日本で働きたいインドネシア人の詳細(人数、特徴、制度など)

公開
2024/08/14
更新
2024/09/16
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昨今、特定技能や技能実習の制度を活用して、日本で働くチャンスを掴むインドネシア人の存在が目立ちます。また、日本で働きたいインドネシア人が多いことを受けて、インドネシア人人材と日本企業の橋渡しの役割を担うビジネスを始める人も少なくありません。

日本で働きたいと思うインドネシア人には一体どのような理由やきっかけがあり、またどのような特徴を持っているのでしょうか。

本記事では、日本で働きたいインドネシア人の人数や特徴、就労を後押しする制度、実際に日本で働いた経験のある有名人などをまとめました。

円表記は2024年6月23日のレート(1ルピア=0.0097円)で換算したものです。

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日本で働くインドネシア人が増加中

厚生労働省の発表によると、2023年10月末時点で日本には204万8,675人の外国人労働者がおり、過去最多となっています。最も多い国籍は、外国人労働者全体の4分の1を占めるベトナムで、以降は中国、フィリピンが続きます。

インドネシア人労働者数は12万1,507人で、人数自体は第6位でしたが、増加率は前年比56%で第1位となりました。日本で働くインドネシア人が増加しているのには、技能実習生としての派遣が急速に増えていることが背景にあります。

また、インドネシア政府は今後5年間で、10万人のインドネシア人労働者を日本へ派遣する計画を立案しました。これはインドネシア労働省と国際協力機構(JICA)が2023年11月、ジャカルタで開催されたフォーラムの中で話した内容。高齢化により労働力不足が進む日本を、インドネシアがサポートすることを目的としています。

すでに多くのインドネシア人が日本で働いていますが、この計画により、日本で働くインドネシア人の数が増える可能性が高まっています。

参考:
ジェトロ「日本の外国人労働者は過去最多の200万人、ベトナム人が50万人超え」
Kontan.co.id「Indonesia Plans to Send 100,000 Workers to Japan」

インドネシア人が日本で働くための制度

インドネシア人が日本で働くための制度として、特定技能と技能実習が挙げられます。特定技能とは、人材不足が深刻で持続可能性が危ぶまれる産業を手がける日本の企業が「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れること」で人手不足解消を図ることを狙いとした制度です。

一方で技能実習とは、開発途上国の人材に日本の知識や技術を伝授し、帰国後に母国を発展させるために活かしてもらうことを目的とした制度。なお、この技能実習制度は2027年から日本企業の人材不足解消を目的とする「育成就労」制度に段階的に変わる予定です。

以下は、インドネシアにおける特定技能の詳細に関する記事です。

特定技能外国人としてインドネシア人を採用する際のプロセスや注意点

2019年に運用が始まった在留資格「特定技能」について、制度の概要と、インドネシアにおける送出し機関、インドネシア人受入れのプロセスや注意点をご紹介します。

続きを読む

そのほかにも、日本とインドネシア、フィリピン、ベトナムの経済連携を強化するために始まったEPA制度(外国人介護福祉士候補者の受け入れを行う制度)なども、インドネシア人が日本で働くための選択肢として存在します。

インドネシアの日本向け人材紹介事業会社

日本で働きたいインドネシア人が多いことは、日本への人材紹介を行う会社がインドネシアに多数あることからも分かります。

例えば、海外で働きたいインドネシア人登録者のために言語や技能を教育する機関のLPKは、インドネシアに2,376機関あります。また、技能実習生の送り出しを行う機関のSOは435機関、特定技能外国人の送り出しを行う機関のP3MIは362機関あります(機関数は2024年5月の調査時点での数字)。

なかには日本以外の国への就労を目的としている機関もありますが、これらの機関の多くが日本へ渡航したいインドネシア人のために日本語を教えたり、日本へ入国する際の手続きのサポートをしたりしています。

