インドネシアの屋台文化と飲食店出店者に役立つ現地の食生活

公開
2026/07/17
更新
2026/07/27
この記事は約12分1秒で読めます。
最も多いお悩みと回答

インドネシアの屋台ではどのような料理が食べられますか?

インドネシアの屋台では、ナシゴレン、ミーゴレン、ミーアヤム、バッソ、サテ、ソト、ゴレンガンなど、現地の人が日常的に食べる料理が多く提供されています。地域や時間帯によってメニューは変わりますが、安く・早く・近くで食べられる手軽な外食として定着しています。

日系飲食店はインドネシアの屋台で価格勝負ができますか?

1食200円程度なので、多額の資本金を投じて日系飲食店が参入するにはなかなかハードルが高いと言えます。

インドネシアでは日本食の屋台もありますか?

インドネシアでは、ラーメン、たこ焼き、焼き鳥、カツカレー、唐揚げなど、日本食を屋台や小型店舗で提供する例があります。ただし、本格的な日本料理店とは異なり、価格、ボリューム、辛味、ソースなどを現地向けに調整し、SNSでの話題性も意識した商品設計が見られます。

飲食店の開業準備を相談する

インドネシアで飲食店の出店を考える際、モール内の日本食レストランやカフェだけを見ていると、現地の人々の食生活を十分に理解できないことがあります。週末や特別な機会にショッピングモールやモダンなレストランで食事をする層の中には、普段は屋台やワルンと呼ばれる小規模な食堂を利用している人たちが少なからずいるためです。

屋台の価格帯は、日系飲食店が参入しやすい領域ではないかもしれません。しかし、現地の人々が毎日どこで、いくらで、何を食べているのかを知ることは、価格設定やメニュー開発、立地選びに役立つはずです。

本記事では、インドネシアの屋台文化を整理しながら、日系飲食店が現地市場を理解するためのヒントを紹介します。

インドネシアの屋台文化

インドネシアの屋台文化

インドネシアでは、屋台や小規模食堂が日常の食生活に深く根付いています。

日本では「屋台」というと、祭りや観光地、夜の飲食文化を連想することが多いかもしれません。しかしインドネシアでは、屋台は特別な外食ではなく、朝食、昼食、夕食、間食、夜食までを支える身近な食の選択肢です。

安く・早く・近くで空腹を満たせる、インドネシアの屋台文化について紹介します。

【補足】
本記事では、カート、荷車、ブース・カウンター、テントなどを使った、必ずしも建物を必要としない形態の飲食店を総称して「屋台」と呼びます。

手頃な価格で日々の食事を支える

メニューや立地にもよりますが、屋台やワルンの食事の価格は、1万〜3万ルピア(約90〜270円)程度が目安です。インドネシアの都市部で生活する人たちにとって、毎日でも利用できる価格帯と言えます。

また、屋台は単に安価な外食というだけでなく、低所得層を含む都市生活者が、限られた生活費の中で日々の食事を確保するための重要な存在でもあります。

パジャジャラン大学などが2018年に実施した、バンドンの低所得労働者とインフォーマルな食品販売に関する調査では、屋台などによる食品提供が、低所得労働者の食事や栄養の面で重要な役割を果たしていることが指摘されています。屋台やワルンはキッチンのない借家に住む人や料理ができない人にとって、会社や寮の食堂のような役割を果たしているのです。

短時間でも利用しやすい

屋台では、あらかじめ調理した料理を並べて販売したり、注文後に少ない工程で仕上げて出したりする店が多く、短時間で食事を購入できます。

朝は通勤や通学の前、昼は仕事や学校の休憩時間、夕方以降は帰宅途中や夜食など、限られた時間でも利用しやすいことが特徴です。店内で食べるだけでなく、持ち帰って自宅や職場で食べる人も多くいます。

