特定技能外国人になりたいインドネシア人の集客方法(セミナーや大学との連携など)

公開
2024/10/21
更新
2024/11/27
この記事は約6分42秒で読めます。

インドネシアにはP3MIと呼ばれる、海外への人材派遣を専門とする派遣会社があります。

このP3MIは、インドネシア人労働者を詐欺や不法な就労から守りつつ、多くの労働力を輸出するという目的を果たすため、インドネシア政府の許可を受けた事業者です。日本との間では、主に特定技能制度が関係します。

それではP3MIと特定技能制度は、どのように関係しているのでしょうか。また、技能実習制度に関わるLPKやSOとの違いはどこにあるのでしょうか。

本記事ではP3MIの概要と、P3MIがどのように候補者(登録者)を募集しているのか、そしてP3MIが抱える課題について、具体例を挙げながら紹介します。

【補足】
円表記は、2024年10月18日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。

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特定技能インドネシア人と人材紹介会社(P3MI)の関係

人材紹介会社(P3MI)の役割

P3MIとは、Perusahaan Penempatan Pekerja Migran Indonesia(インドネシア移民労働者紹介会社)のこと。インドネシア政府から認可を受け労働者の海外への送り出しを行う職業紹介事業者(人材紹介会社)です。

P3MIは大臣から書面で許可を取得して事業を運営しています。自国民を労働者として国外へ派遣するのが仕事で、日本との間では特定技能外国人の送り出しも担当しています。2024年5月時点で、インドネシアには362のP3MIがあるとされています。

人材紹介会社(P3MI)とLPKの違い

LPK(Lembaga Penilaian Kesesuaian:職業訓練機関)は、インドネシア人登録者が海外で働くための言語スキルや技能を教育する機関です。つまり目的は、外国語の習得やスキルアップではなく、職業訓練です。

またLPKの職務は職業訓練であり、登録者の派遣は行いません。

似た機関としてSO(Sending Organization、送り出し機関)があります。こちらはその名の通り人材派遣を行う機関で、日本の技能実習制度に対応するために設立されたものです。SOの役割はLPKの延長線上にあるため、SOの資格を有し、教育から送り出しまで行うLPKも多くなっています。

一方P3MIの目的は、特定技能制度を含むより幅広い人材紹介で、日本以外の国々も対象になります。日本との関係においては、利用する主な制度は技能実習ではなく、特定技能です。

特定技能インドネシア人の募集方法

グループ内外のLPKとの連携

インドネシアでは技能実習生の教育と送り出しを目的としたLPKやSOを持つ企業が、特定技能制度のために、新たにP3MIを設立するケースが多くなっています。

例えば、2008年創業のPT. Minori(Minoriグループ)があります。同グループはLPKおよびSOとしての事業を続けてきましたが、2024年にはP3MIとしての事業登録を行い、特定技能制度のための人材教育や送り出しを始めました。

また、留学やインターンシップを支援するPT. Japan Indonesia Program Akademik(PT JIPA)は、2015年にLPK Momiji、2018年に関連会社PT Jaya Indonesia Pandu Abhipraya(JIPA P3MI)を設立しています。

このように多くのP3MIがグループ会社、関連会社にLPK、SO、日本語学校などを持っており、相互に連携して登録者募集を行っています。

特定技能人材として日本での就業を目指す人はまず、特定技能の資格を得るための試験に合格する必要があります。そのため、知識がゼロの状態の人がP3MIの門を叩くことはほぼありません。

事前に日本語学校やLPKから、日本での就業や特定技能に関する情報を集め、必要に応じて訓練を受けてから、場合によっては所属する日本語学校やLPKの紹介でP3MIに登録するというステップを踏む人が多くなっています。

参考:
PT. Minori Webサイト
PT Jaya Indonesia Pandu Abhipraya Webサイト

会社のWebサイト

P3MIにはWebサイトから問い合わせや登録の申し込みが可能です。しかし前述の通り、グループ内の日本語学校やLPKから登録者を募っているP3MIが多いことから、Webサイトの機能は必要最小限に留まっている場合もあります。

