日本で働く在留資格「特定技能」インドネシア人の特徴(人数、推移、産業分野など)

公開
2024/11/23
更新
2025/01/01
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日本に在留するインドネシア人の数は10年間で5.5倍に増え、2023年には14万9,000人になりました。そのうち約12万人が、特定技能や技能実習など、就労を目的とする在留資格で日本に住んでいます。

国内の失業率が高い、仕事を得ても十分な収入を得られないなどの理由から、多くのインドネシア人が海外へ出稼ぎに出ています。2019年に導入された特定技能制度も広く認知されるようになり、この制度を利用して4万人以上が日本で働いています。

そこで本記事では、在留資格「特定技能」を取得し日本で働くインドネシア人の人数や割合とその推移、従事する産業分野などについて紹介します。

インドネシアでの会社設立

特定技能インドネシア人の数と推移

特定技能インドネシア人の数

特定技能1号在留外国人数「第1表、第2表、第3表(PDF)」より弊社作成

2024年6月末時点のデータによると、特定技能1号の在留資格で日本に滞在する外国人は、合計で25万1,594人です。

国籍別で最も多いのがベトナム人で12万6,740人、それに次ぐのがインドネシア人で4万4,298人です。以降、3位がフィリピン人で2万5,303人、4位がミャンマー人で1万9,058人、5位が中国人で1万5,660人となっています。

上位5か国の顔ぶれは、2020年の統計以降変わっていません。常に群を抜いて多いのがベトナムです。初期に2位だったのは中国やフィリピンで、それに次ぐのがインドネシアでした。2022年の統計でインドネシアが初めて2位になり、それ以降は2位の座をキープしています。

特定技能1号の在留者にベトナム人が多い要因には、技能実習生が多いことが挙げられます。

特定技能1号による在留者25万1,594人のうち、元技能実習生は15万8,133人で、62.9%を占めます。一方で試験を受けて特定技能1号の在留資格を得た人は9万3,137人で、全体の37%です。

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第8表」

2023年10月末時点の技能実習生の人数を国籍別にみると、ベトナム人は20万9,305人、インドネシア人は6万8,236人と3倍以上の開きがあるため、特定技能1号の人数の差も当然といえます。技能実習生が特定技能1号に移行する動きが続く間は、特定技能1号での在留者に占めるベトナム人の割合は高いまま推移するでしょう。

一方で、インドネシア人は人数、割合ともに増えています。

本国で試験を受けられる会場や産業分野が拡大されていくことを見込むと、特定技能制度におけるインドネシア人の存在感は、ますます大きくなっていくと考えられます。

参考:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|[別表1]国籍別・在留資格別外国人労働者数」

特定技能インドネシア人の数の推移

特定技能1号の在留資格で日本に滞在するインドネシア人の人数は、コロナ禍の影響が少なくなった2022年から2024年の2年で、9,481人から4万4,298人に増えました。

また、特定技能1号での在留者に占める割合も、10.8%から17.6%に上昇しています。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等」「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前」

特定技能各産業分野に従事するインドネシア人の人数

インドネシア人が多い分野

特定技能インドネシア人が多い分野
特定技能1号在留外国人数「第1表、第2表、第3表(PDF)」より弊社作成

2024年6月末時点の特定技能1号のインドネシア人在留者数を産業分野別にみると、人数が多い順に、介護分野(9,760人)、飲食料品製造業分野(9,134人)、農業分野(8,514人)、工業製品製造業分野(※旧称素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)(7,028人)、建設分野(3,075人)、漁業分野(2,452人)などとなっています。

ベトナム人在留者との比較では、介護分野、造船・舶用工業分野、農業分野、漁業分野に従事する人の割合が多いという特徴があります。

インドネシア人が少ない分野

反対に、インドネシア人の人数が少ない分野としては、航空分野、宿泊分野、自動車整備分野、ビルクリーニング分野があります。またベトナム人と比較すると、建設分野、自動車整備分野、飲食料品製造業分野、外食業分野の割合が低くなっています。

航空分野、自動車整備分野、ビルクリーニング分野については、インドネシアで技能試験を受けられないことが、インドネシア人が少ないことに影響していると思われます。建設分野は2023年7月からインドネシアでも受験が可能になり、2023年6月の1,586人から2024年6月には3,075人に増加しました。

参考:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
‐特定技能1号在留外国人数「第1表、第2表、第3表(PDF)」

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特定技能制度でインドネシア人を採用するプロセス

特定技能制度でインドネシア人を採用するプロセス

特定技能の在留資格でインドネシア人を雇用する場合、上図のように、いくつかのルートが考えられます。原則、外国人本人と受け入れ機関(企業)の二者のみですべてのプロセスを進められるため、技能実習制度のように、「送り出し機関」を利用する必要はありません。

