インドネシアでオリジナルグッズを製作する際に注意すべきポイント

更新
2025/06/11
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企業が自社ブランドの強化や販促活動の一環としてオリジナルグッズを製作するケースが増加しています。しかしながら、安易な製作は思わぬ法的リスクやコスト超過を招く恐れがあり、慎重な対応が求められます。

本記事では、著作権や肖像権などの法的観点をはじめ、デザイン作成時の注意点、製造業者の選定基準、さらには販促効果を高める戦略的な活用方法に至るまで、オリジナルグッズ製作における重要なポイントを体系的に解説します。

企業担当者の皆様が安心して製作に取り組めるよう、実務に直結する知識を網羅的にお届けします。

企業がオリジナルグッズを製作する際に考慮すべき重要ポイント

企業がオリジナルグッズを製作する際には、主に2つの法律および権利に関する問題に注意する必要があります。

著作権

著作権とは、文章、音楽、美術作品などの創作物に対して発生する権利を指します。創作者がプロであるかアマチュアであるかに関係なく、作品が創作された時点で著作権は自動的に発生します。

例えば、企業が許可を得ずに著作権のあるイラストを使用してオリジナルグッズを製作した場合、それは著作権侵害に該当します。このような行為は、販売停止や損害賠償請求につながる可能性があります。近年では、動画の無断転載が横行しており、実際に罰則が科された事例もあります。

肖像権

肖像権とは、個人が自身の姿を無断で撮影・描写されたり、その写真、動画、イラストなどを公表・利用されたりしないよう保護する権利です。

例えば、企業がSNSに投稿された写真を無断で使用してオリジナルグッズや広告物を作成した場合、写真に写っている人物から肖像権侵害を主張される可能性があります。その結果、販売や広告の中止、さらには損害賠償を求められることもあります。

権利を侵害せずにオリジナルデザインを作成するためのヒント

人物や既存キャラクターをデザインに使用する際は必ず許可を得る

自社のタレントやアーティストの写真を使用してオリジナルグッズを製作する場合、特に公共の場で撮影された写真については、周囲に写り込んでいる第三者がいないかを慎重に確認することが重要です。また、キャラクターの著作権は、そのキャラクターが印刷された素材にも及びます。

そのため、市販されているキャラクターが描かれた布地などを購入し、それを改変して二次利用する場合でも、それを製品として販売することはできません。キャラクターとのコラボ商品を製作したい場合は、必ずそのキャラクターの著作権を保有する企業や個人から事前に許可を得てから進めてください。

外部委託する場合も類似デザインの有無を必ず確認する

オリジナルデザインを作成する方法には、主に以下の2通りがあります:

  • 社内製作:デザイン経験のあるスタッフや、デザインツールに精通した担当者が社内でデザインを作成する方法。
  • 外部委託:外部のクリエイターやデザイン会社に依頼する方法。

いずれの方法を採る場合でも、既存の類似デザインがないかを確認することが非常に重要です。外部のプロのクリエイターであっても、過去に見たデザインの要素を意図せず取り入れてしまい、結果として既存デザインと類似してしまうことがあります。

また、AI生成デザインについても、慎重に確認する必要があります。AIは膨大な既存素材を参照しているため、生成されたデザインに既存のものと類似した要素が含まれる可能性があります。

例えば、Google Chromeを使用している場合は、検索窓の右端に表示されるカメラのアイコン「Google Lensで画像を検索」から、類似した画像を検索することが可能です。

デザインにおける色の意味や印象にも注意を払う

オリジナルデザインを作成する際には、配色の選定にも細心の注意が必要です。有名企業が使用している特定のカラースキームは、たとえデザイン自体が類似していなくても、その企業を連想させる可能性があります。

さらに、色の好みやデザインスタイルは年齢や性別によって異なります。例えば、若年層の女性をターゲットとする場合には、明るくポップなスタイルのデザインが好まれる傾向があります。

企業がオリジナルグッズの製造業者を選定する際の重要な検討事項

オリジナルグッズを製作する場合、多くの企業はOEM(Original Equipment Manufacturing)対応の製造業者に製造を委託します。ただし、製造業者によって取り扱うグッズの種類や製造方法が異なり、費用や品質にも大きな差が生じるため、慎重に選定を進める必要があります。

商品価格が安い場合は、加工費が高くなる可能性がある

製造コストの安さだけを基準に製造業者を選定すると、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。というのも、低価格のオリジナルグッズには品質保証がなかったり、別途で追加の製造費用が発生したりする場合があるからです。

製品価格に製造費が含まれている場合もあれば、印刷費や加工費が別途請求されるケースもあります。特にオリジナルデザインの「版(はん)」を作成する際には、デザインごとに新たな版が必要となるため、その分コストが増加します。

また、提出されたデザインデータに対する修正や加工に料金が発生する製造業者も存在します。したがって、こうした点について事前に確認し、複数の業者から見積もりを取得したうえで比較検討すると安心です。

