インドネシアの技人国人材を日本で採用する方法と注意点
- 公開
- 2026/02/01
- 更新
- 2026/02/01
- この記事は約7分60秒で読めます。
技人国(技術・人文知識・国際業務)は、外国人が日本で専門性を活かして働くための代表的な在留資格です。
対象は、IT・設計など理系の技術職、企画・営業・管理などの文系職、通訳・翻訳や海外取引など国際業務といった「知識やスキルを前提とする業務」です。
インドネシア人技人国人材の採用では、業務内容と学歴・職歴の関連性を明確にし、日本人と同等以上の待遇を整えることが重要です。本記事ではインドネシア人材の採用を検討する日本企業向けに、採用ルート、必要書類、注意点を整理します。
技人国ビザとは
技人国ビザの概要
技人国ビザは、外国人が日本で専門的・知的業務に従事するための在留資格(通称:ビザ)です。該当する職種・業務としては、以下のようなものが挙げられます。
技術分野
システムエンジニア、プログラマー、ソフトウェア / ITエンジニア、ネットワークエンジニア、機械・建築系エンジニアなど
人文知識分野
企画、営業、人事、経理、法務、広報担当者など
国際業務分野
通訳、翻訳、語学教師、貿易・海外取引関係、海外向け広報・宣伝、デザイナーなど
一方で、飲食店のホール業務、工場のライン作業、建設現場作業といった単純労働は対象外となります。
技人国と特定技能の違い
技人国と特定技能はいずれも就労が認められる在留資格ですが、制度の目的と想定する仕事内容・人材像がはっきり違います。
技人国は、大学等で学んだ専門知識(または関連分野での長期的な実務経験)を使うホワイトカラー中心の在留資格で、単純労働や現場作業は原則不可です。職務は、前述の「技術・人文知識・国際業務」に整理されます。
また、技人国は更新を重ねた長期雇用が前提になりやすく、家族帯同も可能である点が特徴です。
特定技能は、深刻な人手不足に対応するために設けられた制度で、指定分野の実務(現場業務を含む)を担う即戦力を受け入れます。取得には技能試験・日本語試験に合格する必要がある(一部免除対象あり)一方、学歴要件はありません。
在留期間については、特定技能1号は通算5年の上限があり、家族帯同はできません。長期滞在と家族帯同が可能な2号への移行にはハードルがあり、すべての分野で可能なわけではないことにも注意が必要です。
外国人材の採用を検討する企業にとって、専門知識を用いた職務なら技人国、分野ごとに定められた実務(介護、建設、農業の現場などを含む)なら特定技能がフィットしやすいといえます。
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技人国ビザの要件
インドネシア人側の要件
学歴要件
技人国ビザでは、学歴が重要な判断材料になります。
原則は「日本か海外の短大・大学で従事業務に関連する科目を専攻し、卒業していること」が必要です。また、海外では学校制度が異なるため、「日本の短大・大学卒に相当すると説明できる」必要もあります。
なお、日本国内の専門学校の卒業生は対象となる可能性がありますが、海外の専門学校は原則対象外です。
インドネシア人材の場合は、最終学歴がS1(学士)以上、場合によってはD3(ディプロマ:大学などが設置する3年間の職業教育課程)の人が主な対象となります。
学歴要件を満たさない場合
学歴要件を満たさない場合でも、実務経験による申請ルートがあります。
- 技術分野・人文知識分野:実務経験が原則10年以上
- 国際業務分野:実務経験が原則3年以上
例として、技術系のSMK(職業高校)の卒業生が、10年程度の実務経験を積んだ後に技人国ビザを取得するケースも、ごくまれにあります。ただし、このルートは実務経験の証明が難しいため、一般的には大卒者が技人国人材のメインとなります。
企業側の要件
技人国で外国人を雇用する企業側には、主に「会社としての適格性」と「雇用内容の妥当性」を、提出書類により示すことが求められます。
事業の実体・内容を説明できること
会社がどんな事業を行っているかを、会社案内・パンフレット・Webサイト等で示し、役員、沿革、業務内容、主要取引先や取引実績などが確認できる状態にします。会社のカテゴリー(後述)によっては、追加の書類が必要です。
職務内容を明確にできること
採用した外国人をどの部門に配置し、どの業務を担当させるのか、なぜその人材が必要なのかなどを、雇用契約書・雇用条件書に記載し、必要に応じて採用理由書で具体化します。
経営基盤があり、継続的に賃金を支払えること
決算書(貸借対照表・損益計算表)などで、安定的・継続的に給与を支払える状況かどうかが見られます。
報酬が「日本人と同等額以上」であること
外国人の給与は、日本人が同様の業務に就く場合と同水準以上である必要があり、雇用契約書等で確認されます。社内で同種の業務を行う日本人(同程度の学歴・職歴)の賃金が比較材料となり、同じ職務で日本人より低い報酬だと認められないケースがあります。
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インドネシア人を技人国ビザで雇用する方法
技人国人材を採用する方法としては大きく分けて、「日本国内に既に在留する外国人(留学生や就業者)を採用する」方法と、「海外在住者を採用して日本に呼び寄せる」方法があります。
