Tokopediaの環境保護プログラム「Tokopedia Hijau」とは
- 公開
- 2025/12/30
- 更新
- 2026/01/02
- この記事は約8分42秒で読めます。
インドネシア最大級のECプラットフォームTokopediaは、持続可能で環境に優しいビジネスエコシステムを構築するための取り組みとして、Tokopedia Hijau(Hijau=グリーン)プログラムをスタートしました。
この動きに象徴されるように、今インドネシアの多くの企業が、環境に配慮した商品やサービスの提供を始めています。
本記事では、インドネシアの企業や政府の環境保護に関する取り組み、そしてその背景にあるインドネシアの環境問題や人々の意識について解説します。
なお本記事の金額(円)の表記は、2022年12月27日の交換レートに基づき、1ルピア0.0085円で換算したものです。
インドネシアと環境問題
インドネシア国内の環境問題
インドネシアは、他の多くの新興国や発展途上国と同様に、経済を発展させながらいかに環境を保護していくかという課題に直面しています。
国内の環境問題も深刻で、例えば首都ジャカルタは地盤沈下と海面上昇により、将来沈没するリスクが指摘されています。気候変動の他、大気汚染や森林破壊なども、もちろん重要な問題です。
インドネシアのエネルギー問題
インドネシアは現在、国内の発電量の約65%を石炭火力発電に頼っており、気候変動対策という観点から、再生可能エネルギーへの転換が急がれます。
石炭を使い続けることは、環境負荷だけでなく、これまでインドネシア経済を支えてきた石炭の埋蔵量の低下も招きます。新たな埋蔵地が発見されず、今のペースで採掘が続けられると仮定すると、インドネシアの石炭はあと62年で底をつくとされているのです。
しかし、エネルギーミックスの大きな変化は当面見込めず、2030年の石炭火力発電の割合は依然として60%近くになると予測されています。そのためインドネシア政府は、埋蔵地の探査と併せて、環境負荷の少ない火力発電技術の開発を進めています。

画像出典:databoks「Bauran Energi Indonesia Masih Didominasi Batu Bara pada 2030」
- 参考:databoks「Stok Batu Bara RI Habis 62 Tahun Lagi, Umur Migas Lebih Pendek」 / 「Bauran Energi Indonesia Masih Didominasi Batu Bara pada 2030」
環境問題に対する意識の高まり
IDN Research Institute in Indonesia Gen Z Report 2022の調査によると、インドネシアのZ世代の回答者の79%が気候変動は深刻な問題だと答えました。また、66%が持続可能性を重視した製品にもっとお金を使おうという意思があり、70%が気候変動問題に対し責任を果たしたいとしています。
インドネシア企業にとって環境問題に対処することは、国民の環境問題への意識の高まりに応えるという意味でも重要です。そこで近年、インドネシア企業の多くが、環境に優しい商品の開発やサービスの提供など、様々な角度から環境保護へのアプローチを始めています。
その例として、まず、KOMPAS.com「Ada Gerakan Tokopedia Hijau, Apa Itu?(Tokopedia Hijau運動って何?)」を元に、Tokopediaの新たな環境保護プログラム「Tokopedia Hijau」についてご紹介します。
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Tokopediaの環境保護プログラム「Tokopedia Hijau」とは
Tokopedia Hijauは、Tokopediaが始めた環境保護のためのプログラムです。Tokopedia Hijauは民間企業の環境保護運動の中でも、自社の製品やサービスそのものではなく、自社のパートナー事業者を「環境配慮型」にするという点でユニークです。
Tokopedia広報部のシニアリーダーであるAditia Grasio Nelwan氏は、12月14日に開催されたTokopedia Hijauの発表会で、「Tokopedia Hijauという新たな取り組みを通じて、環境に優しく、かつ持続可能なビジネスを構築するよう、人々に呼びかけていきます。」と述べています。
