インドネシアの美容・食品カテゴリーの最近のトレンドと2023年の予想

公開
2025/12/30
更新
2026/01/01
この記事は約9分7秒で読めます。

2023年2月28日、国際的な市場調査会社Mintel(ミンテル)は、ジャカルタで「Mintel Big Conversation(ミンテル・ビッグカンバセーション)」を開催。インドネシアの消費者のライフスタイルや美容、食品への関心について、分析結果とトレンド予測を発表しました。

本記事では、Mintelが発表した内容について、具体例を挙げながらご紹介します。発表内容については、2023年3月1日のMintel.com「Delivering ‘fun’ will be more highly valued by Indonesian consumers in 2023(2023年、「楽しさ」の提供がインドネシアの消費者により高く評価される)」を主な参照先とします。

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ライフスタイルと消費のキーワードは「楽しさ」と「冒険」

インドネシア人の90%が新しい体験を好む

2023年、経済不況と生活費の高騰が続く中、インドネシアの消費者行動において、「楽しさ」や「明るさ」、「冒険」などがキーワードになると予想されます。

Mintelの「2023年世界の消費者動向」調査では、多くのインドネシア人回答者が「収入を生活に必要な出費に費やしてしまい、十分な貯蓄がない」と答えています。一方で、回答者の33%は自らの経済状況は良好だと感じています。貯蓄がないことを除けば、日常生活を営むに足る収入を得られている実感があるのでしょう。

同社が18歳以上のインドネシア人1,000人以上を対象に行った同調査によると、3年連続で90%以上の人が「新しい体験に挑戦するのが好きだ」、80%以上の人が「生活のあらゆる場面で楽しみを求める」と回答しました。

2023年2月28日にジャカルタで開催されたイベント「Mintel Big Conversation」では、市場および消費インテリジェンスの研究者が、食品・飲料と美容・パーソナルケアのカテゴリーにおける消費者の興味関心について、現在から数年後までの分析と予測を発表。

より楽しく遊び心のある方法で商品の価値を伝えると、価格に敏感なインドネシア人にも受け入れられやすいことが指摘されています。

消費者に「楽しさ」を感じさせ、「冒険」してみようと思わせるプロモーションがより成果を上げるようになっていくかもしれません。

楽しさを提供するプロモーション例

Mintelが指摘する「楽しく遊び心のある」方法でプロモーションを行う美容業界の企業の例をご紹介します。

SNSコンテンツ

SNSを通したプロモーションおよびソーシャルコマースと呼ばれるSNSのショップ機能を活用した商品の売買は、既に多くの企業が行っています。コンテンツの種類も多様化しており、最近特に注目されているのはライブコマースとショート動画です。

例えば、若者に人気の化粧品メーカーSomethinc(サムシンク)は、TikTokショップに公式ストアを解説し、動画によるプロモーションを行っています。全体的にカジュアルで明るく楽しい雰囲気が特徴で、動画を見て気になった商品はすぐにショップで確認・購入できるようになっています。

インドネシアの化粧品メーカーSomethinc TikTokアカウントの投稿
画像出典:Somethinc TikTok @somethincofficial

InstagramやYoutubeに工夫を凝らしたショート動画を投稿するのも、いまやSNSを通したプロモーション方法の定番となりました。化粧品メーカーなら、製品そのものやメイクの様子を紹介する動画の他、連作のショートドラマや自社が主催したイベントの様子などの動画を投稿しているアカウントも見かけます。

コミュニティー

会員制コミュニティーを立ち上げ、会員に魅力的なサービスや特典を提供する企業もあります。

例えば、先ほどのSomethincは「Somethinc Town」と呼ばれる会員制コミュニティーを持っており、2023年は40名の会員が募集されました。

会員になると、製品を無料でもらえる、イベントに参加できる、モデルになるチャンスがあるなど多くの特典が受けられます。同じくインドネシアの化粧品メーカーYou Beautyも同様のコミュニティーを持っており、「BeYOUtyGang」と名付けられています。

コラボレーション

さまざまなコラボレーションで新しさをアピールする企業もあります。化粧品業界の場合、キャラクターやインフルエンサー、韓国ドラマとのコラボレーションなどが活発に行われています。

他業界の企業とのコラボレーションの例もあります。例えば前述の化粧品メーカーYou Beautyは、砂糖無添加のフルーツスムージー店Joomba(ジュームバ)とコラボレーションしたリップティントを発売しました。

楽しさや新しさを消費者に感じさせると共に、スムージーとコラボすることで商品にフレッシュでかわいいイメージをもたせています。

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美容カテゴリーのトレンド

ここからは、「Mintel Big Conversation」で指摘された美容カテゴリーおよび食品カテゴリーの、より具体的な分析と予測についてご紹介します。

美容カテゴリーのトレンド分析と予想

2023年、セルフケア製品は更なる進化を遂げると予想されています。「美容製品は、パンデミック後のストレス回復に貢献するでしょう。

肌の健康は、企業が取り組むべき興味深いテーマであり、インドネシアの消費者の59%が、見た目が良いと自信を持てると答えている」と南アジア・太平洋地域担当のシニア美容・パーソナルケアアナリストKinShen Chan(キンシェン・チャン)氏は述べています。

