インドネシアの輸入承認(PI)とは?制度の仕組みと必要な手続きを解説

公開
2026/04/29
更新
2026/04/29
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インドネシアの輸入承認(PI)とは何ですか?

輸入承認(PI:Persetujuan Impor)は、特定の品目をインドネシアに輸入する際に必要となる個別許可です。すべての輸入に必要なわけではなく、対象となる品目に該当する場合のみ、HSコードに基づいて取得の要否が決まります。

自社製品にPIが必要かどうかはどう判断すればいいですか?

基本的には、インドネシア側のHSコードを特定し、そのコードに対応する品目別規制(商業大臣規則など)を確認して判断します。同じカテゴリーでも製品によって要件が異なるため、「食品だから必要」「電子機器だから不要」といった判断はできません。必ずHSコードベースで個別に確認することが重要です。

PIを取得すれば自由に輸入・販売できますか?

PIは自由な輸入・販売を許可するものではありません。PIにより輸入した製品については、輸入者のAPI区分(API-U / API-P)や用途制限が適用されます。特にAPI-P(自社使用)で輸入した製品を第三者に販売することは原則認められていません。

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インドネシアに自社製品を輸出する際に避けて通れないのが、「輸入承認(PI)」という制度です。

本記事では、「インドネシアの輸入承認(PI)とは何か」「どのような製品に必要になるのか」「実務上どのような手続きが求められるのか」を体系的に解説します。

PIはすべての輸入に必要なわけではありませんが、対象となる場合には取得していなければ通関できず、最悪の場合は再輸出となるリスクもあります。また、PIだけでなく、他の許認可(APIやIT / IPなど)との関係も正しく理解しておく必要があります。

制度の全体像を把握し、インドネシアでの輸出販売ビジネスをスムーズに立ち上げる第一歩となるよう、ぜひ最後までご一読ください。

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インドネシアの輸入承認(PI)とは

インドネシアに製品を輸出する際、日本企業がまず理解すべき輸入に必要な許認可の一つが、「輸入承認(PI)」です。

まず前提として、インドネシアで輸入を行う事業者は、NIB(事業基本番号)を取得し、それがAPI(輸入者識別番号 / 輸入ライセンス)として機能することが必要です。これはすべての輸入事業者に共通する「入口条件」です。

そのうえでPIは、一定の有効期間や数量枠の範囲内で特定の品目の輸入を承認するもので、品目別の許認可となっています。

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インドネシアの輸入許認可の構造

インドネシアの輸入許認可の構造

この図のように、インドネシアのインポーター(輸入業者)が取得すべき許認可は、事業者の資格と製品ごとの許認可に分かれます。また、それぞれ複数の資格・許認可を取得する必要があるケースもあります。

API(NIB):輸入ライセンス

APIは、すべての輸入事業者に必須です。現在はオンラインシステムOSSで事業許可申請をする際にAPIを申請し認可されると、「APIとして有効なNIB」が発行されるようになっています。

なお、APIには以下の2種類があります。

  1. API-U(一般輸入):販売目的
  2. API-P(製造輸入):自社使用目的

特に注意すべきなのは、API-Pで輸入した製品を他社に販売することは、特定の例外条件に当てはまるケースを除き、原則認められていないという点です。

APIとPIは紐づけて管理されます。したがって、API-Pで取得したPIを使って第三者へ販売することはリスクとなります。例えば、日本企業が現地に製造業者を設立してAPI-Pを取得しているケースでは、「余った在庫は現地で売ればいい」といった運用は原則できません

【補足】
規則上は、輸入者は「API-Uとして有効なNIB」または「API-Pとして有効なNIB」のいずれかを選択する建て付けになっており、同じNIBを同時に両方のAPIとして用いることはできません。

登録輸入業者(IT)・製造輸入業者(IP):追加の輸入ライセンス

ITとIPは、規制対象品目を輸入する場合に必要な事業者ライセンスです。ITはAPI-Uに、IPはAPI-Pに対応します。

ITが必要になる販売目的の規制品目としては、食品・飲料、繊維・衣類・履物、電気・電子製品などがあります。

一方、IPが必要になる自社使用目的の規制品目としては、原材料・中間材、機械・設備、部品・コンポーネントなどが挙げられます。

ただし、いずれも詳細は品目別規則を確認する必要があります。

案件ごとまたは品目ごとの個別許認可(輸入承認(PI)など)

輸入する製品カテゴリー・品目によっては、PIやIT / IPといった「会社として持っておく資格」に加えて、輸入者・HSコード・数量・原産国・有効期間などに紐づく製品ごとの許認可の取得が必要です。

なかでも重要なものの一つがPIです。PIは、対象品目について個別に発行される許可で、その要否は基本的にHSコードで判断されます。

インドネシアの輸入ライセンスは、このように多層的な構造となっており、制度理解だけでなく、実際にどのスキームで進めるかの設計が重要になります。例えば、自社で現地法人を設立するのか、既存のインポーターと提携するのかによって、必要な許認可や手続きは大きく変わります。