Tokopedia Hijauプログラムの対象となるのは、環境に配慮した製品や包装を取り扱うセラー、および社会と環境に対する影響の大きい持続可能性を重視する企業です。Aditia氏は、「Tokopedia Hijauはグリーン・セラーの教育および支援プログラムを積極的に実施します。現在、グリーン・セラー支援プログラムに参加している中小零細企業は数十社に上ります。」と説明しました。
グリーン・セラー教育プログラムでは、セラーが環境に配慮したビジネスを構築・開始できるよう指導するためのモジュールが用意されています。また、セラーが無料でアクセスできるウェビナーも開催予定です。
そして、グリーン・セラー支援プログラムでは、中小零細企業が集中講義やオンラインキャンペーンなどの一連のプロセスを経て、「グリーン・セラー」になることを目指します。
Tokopedia Hijauには、Tokopediaの従業員とセラーだけではなく、社会起業家の支援事業を行うスタートアップ企業The Local Enablersも協力しています。The Local Enablerの創設者Dwi Indra Purnomo氏は、「Tokopediaのグリーン・セラー支援プログラムにおいて、ファシリテーターとしての役割を果たしたい。それはより多くの中小企業が環境に優しいビジネスを行えるよう、見通しと方法を共有することです。」と説明しました。
Tokopediaは、このプログラムに参加する上位3位のセラーに1億ルピア(約85万円)のコーチングファンドを提供するとしています。
- 参考:KOMPAS.com「Ada Gerakan Tokopedia Hijau, Apa Itu?」
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インドネシア企業の環境問題対応
Tokopedia以外にも、多くのインドネシア企業が色々な方法で環境問題にアプローチしようとしています。以下では、その例を3つご紹介します。
JD.IDのサスティナブルファッションチャネル
ECプラットフォームJD.IDは、2021年11月にサスティナブルファッションの特別チャネルを立ち上げました。このチャネルでは、持続可能な方法で生産された生分解性素材を使用した衣料品が販売されています。
- 参考:FINTECHNESIA.COM「TENCEL, Meluncurkan Kanal Khusus Sustainable Fashion di JD.ID」
Gojekのユーザー参加型植樹活動「GoGreener」
一方Gojekは、2021年9月から「GoGreener」を開始しました。このプログラムでは、ユーザーが自分の二酸化炭素排出量と排出した二酸化炭素を吸収するために必要な木の本数を算出でき、植樹する木を購入できます。


Gojekのユーザーが購入したマングローブの木は、これまでに少なくとも1,500本。2021年末にジャカルタ、東ジャワ州デマック、東カリマンタン州ボンタンの3都市で植樹が行われました。今後は植樹活動のエリアを増やしたり、カーボンオフセットのための別のアクションを選べるようにしたりする予定です。
Garnierの製品改革「グリーンサイエンス」
Garnier Indonesiaは、化粧品としての効果が高く、しかも環境に優しい製品を開発する製品改革「グリーンサイエンス」を開始しました。
グリーンサイエンスでは、天然の成分やビーガンベースの成分の使用、水使用量の削減、生産工程における環境負荷の最小化などに焦点を当てた開発が進められており、既に3種類の化粧品が発売されています。
インドネシア政府の政策
インドネシア政府は2024年までの国家中期開発計画で、優先事項の一つとして環境問題への対策を挙げ、低酸素化や自然環境の改善に取り組んでいます。
2022年11月にバリ島で開催されたG20サミットでも、インドネシアのグリーン経済やグリーン電力に対する熱意と関心が表明されました。
インドネシアのJoko Widodo大統領は、G20サミットのアジェンダの中で、グリーン経済とグリーン電力の問題を繰り返し強調し、G20加盟国のすべての首脳に対し、包括的なグリーン経済の実現に向けて協力するよう呼びかけました。