また、同氏は、美容サプリメントの効能が注目され、毎日の生活に取り入れる人も増えるだろうと指摘しました。

美容業界は各種イベントが活発

消費者の関心の高まりを反映するように、美容業界では色々なイベントが頻繁に開催されています。

Beyond Aesthetic Beauty & Wellness Fair開催

2023年3月14日~19日、医療・美容設備のプロバイダーBeyond Aesthetic社は、ジャカルタのGandaria City Mall(ガンダリアシティモール)で美容イベント「Beyond Aesthetic Beauty & Wellness Fair」を開催しました。

同社のマネージングディレクターであるChalix Chassreen(チャリックス・チャスリーン)氏は、「インドネシア人が見た目や肌の健康に気を配り始めていることを踏まえて、この展示会を企画した」と説明しました。実際、2017年以降、インドネシアのメディカルエステティック業界は、毎年5%を超える急激な成長を記録しています。

来場者はこのイベントを通し、美容専門家のトークショーを見たり、自分の肌に必要なトリートメントについて質問したりして、健康や美容について知識を深めると共に、無料の施術や大幅な割引特典などを受け取りました。一方の美容業界関係者にとっては、消費者のニーズをより深く知れる機会となりました。

イベントには、Martha Tilaar(マルタ・ティラアル)、Dermaster(デルマスター)、Derma Express(デルマ・エクスプレス)、Klinik Kusuma(クリニック・クスマ)、B Clinic(ビー・クリニック)、Skin+(スキンプラス)といった美容ブランドや美容クリニックが、多数参加しました。

フェイシャルトリートメントやボディートリートメントなど、1回数千円以上する施術を提供する美容クリニックが集まるイベントの盛況ぶりは、インドネシアの女性たちの美容への関心の高まりと経済力の上昇を伺わせます。

新しい美容サプリFemmyの販売イベント

2022年10月20日、インドネシアの大手製薬会社Kalbe Farma(カルベ・ファルマ) の子会社PT Bintang Toedjoe(ビンタン・トゥージュー)の新しい美容サプリブランド「Femmy(フェミー)」の発売イベントが開催されました。

イベント前半は、PT Bintang ToedjoeのFanny Kurniati(ファニー・クルニアティ)社長やブランドアンバサダーを務める女性たちの「健康で生産的な女性がインドネシアに貢献する」と題されたトークショーが行われました。後半にはプレゼントが当たるクイズ企画やコンサートなども実施され、盛りだくさんのイベントとなりました。

トークショーでブランドアンバサダーの一人Natasha Wilona(ナタシャ・ウィロナ)氏は、「Femmyは健康に良いだけの製品ではありません。それ以上に、女性として私たちをサポートしてくれます」と話しました。

また、Fanny氏は、職場や家庭でマルチタスクをこなす忙しい女性の生活には、実用的で健康的なものが必要であると述べました。同氏は美しく健康な肌のための出費は「投資」であるとした上で、「食物繊維を取る、週3回泳ぐ、フェミーのような健康補助食品を取るなど、健康に対する意識を持つことが非常に重要です」と述べています。

Femmyのメイン商品は、食物繊維、コラーゲン、カルシウムなどを手軽に摂取できるインスタント飲料です。美容サプリメントのイベントのテーマが「生産性」であり、社長自身も「Femmyでインドネシアの女性がより生産的になり、国をより良くするために働き続けることを支援したい」と述べていることが、目下経済成長中のインドネシアらしい点でしょう。

インドネシア人はもともと、ビタミン剤を始めとするサプリメントを好んで飲みます。加えて、美容全般に対する関心が高まっていること、コロナ禍で家にいる時間が増え、セルフケアに興味を持つ人が増えたことが要因となり、美容サプリメントにも注目が集まっています。

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食品カテゴリーのトレンド

食品カテゴリーのトレンド分析と予想

食品カテゴリーでは、「罪悪感のないおいしさ」が2023年のトレンドのキーワードになると予想されています。

「インドネシアの消費者は落ち込んだ時においしいもので自分を慰める傾向があるが、おいしい、あるいは楽しい食品は不健康なものが多い」と、アジア・太平洋地域の飲食シニアアナリストHeng Hong Tan(ヘン・ホン・タン)氏は言います。

実際にMintelのデータは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて健康的なライフスタイルへの関心が高まっていることを示す一方で、インドネシア人の35%がストレスを軽減するために「おいしいもの」を消費していることがわかりました。

同氏は、「今こそ各ブランドは、自分自身を楽しませる方法として自社製品を位置づける時だ」とした上で、例としてリラックスタイムを共に過ごす友人として、美容をサポートするサプリメントとして、あるいは料理を楽しむ時間を共にするものとして、製品を再定義することを提案しました。

