外食業で働けるインドネシア人材を採用する方法と費用

公開
2025/07/16
更新
2026/06/20
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外食業分野は、日本で特に人手不足が深刻な産業分野の一つです。そこで多くの企業で、外国人材の採用が検討されています。

本記事では、外国人採用を検討されている担当者さまが、インドネシア人採用に関する大まかなイメージをもてるよう、必要な手続き、採用にかかる費用、インドネシアにおける外食業のイメージや従業員の給与などについて解説します。

【補足】
本記事の円表記は、2025年7月14日のレート(1ルピア=0.0091円)で換算したものです。

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日本の外食業分野で働くインドネシア人の現状

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特定技能「外食業分野」

2024年12月末時点で、特定技能1号の在留資格で日本に滞在するインドネシア人は5万3,496人で、ベトナム人に次いで2番目に多くなっています。

5万3,496人のうち、外食業分野に従事しているのは1,788人です。1,788人のうち1,763人が試験を受けて特定技能の在留資格を取得した人で、残りは試験が免除になる、元技能実習生でした。

特定技能外国人全体に占める外食業分野の従事者の割合は9.8%ですが、インドネシア人に限定すると3.3%と、全体に比べて割合が低くなっています。とはいえ2023年12月末の914人と比較すると2倍近くに増えており、今後も増加が予想されます。

なお、厚生労働省の2023年のデータによると、外食業に従事する外国人は約20万2,000人です。そのうち、特定技能外国人は6.7%程度となっています。

特定技能「外食業分野」の在留資格取得者は、外食業の幅広い業務に携われるため、日本人従業員に近い感覚で雇用できます。

在留資格「資格外活動」/その他在留資格

日本の外食業で働く外国人材のうち、最も多い55%が資格外活動として飲食店で働いています。

その多くは留学生のアルバイトスタッフです。留学生がアルバイト先を気に入り、在留資格を「留学」から「特定技能」に変更して長く務める事例もあります。資格外活動は働ける時間や仕事内容に制限がありますが、特定技能ならフルタイムで、より幅広い業務に従事できます。

外食業で働けるその他の在留資格としては、日本人と同じように就職できる「永住者」などがあります。

在留資格「技能」

外国料理の調理師など、特定の分野に関する深い知識や高度な技術が要求され、日本人では代替できない仕事に従事する外国人は、在留資格「技能」を取得できます。ただし資格取得のハードルは高く、加えて業務内容に制限があるため、関連業務を何でも任せられるわけではありません。

インドネシア経済の魅力について

特定技能制度による採用

外食業事業者が外国人を雇用する方法のうち、特定技能制度(特定技能1号)を利用した雇用について説明します。

採用の流れ

特定技能「外食業分野」の在留資格取得のためには、基本的に、技能試験と日本語試験に合格する必要があります。

ただし、技能実習「医療・福祉施設給食製造」の第2号を良好に修了した人は、試験免除となっています。また、分野・職種に関わらず、第2号技能実習を良好に修了した人は、日本語試験が免除されます。試験免除は、すでに帰国した元技能実習生であっても適用されます。

外国人材の受け入れを目指す企業などが、海外に居住し、海外で試験を受ける人を採用する場合の大まかな流れは、以下の通りです。すでに日本に在留している留学生や技能実習生の場合は、新たに在留資格を申請するのではなく、日本国内で在留資格の変更手続きを行います。

  1. 外国人が居住国で特定技能評価試験と日本語試験に合格する
  2. 企業と外国人が募集/応募・選考・内定・採用(雇用契約書の締結)のプロセスを進める
  3. 企業と外国人が日本入国準備(事前ガイダンス、健康診断など)を行う
  4. 企業が地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行う
  5. 在留資格認定証明書が交付されたら、企業は外国人に送付する
  6. 外国人が査証(ビザ)を取得する
  7. 外国人が日本に入国する
  8. 就労開始

受け入れ機関になる条件

全分野共通

特定技能外国人を雇用したい企業などはまず、受け入れ機関(特定技能所属機関)としての条件を満たしている必要があります。

全産業分野に適用される条件としては、「1年以内に解雇者がいない」「1年以内に行方不明者がいない」「5年間出入国・労働法違反がない」など、企業の適正に関する項目があります。

