インドネシア・バリ島の観光税の支払い方法・免除対象・注意点
- 公開
- 2025/10/28
- 更新
- 2025/10/28
- この記事は約4分16秒で読めます。
インドネシア・バリ島では、2024年2月14日から外国人観光客を対象に「観光税(外国人観光客徴収金)」の制度が導入されました。持続可能な観光開発を目指し、急増する観光客による環境負荷や文化遺産保全の費用をまかなうことが目的で、徴収額は1人あたり15万ルピア(約1,400円)です。
本記事では、インドネシア・バリ島の観光税の支払い方法、免除対象、事前のオンライン支払い時や現地での注意点をまとめました。
【補足】
本記事の円表記は、2025年10月27日のレート(1ルピア=0.0092円)で換算したものです。
インドネシア・バリ島の「観光税」とは?
観光税の概要と導入背景
2024年2月14日より、インドネシア・バリ州政府は、外国人観光客を対象に「観光税(外国人観光客徴収金)」を導入しました。金額は、観光客1人あたり15万ルピア(約1,400円)です。
バリ州が観光税を導入した背景には、観光客の急増による環境負荷と、文化資源の保全費用の不足があります。徴収された税金は、以下のような分野に活用される見込みです。
- 文化遺産・伝統芸能の保存活動
- 自然環境の維持・清掃事業
- 地域コミュニティの観光管理支援
- 持続可能な観光インフラの整備
徴収は「インドネシア出国までに1回のみ」とされており、長期滞在や再入島での再徴収はありません。支払い完了後には「Levy Voucher(レヴィ・バウチャー)」というQRコード付き証明書がメールで送付され、観光地などで提示を求められる場合があります。
観光税の支払い方法
バリ島の観光税は、オンライン決済が推奨されています。支払いは到着後でも可能ですが、現地での混雑や詐欺被害を避けるため、事前のオンライン決済が安心です。
事前にオンライン決済する
オンラインでの手続きは、公式Webサイト「Love Bali」またはアプリから行います。グループで渡航する場合、代表者がまとめて手続きできます。
支払い手段は、クレジットカード(Visa、MasterCard、American Express、JCB)、銀行振込、QRIS(インドネシア統一QRコード決済)です。
支払い証明の取得方法
観光税の支払い後、「Levy Voucher」がメールで送付されます。メールからQRコードを開き、現地で提示することで支払い済みであることを証明できます。
空港で直接支払う
バリ島・ングラ・ライ国際空港到着後、到着ロビー出口付近のカウンターでも支払いが可能です。各種キャッシュレス決済に加え、現金支払いにも対応しています。
-
インドネシアのバリ州とはバリ島のことですか?
-
イメージとしては、「バリ州=バリ島」でほぼ問題ありません。正確には、バリ州にはバリ島と周辺の小島が含まれます。
-
インドネシア進出を検討中ですが、不正確や古い情報が多くて困っています。
-
インドネシア進出を検討中の企業様向けに、ビジネス情報を体系的にまとめた全116ページの『進出ハンドブック』をご提供中。無料なので、是非こちらから手に入れてください。
インドネシア・バリ島の観光税に関する注意点
注意すべきトラブルと安全対策
バリ島の観光税の制度開始以降、すでに以下のようなトラブル事例が報告されています。
オンライン決済の二重引き落とし
支払い画面で複数回「Submit」をクリックすると重複決済が発生することがあります。エラーが表示されても支払いが済んでいる場合があるため、すぐにやり直さず、支払い履歴を確認してください。
支払いが済んでいるにも関わらず支払い完了メールが届かない場合は、「Love Bali」システムの照会窓口に問い合わせることをおすすめします。
詐欺サイト・高額代行業者の出現
「Love Bali」を装った偽サイトが、手数料や個人情報を詐取する事例が報告されています。
Levy Voucherを提示できなかった場合の再請求
バリ島内の複数の観光地(寺院など)では、「Levy Voucher」の提示確認が行われています。
支払い済みであることを証明できない場合、現場でオンライン支払いを促されることがあります。支払い完了メールや支払い証明のスクリーンショット、または印刷したものなどをすぐに提示できるように準備しておくことで、トラブルを回避できます。
バリ島で観光税を支払い、一度国内の別の島へ行き、再びバリ島に入島する場合も同様に、支払い証明を提示できるようにしておきましょう。
観光地での現金徴収詐欺
観光地での支払いには、「Love Bali」のオンラインシステムが使用されます。現金での支払いを勧める行為は詐欺の可能性があるため、注意が必要です。
免除対象者
バリの観光税は、渡航目的に関わらず「外国人観光客」全般を対象としています。ただし、以下のビザ・在留資格を持つ外国人は支払いが免除されます。
- 外交ビザ・公用ビザの保持者
- 船舶・航空機などの乗務員
- 在留許可(ITAS・ITAP)保持者
- 家族滞在ビザ(VITAS untuk Penyatuan Keluarga)保持者
- 学生ビザ保持者
- ゴールデンビザ保持者
- その他の商用・業務ビザなど特定の非観光ビザ保持者
このうち、外交・公用・家族・学生ビザと在留許可保持者は、自動的に免除となります。一方、ゴールデンビザや特定の非観光ビザの保持者は、到着5日前までに「Love Bali」で免除申請を行う必要があります。
-
商用ビザでバリ島に行く場合、「Love Bali」で免除申請を行わなければ観光税免除になりませんか。
-
商用ビザ所持者は到着5日前までに「Love Bali」で免除申請を行う必要があります。到着5日前を過ぎると徴税の対象となります。
-
インドネシア経済の魅力やメリットが簡単に把握できる動画はないでしょうか?
-
インドネシア経済の魅力と具体的な進出方法を解説するセミナーを行う予定です。オンラインで1時間のウェビナーなので、お時間が合えばこちらからご登録ください。
映像でみるインドネシア・バリ島の観光税
観光税の支払い方解説