こうした提供の早さは、忙しい都市生活者の食事を支える屋台の重要な価値の一つです。

必要とする人の身近な場所にある

都市部では、住宅街、学校やオフィスの周辺、工場地帯、駅やバス停の近くなど、日常の生活動線上に屋台やワルンがあります

ショッピングモールの地下や裏手、コンビニエンスストアなどの店舗前、路地や市場の周辺に出店する例もあり、利用者がわざわざ遠くまで移動しなくても食事を購入できます。

固定店舗だけでなく、カートで住宅街を回る移動式の屋台もあり、屋台側が消費者のいる場所へ出向くケースもあります。こうした距離の近さも、屋台が日常の食事インフラとして定着している理由です。

インドネシア進出を検討している企業にとって、屋台文化を知ることは、単にローカルグルメを知ることではありません。現地の人が何を便利だと感じ、どの価格なら日常的に購入し、どのような味や提供スタイルに慣れているのかを理解するための入り口になります。

インドネシア経済の魅力について

インドネシアの屋台の種類

インドネシアの屋台文化

インドネシアの屋台には、いくつかの形態があります。ここでは、特に押さえておきたい「ワルン」と「カキリマ」を紹介します。

ワルン:小さな食堂・売店

Warung(ワルン)は、食べ物、飲み物、日用品などを売る小規模な店を指す広い言葉です。日本語で「屋台」と訳されることもありますが、実際には建物のある小さな食堂や、住宅の一部を使った商店もワルンと呼ばれます。

ワルンには、さまざまな種類・名称があります。

  • Warung Makan(ワルン・マカン):
    食事を提供する小規模な食堂。白飯と複数のおかずを組み合わせて提供する店は、Warung Nasi(ワルン・ナシ)とも呼ばれます。
  • Warung Tenda(ワルン・テンダ):
    テントや仮設屋根の下で営業する食堂。メニューは店によってさまざまです。
  • Warung Tegal(ワルン・テガル、略称:Warteg / ワルテグ):
    中部ジャワ州テガル系の料理を提供する食堂。ワルン・ナシの一種です。
  • Warung Kopi(ワルン・コピ、略称:Warkop / ワルコプ):
    小規模なコーヒー店。インスタントコーヒーが主流ですが、近年は豆の産地や抽出方法にこだわったコーヒーを出す店も出てきてます。
  • Warung Indomie(ワルン・インドミー、略称:Warmindo / ワルミンド):
    インスタント麺「Indomie」を中心に提供する食堂。調理した麺にトッピングを載せるなどアレンジして提供します。

ワルテグを含むワルン・マカンでは、規模の大きなレストランやチェーン店に比べて、比較的安価に食事を提供しています。中でもワルン・ナシでは、おかずはある程度作り置きされていることが多く、利用者はご飯に好きなおかずを組み合わせて注文します。

ワルン・テンダは、常設のものもあれば、夕方以降など特定の時間帯だけ営業するものもあります。特に、魚介料理や中華風の料理を扱うワルン・テンダは、夜になるとジャカルタ各地で見られます。日本の屋台や露店のイメージに近い形態のワルンです。

カキリマ:移動式の路上屋台

Kaki Lima(カキリマ)は、道路沿いや住宅街などで営業する、移動式または簡易型の屋台です。

カートや台車を使って販売する形式が多く、住宅街を回って販売することもあれば、人通りの多い道路沿いや市場周辺などに留まって営業することもあります。日本人にとっては、移動販売と路上屋台の中間のようなイメージです。

調理スペースが限られているため、すでに調理したものを売るだけの店もあれば、ガスコンロや鍋を持ち、その場で調理して提供する店もあります。ミーアヤム、バッソ、シオマイ、サテ、ゴレンガンなどは、カキリマでよく見られるメニューです(メニューについては後述)。

ワルンやカキリマのほかには、コンビニなどの駐車場や住宅、店舗前のスペースにブース・カウンターを設置して営業する屋台風の飲食店も多く見られます。

現地の屋台やワルンを実際に見てみると、机上の市場調査だけではわからない食生活の感覚がつかめます。飲食店出店前の視察を検討している方は、インドネシア現地視察支援サービスの詳細をこちらからご覧ください。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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インドネシアの屋台の代表メニュー