加えて、特定技能外国人に対する支援体制があり(登録支援機関に委託可)、適切な支援計画を立てている必要があります。雇用契約が適切であることは言うまでもありません。

外食業分野に含まれる事業

特定技能「外食業分野」の受け入れ機関の事業内容としては、外食業が幅広く含まれます。

例えば、レストラン、ファストフード店、カフェなど以外にも、持ち帰り専門店、宅配(デリバリー)専門店、ケータリング専門店も該当します。また、病院や福祉施設の給食施設や宿泊施設のレストランなどもこの分野の受け入れ機関になれます。個人経営でもかまいません。

一方、風営法に規定される風俗営業を営む営業所および性風俗関連特殊営業を営む営業所は含まれません。

食品産業特定技能協議会への入会

特定技能「外食業分野」の外国人の受け入れ機関になるには、出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、農林水産省が設置する食品産業特定技能協議会の構成員になる必要があります。申請は、農林水産省のWebサイトから行います。入会金や年会費などの費用は、いまのところ徴収されません。

食品産業特定技能協議会への入会は事業所ごとに行います。つまり、経営母体が同じでも、外国人を受け入れる事業所が複数ある場合、その事業所の数だけ、新規に申請する必要があります。申請は最初の特定技能外国人の受け入れ前に行えばよく、2人目以降は、新たに入会申請を行う必要はありません。

なお、外食業分野に関係する登録支援機関も、協会への入会が求められます。

原則1対1で直接採用可能

特定技能外国人候補者と受け入れ機関は、原則、1対1のやりとりで採用を決定できます。

しかし現状では候補者個人と企業が直接つながるのは難しく、インドネシアの場合は政府から認可を得た移民労働者配置会社(P3MI)を通すのが一般的です。日本の受け入れ機関は、提携するP3MIに求人情報を提供し、候補者探しやマッチングを依頼することができます。

インドネシア側のシステムとしては他に、政府が運用するオンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」もあります。また日本側も、各産業分野の管轄省庁や業界団体が、交流会の開催やマッチング支援などを行っています。

インドネシア政府は特定技能制度を活用した人材派遣に力を入れる方針で、マッチングシステムの強化を目指しています。現状ではP3MIやIPKOLの利用は候補者にとっても受け入れ機関にとっても義務ではありませんが、今後、制度の変更がある可能性もあります。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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仕事内容

特定技能「外食業分野」は仕事内容別に区分分けされておらず、外国人は日本人従業員と同じように、幅広い業務に携われます。主な業務は、以下の3種類です。

  1. 飲食物調理
    食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製など
  2. 接客
    席への案内、配膳、客席のセッティング、会計業務、片付け、予約受付、苦情等への対応、給食事業所における提供先との連絡・調整など
  3. 店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの
    衛生管理、シフト管理、顧客情報の管理、会計事務管理、関係者との連絡調整、機器・設備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の発注や数量管理、メニューの企画・開発、メニューブック・POP広告等の作成、宣伝・広告の企画、従業員の指導、マニュアル作成など

上記の3つの主な業務以外に、関連業務に従事することも許可されています(風営法に規定される「接待」を除く)。例えば、「店舗において原材料として使用する農林水産物の生産」、「客に提供する調理品等以外の物品の販売」などです。

ただし、「外食業」以外の業務には従事できないので、注意が必要です。例えばホテルのレストランで働く場合、調理や配膳、レストランの予約管理などは可能ですが、フロント業務や客室の清掃などは認められません。

また、3つの主な業務のうち1つに絞って継続的に同じ業務に従事させることも推奨されていません。「特定技能外国人受入れに関する運用要領」には、「1号特定技能外国人は、試験等で立証された能力を用いて外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)の業務に幅広く従事する必要があります。

ただし、職場の状況に応じて、例えば、許可された在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えありません。」とあります。

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メリット・デメリット

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人材の質

特定技能制度で就労する外国人は、技能試験と日本語試験に合格してから日本に来ます。そのため、ある程度の知識や技能が身についており、即戦力になるというメリットがあります。一方で、試験に合格するための詰め込み学習で条件をクリアしてくる人が多いことを、ある程度は考慮する必要があります。

雇用の安定性

特定技能には1号と2号があり、最初は1号からスタートします。特定技能1号の在留期間は最大5年で、2号になると無期限になります。特定技能なら、アルバイト従業員に比べ、時間をかけて育成し、自社・店舗になじんだ優秀な人材を長く雇用できる可能性があります。

