インドネシアへ牛肉を輸入するためのライセンスやプロセスの要点

公開
2026/02/15
更新
2026/03/05
この記事は約13分31秒で読めます。

インドネシアへの牛肉輸入は、必要書類を揃えるだけでは進みません。

HSコード(分類)を起点に、商品バランス(NK)の運用、農業省の推薦状、商業省の輸入承認(PI)、検疫の事前通知(Prior Notice)などがオンラインシステムで連携し、どこか一つでも未整備だと手続きが滞りやすいのが特徴です。

本稿では、法人設立から初回輸入までを想定し、日本からインドネシアへ牛肉を輸入するために必要なライセンスとプロセスを時系列で整理します。

インドネシアの牛肉輸入に関する規制・制度改正

インドネシアのスーパーマーケット

2025年以降、インドネシアでは輸入規制の再編が進み、「どの書類が必要か」だけでなく、「どのHSコードで手続きを進めるか」「商品バランス(NK)の運用でPIが出るか」が、事業計画に直結する論点になっています。

輸入規制再編

2025年商業大臣規則第18号および改正規則の同第31号では、輸入規制が再編されています。

ここで重要なのは、輸入のルールが「品名」ではなく、HSコード単位で必要な許可を割り当てる仕組みが強まった点です(HSコードについては後述)。実務的には、輸入品をどう分類するかが、PI(輸入承認)の要否や手続きの枝分かれに直結しやすくなります。

動物・動物製品について商業省は、「輸入承認(PI)が必要」と説明しています。つまり牛肉は、輸入ライセンスを持っているだけでは輸入できないのです。

PIの新規・変更・延長などの要件としては、NKが定まっている場合はNK、未決定の場合は政府側が確認できる代替資料(農業省が発表する推薦・技術文書など)を使います。

商品バランスと輸入枠

「商品バランス」などと訳されるNeraca Komoditas(NK)は、政府が設定する「商品需給バランスの枠組み」で、クオータ制度と呼ばれることもあります。この制度では、輸入必要量(枠)や、枠内の配分(国営企業 / 民間への割当など)が運用される年があります。

この仕組みでは、NKが確定している年はNKに沿ってPIが発行され、NK未確定の場合は別の根拠(農業省の推薦状など)でPIが運用されることになっています。

2026年はNK運用をめぐり、輸入枠が国営企業に多くあてがわれ、民間企業が従来どおりPIを取得できない(または取得が大幅に難しくなったり遅れたりする)例が問題になりつつあります

こうなると、輸入ライセンスを持ち、社内の準備が整っていても、NKの配分とPI発給の運用次第で「輸入できる量」や「輸入できるタイミング」が左右される可能性があります。前もって完璧に予測することは難しいとはいえ、輸入事業の計画(在庫・販売計画・冷凍保管・資金繰り)では、ここを前提に置く必要があります。

検疫リスト改正

2025年検疫庁規則第5号により、検疫検査の義務対象リストの改正が行われました。牛肉は典型的に検疫の影響が大きい品目であり、書類不備があると港で止まるリスクがあります。冷凍品は滞留コストが跳ねやすいため、特に注意が必要です。

ただし、財務省決定により、2026年2月時点では、税関が輸出入の監視・適用(Lartas管理)において改正後リストを用いる運用が一時延期されています。

延期期間中は、税関の監視に関しては旧リストが適用され、改正後リストによる運用開始は、検疫庁(Barantin)が準備完了を表明したタイミングに連動します。

ハラール義務化

インドネシアでは2024年政令第42号により、ハラール(ハラル)証明の義務化が定められました。この政令では、製品区分(食品・飲料、屠畜関連、医薬品など)や事業者の規模ごとに、義務化の期限が段階的に定められています。輸入食料品については、義務化への完全移行の期限は「最遅で2026年10月17日」とされています。

※ハラール義務化:国内で流通させる特定カテゴリーの製品(食料品など)は原則ハラール認証が必要で、非ハラール製品(禁忌成分に由来する製品)には非ハラールである旨の表示をする必要があります。