加えて大統領は、グリーン経済実現のため、インドネシアの豊富な天然資源を有効活用するようアピール。いつかは枯渇する天然資源の利用可能性を最大限に引き出しながら効果的に使うことは、インドネシア経済にとって大変重要です。
もちろん、天然資源を節約することは、生態系へのダメージやその他の環境リスクを最小化することに地球規模で貢献することにも繋がります。
現在インドネシアでは東カリマンタン州への首都移転プロジェクトが進行中で、新首都を環境に優しいスマートシティーとし、グリーン経済実現の中心地とする計画です。そのため今回のG20サミット開催をきっかけに、大統領が世界から新たな「グリーン投資」を呼び込めるかどうかも注目されています。
また、インドネシアの投資大臣であり、投資調整庁(BKPM)長官でもあるBahlil Lahadalia氏はG20ビジネス・サミット(B20)の中で、「発展途上国は世界のグリーン投資の5分の1しか受け取っておらず、残りは先進国に集中している。」として、グリーン投資の不均衡を問題視する姿勢を表明しました。
インドネシアもグリーン投資を必要としている国の一つであることから、先進国・発展途上国双方が公平な条件で経済発展と環境保護を両立できるよう配慮を促した形です。
このようにインドネシアは、G20サミットとその関連イベントを通じて、参加国に発展途上国の電力を再生可能エネルギーに移行させるための大規模かつ包括的な投資を呼びかけました。これを受け先進各国は、途上国へのグリーン投資を拡大することに合意しています。
- 参考:KOMPAS.com「Bahlil: Hanya Seperlima Aliran Investasi Hijau Mengalir ke Negara Berkembang Termasuk RI」



日本からの支援
JICAとPLNの協力
国際協力機構(JICA)はこれまで、インドネシアにおける再生可能エネルギーによる電源開発や、最新技術を含めた脱炭素ロードマップの策定を支援してきました。
そして2022年11月にはG20サミットに先立ち、JICAとインドネシア国営電力公社(PLN)が業務連携協力に関する覚書を締結しました。この覚書は、インドネシアの脱炭素に向けた電力分野での包括的な協力の強化を目的としています。
具体的には、今後PLNによる脱炭素推進方針策定に活用されることを見越し、将来の電力需要予測や再生可能エネルギー導入に伴い必要となる電力系統の安定化に関する調査をJICAが実施することで合意しています。
三井住友銀行の融資
2022年12月には、三井住友銀行とその子会社であるインドネシアのPT Bank BTPN Tbkが、PLNに対し1.46兆ルピア(約124億円)のグリーンローンを提供することが明らかになりました。これは、国内の電力を再生可能エネルギーに移行させる事業を支援するために提供されるシンジケートローンです。
BTPNはこの他にも、持続可能な開発を進める政府のプログラムの一環として、環境に配慮した事業活動に対する継続的な融資を行っています。例えば、再生可能エネルギーの開発、環境負荷の少ない運輸、天然資源と土地の持続可能な利用と管理、環境配慮型の建物などのための「グリーンファイナンス」商品を設計しており、既に複数の融資の実績があります。
インドネシアとグリーン経済
インドネシアの企業や政府の環境保護の取り組みの一端をご紹介しました。
国際社会の一員であるということに加え、インドネシアには、環境保護に積極的にならなければいけない独自の事情があります。気候変動の影響を受けやすい島国であること、化石燃料の産出国であること、自然環境が悪化すると天然資源に支えられる国内経済に打撃を与える危険があることなどです。
しかし、新たな技術の開発には多額の費用がかかります。そのためインドネシア政府は、様々な政策を打ち出す一方で、資金に関しては国内外の投資家からのグリーン投資やグリーンローン、あるいは民間企業の政府プログラムへの協力に頼っている側面もあります。
とはいえ、最近は環境に配慮した製品やサービスを目にする機会が増えているのは事実で、若者が環境問題に関心を持ち始めたという調査結果もうなずけます。
政府や民間企業のグリーン経済実現に向けた取り組みを若者たちが支持する動きがより活発になっていった結果、インドネシアの経済や社会がどのように変化していくのか、関心を寄せていきたいところです。
読後のお願い
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