インドネシアの飲食店でアルコール販売するための許認可とプロセス

公開
2025/02/03
更新
2026/06/20
この記事は約5分9秒で読めます。

インドネシアはイスラム教が多数を占める国ですが、実はアルコール飲料も流通しています。

本記事では、インドネシアへの進出を考えている日本の飲食店経営者や海外進出担当者の方々に向けに、インドネシアのアルコール事情について詳しく紹介します。インドネシア人のアルコール飲料に対する考え方や流通範囲、ビール、ウイスキー、日本酒、焼酎、ワインなどのカテゴリー別の状況について解説します。

【補足】
円表記は2025年1月28日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算したものです。

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インドネシアのアルコール事情

まずは一般的なアルコール飲料事情についてご紹介します。

このセクションでわかること(クリックすると該当箇所へ移動します)

マーケットは限定的

インドネシアの人口の約9割(87%)がイスラム教徒であり、イスラム教ではアルコールの摂取が禁止されています。そのため、アルコール飲料のターゲットとなるのは、約1割(13%)の非イスラム教徒と外国人駐在員や観光客などです。

非イスラム教徒の中でも、毎日の習慣としてアルコール飲料を飲む人は日本ほど多くはありませんが、特に華人のなかにはお酒を嗜む人も一定数います。また、ジャカルタなどの大都市では外国人も多く、彼らも重要な市場の構成員となっています。

高い関税

インドネシアではアルコール飲料に対する関税が非常に高く設定されています。

JETROによれば、日本から輸入されるアルコール飲料の場合、ビールには1リットルあたり1万4,000ルピア(130円)、ビール以外の醸造酒と混成酒には90%、蒸留酒には150%の関税が課されます。さらに、輸入されたアルコール飲料には、アルコール度数に応じて物品税も課されます。

これらの税金が価格に反映されるため、ビール以外は軒並み販売価格が高くなり、多くの場合日本の2~4倍の価格となります。

参考:JETRO「インドネシア|アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き」

提供できる場所や時期の制限

インドネシアでは、日本のようにコンビニやカフェで気軽にビールを買えるわけではありません。かつてはコンビニにもビール程度のアルコール飲料は置いていましたが、現在は法律が変わり、一定以上の面積があるスーパーマーケットやリカーショップでしか販売できません(バリ島は例外的にコンビニで販売可能)。

ビール以外のハードリカーはリカーショップのみで購入可能です。また、レストランやカフェには、普通、アルコール飲料は置いていません。イスラム教の断食期には、ショッピングモールにあるリカーショップが閉まったり、飲食店でアルコール飲料を提供する際は中身が見えないように急須で出すなどの配慮がなされる場合があります。

インドネシア経済の魅力について

インドネシアにおける酒類別の状況

カテゴリー別に、それぞれのアルコール飲料の流通状況や価格などを紹介します。最終小売価格はお店によって異なりますので、リカーショップで見かける市販価格のだいたいの目安としてご参照ください。

また、本記事で紹介する商品の価格は記事執筆時のものです。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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ビール

大型スーパーマーケットやリカーショップで購入可能で、価格は330ml1缶で200~300円程度です。酒販ライセンスの取得が容易なこともあり、居酒屋やバーはもちろん、一部のレストランやカフェでも提供しています。

インドネシアのお酒の中では唯一、ビールは日本と近い価格帯で飲めるものです。インドネシアはオランダ領だった歴史的背景もあり、国産のビールも多数あります。

最近はバリを中心にクラフトビールの製造も盛んで、価格は高いものの試す価値のある品質となっています。クラフトビールは330ml1缶で4万5,000~10万ルピア(430~950円)程度です。

サッポロ、アサヒ、キリンビールも、日本の2倍程度の価格で流通しています。

インドネシアで人気のビールの例

  • Bintang(ビンタン):
    インドネシアを代表する国産銘柄。最も普及しているビール。330ml缶で2万5,000ルピア(240円)前後。
  • Bali Hai(バリハイ):
    国産銘柄。ビンタンのライバル的存在。Balihai Draft 320ml缶で2万ルピア(190円)前後。
  • Heineken(ハイネケン):
    オランダビールだがインドネシア国内製造のため高くない。330ml缶で3万5,000ルピア(330円)前後。
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ウイスキー

リカーショップで購入可能で、価格は日本の2~3倍程度です。居酒屋やバー、外国人の多いダイニングレストランでも提供しています。ビール以外のアルコールのなかで特に人気が高いのがウイスキーですが、グラス売りしている飲食店は少なく、ボトル売りが主流です。

最近はジャカルタ市内でサントリー角が流通しており、サントリー角ハイボール(角ハイ)を提供するお店も少しずつ出てきました。ただし、店売り価格で一杯10万ルピア(950円)前後する高級品です。