なお、特定技能「外食業分野」の外国人の雇用は直接雇用で、派遣は認められていません。また、フルタイムで業務に従事するものとされています。

コスト面

就労に向けたコスト

採用前については、人材派遣会社を利用する場合、紹介料などの費用がかかります。また、外国人の渡航費などを、受け入れ機関が一部負担するケースもあります。紹介料や渡航準備費用など初期コストは、30万円前後の場合が多くなっています。

就労開始後のコスト

特定技能制度の場合、技能実習制度で義務となっているような監理団体との契約は不要です。採用後は、別の機関への月ごと、年度ごとの支払いは発生せず、継続的な費用は在留期間更新申請費用などに限られるため、比較的コストを抑えられます。

ただし、特定技能1号外国人の場合、受け入れ機関には定められたさまざまな支援を行う義務があります。例えば、事前ガイダンス、公的手続きへの同行、日本語学習の機会の提供などです。

受け入れ機関としての基準を満たしてはいるものの、定められたすべての支援を自ら実施するのが難しい受け入れ機関は、この業務を登録支援機関に委託することができます。

費用は機関や支援内容により、外国人1人あたり、初期費用30~40万円、継続的な支援費は月額2~4万円程度となっています。

必要な支援をすべて受け入れ機関が行う場合も、特に初期には準備や人材育成にそれなりの時間とコストがかかります。そのため、外国人材を初めて受け入れる企業の場合、登録支援機関の利用も選択肢の一つになります。

人件費

外国人であっても、労働時間や給与などの労働条件は、日本人労働者と同等にしなければなりません。特定技能外国人の給与は、同じ事業所で同じ仕事に就く日本人と同程度以上である必要があります。

インドネシアで挑戦する人々
― ビジネス最前線の声
医療を通じたプロモーション支援を専門とするメディカル広告会社PT. Senior Marketing System Indonesia様へのインタビューです。
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インドネシアにおける外食業の現状

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インドネシアで外食業に従事するには

就職活動

まず前提として、インドネシアでは新卒一括採用は行われず、企業は必要な時期に必要な人数を募集します。

外食業に限らず、最も一般的なのが、親戚や大学、高校の先輩などからの紹介、つまりコネ入社です。加えて、大学や高校のキャリアセンターや特定の学部に届いた求人に応募する人や、職業訓練機関(LPK)などの斡旋で就職する人もいます。

他には企業のWebサイトやSNS、求人情報サイトなどに掲載される求人に応募する方法もあります。

外食業で働くために必要な学歴・資格

インドネシアの外食業界では、一般的なウエイター職の場合、求められる最終学歴は高校(SMA)または職業高校(SMK)の場合が多くなっています。また、「22歳まで」「28歳まで」など、年齢の上限が設定されるケースがほとんどです。

シェフやバーテンダーなど特定の知識や技能が必要な職種や、マネージャーなどの管理職の求人では、実務経験が重視されます。必須ではないものの、バリスタ認定、食品衛生、ホスピタリティマネジメントなどの資格、専門学校や大学で関係する分野を学んだ経験があると、評価が高まります。

インドネシアの外食業従事者の給与

インドネシアの中央統計庁(BPS)のデータ(2025年2月)によると、全産業分野の平均給与は1か月あたり309万4,818ルピアでした(2万8,100円)。産業分野別でみると、宿泊・飲食業は242万4,447ルピア(2万2,000円)で、平均に比べて2割以上低くなっています。

地域の平均賃金が適用されない小規模・零細事業者が多いことや、従業員の多くが接客、清掃、調理補助などのマニュアル労働中心の職種で給与水準が低く設定されがちであることなどが、平均給与額の低さに影響していると考えられます。

以下は、複数の求人情報サイトなどを参照してまとめた、外食業の各職種の月収の目安です。

ただし、実際の給与額は、企業、地域、本人の経験などによって大きく異なります。五つ星ホテルや高級レストラン勤務の経験者の場合、以下の目安額の2倍程度になるケースもあります。一方、最低賃金が低い地方や、最低賃金規定を考慮する必要がない小規模・零細事業者の場合、月給200万ルピア(1万8,200円)以下で働く人も少なくありません。