インドネシア労働省が日本語教育機関への投資を日本に呼びかけ

インドネシア労働省は2024年4月、日本に対してインドネシア人特定技能候補者の日本語教育へ積極的に投資するよう呼びかけました。

この背景には、日本語の能力が不十分なため、特定技能制度で来日するための試験で合格レベルに達しないインドネシア人が多いことがあります。大勢のインドネシア人が日本で働くことに意欲を見せてはいるものの、上述の理由から就労のチャンスを掴めていない人も多いのが現状です。

この呼びかけにより、実際に今後どのような取り組みが行われるかはまだ分かりませんが、インドネシア人の日本での就労意欲の高まりを感じさせる事例だといえるでしょう。

参考:Bisinis.com「Kerja di Jepang Banyak Peminat, Indonesia Minta Investasi Pusat Bahasa」

日本で働くことに対するインドネシア人のイメージ

日本で働きたいインドネシア人が多いということは、日本に対してよいイメージを抱いている人が多いことの表れだといえます。

ポジティブなイメージ

例えば東京のビル清掃会社で働く20歳のインドネシア人女性は「高校卒業後に観たアニメ「ドラえもん」が大好きで、そこから日本に興味を持ち始めました。アニメに出てきた場所を探したり、Facebookにアップされている写真を見たりして、日本へ行きたいと強く思うようになりました」とインドネシアの全国紙KompasのWeb版でコメントしています。

彼女のように、アニメをきっかけに日本を好きになり、日本で働くことを決意する人は珍しくありません。

ほかにも、日本で働く理由について「日本で働くことは家族や親戚にとって誇らしいことだから」と話す人もいます。親日派が多いインドネシアでは、日本で働くこと自体にポジティブなイメージを持っている人が少なくありません。

ネガティブなイメージ

一方、言語面に問題がないか、ハラール(イスラム教徒の教えで許されるもの・こと)の食事が手に入るかなど、生活面に対して不安を持っている人もいます。特にイスラム教徒がマイノリティである日本では、イスラム教徒が日本で仕事をするための環境がしっかりと整っているイメージを持てず、不安になる人もいるようです。

日本での就業に関するインドネシアの情報メディア

インドネシアの全国紙Kompasは、「OHAYO JEPANG」というサイトを運営しています。同サイトでは、「Liburan ke Jepang(日本での休暇)」「Hidup di Jepang(日本での生活)」「Bekerja di Jepang(日本での仕事)」の3カテゴリーを通して、日本で生活するうえで役に立つ情報を提供しています。

その中でも「Bekerja di Jepang」には、実際に日本でアルバイトをした場合の最低時給についてや、日本の会社で働く際に重要な報連相についてなどが書かれています。

Kompasはインドネシア最大の全国紙であり、そのWeb版であるKompas.comはインドネシアで最もよく見られるWebサイトランキングの上位に位置する人気メディア。こういった人気メディアを手がける企業が、日本で働きたいインドネシア人向けの情報メディアを運営していることも、日本で働きたいインドネシア人が多いことの裏付けだといえます。

参考:OHAYO JEPANG

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インドネシア人が日本で働きたいと思う理由・きっかけ

データ・数字に関する専門的な情報を提供するインドネシアのWebメディアGoodStatsが実施した調査によると、2024年にインドネシア人が選んだ海外就職先の第1位は台湾で、第2位が日本でした。2023年の調査では日本が1位になっており、高い人気を維持していることが伺えます。

日本で働きたい理由は人によって異なりますが、大勢のインドネシア人が海外就職の選択肢に日本を選ぶのには理由があります。ここでは、日本で働きたいインドネシア人の理由やきっかけの例を紹介します。

参考:GoodStats「Negara Pilihan Orang Indonesia Bekerja ke Luar Negeri di 2024」

給料が高い

インドネシア中央統計庁の2024年2月の調査によると、インドネシア人の平均月収は3,040,719ルピア(2万9,600円)。また、日本の国税庁が2023年9月に公表した情報によると、日本人の平均年収は386万円(賞与を除く)で、これを12か月で割ると32万円です。

平均値ではありますが、日本とインドネシアでは収入に10倍以上の差があり、この給与の高さに惹かれて日本での就労を希望する人が多くいます。

参考:
BADAN PUSAT STATISTIK「Rata-Rata Upah/Gaji (Rupiah), 2024」
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果について