ストレス発散のため「おいしいが美容や健康にとって害になる物」を選びがちな人に、別の選択肢を示すことが重要というわけです。

健康的な食事への関心の高まり

インドネシアでは美容と共に健康に対する関心も高まっており、企業も注目しています。

「#NgemilBijak(マインドフルスナッキング)」ガイド

Mondelez Indonesia(モンデリーズ・インドネシア)は、より多くの人たちに賢い間食習慣を身につけてもらうため、OreoやCadbury(キャドバリー:チョコレート)、Biskuat(ビスクアト:ビスケット)などのパッケージに「#NgemilBijak(ングミル・ビジャク)ガイド」を掲載し始めています。「NgemilBijak」は直訳すると「賢く間食する」という意味で、インドネシアでは「マインドフル・スナッキング」と訳されています。

「#NgemilBijakガイド」とは、医薬品食品監督庁(BPOM)により規定された記載内容をよりわかりやすくしたものです。例えば、サービングサイズに応じたカロリーや砂糖の含有量などの説明にイラストを添え、消費者の健康を意識した「罪悪感のない」間食をサポートします。

「マインドフル・スナッキング」は、Mondelez Internationalが実施しているキャンペーンであり、インドネシアでは2017年に#NgemilBijakキャンペーンとして始まりました。その目的は、人々が間食をより賢く行うよう促し、賢い間食が消費者の心身両面に良い影響を与えるようにすることです。

Mondelez Internationalの調査では、インドネシア人の93%がメンタルヘルスを改善するためにスナックを食べると答えています。スナックを提供する企業がスナックの過度な接種を控えさせるキャンペーンを実施することは、インドネシア人の健康志向の高まりの表れでしょう。

また、食生活次第で健康を損ねる可能性があることを周知することは、社会貢献の一つの方法とも言えます。

Tokopediaで健康食品が人気

2023年1月25日の「Hari Gizi Nasional(ハリ・ギジ・ナショナル:栄養の日)」を記念して、Tokopedia(トコペディア)が開催したメディア向けイベントで、健康的な食品が人々からますます求められていると同社は指摘しています。

Tokopediaでは特定の地域で地元のセラーとユーザーを結びつける取り組み「ハイパーローカル」などのイニシアチブを通して、健康食品を販売する中小零細企業のサポートを行っています。2022年には多くの地域で健康食品の購入者数だけでなく、販売者数も増加。人気商品は、レモンジュース、チア、グラノーラ類、ハチミツ、シリアルなどとなっています。

イベントでは2022年に好業績を挙げた中小企業の例として、様々な健康食品の材料として使える「グルテンフリーキャッサバ粉」を製造販売するRumah Mocaf(ルマ・モカフ)が紹介されました。Rumah MocafはTokopediaのサポートにより、2022年、取引数が25倍に増えたとしています。

グルテンフリーキャッサバ粉製品
グルテンフリーキャッサバ粉、グルテンフリーのプレミックス粉(パン用)、フライドチキンの粉などが人気。
画像出典:Tokopedia「Rumah Mocaf Indonesia Official」

インドネシアのECプラットフォーム最大手であるTokopediaでは、健康食品が人気であると共に、同社がそれをメディア向けに発表する機会を設けたということが、健康ブームの広がりを予感させます。

製品の新しさと消費の楽しさ

以上でご紹介した通り、特に美容や食品のカテゴリーについて、Mintelは「楽しさ」と「冒険」が重要と指摘しています。

インドネシアにおいて美容や健康に対する関心は間違いなく高まっており、限られた予算の中で、より自分の好みに合うスキンケア製品やコスメを選びたい、できるところから健康管理を始めたいと考える消費者が増えています。

そんな人たちの関心を引くのが、「楽しさ」です。消費者は、コンテンツや消費体験に対して感じる楽しさと、新しい商品、言い換えれば「冒険」に対して感じるワクワクを求めています。

スキンケアやメイク、健康的な食事を通して得られる満足感や自己肯定感を、「楽しさ」を伴う方法でアピールできた企業が、ファンを獲得できる時代になっていくことが予想されています。

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インドネシア人の消費行動にはどのような傾向がありますか。

Mintelの「2023年世界の消費者動向」調査によると、インドネシア人の消費行動のキーワードは「楽しさ」「明るさ」「冒険」などで、人々は消費体験の楽しさや新しいことに対するワクワクを重視していることがわかっています。

インドネシア人は美容に興味を持っていますか。

美容に興味を持つインドネシア人は増えており、Mintelの調査によるとインドネシアの消費者の59%が、見た目が良いと自信を持てると答えています。美容にお金をかける人も増えており、セルフケアに加えてスパに通う人もいます。

インドネシアで健康食品は売れますか。

インドネシアにおいて健康に対する関心は高まっています。特に若い層では少しくらい高くても健康に良いものを食べようとする人が増えています。市場規模はまだ大きくありませんが、成長が見込まれるカテゴリーと言えます。

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