飲食店進出前に知るべきジャカルタのフードデリバリー事情

公開
2026/06/03
更新
2026/06/05
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最も多いお悩みと回答

ジャカルタで飲食店を出す場合、フードデリバリーへの対応は必要ですか?

はい。ジャカルタでは、フードデリバリーは日常的な食事の選択肢として幅広い層に浸透しています。業態によって重要度は異なりますが、店舗での売上を補完する販売チャネルとして、進出計画の段階から活用方法を検討することが重要です。

ジャカルタで利用されている主なフードデリバリーサービスは何ですか?

主なサービスは、GoFood、GrabFood、ShopeeFoodの3つです。利用者は、クーポンやプロモーションの内容によって複数のアプリを使い分けています。そのため、飲食店側も、特定のサービスだけに絞らず、複数のプラットフォームへの登録を検討する必要があります。

ジャカルタで飲食店を開業する場合、デリバリー戦略はどのように考えればよいですか?

実店舗のメニューをそのまま掲載するのではなく、ターゲット層、価格帯、配達後の品質、プロモーション費用を踏まえて設計する必要があります。実店舗とのすみ分けや、クラウドキッチンの活用も含め、自社の業態に合った方法を検討しましょう。

飲食店進出を相談する

本記事では、インドネシアへの飲食店進出を検討されている経営者・担当者の方に向けて、ジャカルタのフードデリバリー市場の実態をお伝えします。

現地では、フードデリバリーはすでに日常的な食事の選択肢として定着しています。ただし、すべての業態でデリバリーを主力にする必要があるわけではありません。例えば、居酒屋のように店内で過ごす時間そのものが価値になる業態では、補完的な活用が現実的です。

また、人気のフードデリバリーにとりあえず参入しようとして、手数料や割引負担を考慮せず、店頭メニューをそのまま掲載すると、採算や品質の面で課題が生じます。

市場規模や主要サービス、現地での利用シーン、具体例を見ながら、進出時にデリバリーをどう位置づけるべきかを考えていきます。

インドネシアのフードデリバリー市場概観

インドネシアのフードサービス市場

まず、市場全体の規模感を確認しておきます。

インドネシアのフードサービス市場は、2025年時点で624億米ドル(約9兆9,803億円)規模と推計されており、2031年には約1,288億米ドル(約20兆5,936億円)規模への拡大が予測されています(年平均成長率13.0%、Mordor Intelligence調べ)。東南アジア全体のフードサービス市場においても、インドネシアは国別では最大のシェアを占めています(2025年時点)。

フードデリバリーに限ってみると、東南アジア全体の2025年のGMV(流通取引総額)は前年比18%増の227億米ドル(約3兆6,306億円)に達しており(Momentum Works調べ)、2024年に続き2年連続の2桁成長となりました。調査対象となった6か国すべてで2桁成長を記録しており、インドネシアもその一角を担っています。

この成長の背景には、コロナ禍における需要の急拡大があります。

外出制限によって一気に普及したフードデリバリーは、コロナ禍の収束後も需要が落ちることなく、生活の一部として定着しました。「緊急時の手段」から「日常の選択肢」へと変化したといえるでしょう。

【補足】
円表記は、2026年6月5日のレート(1ドル=159.94円)で換算したものです。

主要フードデリバリーサービス

ジャカルタで利用できる主なフードデリバリープラットフォームは、GoFood(Gojek)、GrabFood(Grab)、ShopeeFood(Shopee)の3つです。公開情報で把握可能な範囲に絞り、それぞれの概要を下表にまとめます。

サービス名運営会社特徴・備考
GoFoodGojek(インドネシア発)インドネシア発スーパーアプリGojekのデリバリー部門。電子マネーGoPayとの連携が強み。2025年3月のJakpat調査では利用率38%でインドネシア首位。
GrabFoodGrab(シンガポール発)東南アジア全体でトップシェアを持つ地域最大手。インドネシアでもGMVベースでの存在感が大きい。
ShopeeFoodShopee(シンガポール発)後発ながら急成長中。2024年にはGMVでGojekを逆転。2025年7月時点で18の新エリアへの拡大を発表し、地方展開を加速している。

実際にジャカルタで生活していると、3つのサービス間で機能や配達品質に大きな差を感じる場面はそれほど多くありません。ユーザーは「どのアプリがその日一番お得か」を基準に使い分けているのが実情で、プロモーションやクーポンの有無が選択を左右しているように感じます。

飲食店が登録する場合、3サービスへの並行登録が一般的です。どこか1つに絞ることは顧客の取りこぼしにつながるため、まずは3サービスへの登録を前提に考えた方がよいでしょう。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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ジャカルタ市民にとってのフードデリバリー

ジャカルタ市民にとってのフードデリバリー

誰が使っているのか

現地での実感ベースではありますが、ジャカルタでは「低所得層を除く、ほぼすべての所得層」にフードデリバリーが浸透していると言ってよいでしょう。

背景には、ジャカルタという都市の特性があります。慢性的な渋滞に加え、暑さや歩道環境などから、徒歩での移動が敬遠されやすい事情が重なり、外出そのもののコストが高い都市です。