以下ではインドネシア在住のインドネシア人を採用するルートを中心に、その一般的な流れを紹介します。
インドネシア在住のインドネシア人を採用するルート
インドネシア人技人国人材の探し方
前述の通り、技人国人材のターゲットは主に大卒者です。そのため、継続的な採用が前提の場合は、現地の大学と提携するのが近道になります。
また、インドネシアの主要都市で開催される合同就職説明会(ジョブフェア)に参加する方法もあります。シンガポールで開催される、ASEAN CAREER FAIR with JAPANがきっかけになったケースもあります。
このほか、日本およびインドネシアの人材紹介会社と連携する方法もあります。人材紹介会社に協力を仰ぐと、大学だけでなく、日本語学校やLPK(職業訓練機関)など、幅広いネットワークを活かして、適した人材を見つけてもらえる可能性が高まります。
求人情報を提供する際は、業務内容、必要な学歴やスキル、使用言語などを具体的に記載し、応募者本人が条件を満たすかどうかを判断しやすいように工夫しましょう。
技人国人材のインドネシアでの探し方(大学や教育機関との連携)
インドネシア在住の技人国人材探しにおいて、現地大学、日本語学校、LPK、P3MIなど、どのチャネルがどのような場合に有効なのかを解説します。
インドネシア人技人国人材採用の基本の流れ
大学や求人情報サイトなどを通して応募があったら、書類や面接を経て、雇用契約を結びます。
- 企業と本人で雇用契約を締結(業務内容・勤務地・給与・勤務時間などを明記)
- 必要書類を準備
- 出入国在留管理庁へ申請(企業が「在留資格認定証明書(COE)」を申請)
- 審査後、COE交付
- COEを本人へ送付(国際郵便 / メールでも可)
- 本人が現地の日本大使館・領事館でビザを申請
- ビザ発給後に入国→就労開始
ビザを取得した外国人は、COE発行日から3か月以内に入国する必要があります。
日本在住のインドネシア人を採用するルート
国内で求人情報サイトなどに求人情報を掲載し、日本にいるインドネシア人を採用するルートとしては、以下のようなものがあります。
日本在住の留学生を採用する
学歴要件をクリアできる人材を探します。COEは不要で、本人が在留資格変更許可申請を行います。
すでに技人国ビザを持つ転職者を採用する
本人が「所属機関等に関する届出」を提出します。転職後の業務が大きく変わる場合は、在留資格変更許可申請が必要になる可能性があります。
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特定技能外国人を技人国人材として採用することはできますか?
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制度上不可能ではないものの、技人国と特定技能では求められる人材が異なるため、特定技能から技人国への在留資格の変更で採用できるケースは限られています。まずは、対象者が学歴・経験の要件を満たしているかどうかをしっかりと確認することが大切です。
技人国ビザの必要書類と費用
企業のカテゴリー
技人国ビザの申請に必要な書類は、雇用主(法人または個人)のカテゴリーによって異なります。
カテゴリー1の雇用主
- 日本の証券取引所に上場している企業
- 保険業を営む相互会社
- 日本又は外国の国・地方公共団体
- 独立行政法人
- 特殊法人・認可法人
- 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
- その他、特定の対象企業・一定の条件を満たす企業等
「カテゴリー1」は上記のいずれかに該当する企業で、それ以外がカテゴリー2~4に分類されます。
必要書類
以下に挙げるのは、全カテゴリー共通の必要書類です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 規格を満たした写真
- 返信用封筒(簡易書留用切手貼付・宛先明記)
※「メールでCOE発行」を選ぶ場合は不要 - 雇用契約書/労働条件通知書等(職務内容がわかるもの)
- 学歴を証明する書類(卒業証明書、成績証明書など)
- 会社概要等の企業情報(会社概要、決算書等)
- 【該当者のみ】専門士 / 高度専門士を証明する文書(専門学校卒で申請する場合)
- 【派遣で就労する場合のみ】派遣先での活動内容を明らかにする資料(雇用契約書等)
以上のほかに、カテゴリーごとに、あるいは、ケースごとに追加資料が必要になります。
- 参考:出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
費用
技人国人材の雇用のために、特別に必要な費用はあまりありません。基本的な採用プロセスや費用は、日本人を雇用する場合と同じイメージです。
ただし、人材紹介会社や求人情報サイトを利用した場合には、紹介手数料・広告掲載料がかかります。
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技人国ビザでインドネシア人を採用する場合、ビザの申請手数料や渡航費などを自社で負担する必要はありますか?