以下では、ジャカルタ周辺の屋台の代表メニューを紹介します。

朝食の定番

インドネシアのナシ・ウドゥック
ナシウドゥック
  • Bubur Ayam(ブブールアヤム):鶏粥
  • Nasi Uduk(ナシ・ウドゥック):ココナッツミルクで炊いたご飯
  • Nasi Pecel(ナシ・ペチェル):ゆで野菜にピーナッツソースをかけ、ご飯と合わせた料理

インドネシアには、未明から開いている「朝食専門屋台」もあります。ブブールアヤムやナシ・ウドゥック、ナシ・ペチェルは、こうした屋台の定番メニューです。通学や通勤の前に店先で食べていく人もいれば、持ち帰って家や職場で食べる人もいます。

昼食・夕食・夜食の定番

鶏肉のサテ
鶏肉のサテ
  • Nasi Goreng(ナシゴレン):炒飯
  • Mie Goreng(ミーゴレン):焼きそば
  • Mie Ayam(ミーアヤム):鶏肉入り汁麺
  • Pecel Lele(ペチェルレレ):揚げナマズ
  • Sate(サテ):串焼き

昼時になると、多くの屋台やワルンが営業を始めます。ナシゴレンなどのご飯料理や、ミーゴレン、ミーアヤムなどの麺料理は定番で、仕事や学校の合間に手早く食事を済ませたい人のニーズを満たしています。

ペチェルレレのように、揚げた魚や鶏肉などのおかずに白飯を合わせるメニューも、日常的によく食べられています。夕方から営業する店もあります。

軽食

インドネシアのバッソ屋台
バッソ・シオマイの屋台
  • Gorengan(ゴレンガン):各種揚げ物
  • Bakso(バッソ):肉団子スープ
  • Siomay(シオマイ):魚のすり身団子
  • Roti Bakar(ロティバカール):トースト
  • 各種Es(エス):氷入りの甘い飲み物やデザート。多くの場合「Es ○○」というメニュー名になっています。

ゴレンガンと呼ばれる揚げ物には、豆腐、テンペ、バナナ、イモ類、春巻きなどがあります。ドーナツ類も、朝食や間食として人気です。

バッソやシオマイは、通常の一人前を注文することもできますが、子どものおやつとして、2,000ルピア(約18円)分、3,000ルピア(約27円)分など、少額の注文に応じる店もあります。

こうした屋台メニューに共通するのは、調理が早く、価格が手頃なことです。味がはっきりしているものや、ソースをたっぷりかけて食べるものも多く、インドネシア人の味の好がよく表れています。

カジュアルにインドネシア進出を試した飲食店様の事例

インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。

  • 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用し、ショッピングモールや商業施設、競合飲食店を調査。出店候補地やターゲット層、価格帯などを分析し、採算性を確認した上で正式な進出を決定した。
  • 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。
  • 営業マネージャーと店舗開発担当の2名をチームで雇用し、デベロッパーやショッピングモール、現地パートナー企業との商談を実施。現地法人を設立することなく出店候補物件や提携先を調査し、本格出店に向けた体制を構築した。

上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。飲食業であれば、貴社でもそれが可能です。

日本食の屋台化

ジャカルタのラーメン屋台

近年は、ラーメン、たこ焼き、カツ、唐揚げ、カレー、焼き鳥など、日本食として知られる料理が、屋台や小型店舗で提供される例も見られます。

ラーメンの屋台・小型店舗が人気

インドネシアには、日系・ローカルを含め、多くのラーメンチェーンがあります。価格は、日系の専門店では1杯7万〜9万ルピア(約630〜810円)程度、ローカルチェーンでは3万〜5万ルピア(約270〜450円)程度が一つの目安です。屋台の食事に比べると高価で、そのため、ラーメンはショッピングモールなどで食べる「専門店メニュー」というイメージもあります。