バリ島の観光税の支払い方法を説明する動画を見てみましょう。
Love BaliのWebサイトまたはアプリにアクセスし、支払い通貨、支払い方法、名前、メールアドレス、パスポート番号、到着日を選択・入力します。支払い通貨としては、日本円も選択できます。その後、支払い確認メールからQRコードを取得し、空港の係員に提示します。
なお、支払い方法の2つ目に表示されているBPD Bali Channelとは、BPD Bali(バリ地方開発銀行)の各支払いチャネルが利用できるという意味です。
バリ島のごみ問題

バリ島の観光産業が抱える問題点のうち、もっとも深刻なものの一つが、ごみ問題です。
バリ島のごみ問題には複数の要因があります。例えば、ごみ収集・処理インフラ不足、財源不足など行政側のキャパシティ不足、他の島からのごみの漂着などが挙げられます。もちろん、観光客の多さも一因です。
バリ島は、年間600万人以上の外国人観光客を受け入れています。2024年のデータによると、この数は、バリ島の人口の約1.4倍に上ります。一方で、バリ島のごみの収集・処理インフラは観光地化のスピードに追いついていません。観光客や地元住民によるごみのポイ捨ての問題も指摘されています。
バリ島では観光省、地元政府、企業、環境保護団体、地域住民などが協力し、こちらの動画のような清掃活動が頻繁に行われています。しかし、持続可能な観光開発に向けては、より根本的な対策が求められています。
- 参考:
BPS Provinsi Bali「Banyaknya Wisatawan Mancanegara ke Bali dan Indonesia, 1969-2024」/「Jumlah Penduduk (Ribu) Menurut Kelompok Umur dan Jenis Kelamin di Provinsi Bali, 2024」
-
バリ島に入る際・出る際に観光税を支払ったかどうか必ず確認されますか。
-
2024年にバリ州で観光税制度が導入されて以降、ングラ・ライ国際空港や一部の観光地では「Levy Voucher(支払い証明)」の提示確認が行われています。
ただし現時点では、海港を含むすべての入島・出島ポイントで全外国人観光客を網羅的に確認できているわけではなく、支払いを行わずに滞在・出国できた事例も報告されています。
とはいえ、観光税の支払いは本来すべての外国人観光客に義務づけられており、トラブル防止のためにも、渡航前に公式サイト「Love Bali」でオンライン決済を済ませておくことをおすすめします。
観光税を理解して、安心・安全な滞在を
インドネシア・バリ島の観光税は、観光によって得られる利益を地域の保全に還元するための仕組みです。旅行者にとってはわずかな負担ですが、システムエラーや詐欺によるトラブルも発生しており、注意が必要です。
トラブル防止のためには、できるだけ渡航前に公式サイトでの支払いを済ませ、「Levy Voucher(支払い証明)」を確実に保管することが大切です。
バリ島の観光税徴収の試みは始まったばかりであり、今後システムや運用面の変更がある可能性があります。また、現状では、インドネシアで観光税を導入しているのはバリ州のみですが、他の島や州、あるいは国全体に拡大する可能性もないとは言えません。
インドネシアを訪れる際は最新情報を確認し、事前にできる準備を済ませておくことが、現地滞在中の安心に繋がります。
関連記事内に必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
読後のお願い
弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。
記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。
そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!
SNSでも積極的に情報発信をしています
おすすめのインタビュー記事
-

【インタビュー】なぜスラバヤで美容サロン?グロースから売却までを経験した、元金融ビジネスマンから見るインドネシアの美容業界
インドネシアの美容サロン「TOKYO BELLE」のグロースから売却までを手掛けた田口弘樹さんに、美容業界やスラバヤに着目した理由、今後狙っている都市などについてお伺いしました。
-

【インタビュー】インドネシア全土の病院と提携。異国でゼロから事業の立ち上げに成功したSMSIDの軌跡
医療を通じたプロモーション支援を専門とするメディカル広告会社PT. Senior Marketing System Indonesia様へのインタビューです。