輸入業者は必要に応じ、輸出側と連携してハラール認証の申請を行います。また、実際の輸入プロセスでは、以下のような実務が必要になる可能性があります。

  • 生産・輸出側がハラール要件を満たしていることの確認
  • それを証明する書類をインドネシアの制度で通る形に整える
  • ハラール証明書類を他の書類と矛盾なく整合させる

新しい規則や制度が導入されてからしばらくは、現場の対応に差が出るなど混乱が生じる可能性があり、特に注意が必要です。

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インドネシアの牛肉輸入のための許認可取得方法

インドネシアの輸入牛肉
スーパーマーケットの輸入牛肉

牛肉輸入を始めるまでに必要となる許認可を、役割ごとに整理します。

法人設立・事業許可

事業コード(KBLI)

KBLIは、事業分野ごとに割り振られている番号で、その会社が行える事業の範囲を定めています。牛肉輸入事業については、輸入後にインドネシア国内で何をするか(卸 / 加工 / 保管)でKBLIを選びます。KBLIは後工程の許認可の整合に影響するため、最初にしっかりと設計する必要があります。

牛肉輸入・流通で選択肢になりやすいKBLIとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 46321:牛肉・牛肉加工品の卸売り
  • 52102:コールドストレージ(冷蔵・冷凍保管、ブラストフリージング含む)
  • 10130:肉・家禽肉の加工・保存(冷凍・燻製・塩蔵等含む)
  • 10110:と畜・食肉の一次処理(非家禽)

KBLIは、後述する事業基本番号(NIB)をオンラインシステム「OSS」で取得する際に登録します。事業内容に応じて必要なだけ(複数)取得できますが、外資企業の場合はその分、必要な投資額が増えます。

なお、KBLIは事業範囲の登録であり、輸入者として登録するには、OSS上で輸入者区分(API-U / API-P)を有効化する必要があります。

インドネシアでの法人設立の流れと実務ポイント:定款作成から事業開始まで

外資企業がインドネシアで株式会社(PT)を設立する際の全体像を整理しつつ、各ステップでつまずきやすいポイントや実務上の考え方を解説します。

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卸売りと小売りは両立できない

牛肉輸入業者としてもっとも一般的なKBLIの一つが46321(牛肉・牛肉加工品の卸売り)です。ここで注意したいのが、インドネシアでは2021年政府規則第29号により、卸売業と小売業を一つの会社が並行して営むことが禁止されているということです。また、小売業にはカテゴリー・規模に応じて外資規制があります。

事業基本番号(NIB)

NIBは、事業者としての基礎IDです。輸入に関わる許認可などの登録も、基本的にはNIBを土台に整理されます。インドネシアでの法人設立後(定款を作成し、法務人権省から法人設立許可を取得したあと)、OSSシステムで手続きします。

輸入業者認証番号(API:API-U / API-P)

APIは、いわゆる輸入ライセンスで、輸入の目的別に、以下の2類型があります。

  • API-U:販売・譲渡するための輸入
  • API-P:自社生産の投入(原料など)に使うための輸入

この2つのAPIは目的が異なるため、1つの法人が取得できるのはどちらか一方です。

現在ではNIBがAPIとして機能するようになっており、一般的に、手続きはOSSでのNIB取得で完了(代替)できます。

例えば、OSS上で「46321:牛肉・牛肉加工品の卸売り」を選択し、さらに「API-U」を選択して申請すると、発行されたNIBが「牛肉・牛肉加工品の卸売業者ライセンス」かつ「牛肉のAPI-U(販売・譲渡向け輸入ライセンス)」として機能するという仕組みです。

ただし、取得したNIBがAPIとして有効化されているかどうか、OSSで確認する必要があります。KBLIの選び間違いや登録したデータの不整合などがあると、NIBとAPIが連携できない可能性があります。