  1. キッチンスチュワード(食器洗浄・管理など)
    250万~350万ルピア(2万2,700円~3万1,800円)
  2. 調理補助
    290万~400万ルピア(2万6,300円~3万6,300円)
  3. 調理担当
    300万~550万ルピア(2万7,200円~4万9,900円)
  4. 部門責任シェフ
    500万~800万ルピア(4万5,400円~7万2,600円)
  5. 料理長・副料理長
    700万~1,500万ルピア(6万3,600円~13万6,200円)
  6. ウェイター / ホール係
    290万~360万ルピア(2万6,300円~3万2,700円)
  7. バリスタ・バーテンダー
    290万~500万ルピア(2万6,300円~4万5,400円)
  8. レジ係
    300万~450万ルピア(2万7,200円~4万900円)

インドネシアの外食業のイメージ

インドネシアでは公務員やオフィスワーカー志向が強く、外食業の仕事は「生活のためにする仕事」「地方からの出稼ぎ者が選ぶ仕事」というイメージを持つ人も少なくありません。

多くのインドネシア人は、外食業従事者、特にウェイター、調理補助、清掃スタッフなどについて、「低賃金で身体的にきつい仕事」と見なしています。スキルよりも労働時間と根気が求められる業種というイメージが強く、キャリア志向ではない、または経済的に豊かではない若者、地方出身者、低学歴者の仕事という認識です。

とはいえ、高級ホテルや高級レストランに勤める人は、職種は同じでもよりポジティブなイメージを持たれます。インドネシアで近年急増している大型チェーン店やファストフード店も、従来の飲食店に比べると「明るい」「清潔」「現代的」など、良いイメージが浸透しています。

インドネシア人従業員にとっての日本の外食業の現場

日本の外食業で初めて働くインドネシア人が驚くポイントを、2つ紹介します。

1つ目は、清潔感や身だしなみ、規律、プロとしての意識が重視される点です。制服の状態を厳しくチェックされることや、準備段階から丁寧、かつ真剣に仕事に取り組むことを求められることに驚く人が多いようです。

2つ目は、仕事の厳しさです。言葉の壁があることはもちろんですが、多くのインドネシア人が日本の飲食店の仕事のスピード感に戸惑います。「日本の仕事はインドネシアの仕事の2倍、3倍のスピードが求められる」という声もあります。

また、日本の飲食店は「忙しい」と表現する人もいます。例えば、メインの仕事以外の関連業務の多さに驚く人もいます。また、そもそも働いているスタッフが少なく、一人が任される仕事が多いために、忙しいと感じる人もいるようです。

実際にインドネシアでは飲食店に入ると、日本人としては過剰と感じる人数のホール係がいることも珍しくありません。飲食店に勤務したことがなくても、これが普通だと思っているインドネシア人は多いということでしょう。

【動画】外食業分野のインドネシア人

日本の飲食店で働くインドネシア人

日本の飲食店で働くインドネシア人

こちらの男性は、日本の飲食店で働いた経験をTikTokで共有しています。「注文をメモし、ご飯と味噌汁を運ぶホール係」「揚げ物をお客さんに提供する配り係」が紹介されています。動画後半では、「それぞれの仕事が接客に関係するので、日本語の勉強も頑張って」と視聴者に呼びかけています。

この男性は別の動画で、「職業高校時代はバイクを専攻していて、基本的な知識もないのに日本の飲食店で働くなんて想像してもいなかった」と語っています。このように、技能実習や特定技能の制度で日本に働きに来るインドネシア人のなかには、「日本で働き高い収入を得ること」を目標にしているため、自分の専門分野や関心分野とは別の仕事に就く人もいます。

インドネシア人候補者の面接

インドネシア人候補者の面接

こちらは職業訓練機関(LPK)が投稿した、外食業分野の生徒たちの面接の様子を紹介する動画です。技能実習や特定技能で日本での就職を目指すLPKの生徒たちは、日本語に加えて基本的な技術を身に付けるための教育も受けます。多くの産業分野で、面接時に簡単な技術チェックも行われます。

外食業分野で増加が見込まれるインドネシア人材

人手不足が深刻な日本の外食業分野では、インドネシアからの人材採用が今後ますます重要になります。

特定技能制度を活用すれば、即戦力となる外国人材を安定的に雇用できます。一方、採用には費用や制度理解、適切な支援が欠かせません。また、インドネシアと日本では労働環境やマナー、衛生観念が異なるため、受け入れ企業には十分な配慮と準備が求められます。

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