インドネシアで社会貢献がコンセプトのECプラットフォーム「ZabetMart」が誕生

公開
2025/12/30
更新
2026/01/02
この記事は約7分17秒で読めます。

合ECプラットフォームとは異なり、人々の社会生活を支援することを目的としたビジネスや社会起業家が集まる場所です。

そこで本記事では、このニュースをZabetMartのサービス内容に焦点を当てて伝えた3月27日のKompas.com「Anak Bos BCA Luncurkan E-Commerce ZabetMart, Seperti Apa?(BCA社長の娘がeコマースZabetMartをローンチ、どんなもの?)」を始め複数のWebメディアの記事を参照しながら、ZabetMartの特徴や理念を見ていきます。

また、既存のオンライン社会貢献プラットフォームについても取り上げながら、インドネシアにおける企業の社会貢献活動について、その一端をご紹介します。

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社会起業家のための新しいECプラットフォームZabetMart

ZabetMartとは

ZabetMartは、PT Multi Berkat Asiaが運営するECプラットフォームです。2023年4月10日現在、ビジネスサービス、コンサルタントサービス、飲食、健康・美容、住宅、投資の6つのカテゴリーを設けており、約60のパートナー企業と提携しています。

創業者Elizabeth AM Setiaatmadja氏によると、ZabetMartは多くのパートナーと提携することを目的としておらず、サービスのクオリティを第一に考えています。そのため、ZabetMartのパートナーとして同プラットフォームを利用し商品を販売するには審査を通過する必要があります。パートナーセラーになるための条件は、以下の通りです。

  • 商品の生産者かつビジネスオーナー、または、商品の第一再販売者であること
  • インドネシア国内の原料を使用した商品を、インドネシア製の梱包材を使用して販売すること
  • 幅広い商品を持ち、既に2~3年間事業を継続していること

商品を第三者や再販業者からではなく、メーカーから直販する点が特徴で、「ZabetMartで販売されるのは「ファーストハンド」の商品なので、競争力のある価格であることを保証します。」とElizabeth氏 は述べています。

ZabetMart誕生の経緯

Elizabeth氏は、社会的な活動に強い関心を持つ起業家として知られています。同氏はZabetMartを開始した目的を「国内の中小企業のレベルアップを支援すること」とした上で、「ZabetMart は、企業にビジネスを発展させる機会を提供することで、人々の経済生活を改善させる新たな社会起業家の誕生を促進することができる。」と述べています。

Elizabeth氏の父親であり、インドネシア最大の民間銀行Bank Central Asia(BCA)の取締役社長であるJahja Setiaatmadja氏は、ZabetMartは国内の中小企業が海外で市場シェアを伸ばすことに貢献できると考えています。

同氏は「選び抜かれたZabetMartのパートナーには、国内の販売者と海外のバイヤーがそれぞれいるため、将来的には、国内の企業が海外に進出する際の架け橋になることが期待される。」と話しました。

ZabetMartの社会貢献活動

ECプラットフォームとして中小企業に販売場所を提供する以外にも、ZabetMartは社会問題解決に向けた具体的なプロジェクトを実施しています。

ZabetMartウェブシリーズ

ECプラットフォームの立ち上げと同時に、ZabetMartはウェブシリーズ「KARENA SETIAP KITA PUNYA CERITA(私たちそれぞれに物語があるから)」の配信も開始しました。このウェブシリーズは人生や恋愛、結婚などの悩みを抱える5人の物語を描いており、2023年3月25日から毎週土曜日と水曜日にYoutubeで放送されています。

「KARENA SETIAP KITA PUNYA CERITA」では、子育てと親の介護を担ういわゆる「サンドイッチ世代」の人たちが直面する課題についても取り上げられています。

発表会でElizabeth氏は、このウェブシリーズのテーマの一つとして「老人介護施設」を挙げ、「これまで老人介護施設は、怠け者で親の世話をできない子どもに見捨てられた老人の場所と見なされてきました。しかし、それはまったくの間違いです。このウェブシリーズでは、老人介護施設の別の見方を示します。」と説明しました。

インドネシアでは今でも、年老いた親のケアは子どもが家庭で行うのが一般的です。親を施設に入れることはしばしば「義務の放棄」と見なされ、親戚や周囲の人の理解を得られない場合があります。