実際に製品を輸入するための許可

家畜製品輸入推薦状

OSSでNIBを含むすべての手続きが完了すると、KBLIに基づく事業を開始できるようになります。ただし、実際に牛肉輸入事業を行うためには、輸入承認(PI)が必要です。農業省からの家畜製品輸入推薦状は、PIを取得するのに必要な書類の一つです。

申請はオンラインで、書類審査・技術審査が行われ、推薦状が発行されます。

家畜製品輸入推薦状の要件・必要書類
  • NIB / API
  • 会社設立関連書類(設立証書、定款変更等)
  • 畜産・家畜衛生分野の許可・登録に関する資料
  • 施設番号(NKV)
  • 輸入・全国流通に対応したランクのNKVを有する冷蔵倉庫・冷蔵輸送手段の占有に関する誓約・証明
  • ハラール関連書類
  • 州政府からの推薦状
  • 専門獣医師の任命書 / 雇用契約書
  • 誓約書類(提出書類が正しいこと、法的問題がないこと等)

必要書類一覧からもわかるように、推薦状申請の審査では、「実際に輸入事業を始める準備が整っているか」がチェックされます。

※施設番号(NKV):動物由来食品の取扱施設が衛生・衛生管理要件を満たしていることを証明する、施設ごとの認証番号。輸入会社は自社でNKV施設を持つか、NKVを持つ外部施設を確保します。

輸入承認(PI)

農業省から家畜製品輸入推薦状が発行されたら、3か月以内にPIを申請します。PIの期限は、推薦状および前述の商品バランス(NK)に紐づくとされています。

申請には輸出入に必要な申請・審査・許可の統一窓口であるオンラインシステムINSWを使い、商業省のオンラインポータル(INATRADE)で発給を受けます。

【補足】
推薦状とPIは「毎回の輸入ごと」ではなく、HSコード・数量・原産国 / 施設・用途などの条件をセットにした「期間内の輸入枠」として取得し、枠内で複数回輸入する運用が基本です。一方で、サプライヤー(承認施設)やHSコード、用途・数量など前提が変わる場合は、再取得または条件変更が必要になります。

輸入品に関する許認可

ハラール認証

ハラール認証の取得は、輸出側の管理と書類整備に加え、インドネシア側の制度に通る形での整合・提出・表示までが輸入者側の実務です。

BPOM登録

一般的には精肉(未加工の冷蔵・冷凍肉)は医薬品食品監督庁(BPOM)登録の対象外ですが、加工肉は対象になります。BPOMからの認証は「流通許可」であるため、インドネシア国内の輸入者 / 代理店・ディストリビューターが申請します。

その他の報告書・許可書

ハラール認証以外で、輸入牛肉について船積み前に用意するべき書類としては、主に以下のようなものが挙げられます。

原産地証明書(Certificate of Origin:CoO)
  • 発行:原産国当局
  • 時期:船積書類作成時〜輸入申請時
分析証明書(Certificate of Analysis:CoA)
  • 発行:原産国の認定試験機関
  • 時期:家畜製品輸入推薦状申請前〜船積前
食肉衛生証明書 / 獣医証明書
  • 発行:原産国の食肉衛生検査所または保健所
  • 時期:と畜・加工後~船積前
輸出検疫証明書
  • 発行:原産国の動物検疫所
  • 時期:船積直前〜船積時

以上の書類は主に輸出側が手配・取得するもので、輸入側はその確認やインドネシア側への提出を行います。

輸出国・施設側の要件

牛肉は、インドネシア農業省に「輸出国」として認定された国、かつ、「輸出施設」として認定された事業所からのみ輸入可能です。日本は輸出国として認められていますが、輸出施設の認定が別途必要ということになります。

輸出施設の認定は、その施設が自ら取得するものです。インドネシアの輸入業者は、「自社が使いたい日本のサプライヤーが、すでにインドネシアの認定リストに入っているか」を確認することが、PI申請以前の最重要ステップの一つとなります。

輸出施設が承認済みの施設リストに載っていることを確認できたら、必要に応じて証明書類を揃えます。第三国から牛肉を輸入する場合も同様に、輸出施設が承認済みかどうかを必ず確認する必要があります。

インドネシアの輸入ライセンス(API)はどのように取得しますか?