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制度上、技人国ビザを取得する外国人が負担する費用を雇用主が補助する義務はありません。とはいえ、本人の負担軽減のため費用の一部を補助すると、外国人側も応募しやすくなります。
インドネシア人を技人国ビザで採用する際の注意点
業務内容と学歴・経験の整合が最重要
出入国在留管理庁は、予定業務が本人の学歴・職歴と関連するかを厳格に審査します。関連が弱いと不許可となる可能性があるため、職場が業務内容を、本人が学歴・職歴を、それぞれきちんと証明できることが重要です。
単純労働は対象外
接客・清掃・工場作業などは単純労働として扱われやすく、技人国ビザの対象外になり得ます。また、学歴と職種(ポスト)が整合しているようでも、業務内容によっては不許可となる可能性もあるため、注意が必要です。
報酬は「日本人と同等額以上」
同種業務に従事する日本人と比べて著しく低い給与は認められません。給与の正当性を判断するため、社内の同程度の学歴・職歴の日本人社員の給与水準が参照される場合があります。
言語・文化面
インドネシアの公用語はインドネシア語であるため、日本企業がインドネシア人を採用する際には、言葉の壁が付きまといます。
大卒者の中にはある程度英語が話せる人も多いため、英語での業務が可能な場合は、「日常会話程度の英語力」を募集条件にしてみるのがおすすめです。
日本語話者を探すとなるとハードルは上がりますが、諦めずに募集をかけてみましょう。働き始めてから日本語研修を受けてもらうなどの選択肢も検討できます。
また、文化面では宗教に注意する必要があります。インドネシアの国民の約87%がイスラム教徒で、キリスト教徒やヒンドゥー教徒もいます。信仰の度合いは人それぞれであるものの、採用の際は特別な対応が必要かどうか、本人に確認するとよいでしょう。
言語・文化面では、社内の受け入れ体制を整え、継続的に改善していく姿勢も重要です。
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技人国ビザでインドネシア人を採用するメリットは何ですか?
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インドネシア人の採用には様々なメリットがあります。直接的なメリットとしては、インドネシア人顧客とのコミュニケーションの円滑化、インドネシア市場・ASEAN各国での展開のスピードアップ、現地パートナー企業などとの関係強化などが挙げられます。間接的には、社内の多言語・多文化対応力のアップなども考えられます。
取得予定のビザについて、以下から詳しい情報を検索できます。



映像で観るインドネシアの技人国人材採用
インドネシアの日本ジョブフェア

こちらは、ジャカルタ・コンベンションセンターで開催された、JAPAN EDU & CAREER FAIR 2025の様子です。
日本への留学または就職を目指す学生・社会人が、2日間で1,700名以上集まり、大盛況だったということです。
このような大規模なイベントのほか、企業、大学、省庁などが主催し、オンラインでも参加できる、業界・分野限定の小規模な就職相談会も各地で開催されています。
LPKで日本語を勉強

インドネシアには、技人国ビザの学歴要件をクリアできる人材を含め、社会人が日本での就職のために日本語を学べる場があります。たとえば、日本語学校や、この動画で紹介されているLPK(職業訓練機関)が挙げられます。
こちらのLPK Harenohiは、技人国ビザの学歴要件をクリアできる工学の学士号を持つ人を対象に、日本企業との面接の場と、面接合格後の日本語レッスンを提供しています。日本語要件がある求人に応募するための、日本語レッスンを行うLPKもあります。
「業務の専門性×学歴・経験の整合」と受入れ体制が大切
技人国ビザでインドネシア人を採用するには、任せる仕事が技・人・国の範囲に収まるよう職務を設計し、本人の専攻・実務経験と結びつく説明ができることが第一です。
申請時には、雇用契約書や学歴証明、会社情報を揃え、必要に応じて採用理由書で配属先・担当業務・必要性を具体化します。
海外在住者は「COE申請→現地で査証→入国」という流れとなり、準備から入社まで一定の期間を見込む必要があります。加えて、待遇の妥当性(日本人同等以上)や、言語・文化面の受入れ体制づくりが定着と安定運用につながります。