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インドネシアのHSコード

PI申請などインドネシアへの輸出・輸入事業で使用するHSコードは、インドネシア関税率表(BTKI)に定められる8桁のコードです。日本側の輸出統計品目番号と末尾が異なるケースが多いため、現地の通関士など専門家に依頼し、ダブルチェックを徹底すると安心です。

HSコードの特定は、PIの要否判断だけでなく、その後の規制対応やコスト見積もりにも大きく影響します。初期段階で誤ると、後工程での手戻りや追加コストの発生につながるため注意が必要です。

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輸入承認(PI)が必要な製品

PIが必要な主な製品カテゴリー

PIはすべての輸入に必要なわけではなく、特定の品目・政策対象に該当する場合にのみ必要となります。

PIが必要になる品目が多いカテゴリーとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 繊維・衣類
  • 食品・飲料(特に畜産・加工品)
  • 電気製品・電子機器
  • 鉄鋼などの基幹産業品

ただし、同じカテゴリーでも品目ごとにPIの要否が異なります。PIの要否はその時々の輸入規制によって変化する可能性があり、最終的には品目別規則・HSコード・用途などによって決定されるため、個別に確認が必要です。

特に近年は、PI要件が削除された代わりに別の追加要件がつく」といった変更もみられるため、最新情報の確認が欠かせません。

NK(商品バランス)とPI

インドネシア政府は一部の製品カテゴリーについて、NK(商品バランス:国家的な需給データ)というシステムを通じて、国全体の需要と供給を管理しています。PIなど輸入関連の許認可の発行は、このNKと密接に関係しています。

このシステム下では、適切なAPIやIT / IPを持っているインポーターでも、希望した数量の輸入が必ず承認されるわけではありません。年単位などその時に定められているNK次第で、国全体でどの程度輸入できるかが決まるためです。

電子機器カテゴリーの例

以下では、電子製品およびテレマティクス製品の輸入について定めた2025年商業大臣規則第21号から、電子製品のPI関連の規定を紹介します。

原則:輸入可能

同大臣規則によると、電子製品は一部品目を除き、API-UまたはAPI-Pを有する事業者であれば輸入可能ですが、HSコード・製品によっては追加の許認可が必要です。

4つの分類

電子製品およびテレマティクス製品は、大きく4つに分類されます。それぞれについて、HSコードによる輸入要件は以下のとおりです。

なお、PIの品目ごとの要否を含む輸入規制は変更される可能性があるため、その都度、最新情報を確認する必要があります。

分類1「カラー複合機、カラー複写機、カラープリンター」
  • PI、LS(サーベイヤー報告書:船積み前検査(PSI)の報告書)が必要
  • ポストボーダー管理の対象
分類2「携帯電話、携帯情報端末、タブレット端末」
  • IT、PI、LSが必要
分類3「その他の電子製品」
  • LSが必要
  • 空調装置(3つのHSコード)のみ、LSとPIが必要
分類4「冷却システム関連製品」
  • LSが必要
  • ポストボーダー管理の対象

このように、同じ電子製品であっても、分類やHSコードにより輸入要件が異なり、PIの要否も分かれます。

【補足】
HSコードの前に「ex」が付いている場合は、そのHSコード全体ではなく、一部の仕様や用途に該当する製品のみが対象となることがあります。そのため、HSコードだけでなく、備考欄や細分化された条件まで確認することが重要です。

PIが必要かどうかは、どのように判断すればいいですか?

基本的にはHSコードをもとに、該当する品目規制を確認する必要があります。同じカテゴリーでも品目ごとに要件が異なるため、「衣類だから必要」「食品だから不要」といった単純な判断はできません。最新の法令や省令ベースで確認することが重要です。

輸入承認(PI)の取得主体

申請の主体はインポーター

PIを取得するのは、インドネシア側のインポーターです。スキームとしては、以下のようなものが想定されます。

  • 日本企業が自社で輸入事業を行う場合:現地法人が取得
  • 日本企業が輸出のみを行う場合:現地インポーターまたはディストリビューター(提携企業)が取得 

このとき重要なのが、APIとPIの整合性です。前述のとおり、1つの企業が持てるAPIはAPI-UかAPI-Pのどちらかで、PIはその企業のAPIに紐づきます。つまり、現地法人がある製品をAPI-PでPIを取得して輸入し、あとでディストリビューターに販売することは、制度的に矛盾します。

インドネシアへの輸出事業または現地での輸入事業は、どのスキームを選ぶかによって、必要な許認可やリスクが大きく変わります。特に、API区分やPIの取り扱いを誤ると、さまざまな問題につながる可能性があります。

インドネシアでの輸入・流通の進め方や現地パートナーの選定についてお悩みの方は、こちらからお気軽にご相談ください。

インポーターの責任・義務

インポーターは、通関申告、関税・輸入税の納付、輸入規制への適合、さらには各種許認可の取得まで含めて、輸入に関する法的責任を負います。

そのため、PIやLSの不備・内容不一致がある場合、書面警告、輸入分野の事業許認可の凍結・取消、次回申請の停止などの行政制裁の対象となる可能性があります。

また、インポーターには、PIを取得して輸入を行ったあと、定期的な輸入実績報告(LRI)が義務付けられています。輸入実績報告を怠った場合、報告義務を履行するまで次回のPI申請ができなくなる可能性があります。

日本企業が直接PIを取得することはできますか?