近年の運用では、NIB(事業基本番号)がAPIとしても機能する(API区分が有効化・登録される)形になっているため、実務上は「OSSのNIB取得過程で輸入者としての区分(API-U/API-P)を正しく設定して申請」すれば十分で、APIを別途申請・取得する必要はありません。

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インドネシアの牛肉輸入プロセス

「スタート=法人設立」「ゴール=初めての牛肉輸入」を想定し、全体の流れを時系列で整理します。

牛肉輸入プロセスに関わるシステム

インドネシアの輸入実務を理解するうえで、最初に押さえるべき前提がINSW(Indonesia National Single Window)です。INSWは、「通関・検疫・許認可・港湾 / 空港などの文書を統合する電子システム」と説明できます。

ここまで複数の許認可を紹介しましたが、それらが縦割りのまま存在しつつ、このINSWで接続され、輸入プロセスで参照されるのです。統合されたシステムがあるからこそ、どこか一つでも未整備だと手続きが滞りやすいことに注意が必要です。

法人設立から牛肉輸入までの流れ

0. 法人設立と輸入事業の設計

まず、法人設立の前に、事業モデルを確定させます。輸入後の流通形態(卸 / 小売 / 加工 / 外食向けなど)によって、必要な事業機能(保管、温度管理、表示・ロット管理など)が変わりやすいからです。

次に、事業モデルに合うKBLIを選びます。ここでの整合は、後々の許認可取得に影響するため、初期段階で十分にすり合わせておくことが、スムーズな事業開始に繋がります。

公証人(ノタリス)に依頼し、定款の作成、法務人権省への法人設立の許可の申請を進め、「法人設立の決定書(SK)」が発行されると、法人設立が法的に許可されたことになります。

本記事では輸入プロセスに重点を置くため、法人設立の詳細は割愛しますが、実際には複数のステップに分かれます。もっと詳しく知りたい方は、「インドネシアでの法人設立の流れと実務ポイント:定款作成から事業開始まで」をご一読ください。

外資企業の払込資本金と投資額

外資企業でも輸入事業者になれますが、商業や物流業の一部事業には外資比率の制限など外資規制があります。そのため、KBLIを複数取得し、事業を幅広く展開したい場合は、それぞれについて、外資規制の有無を確認する必要があります。

なお、外資企業には、設立時に最低25億ルピア(約2,300万円)の払込資本金が求められます

また、外資企業の投資額は、「土地および建物を除いて100億ルピア超(約9,300万円)」と規定されています。投資額は法人の数ではなく、原則としてKBLI(5桁)およびプロジェクト所在地ごとに判断されますが、業種によっては例外的な算定方法が適用されます。

例えば、卸売(大規模商業)業は「KBLI先頭4桁ごとに土地・建物を除き100億ルピア超」、飲食サービス業は「KBLI先頭2桁ごとかつ1地点(県・市)ごとに土地・建物を除き100億ルピア超」という例外規定があります。

インドネシアの外資規制や資本金・投資額については、「インドネシアの外資規制とネガティブリスト/プライオリティリスト」「インドネシアの会社設立で重要な資本金と株主の注意点」でまとめています。

【補足】
投資・ワンストップ統合サービス局(DMPTSP)によると、現状では、KBLIを追加せずに支店・支社を新たに設立する場合、投資額として100億ルピアを追加する必要はありません。ただし、個別のケースについては、確認が必要です。

【補足】
本記事の円表記は2026年2月9日のレート(1ルピア=0.0093円)で換算したものです。

1. 輸入者としての基本許認可(NIB / API)