一方で近年は、屋台やワルンに近い小型店舗のラーメン店も出てきています。このような店では、普段ショッピングモールの日本食店にはあまり行かない層でも手が届きやすい、2万ルピア(約180円)未満の価格設定が見られることもあります。

チキンカツ、ビーフテリヤキ、エビフライなど、日本のラーメンには載らないようなトッピングを追加し、独自のアレンジラーメンを提供する屋台もあります。インドネシアにおいて、ラーメンが「日本食」という枠から離れ、手頃な麺料理の一つとして受け入れられ始めていることがわかります。

たこ焼きは屋台と相性がよい

たこ焼きも、インドネシアの屋台・小型店舗文化と相性がよい日本食です。小さな設備で提供しやすく、テイクアウトや間食需要にも合います。

例としては、南ジャカルタのBlok M Square内などに店舗を展開するTakoyaki Cornerが挙げられます。同店は、ショッピングモールのフードコート内に簡易的な店舗を構え、たこ焼きやお好み焼きを提供しています。

たこ焼きは、ソース、マヨネーズ、チーズなどで味を調整し、インドネシア人の好みに合わせたアレンジがしやすいメニューです。こちらも、本格的な日本料理というより、手軽な日本風スナックとして受け入れられやすいカテゴリーだと言えます。

弁当とインドネシア版Bento

日本食の屋台化を考えるうえでは、弁当の需要も見逃せません。

インドネシアではもともと、白飯におかずを合わせる食事が一般的です。そのため、弁当は現地の食生活とも接続しやすい日本食の一つで、「Bento」という言葉も浸透しています。

実際に、住宅街や学校の近くでは、白飯にカツや唐揚げ、少量のサラダなどを組み合わせた、コンビニ弁当のような「Bento」や丼ものを販売する屋台も見られます。カツ、唐揚げ、照り焼き、カレーなどは、弁当形式にしやすく、屋台や小型店舗の日本食としても展開しやすいメニューです。

また、中身はナシ・ウドゥックなどのインドネシア料理でも、プラスチック容器や紙箱に入れた弁当として販売する屋台もあります。

こうした光景を見ると、インドネシアでは「Bento」という言葉や形式そのものが、日本式の食文化としてだけでなく、持ち帰りや日常食のスタイルとして受け入れられる余地があることがわかります。

【補足】
インドネシアの屋台やワルンでは、ご飯とおかずを食品包装用の耐油紙で直接包む持ち帰りスタイルも一般的です。ただし、紙包みは持ち運びには便利な一方、オフィスや学校で机の上に広げてそのまま食べるのには適しません。そのため、プラスチック容器や紙箱を採用し、弁当スタイルで販売する店も多くなっています。

焼き鳥はサテ文化に近い

焼き鳥も、インドネシアでは理解されやすいメニューです。インドネシアにはもともとサテという串焼き料理があるため、鶏肉を串に刺して焼くという食べ方自体は、現地の人にもなじみがあります。

だからこそ、焼き鳥にとってサテは非常に強い競合です。味付けをインドネシア人の好きなケチャップマニス、サンバル、ピーナッツソースなどに寄せすぎると、サテとの違いを出しにくくなります。

一方で、日本の焼き鳥のような「塩」や「醤油だれ」のシンプルな味付けが、幅広い層にそのまま受け入れられるとは限りません。

そのため、焼き鳥を展開する場合は、店全体の設計で日本らしさを出しつつ、「ねぎま」「つくね」「砂ぎも」など、串の種類やメニューのバリエーションで差別化する工夫が必要です。

実際に、ジャカルタでもラーメンやたこ焼きのようなローカル向けの「焼き鳥専門店」はあまり多く見かけません。日本食レストラン、居酒屋、日本食屋台などで、メニューの一部として提供されているケースが多い印象です。