PIはインドネシアの輸入事業者に対して発行されるため、日本企業(輸出側)が単独で取得することはできません。現地法人またはパートナー企業を通じた対応が必要です。

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輸入承認(PI)の取得方法・手続き

輸入承認(PI)の取得方法・手続き

取得方法と準備

PIの申請は、INATRADE(商業省オンラインポータル) から行います。申請にあたっては、品目ごとに異なる必要書類・情報を用意します。

ここで重要なのが、PIそのものよりも「事前準備」の方が時間がかかるという点です。

代表例が、食品や化粧品などが対象となるBPOM登録です。一般的に、PI取得の前にこちらを済ませる必要がありますが、品目によっては登録に3か月程度かかるケースもあります。

PI取得の前提としては、ほかにも、

  • SNI(国家規格) への適合証明
  • 管轄省庁からの推薦状
  • 技術診断書(Pertek)

などが含まれる場合があります。

PIは船積み前・通関前に取得

PIは、インドネシア側のインポーターが、対象品目を実際に輸入する前に取得しておく必要があります。

取得後は、PIの内容に沿って船積み・通関を進めます。対象品目でLSが必要な場合は、PI取得後に船積み前検査を行い、LSを取得して通関時に提出する流れになります。

PIの有効期間と内容変更

PIの有効期間は製品カテゴリーごとに異なり、品目別規則により、NKに連動する場合や、最長1年などと定められる場合があります。条件を満たせば有効期間満了前の手続きで延長も可能ですが、それ以外のケースでは新規申請となります。

一度取得したPIは、申請内容に変更がなく有効期間内であれば、品目別規則・PIの記載条件により、複数回の輸入に使用できる場合もあります。ただし、申請内容(輸入者情報、HSコード、商品説明、数量など)に変更がある場合は、PIの変更手続きか新規申請が必要になります。

輸入承認(PI)に関連するリスクと対策

PIは、対象品目の輸入可否や通関可否に直結する重要な許認可です。未取得や内容の不一致があると、単なる書類不備では済まず、通関停止、再輸出、行政処分につながる可能性があります。

PI未取得・許認可不足による通関リスク

PIが必要な品目であるにもかかわらず、通関前までにPIをはじめ必要な許認可を取得していない場合、貨物を輸入できない可能性があります。

また、PIだけでなく、品目によってはIT / IP、BPOM登録、SNI認証、ハラール認証、LSなどが必要になります。これらの必要書類が揃っていないと、通関できず、貨物が再輸出の対象となることがあります。

PIの内容不一致による行政リスク

PIには、輸入者情報、品目、HSコード、数量、原産国、有効期間などが記載されます。実際の輸入内容とPIの内容が一致していない場合、通関時やポストボーダー検査で問題になる可能性があります。

特に注意すべきなのは、以下のような不一致です。

  • HSコードの違い
  • 数量・単位の違い
  • 原産国・船積み情報の違い

このように、PIは「取得すれば終わり」ではなく、インボイス、パッキングリスト、輸入申告書などと整合している必要があります。

加えて、輸入者のAPI区分や輸入目的・用途とPIの内容が合っていないケースも、問題になる可能性があります。

インドネシアの現地法人が自社使用向けに輸入したものを、他社に再販することはできますか?

原則できません。自社使用向けの輸入と販売用の輸入は必要なライセンス・許認可が別で、自社で使う目的で輸入したものを販売することは原則禁止されています。

インドネシア輸出の成否は「PIと規制理解」で決まる

インドネシアの輸入承認(PI)は、特定品目の輸入に際して必要となる個別許可であり、その要否はHSコードをもとに判断されます。

API(NIB)やIT / IPといった事業者資格に加え、PIや各種認証・検査など複数の規制が重なる点が特徴です。

PIをはじめとするインドネシアの輸入規制については、同じカテゴリーでも品目・製品ごとに要件が異なるため、事前に正確な分類と規制確認を行うことが不可欠です。また、制度は頻繁に見直されるため、常に最新情報を確認する姿勢も重要です。

こうしたポイントを押さえることで、輸出後のトラブルを防ぎ、安定したビジネス展開につなげることができます。

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