法人設立後、OSSでNIBを取得し、NIBがAPIとして機能する形を整えます。

ここでのポイントは、API-U / API-Pの区分が「形式」ではなく、輸入後の実態(販売するのか生産投入するのか)と一致している必要がある点です。設計段階で事業モデルが曖昧だと、このあとのプロセスで問題が生じる恐れがあります。

2. 物流・品質の受け皿の設計(コールドチェーン / ロット管理)

牛肉は、保冷・温度逸脱・滞留がそのまま品質リスクとコストに直結するため、早い段階で、物流・品質の受け皿を設計するのが重要です。この工程は、NIB / APIの取得と同時進行することもできます。

例えば冷凍牛肉を輸入する場合、保冷を前提にした物流設計が不可欠で、コールドストレージ事業のKBLIを持ち、必要な施設・システムを用意する必要があります。

また、ロット管理や表示、保管温度の記録といったより実務的な要素についても、「輸入できるようになってから整える」のではなく、準備段階で整備しておくと、後々スムーズです。

3. 輸出国側・サプライヤー側の要件確認 / 輸入品目の確定

サプライヤー探しや要件の確認は、「輸入者が国内で何をするか」とは独立に進められるため、法人設立やNIB / APIの取得と並行して行います。

また、輸入品目が定まった時点で、HSコードを確定させます。

HSコードとは

HSコード(製品分類コード)は、その名の通り製品を分類するためのコードで、書類作成・申請の前提になります。

牛肉は「HS 0201(生鮮 / 冷蔵)」と「HS 0202(冷凍)」に大別され、さらに、部位、形態、骨の有無、加工の有無などにより6~8桁のコードで細分類されます。

輸入業者は、新しい品目を扱うたびに、HSコードの見直し・確定作業を行います。

4. 輸入推薦状の取得

次に、農業省からの家畜製品輸入推薦状を取得します。前述のとおり、この推薦は、輸入業者とその業者が取り扱う製品が要件を満たすことを示す技術的説明として位置づけられます。

原則、推薦が取れて初めて、商業省側のPI取得に進めます。

5. 輸入承認(PI)とNK(枠)の接続

PIは、輸入者が実際に輸入事業を始めるための核心的な承認です。

そして重要なのは、前述のとおり、「NKがPI発給の基礎になる」ということです。実際に2026年2月時点では、この年の制度運用(民間枠の縮小など)が事業計画に直結するケースが報告されています。

つまり、輸入業者としての資格(API)を整えても、NK運用とPI発給次第で輸入量・輸入タイミングが左右される可能性があります。

6. 船積み前検査

2025年商業大臣規則第18号に基づき、牛肉輸入には原則として「船積み前検査」が義務付けられています。

日本では基本的に、農林水産省の動物検疫所が、家畜衛生(家畜伝染病の拡散防止)の観点で相手国(インドネシア)の受入条件を満たすかを検査し、輸出検疫証明書の交付を行います。

7. 検疫の事前通知

船積み前(出港前)に、インドネシア検疫庁(Barantin)に対して、輸出者(原産国側の荷主)が今回の輸入内容について申告(Prior Notice:事前通知)します。輸入者は輸出者と連携して準備を進めます。

提出は、Barantinのオンラインポータルで行います。作業としては事務的な手続きですが、書類とデータが揃っていないと輸入プロセスが止まる恐れがある、重要な工程です。

8. 検疫・通関・ポストボーダー

牛肉は、港での物理的な検疫サンプリング検査の対象になる可能性があります。検査に耐えうる書類(温度ログ、規定通りの商品ラベルなど)を整備しておくことが重要です。

検疫で問題なしと証明された旨の証明書を取得した後に、国内の関税地域へ搬出する流れになります。その後、税関で輸入申告(PIB)を行い、必要書類を添付して審査を受け、搬出許可を取得します。

加えて牛肉は、税関エリア通過後に輸入要件(PIなど)を確認するポストボーダー検査の対象となり得ます。ポストボーダーに備え、PIおよびPIBは少なくとも5年間保管します。また、運用上求められる場合、「要件を満たしている」旨の自己申告をシステムで提出する、といった対応が必要になることがあります。

インドネシアにおいて輸入牛肉は検疫対象ですか?