バリを始めとした国産ウイスキーも出ており、価格は1瓶(700ml)30万ルピア(2,850円)前後です。

インドネシアで人気のウイスキーの例

  • Jameson Irish Whiskey(ジェムソン):
    廉価な有名銘柄としてリカーショップによく並ぶ。700mlで45万ルピア(4,280円)前後。
  • The Glenlivet 12 YO(グレンリベット):
    中間価格帯のウィスキーとしてリカーショップによく並ぶ。700mlで90万ルピア(8,550円)前後。
  • Batavia (バタヴィア):
    バリ製造のウイスキー。700mlで30万ルピア(2,850円)前後。
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日本酒

日本酒はリカーショップで購入可能で、価格は日本の3~4倍程度です。

居酒屋に置いてあることは多いものの、バーで置いてあるところは稀です。「Sake」としてカテゴリー自体の知名度はあるものの、ウイスキーほどの人気はありません。一部の日本人経営の居酒屋を除き、ボトル売りが主流です。

インドネシアで人気の日本酒の例

  • 獺祭 純米大吟醸45:
    日本好きの間では知名度が高く、居酒屋やリカーショップで見かけることもある。リカーショップでは750mlで75万ルピア(7,130円)程度で販売。 
  • 摂州男山:
    最も安価で仕入れられる日本酒の一つ。リカーショップでは750mlで47万ルピア(4,470円)程度で販売。

焼酎

リカーショップで購入可能ですが、扱いは少なく、価格は日本の3~4倍程度です。日本酒より知名度も人気も低いです。一部の日本人経営の居酒屋を除き、ボトル売りが主流です。飲食店では、居酒屋以外ではあまり見かけません。

インドネシアで人気の焼酎の例

  • 紅乙女:
    居酒屋だけではなくリカーショップでも見かけることの多い銘柄。900mlで65万ルピア(6,180円)前後。
  • だいやめ~DAIYAME~:
    近年居酒屋で見かけることが増えてきた銘柄。市販もされている。900mlで65万ルピア(6,180円)前後。

ワイン

リカーショップで購入可能で、価格は日本の2~4倍程度です。居酒屋やバー、外国人の多いダイニングレストランでも提供しています。ビール以外のアルコールの中では人気の高いものの一つです。しかしグラス売りしている飲食店は多くはなく、あってもハウスワインのみで、基本はボトル売りです。バリ醸造のワインも流通していますが、価格は高めです。

なお、赤ワインはインドネシア語で「Anggur merah」と呼ばれますが、インドネシアにも元々Anggur merahと呼ばれる発酵酒があります。Orang Tuaという企業が販売しているAnggur merahが有名で、ボトル1本あたり数百円で買えますが、ワインとは別ものです。

インドネシアで人気のワインの例

必ずしも人気が高いわけではありませんが、リカーショップでよく販売されており、日本のものと価格の比較がしやすい銘柄を2つ紹介します。

  • Cono Sur Cabernet Sauvignon(コノスルカベルネソーヴィニョン):
    有名なチリワイン。750mlで25万ルピア(2,380円)前後。
  • SABABAY(サババイ):
    バリ産ワインの代表格の一つ。価格帯は幅広いが赤ワインの安いクラスは750mlで20万ルピア(1,900円)前後。

その他

最近は韓国ドラマの影響もあり、Soju(ソジュ)と呼ばれる韓国焼酎も認知度が高くなっています。日本で有名な眞露(JINRO)もよく見かけるようになりました。ハラール商品(ノンアルコールSoju)も登場しており、ムスリムの多いエリアで提供されています。

また、バリではArak(アラック)と呼ばれる蒸留酒が昔からあり、リカーショップで購入可能です。日本の焼酎に近い味です。

インドネシアで人気のその他のお酒

  • 眞露:
    韓国焼酎の有名銘柄。韓国焼肉屋などではよく見かける。市販価格は360mlで9万ルピア(860円)前後。
  • Dewi Sri Arak Bali(デウィスリアラックバリ):
    アラックの有名銘柄。350mlで16万ルピア(1,520円)前後。

限定的だが一定の需要があるインドネシアのアルコール

イスラム教徒が多いインドネシアのアルコール市場は限定的ですが、一定の需要があります。特に非イスラム教徒や外国人を中心に、ビールやウイスキー、ワインなどが人気です。また、バリを中心とした観光地では、クラフトビールや国産ウイスキーなど、新世代のローカルアルコール飲料も登場しており、今後の市場拡大が期待されます。

インドネシアでのアルコール販売を考える際には、高い関税や販売制限を考慮しつつ、ターゲット層を明確にすることが重要です。ニッチな市場としての可能性を秘めるジャンルといえるでしょう。

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