世界的な大企業で働けるチャンスがある

トヨタ自動車や本田技研工業、ソニーなどのものづくりの分野を中心に、日本には世界で活躍する大企業がたくさんあります。こういった大企業で経験を積んで、キャリアアップにつなげたいインドネシア人も一定数います。

アメリカなど欧州にも世界的な企業はもちろんありますが、同じアジアの国で文化や風習が似ている、欧州の国と比べて渡航の際の航空券代が安く済むといった点で、日本が選ばれやすいようです。

日本ならではの文化や気候に惹かれて

日本食やアニメ、アイドルなどのエンターテインメント、華道、武道など、日本独自の文化に興味を持ったことをきっかけに、就職を考える人もいます。

また、インドネシアの多くの地域が常夏なので、四季がある日本に魅力を感じ、それぞれの季節を体験したいという思いから日本での仕事を探す人もいます。

日本で働いた経験があるインドネシア人インフルエンサーの例

最後に、日本で働いた経験があるインドネシア人の有名インフルエンサーを紹介します。

Neo Japan(本名Dian Kusuma氏)は日本へ技能実習生として来日したインドネシア人で、現在はユーチューバーとして知られています。

同氏は2011年に来日した当初、言語面での壁から、1年近く日本人と上手く会話できなかったと話します。職場で日本人と交流するのが難しかった同氏が、日本語を上達させるために考えた学習法が、公園へ行ってとにかく日本人に話しかけることでした。

現在は日本人の女性と結婚。チャンネル登録者数220万人のYouTubeチャンネルで、家族との日本での生活について発信しています。

また、同氏は日本の工場で働く中で、仕事内容は同じなのに日本人従業員のほうが給料が高いこと、弱い立場にいる外国人従業員がいじめや差別に遭っていることなど、外国人就労者が抱える多くの課題に直面した経験も、YouTubeで語っています。

インターネットとSNSが普及しているインドネシアでは、いちど話題になったニュースは一気に拡散します。就労先での悪いニュースが拡散するリスクはありますが、送り出し機関や受け入れ機関がその機関を利用するインドネシア人と良好な関係を築ければ、継続的によい人材を確保することに繋がる可能性もあります。

日本で働きたいインドネシア人のトレンドと事業の将来性

最初に紹介した通り、日本で働きたいインドネシア人は多く、来日するインドネシア人の数は今後増えていく可能性があります。

そのためインドネシアと日本をつなぐ人材紹介事業を始めたい方や、人手不足解消のためにインドネシア人を受け入れたい企業は、日本での就労事情について随時情報を集めておくことをおすすめします。

ただ、インドネシアで人材紹介事業を始めたい、あるいは日本の会社にインドネシア人を受け入れたいと思っても、何から始めればよいのか分からないという人も多いはず。

インドネシア進出や日本でのインドネシア人材受け入れについて疑問や不安がある方は、弊社カケモチまでお気軽にご相談ください。現地での情報収集や事務手続きなど、インドネシアでのビジネスを幅広くサポートをいたします。

インドネシアでのビジネスにお悩みの方へ

最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
もし宜しければ、現在抱えているお悩みを弊社に壁打ち的に相談してみませんか。何かしらお役に立てる情報を共有できる自信があります。

日本ではどのくらいの人数のインドネシア人が働いていますか?

2023年10月末時点で、日本には12万1,507人のインドネシア人労働者がいます。増加率は前年比56%で、日本で働くインドネシア人の数は急増しています。

日本で働きたいインドネシア人の理由を教えてください。

日本で働きたいインドネシア人の理由として、給料が高い、世界的な大企業で働けるチャンスがある、日本ならではの文化や気候に惹かれたなどが挙げられます。

日本で働いた経験があるインドネシア人を教えてください。

日本で働いた経験があるインドネシア人には、元技能実習生のNeo Japan(本名Dian Kusuma氏)がいます。同氏は現在、チャンネル登録者数220万人のYouTubeチャンネルで、家族との日本での生活について発信しています。

読後のお願い

弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。

記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。

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