日本食が現地化するとどう変わるか

日本食が屋台化するときには、「本格的な日本料理」であることよりも、価格、ボリューム、食べやすさ、SNSでの見え方が重視される傾向があります。

日系飲食店がインドネシアで出店する際も、日本の定番メニューをそのまま持ち込むだけではなく、現地の食べ方や価格感に合わせた設計が必要です。

日本らしさを追求して価格が上がると、対象となる客層は狭まります。屋台を日常的に利用する層を狙う場合は、「少し変わったものを気軽に食べてみたい」というニーズに応えられるかどうかが鍵と言えるでしょう。

自社メニューがインドネシア人にどう受け止められるか確認したい方は、現地パネルを活用したインドネシア市場調査サービスを利用してみませんか。詳細はこちらからご確認ください。

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近代化する屋台ビジネス

インドネシアの屋台ビジネスは、個人経営の商売だけではありません。近年は、屋台や小型店舗をベースにしながら、画一的な店舗形態、メニュー、運営マニュアルを導入した、近代的な屋台型ビジネスも広がっています。

Kebab Turki Baba Rafiの事例

代表例の一つが、Kebab Turki Baba Rafi(ケバブ・トゥルキ・ババ・ラフィ)です。

同店は2003年、スラバヤの小さなケバブ屋台から始まり、2005年にはPT Baba Rafi Indonesiaを設立、2012年には初めて海外に進出しました。

2026年時点でインドネシア国内に1,300店舗、海外10か国に68店舗を展開し、ケバブやバーガー類を提供しています。小規模なブース型・カウンター型店舗やコンテナ型店舗など複数の形態があり、ガソリンスタンド、コンビニの駐車場、モールのフードコートなど、さまざまな場所に出店しています。

ケバブはインドネシアで人気の軽食の一つで、複数のチェーン店があります。

Sabana Fried Chickenの事例

もう一つの例が、ブース型・屋台型のローカルフライドチキンブランドとして知られるSabana Fried Chicken(サバナ・フライドチキン)です。

2006年に西ジャワ州ブカシ市で創業した同店は、現在、国内各地に1,000店舗以上を展開するフランチャイズチェーンになっています。多くは住宅街に出店し、主なメニューはフライドチキンとご飯です。

また近年は、レストラン業態の「Sabana Plus」もジャカルタやブカシなどに出店しています。

白飯+チキンのおかずは、インドネシア人にとって非常になじみのある組み合わせです。サバナのほかにも、多くの企業がフライドチキンのブースや屋台をフランチャイズ展開しています。

屋台フランチャイズの失敗例

こうした屋台型ビジネスの強みは、小資本で始めやすく、住宅街や生活動線に出店しやすいことです。モール内店舗のような大きな投資をせずに、多店舗展開や加盟店展開を進められる可能性があります。

一方で、うまくいかない例もあります。

求職者の多いインドネシアでは、小さな出資で始められる屋台や移動販売のフランチャイズに対する開業希望者からの需要が大きく、近年、多数のフランチャイズビジネスが登場しています。

ただし、見た目はフランチャイズでも、実態としては屋台設備や商材を売るだけになってしまうブランドも多いのが現状です。そのため、ビジネスモデルとして立ち行かず、フランチャイザーが閉業を余儀なくされるだけでなく、加盟店側も営業を継続できなくなるケースがあります。

日系飲食店が学べること

インドネシアの屋台

インドネシアの屋台文化から日系飲食店が学べることは、屋台と同じ価格で競争することではありません。むしろ、現地消費者が日常的にどのような食事を選び、どのくらいの価格なら気軽に購入し、どのような味や提供方法に慣れているのかを知ることが重要です。

屋台価格で戦う必要はない

まず押さえておきたいのは、ワルンやカキリマの価格帯は、日系飲食店が一定水準の品質・衛生管理、人材配置、店舗設備、原材料調達を前提にそのまま参入できる領域ではないという点です。

100円、200円という価格帯の食事が多い屋台市場に対して、日系企業が同じ価格で戦おうとすると、採算や品質維持の面で難しくなります。

現地の価格感を理解する

そのため、日系飲食店は「安い日本食」として屋台価格に寄せるのではなく、現地の価格感を理解したうえで、自社がどの価格帯で、どのような価値を提供するのかを設計する必要があります。