デリバリーアプリが登場する以前は、ある程度妥協しても近所のワルン(食堂)やカキリマ(屋台)、あるいは近隣のレストランで済ませることが多かった人たちに、デリバリーサービスが「近くに良いお店がなくても、食べたいものが食べられる」環境を提供しています。

どんなシーンで使われているのか

利用シーンはさまざまです。ランチやディナーを一人で手軽に済ませたいときはもちろん、職場では同僚同士で飲み物やお菓子をまとめてオーダーすることもよくあります。また、急な来客などで食べ物が必要になった際にとりあえずデリバリーを頼む、という使い方も珍しくありません。

日本でフードデリバリーというと「特別な日」「面倒なとき」のイメージがあるかもしれませんが、ジャカルタでは「普通の食事の選択肢の一つ」として認識されています。

なぜここまで浸透したのか

フードデリバリーがここまで幅広い層に使われている理由は、「便利」だけでは説明しきれません。もう一つの大きな要因は「安さ」です。

プラットフォームと店舗が共同負担でプロモーションを実施するケースが少なくなく、割引やキャッシュバックが頻繁に行われています。その結果、「デリバリー手数料を加えても、店頭で購入するより安くなる」場合があります

「便利で、しかも安い」という条件が揃ったことで、富裕層だけでなく中間層を中心とする幅広い層にとっても「使う理由がある」サービスになったといえます。

こうしたプロモーション合戦は各プラットフォームの戦略によって変化しますので、「常に安い」とは言い切れません。ただ、現時点では、この価格的な魅力が普及を支えている大きな要因の一つであることは確かです。

また最近では、「配達ドライバーの生活安定(報酬水準や利益配分の見直し)」に関する議論も激しくなっています。こうした議論の行方が、今後の手数料体系や報酬設計に影響を与える可能性があります。

飲食店側に立つと、店舗側の負担による割引プロモーションを前提とした運営は決して容易ではありませんが、実際に多くの飲食店がこの戦略で競争しています。

ジャカルタでは、飲食店の立地や周辺の所得層によって、デリバリーの利用実態も変わります。弊社では、飲食店の出店候補地や現地市場を確認するための視察アレンジを行っています。現地視察支援サービスの詳細はこちらからご覧ください。

日本食店のデリバリー対応の実態

デリバリー依存から補完的活用へ

コロナ禍にはデリバリーに大きく依存していた日本食店も多かったと聞いていますが、現在はデリバリーをメインの収益源として位置づけている店舗は多くないようにみえます。

特に居酒屋のような業態は「店舗でゆっくり過ごしてもらってこそ」のビジネスモデルなので、デリバリーとの親和性は限定的でしょう。

一方で、「やらないよりやった方がいい」という発想で補完的にデリバリーを活用している日本食店もあります。プラットフォームへの出店自体に費用はかからないため、リスクは低いといえます。

安くはないプラットフォーム手数料

飲食店がフードデリバリープラットフォームに出店する場合、売上の約3割がプラットフォームへの手数料として差し引かれます(正確な料率はプラットフォームや契約内容によって異なります)。

飲食業に従事されている方ならば想像がつくでしょうが、通常の店頭価格のままデリバリーで販売すると、利益がほとんど残らない計算になります。

そのため、デリバリーアプリ上の価格を店頭より高く設定することも一般的です。消費者側もデリバリーには手数料がかかることを理解しているため、この価格差が大きなクレームにつながるケースは少ない、というのが現場の実感です。

ジャカルタへの飲食店の進出を検討している方が、法人設立や許認可など、インドネシア進出の全体像を整理できる「インドネシア進出ハンドブック」をご用意しています。こちらから無料でダウンロードしてみてください。

デリバリー向きメニューの選び方

実店舗を持つレストランでは、全メニューをデリバリーで展開するのではなく、デリバリーに向いた商品に絞って出品しているお店が多いようです。日本食であれば、丼もの・焼きそばなど、移動中に品質が落ちにくい主食系が中心です。

少し意外に感じられるかもしれませんが、ジャカルタでは寿司のデリバリーも成立しています。高温環境下で生ものを届ける際には衛生管理や温度管理に注意が必要ですが、インドネシアでは温度管理の工夫(例えばスシローではアイスジェルを同梱しています)とともに提供されており、大きな問題になっていないようです。

インドネシア進出を検討していますが、海外コンサル会社の費用が想定以上に高く、また契約期間も1年間等で縛られることが多くて悩んでいます。

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クラウドキッチンという選択肢

コロナ禍に広がったクラウドキッチン・ゴーストレストラン

クラウドキッチンとは、飲食店の調理スペースのみを共有し、イートインのスペースを持たずデリバリー専業で運営するモデルです。コロナ禍においてデリバリー需要が急拡大したことで、インドネシアでもクラウドキッチンやゴーストレストランが急増しました。