ビジネス界で活躍する女性の一人として、Elizabeth氏はそんな古い常識にとらわれている人や、親の介護で問題を抱える人たちに新しい視点を提供することにより、間接的に社会に貢献しようとしているのです。

農村にきれいな水を提供

ZabetMartのパートナー企業は、陸軍戦略予備軍(KOSTRAD)と共同でインドネシア各地の村にきれいな水を提供する活動を行う「水のドナー」になれます。ポイントは、農村に水を提供することが、パートナー企業の権利であるという点です。

ZabetMartは自社が積極的に行動するだけでなく、パートナー企業にも社会貢献活動に関わるシステムを提供することで、二重に社会貢献することを目指しています。パートナー企業にとっては、ZabetMartと提携することで自らが企画したりリソースを割いたりせず、手軽に社会貢献活動に参加できるという利点があります。

ユーザーは、ZabetMartで買い物をするだけで社会貢献活動に熱心な企業を応援することになると同時に、農村にきれいな水を提供するプロジェクトにも間接的に参加する機会を与えられると言えます。

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インドネシアのオンライン社会貢献プラットフォーム

クラウドファンディングのプラットフォームやオンラインストアなど、インドネシアにも多くの社会貢献プラットフォームがあります。以下ではそのいくつかをご紹介します。

なお、ルピア円は2023年4月12日のレート(1ルピア=0.0090円)で換算しています。

Kitabisa.com(クラウドファンディング)

Kitabisa.comは、クラウドファンディングのプラットフォームです。プラットフォーム上には、植林、孤児院支援、モスク建設、学校建設、医療支援、災害被災者支援など様々なキャンペーンが掲載されています。ユーザーはモバイルアプリを通して、支援したいキャンペーンを選択し、1,000ルピア(9円)から簡単に寄付することができます。

Kitabisa.comは2013年の創設以来、既に600万人からの寄付を国内各地に届けています。インドネシアで最も信頼されるクラウドファンディングプラットフォームであり、2020年にはIndonesia Fundraising Awardで「ベストデジタルファンドレイジングプラットフォーム賞」を受賞しています。

またKitabisa.comは2023年4月、ECプラットフォームTokopediaにオフィシャルストアをオープンしました。購入金額の一部が、Kitabisa.comの活動に役立てられます。

BenihBaik.com(クラウドファンディングとCSR)

BenihBaik.comは、クラウドファンディングとCSR(corporate social responsibility:企業の社会的責任)マーケットプレイスのプラットフォームです。個人も法人もクラウドファンディングの実施者および寄付者になれます。

BenihBaik.comは、クラウドファンディングのプラットフォームとしてはKitabisa.comに似ています。一方でCSRマーケットプレイスとしての機能にも力を入れている点に特徴があり、大手銀行、百貨店、ECプラットフォーム、電子ウォレット、スーパーマーケットなどがパートナー企業として名を連ねています。

例えばTokopediaは、ユーザーがTokopediaで買い物をするたびにBenihBaik.comを通した寄付ができるシステムを導入しています。2023年4月10日現在は、商品購入画面に「孤児院に生活物資を届けるため5,000ルピア(45円)寄付する」というメニューが表示されるようになっています。

Tokopediaの支払い画面から寄付ができる
Tokopediaの商品購入画面。チェックボックスにチェックを入れると、支払金額に寄付金5,000ルピアが追加される。

Du Anyam(女性生活支援)

Du Anyamは、2014年、東ヌサ・トゥンガラ州の母子家庭の親子の栄養失調の割合が高いという問題に対処するため生まれました。

農村部で農業などの家業のない母子家庭では、収入がほとんどなく、食料の多くを家庭菜園に頼っているために栄養失調に陥る人が多い状況でした。また、母親たちが自ら作った手工芸品を売ろうとしても、他の村の市場など販売できる場所まで、長い道のりを徒歩で移動する必要がありました。

Du Anyamでは、そんな女性たちに工芸品製造の技術を学んでもらい、作ったものを販売して彼女たちの生活を支援しています。このプロジェクトにはこれまで、東ヌサ・トゥンガラ州、南カリマンタン州、パプア州など54以上の村で1,400人以上の女性が参加してきました。