ターゲットのニーズに合った商品が製造可能かを確認する

ターゲット層のニーズに合致したグッズを製作するためには、幅広い商品展開が可能な製造業者や、同業種向けの製作実績がある業者を選定するのが望ましいと言えます。

競合他社と差別化されたユニークな商品を展開したい場合には、特注加工について相談に応じてくれる、あるいは本当にオリジナル性の高い製品を製造できる業者を選ぶことを検討してください。

大量生産前にサンプルや試作品の提供が可能かを確認する

オリジナルグッズや販促品を大量に製作する際には、サンプルや試作品を提供してくれる製造業者を選ぶことが望ましいです。これにより、本生産後に品質面での不満やイメージの相違が生じるリスクを回避できます。

製造業者が複数のサンプルを提供できるかどうか、また、最終製品と同等の品質を持つ試作品の作成を経てから本生産に進めるかどうかを確認してください。

納期に対応できる体制があるかを確認する

社内で製作する場合でも、外部の製造業者に委託する場合でも、製造には一定の期間がかかるため、納期の確認は極めて重要です。特に、グッズを配布したり販売したりする目的がある場合、納期遅延は大きな問題となり得ます。

特にインドネシアでオリジナルグッズを作るにあたっては、インドネシア人やインドネシア企業の時間感覚を理解しておく必要があります。

概して、インドネシア人は日本人と比べて時間厳守に対する意識が低い傾向にあります。

これは、インドネシア語の「Jam Karet(ゴムの時間)」という言葉にも表れています。インドネシア人の多くは、時間を「ゴムのように伸び縮みするもの」、つまり、「はっきりしないもの」「コントロールできないもの」「伸ばしても問題ないもの」と捉えているのです。

そのため、製造業者に発注したものが納期に間に合わない事態は珍しくありません。絶対に後ろ倒しできない納期がある場合は、予定より早めの期限を伝えておく、時間厳守であることを伝えておくなどの対策が必要です。また、こまめに、かつ具体的に進捗を確認することも重要です。

オリジナルグッズの製作とあわせて販促戦略も検討する

どれほど品質の高いオリジナルグッズであっても、自社の収益に結びつかなければ、製作の効果は十分に発揮されません。そのため、グッズ製作と並行して、販促戦略をあらかじめ検討しておくことが推奨されます。

ノベルティとして配布する場合は費用対効果を考慮する

オリジナルグッズをノベルティ(販促品)として配布する場合は、製作コストに見合う効果が得られるかを慎重に検討する必要があります。また、配布方法についても、ターゲット層や目的に応じて適切な手法を選定することが重要です。

例えば、若年層への商品やブランドの認知拡大を目的とする場合は、SNS上でのプレゼントキャンペーンを実施するという手法が考えられます。一方で、既存顧客の購買単価を引き上げたい場合は、購入金額に応じてノベルティを配布する施策も有効です。自社の目的に合った最適な戦略を検討しましょう。

正式な商品として販売する場合はセット購入を促す構成を検討する

オリジナルグッズを正式な商品として販売する場合には、アイテム同士の組み合わせを工夫し、セットでの購入を促進するのがおすすめです。

例えば、アーティストのグッズであれば、アクリルペンライトとトートバッグ、スマホケースとスマホリング、オリジナルポーチやバッグとアクリルキーホルダーなど、関連性のあるアイテムを組み合わせることで、複数点を同時に購入してもらえる可能性が高まります。

実際にインドネシアでは、「bundle」「paket」などと呼ばれるセット販売が、販売促進や購買単価上昇のための有効な戦略の一つとなっています。このようなセット販売は、オンラインでもオフラインでも非常に一般的です。

プロに依頼するメリットと選定のポイント

プロのデザイナーに依頼する最大のメリットは、専門的な知識と豊富な経験を活かせる点にあります。プロフェッショナルは、トレンドを意識したデザインや、ターゲット層に響くビジュアルを作成するスキルを備えています。

また、クライアントのアイデアやコンセプトを具体的な作品へと昇華させる能力にも優れており、より複雑な要件にも対応できます。デザイナーを選定する際には、過去の実績やポートフォリオを確認し、自社のオリジナルグッズのコンセプトとスタイルが合致しているかを見極めることが重要です。

加えて、コミュニケーション能力、納期の厳守、価格体系の明確さといった要素も考慮することで、プロジェクトを円滑に進行させることができます。

インドネシアでオリジナルグッズを販売したり配布したりする場合、インドネシア人の好みを知る現地のデザイナーに依頼する選択肢も、検討する価値があります。

オリジナルグッズの製作は計画的に

オリジナルグッズの製作は企業ブランディングや販促に有効な手段ですが、著作権や肖像権といった法的リスクや、コスト・納期など多くの注意点を伴います。

安心して取り組むためには、信頼できる製造業者の選定や適切なデザイン管理、販促戦略との連携が重要です。効果的かつ安全なグッズ製作を目指しましょう。

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