」のグロースから売却までを手掛けた田口弘樹さんに、美容業界やスラバヤに着目した理由、今後狙っている都市などについてお伺いしました。
-
【インタビュー】お客さんやスタッフとの綿密なコミュニケーションが成功の鍵。インドネシアで洗車とコーティングを提供する「SENSHA」が歩んだ道のり
インドネシアで洗車とコーティングを提供するSENSHA INDONESIA・代表取締役の別所陽耶さんへインタビューを実施しました。
インドネシアで会社を設立する際、予算と目的に合わせた設立方法があります。
弊社では豊富な設立実績があるためまずは一度ご相談ください。
-
WEBからお問い合わせ
ご相談はいつでも無料24時間受付(2営業日以内に返信いたします)
-
すぐにでも日程調整を行いたい
日程調整フォームへ代表の柳沢が説明いたします。