一般の応募者が利用できるシステムとしては、主に上図中央の2つがあります。

まず、オンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」です。

IPKOLはインドネシア政府が運用するシステムで、受入れ機関は仲介業者を介さずに希望者を直接採用できます。応募者にとっても、悪質な仲介業者による被害を防げるというメリットがあります。一方で、受け入れる企業側にとっては使いづらく、まだ浸透しているとは言えません。

もう1つが、労働者の海外への紹介・派遣を行う職業紹介事業者(P3MI)です。P3MIは技能実習生の送り出し機関SO(LPKという名称が一般的)とは別ですが、LPKが新たにP3MIの資格を取得しているケースもあります。

P3MIは日本を含む海外への人材紹介を専門に行う、インドネシア政府の認可を受けた事業者です。複数の国への人材紹介を行うところもあれば、特定技能制度を利用した日本へのインドネシア人の送り出しを専門とするところもあります。

P3MIを利用したい日本企業は、それぞれのP3MIに求人情報の掲載やマッチングを依頼することができます。日本人が創業したP3MIや、日本人の役員、職員のいるP3MIもあります。

特定技能外国人としての渡日を希望する人がP3MIに登録する義務はありませんが、現状ではこれがもっとも一般的な方法です。

また図にはありませんが、既に日本に住んでいる留学生も、試験に合格すれば、技能実習生と同様に、在留資格を特定技能に変更して日本で働くことができます。

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インドネシア人にとっての特定技能制度と技能実習制度の違い

専門的な技術や知識があり、特定の分野の就業ビザを取得できる人を除けば、日本での就労を目指すインドネシア人にとって、もっとも現実的なのが特定技能制度や技能実習制度を利用する方法です。

では、インドネシア人たちはどのようにこれら2つの制度を選んでいるのでしょうか。

制度の違い

建前としては制度の目的が異なる2つの制度ですが、多くのインドネシア人にとって、どちらも日本での就労を可能にする制度と認識されています。そのため、2つの制度を比較したとき、転職や家族の帯同が許可されている(2号の場合)特定技能制度の方が、自由度が高く、よりよいと感じる人が多いようです。

給与の違い

給与額についても、平均すると技能実習生よりも特定技能の方が高い傾向があります。在留資格に関わらず「同一労働同一賃金」が基本ですが、特定技能の場合は元技能実習生を含め、その分野についての知識や就労経験がある人が多いためです。

このことはインドネシアでも認知されており、「同じ分野ならできれば特定技能で」と考える人が多くなっています。

また、特定技能制度の場合は、渡航後すぐに働き始められ、その分早く給与を受け取れるという点でも、経済的なメリットがあると認識されています。

コストの違い

渡航までにかかるコストについては、特定技能でも技能実習でもあまり変わらず、いくらかかるかは個人の日本語力や就労経験によります。

日本語や特定の産業分野の勉強を一から始める場合、日本語学校や職業訓練機関(LPK)に通う必要があり、さらに、それぞれの制度で送り出し機関や紹介会社にマッチングや渡航支援を依頼することになります。これらの費用として全体で、30万~40万円程度が必要になる人が多くなっています。

難度の違い

特定技能制度を利用するには、各分野の技能試験に合格する必要があります。加えて、日本語レベルについても、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、もしくは、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2)に合格しなければなりません。

技能実習の場合、技能試験は不要です。日本語についても、介護分野を除き特に規定はありません。そのため、技能試験に合格することや日本語学習に難があると感じた人や、できるだけ早く働き始めたいという人は、技能実習制度を選びやすくなっています。

また、試験会場へのアクセス面などの問題で、試験が少なくて済む技能実習を選ぶ人もいます。

選ばれる特定技能制度

技能実習制度は技術の海外移転が目的であるという点で、日本の人材不足を補うことが目的である特定技能制度とは根本から異なります。

しかし上述のとおり、多くのインドネシア人にとっては、どちらも「日本で働ける制度」と認識されています。

これから初めて日本での就労を目指す彼ら、彼女らにとって、日本で働くという目的が同じである以上、より自由度が高く給与も高い傾向のある特定技能制度の人気が高くなるのは当然といえます。

一方で、技能実習制度は育成就労制度への移行が決まっているため、今後2つの制度の関係性が変化する可能性もあることには注意が必要です。 インドネシアから日本への人材紹介、インドネシアからの人材の受け入れに興味をお持ちの企業様は、ぜひ一度、弊社カケモチにお問い合わせください。

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