その代表例が、ジャカルタ発のクラウドキッチン運営会社「Hangry Group」です。

2019年創業のHangryは、1つのキッチンで複数のフードブランドを展開するマルチブランド型のビジネスモデルを採用し、急速に規模を拡大しました。2025年10月時点では118以上の拠点で18ブランドを展開し、マレーシアへの進出も発表しています。

「あるだけでは売れない」時代へ

ただし、コロナ禍後の現在、クラウドキッチンを開けば自然と注文が入る、という時代ではなくなっています。

Hangryの変遷は、その変化を象徴する事例として参考になります。コロナ禍には「この値段でこのクオリティのものが食べられるのか」という印象を持てるメニューが揃っていましたが、その後は「安さ」への方向転換がみられます。

牛丼ブランドからはこだわりの焼牛丼が消えてチキンメニューが主体になり、インドカレーブランドからはナンやバターチキンカレーが姿を消しました。これはHangryの戦略の失敗ではなく、エリアを拡大してより幅広い所得層にリーチしていくための合理的な判断とみることができます。

ここには、インドネシアの消費者向けビジネス全般に共通する構造が見えます。ニッチな層・特定エリアでの展開であれば高単価・高品質で勝負できますが、拡大路線を取った瞬間に価格競争に巻き込まれます

所得格差が大きいインドネシアでは、エリアが広がるほど低所得層を含む幅広い層を意識せざるを得なくなります。

売上の約3割がプラットフォーム手数料として差し引かれるデリバリー特化型の業態では、価格設定は最重要テーマです。これはある意味で当然の話ですが、進出前に認識しておくべき重要な市場特性といえるでしょう。

それでもクラウドキッチンは選択肢になりうる

こうした状況を踏まえても、クラウドキッチンは初期投資を抑えてインドネシアの飲食市場に参入する手段として有効な選択肢の一つです。

ただし、「キッチンを借りれば売れる」という発想では通用しません。デリバリーで勝つための商品設計、価格戦略、プロモーション計画を前提に置いたうえで参入することが条件になります。

実店舗、クラウドキッチン、デリバリー専用メニューのどれが適しているかは、商品単価やターゲット層によって異なります。ジャカルタでの飲食店進出や市場調査について、具体的な進め方を知りたい方はこちらからご相談ください。

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ジャカルタに進出する日系飲食店が押さえたいデリバリー戦略のポイント

インドネシアのフードデリバリー

ジャカルタへの進出を検討されている飲食関係者向けに、ここまでの内容を簡単に整理します。

出店は基本無料なのでやらない理由はない

フードデリバリープラットフォームへの出店登録自体に費用はかかりません。売上が発生した際に手数料が生じる仕組みなので、出店するだけであれば、費用面でのリスクはほぼありません。「まずは試してみる」という姿勢で始めることは、十分に合理的な判断といえるでしょう。

ただし「出店すれば売れる」わけではない

一方で、出店しただけで注文が入るほど甘い市場でもありません。

デリバリー専業の競合も多く、プラットフォーム上での競争は年々激しくなっています。価格、メニューの魅力、写真のクオリティ、レビュー評価、プロモーションの有無などが、注文数に直結します。

通常メニューそのままのデリバリーは悪手

実店舗のメニューをそのままデリバリーに転用することは、あまりおすすめできません。

理由は2つあります。

第一に、手数料の問題があります。約3割の手数料を考慮しない価格設定では、利益が残りません。

第二に、品質の問題があります。店内で提供することを前提に設計されたメニューが、デリバリーの過程で品質を保てるとは限りません。

デリバリーに出すメニューは、配送後も品質が保てるもの、かつデリバリー価格でも一定の利益が出るものに絞って設計することが重要です。実店舗とのすみ分けを意識した、デリバリー専用のメニュー展開は一つの解になるでしょう。

進出計画の段階から組み込むべき視点

デリバリーをあとから「追加する」ものではなく、進出計画の段階から「どう使うか」を設計することが重要です。業態・メニュー・価格帯・ターゲット層によって、デリバリーをどう位置づけるかは変わってきます。

デリバリーを戦略的に取り入れる

ジャカルタのフードデリバリー市場の実態と、飲食店進出における戦略的な考え方をお伝えしてきました。

改めて強調しておきたいのは、フードデリバリーはジャカルタですでに「生活インフラ」として定着しており、対応の要否を慎重に検討すべき重要な販売チャネルになっています。

プラットフォームへの出店自体は無料ですので、やらない理由はありません。ただし、出店すれば自然と売れるほど甘い市場でもなく、手数料を考慮した価格設定、デリバリー向けのメニュー設計、プロモーション戦略まで含めて初めて「戦える状態」になります。

インドネシアへの飲食店進出を検討されている方には、「店舗をどう出すか」と同程度に重視して「デリバリーをどう戦うか」を計画段階から考えることをおすすめします。拡大路線を取るか、特定層・特定エリアでのプレミアム展開を取るかによって戦略は変わりますが、いずれの場合もデリバリーの設計は欠かせない論点です。

ご不明な点や具体的なご相談がございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

【補足】
本記事の数値データは記載時点の情報に基づきます。企業情報、市場情報は変動することがありますので、最新の情報は各出典先にてご確認ください。

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