はい、輸入牛肉は動物検疫の対象です。実務としては二段構えで、原産国における船積み前と、インドネシア到着後の検査があります。

インドネシアの牛肉輸入にかかる関税など

輸入牛肉の関税は、「基本は5%(CIF課税)+(必要に応じて)協定税率で下がる」となっています。

関税

基本(一般税率:MFN)

牛肉の輸入関税は5%です。計算ベースはCIF(運賃・保険料込み)で、輸入申告前に納付します。

協定税率

相手国との協定に従い、税率が下がる場合があります。以下のようなものが該当します。

  • JIEPA(日本・インドネシア経済連携協定):5%
  • AJCEP(日本・ASEAN包括的経済連携):5%
  • RCEP(東アジア地域包括的経済連携):原則0%
    ※ただし部位により段階的関税撤廃のスケジュールが異なる

協定税率を使うには、通常、原産地証明(COO)が必要です。輸入者は、原産地、HSコードなどの要件を満たしている協定の税率のいずれかを選んで申告します。

そのほかの輸入に関連する税

海外からものを輸入する事業には、関税のほかに以下のような税金が関係します。

PPh-22(輸入前払い所得税)

API保有企業は原則nilai imporの2.5%です。

※nilai impor=CIF+関税+その他の輸入時賦課。税関が輸入時に徴収し、関税の支払いと同時に精算される。

VAT(PPN:付加価値税)

牛肉のうち未加工の食肉は、生活必需品として輸入・引渡しともにVAT免除の対象となり得ます(HS細目を要確認)。

インドネシア進出の基本が
わかる資料3点セット
●インドネシアの基本情報をまとめた資料
●法人設立の概要とフローをまとめた資料
●インドネシア経済の魅力をまとめた資料
1進出ブック
進出ハンドブック
2法人設立フロー
法人設立フロー
3経済の魅力
経済の魅力

映像でみるインドネシアの牛肉輸入

輸入牛肉のコールドストレージ

輸入牛肉のコールドストレージ

ペッパーランチ、しゃぶ里、キムカツなど多数の飲食チェーンを展開するPT Boga Cepat Sukses傘下のDaily Beefは、高級輸入牛肉および冷凍食品のサプライヤーです。オーストラリア、アメリカ、日本などから高品質な食品を輸入し、ホテル、レストラン、ケータリングおよび一般消費者に提供しています。

こちらの動画では、同社のコールドストレージが紹介されています。鮮度と品質を保つため、すべての製品が安定した温度で保管されています。

人気の「Wagyu(和牛)」店

人気の高級精肉店

Healthy Wagyuは、西ジャワ州バンドンに拠点を置く高級精肉店で、ジャカルタなど複数の都市に店舗を展開しています。

動画で紹介されているのは、バンドンの店舗です。安全衛生基準に合格した高品質な肉や魚介類を取り扱い、プレミアム和牛の品ぞろえも豊富。一般の消費者にも手が届きやすい価格で人気があります。

輸入プロセスを止めないための3つの前提

インドネシアの牛肉輸入は、

  1. HSコードの確定
  2. NK運用を前提にしたPI取得計画
  3. 検疫

までを見据えた書類整合が重要です。

まず事業モデルに合わせてKBLIを設計し、OSSでNIB(API区分を含む)を整えます。次に、コールドチェーンやNKVなど「受け皿」を先に用意し、農業省からの推薦とPIの取得へ進みます。

船積み前と到着後の検疫、そして通関・ポストボーダーをスムーズに通過するには、HSコード・数量・施設情報・証明書類の一致が重要です。

許認可の取得や輸入プロセスの各段階では、事前に準備していることが前提になるものが多いため、法人設立時点から後々の事業についてイメージを持ち、計画的に進めることが大切です。

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