女性たちが作ったものは、ホテルのアメニティや企業のノベルティ、イベントグッズなどとして販売されています。例えば、2018年アジア競技大会や2022年のG20の公式グッズとしても採用されました。一般向けの商品は、オンラインストアで販売されています。

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イスラム教徒の義務「ザカート(喜捨)」と企業の社会貢献活動

意外に思われるかもしれませんが、インドネシアは寄付の文化が根付いている国です。富豪として知られる実業家の中に慈善活動に熱心な人が多いことは象徴的ですが、庶民の間でも寄付は非常に一般的です。その要因として忘れてはならないのは、イスラム教徒が人口の約90%を占めるということでしょう。

イスラム教徒には、五行と呼ばれる果たすべき義務があり、「ザカート(喜捨)」はその一つです。ザカートとは、イスラム法に従い、イスラム教徒またはイスラム教徒が所有する事業体が寄付のために資産を提供することです。従来は多くの人が、地元のモスクを通じてその義務を果たしてきました。

しかし最近は、ザカートの支払いをオンラインで行う人が増えてきました。現在は、電子ウォレットのモバイルアプリやECプラットフォームから、慈善団体などに対する寄付が簡単にできるようになっています。

「オンラインザカート支払機能」を提供することは、その企業にとって、ユーザーに便利な機能を提供すると共に、ユーザーを巻き込んで間接的に社会貢献活動を支援するという意味も持ちます。

  • Shopeeを利用したザカート支払い方法

以下では、例として、ECプラットフォームShopeeからザカートを支払う方法をご紹介します。

Shopeeのザカート支払い画面
Shopeeのザカート・フィトル支払い画面

Shopeeアプリのメニューから「各種支払い・チケット」を選択すると、インターネットや電気代、保険料などの支払いメニューの下に寄付やザカートなどの項目が表示されます。そこで「ザカート」を選ぶと、1枚目の画像のようなザカート支払い画面が現れます。1万ルピア(90円)から寄付が可能で、支払額と対象団体を選ぶと、電子マネーなどで簡単に支払いができます。

また、2枚目の画像は、毎年ラマダンの時期に行うザカート「ザカート・フィトル」のための特設コーナーの画面です。1セット(一人)4万5,000ルピア(405円)で、一度に7セットまで支払いできます。

インドネシアで関心が高まる社会貢献プラットフォーム

最近インドネシアでは社会問題に関心を持つ人が増え、環境に優しいパッケージの商品や、サスティナブルな製品づくりをする企業の商品を敢えて選んで購入する人もいます。加えて本記事でご紹介したように、オンラインで気軽に参加できるクラウドファンディングや寄付も浸透しつつあります。

企業のCSRに対する姿勢を見て商品購入や利用を検討する人がますます増えれば、本記事で取り上げたZabetMartのような社会貢献をコンセプトとするECプラットフォームやオンラインストアも繁盛していくでしょう。

企業を挙げて社会貢献プロジェクトを行うのも素晴らしいことですが、手間も費用もかかります。一方で、既にあるプラットフォームと提携するという形なら、より始めやすく、継続も容易です。

人々の関心の高まりを考慮すれば、何らかの形で社会貢献活動に参加することは、インドネシアでビジネスをする企業にとって、ぜひ検討すべき事柄の一つとなっています。

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インドネシアのECプラットフォームZabetMartとは何ですか。

ZabetMartは、インドネシア国内の中小企業のレベルアップや新しい社会起業家の誕生を支援する目的でオープンしたECプラットフォームです。

ZabetMartの創業者は誰ですか。

ZabetMartの創業者はインドネシア最大の民間銀行BCAの社長の娘Elizabeth AM Setiaatmadja氏で、社会貢献活動に熱心な起業家として知られています。

インドネシアにはどのようなクラウドファンディングのプラットフォームがありますか。

インドネシアのクラウドファンディングのプラットフォームとしては、Kitabisa.comやBenihBaik.comなどが有名です。

インドネシア人は寄付をよくしますか。

インドネシアでは寄付を習慣にしている人も多くいます。インドネシアに寄付の文化が根付いている要因の一つとしては、イスラム教徒の義務の中にザカート(喜捨)があることが挙げられます。

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