清潔感、安心感、味の安定、空間、接客、写真を撮りたくなる見た目など、屋台とは違う価値をどう伝えるかが重要です。

小型・低価格ビジネスへの参入可能性

小規模な店舗のフランチャイズ展開は、フランチャイザー・フランチャイジー双方にとって比較的ハードルが低いものの、品質・衛生・ブランド管理に問題を抱えやすいという特徴があります。

日系企業がこの領域を見る場合、路上屋台そのものに参入するというよりも、「小型・低価格・高回転・現地化・多店舗展開」という考え方を参考にするのが現実的です。

フードコート、テイクアウト専門店、小型路面店、デリバリー対応店舗など、管理された形で屋台的な強みを取り入れる余地があります。

日本食の屋台化の可能性

日本食の中には、屋台や小型店舗に向いているものもあります。たこ焼き、焼き鳥、唐揚げ、カレー、丼もの、ラーメン、おにぎりなどは、提供スピード、テイクアウト、間食需要、現地化のしやすさという点で可能性があります。

また、インドネシアでは辛味やソースの自由度も重要です。サンバル、マヨネーズ、チーズ、甘辛いソースなど、自分好みに味を調整できる要素が好まれます。そのため、日本食を出す場合は、完全に日本式を維持するのか、現地の味覚に合わせてアレンジするのかを明確にする必要があります。

今後、ジャカルタなどの都市部で賃金や物価が上がれば、より高単価な小型飲食モデルが今より成立しやすくなる可能性もあります。

現時点で屋台そのものに参入する必要はありませんが、将来的な小型業態やカジュアル日本食ブランドを考えるうえで、屋台文化は参考になります。

映像でみるインドネシアの屋台文化

オフィス街の屋台エリア

オフィス街の屋台エリア

こちらは、ジャカルタに隣接する南タンゲラン市BSDのオフィス地区「Sunburst CBD」近くの屋台が集まるエリアです。周辺にオフィスが集まるため、勤務中の会社員の昼食などに利用しやすい立地です。

動画の後半で紹介されるWarung Nasi Bang Hasan(ワルン・ナシ・バン・ハサン)は、お昼時にはテント内の客席が満席になることもある人気店。ご飯と約10種類のおかずから好きなものを自分で取り、最後に会計してもらいます。価格はおかず次第ですが、およそ2万ルピア(約180円)前後です。

働く人のすぐ近くで、手頃な価格かつ短時間で食事を提供する屋台の役割がよく分かる動画です。

「日本の屋台」がコンセプトの屋台

「日本の屋台」がコンセプトの屋台

Tamaya Yataiは、ジャカルタ中心部のオフィスビルが並ぶスディルマン通り近くにある日本の屋台風飲食店です。動画では、暗い時間帯にも入店待ちが発生し、カウンター席やテント内が満席になっている様子が見られます。

焼き鳥は1本1万〜1万1,000ルピア(約90〜99円)、オムライスは3万8,000ルピア(約342円)、ビーフステーキは5万8,000ルピア(約522円)。一般的な「屋台飯」よりは効果ですが、目の前で調理する様子を楽しみながら、店舗型の日本食店のような本格的な料理をリーズナブルな価格で味わえることで人気となっています。

中央ジャカルタのオフィス街という比較的所得の高い人が多いエリアだからこそ、成立する戦略と言えるでしょう。

屋台文化から見える現地の食生活

インドネシアの屋台は、現地の人々の日常的な食生活を支える存在です。ワルンやカキリマなどの形態と主なメニューを知ることで、インドネシア人がどのような価格帯で、どのような料理を、どのような場面で食べているのかが見えてきます。

日系飲食店が屋台価格帯でそのまま競争するのは簡単ではありません。しかし、ラーメンやたこ焼き、カツ・唐揚げを使った弁当のように、日本食が屋台や小型店舗で受け入れられている例もあります。

インドネシア進出を検討する際は、屋台文化を現地消費者の食生活や価格感を理解する手がかりとして見ることが大切です。

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