データで読み解く親日国インドネシアの現状と課題

公開
2022/08/13
更新
2025/03/24
この記事は約4分8秒で読めます。

インターネットでインドネシアの情報を検索すると、「インドネシアは親日国」という表現によく出会います。実際にインドネシアを訪れ、現地のインドネシア人に接してみると、彼らがとても友好的であることに驚かれるでしょう。

本記事では、インドネシアがどういう点で「親日」なのか、日本や日本人についてどのようなイメージを持っているのかをご紹介します。また、インドネシアに日本企業が進出する際に注意すべきポイントにも触れていきます。

記事の前半を読んでいただくと、インドネシアは親日というイメージを持っていただけると思います。ただ、あえてお伝えすると、「インドネシアは親日国」という表現よりは、「インドネシアは日本に対してポジティブな印象を持っている人が多い国」という表現に変えた方がしっくりくる方もいると思います。

「親日」という言葉に明確な定義がない以上、言ったもん勝ちみたいな雰囲気が正直あります。そういう文脈で使われる「親日」という言葉に抵抗感がある方は、上述の通り、「インドネシアは日本に対してポジティブな印象を持っている人が多い国」と読み替えて本文を読み進めてください。

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データから見る親日国インドネシア

まず、近年行われた様々な調査の結果から、インドネシアの親日度を見ていきます。

インドネシアからの訪日観光客が5年で2.8倍に

日本政府観光局の調査によると、インドネシアからの訪日観光客は、2014年は約12万人でしたが、2019年には約34万人に増えました。5年間で約2.8倍になったということになります。

また、電通による2019年の調査では、「今後1年の間に日本に渡航する予定がありますか。」という質問に対し、インドネシア人の95.3%が「1年以内に渡航する予定がある」または「日程は決まっていないが、いつか行きたいと思っている」と回答しました。

インドネシアでは経済成長に伴って中間所得層が厚くなり、海外旅行を楽しむ人が増えました。彼らにとって、気候や文化が自国と大きく異なり、地理的に近く、海外からの観光客誘致に積極的な日本は、今や海外旅行先として魅力的かつ選びやすい国の代表となっています。

参考1:JNTO「訪日外客統計(報道発表資料)
参考2:電通「電通、「ジャパンブランド調査 2019」を実施」

インドネシアは日本語学習者数が世界第2位

参考:国際交流基金「2018年度 海外日本語教育機関調査」

インドネシアの日本語学習者数は世界で2番目に多く、約71万人です。

とはいえこのデータだけだと、インドネシアが世界第4位の人口を抱える国であることや、高校の授業で日本語を習う人が多いことから、「必ずしも日本や日本語が好きな人が多いわけではないのでは」という疑問もわきます。

そこで、Duolingoが2020年に行った調査を見てみると、「インドネシア人に人気な外国語」の1位が英語、2位が韓国語、3位が日本語という結果でした。外国語を学ぼうとするインドネシア人の中で、日本語は大変人気のある言語なのです。

参考:Duolingo「2020年版Duolingo言語レポート」

日本はインドネシア人が留学したい国第3位

2019年のユネスコの調査によると、インドネシア人留学生が多い国として、日本はオーストラリア、マレーシアに次ぐ第3位となりました。先進国の中でも特に近い日本は、インドネシア人学生たちの主要な留学先の一つとなっていることがわかります。なお、コロナ禍前の2019年に日本に留学していたインドネシア人は、約6,800名でした。

参考1:UNESCO「Global Flow of Tertiary-Level Students」
参考2:JASSO「2019(令和元)年度外国人留学生在籍状況調査結果」

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インドネシア人の日本に対するイメージ

インドネシア人の日本に対するイメージは、非常にポジティブです。彼らの間でよく語られる日本のイメージとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。

日本に対するイメージ

  • 街がきれい・清潔
  • 四季がある・四季折々の景色が楽しめる
  • 電車が時間通りに動く
  • 製品やサービスのクオリティーが高い
  • 技術力が高い

おもしろいところでは、「自動販売機が多い」「コスプレ文化がすごい」などといったものもあります。

日本人に対するイメージ

  • 時間に厳格
  • ルールやマナーを重んじる
  • 礼儀正しい
  • きれい好き
  • 健康的
  • 和を重んじ角を立てたがらない
  • 働きすぎ・生活の中心が仕事

ご覧の通り、多くのインドネシア人が日本に対して持っているイメージは、かなりステレオタイプ的と言えます。インドネシア人が自国にいながら実感を伴ったイメージを持てるものと言えば、日本製品の品質や技術力くらいなのでしょう。

インターネットで調べても知人に聞いても、日本に対するネガティブなイメージがなかなか出てこないという点が、「インドネシアは親日国である」と感じる日本人が多い理由の1つかもしれません。

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インドネシア人の海外製品に対するあこがれ

インドネシアでは、大統領自らが国内製品の消費を呼びかけることが珍しくありません。時には「国内の市場発展のために、輸入品よりも国内の製品を」とあからさまな言葉を使います。

現に、「インドネシア製品よりも海外製品」と考える人はたくさんいます。インドネシア人が海外製品を選ぶ理由としては、「品質が良い」、「パッケージが魅力的」、「技術が進んでいる」などが挙げられます。「インドネシア製よりも高価でブランド力がある海外製品を持っていた方が格好がつく」という面も大きいのでしょう。

ただし、最近はインドネシアの製品でも、高品質で、おしゃれで、モダンなものが増えてきました。国際的に競争力のあるインドネシアブランドも出てきていますし、もちろん、国内のファンも獲得しています。

フランスの市場調査会社Ipsosによる2021年の調査では、インドネシア人の59%が「海外製品の方がインドネシア製品より良いとは思わない」と回答しており、87%が「海外製品よりもインドネシア製品を買う傾向がある」という結果が出ています。

インドネシア人は海外製品が好きですが、だからといって「輸入品だから」「海外ブランドだから」というだけであこがれの的となり、消費に繋がるわけではありません。

参考1:TIMES INDONESIA「Mengapa Masyarakat Lebih Memilih Produk Luar Negeri Dibanding Produk Lokal?」
参考2:LIPUTAN6「Masyarakat Indonesia Pilih Belanja Produk Lokal daripada Impor, Ini Buktinya」

実際に、インドネシアに一度は進出したものの、その後撤退した日本企業も少なくありません。インドネシアは親日国だと説明されることが多いものの、国民の感情とは別の部分で日本企業にとって難しい問題がいくつもあるということがわかります。


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「親日国」インドネシア進出を成功させるために

ご紹介した通り、インドネシア人は日本や日本人、日本製品に対してポジティブなイメージを持っており、その観点で語れば親日国と言えると思います。ただしそれは、必ずしも「すべての日本企業が大歓迎される」ことを意味するわけではありません。

日本企業がインドネシアに進出する際は、現地の法律や規則、環境、人々の価値観や消費傾向などについて細やかにリサーチする必要があります。また、競合他社との差別化を図ることや、必要に応じて良いパートナー企業を探すことも重要です。

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