一方で、登録者をWebサイトに集め、オンラインでのサービスに力を入れているP3MIもあります。

例えば、ジャカルタと長野に拠点を置くKarir Jepangは、登録者に対し、Web上で求人情報の提供を行っています。

インドネシアのP3MI、Karir Jepang

画像出典:Karir Jepang Webサイト

またPT. Talent Indonesia Jayaは、大阪に拠点を置き技能実習生の受け入れ支援などを行う株式会社ORJと共同で、特定技能人材の受け入れ機関と候補者を繋ぐ職業マッチングサイト「Talent Indonesia」の運営も手掛けています。同サイトでは日本の受け入れ機関に対する情報発信も行っています。

インドネシアのP3MI、PT. Talent Indonesia Jaya

画像出典:Talent Indonesia Webサイト

ソーシャルメディア(SNS)

SNSの運用に関してもWebサイトと同様で、P3MIの多くがあまり熱心ではありません。SNSのアカウントを持たない企業もあります。

SNS、特にInstagramやFacebookで情報発信を行い、認知度を向上させようとしているP3MIとしては、前述のKarir Jepangが挙げられます。同社はInstagramで特定技能に関する情報や日本での仕事、生活に関する情報、日本語の知識などを発信し、フォロワー1万人を有します。

インドネシアのP3MI、Karir JepangのInstagramアカウント

画像出典:Karir Jepang Instagram

セミナーなどイベントの開催

セミナーなどの公開イベントを開催することで、登録者を増やそうとするP3MIもあります。例えば既に紹介したJIPA P3MIは、特定技能の各分野に関するウェビナーを、定期的に開催しています。

インドネシアのP3MI、JIPA P3MIのウェビナー

画像出典:PT JIPA P3MI Instagram

職業訓練校、大学との連携

P3MIは、SMKと呼ばれる職業訓練校や大学とも連携しています。特に、SMKで特定の産業分野の知識を身につけた生徒が、初級の日本語を学び、特定技能制度で日本へ渡るための窓口として、P3MIは重要です。

例えば東ジャワ州マランを拠点にP3MIとして活動し、LPKとSOも持つPT. Mitra Sinergi Suksesは、出張授業を行うなど、地域のSMKと連携しています。

インドネシアのP3MI、PT. Mitra Sinergi SuksesのInstagram投稿

画像出典:PT. Mitra Sinergi Sukses Instagram

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人材紹介会社(P3MI)の課題

日本との関係においては、特に特定技能人材の派遣という面で大きな役割を担うP3MI。しかし制度自体が新しいこともあり、まだまだ課題が山積しています。

P3MIによる不正行為

特定技能制度には、技能実習制度におけるSOが存在しません。技能実習制度では、インドネシア人実習生と日本の受け入れ機関はSOを通して繋がる必要がありますが、特定技能においてP3MIを通すかどうかは、今のところ任意です。

ただ、インドネシア政府はP3MIを政府の許可制とし、自国民がより安心して、安全にインドネシア以外の国で就業できることを期待しているという面もあります。

しかしP3MI、またはP3MIを名乗る企業が、登録者の金をだまし取るなどの詐欺をしていたケースは、既に複数確認されています。

例えば、西ヌサトゥンガラ州地域警察からは、2023年8月、ジャカルタに本社を持ち、同州マタラム市に事務所を構えるP3MIが、132人の登録者から保証金を騙し取ったケースが報告されています。

金額は1人あたり3,000万~5,000万ルピア(29万~48万円)で、合計19億ルピア(1,833万円)に上ります。

また2022年には、複数のP3MIが、台湾向けの移民労働候補者の書類を偽装した疑いがあるとして摘発されました。

インドネシア移民労働者保護局(BP2MI)は、関与したP3MIに対する許可取り消しの提案を行うだけでなく、台湾側に対し、偽造された書類で申請されたビザの拒否や既に発行されたビザの取り消しを求めました。

参考:
ANTARA NTB「Kerugian korban penipuan P3MI di Mataram capai Pr 1,9 miliar」
BP2MI「Serius Perangi Kejahatan Terhadap PMI, BP2MI Usulkan Cabut Izin P3MI Yang Diduga Palsukan Dokumen CPMI Taiwan」

規則の頻繁な変更

P3MIが感じている問題点としては、インドネシア国内の規則が頻繁に変更されることが挙げられます。実際、インドネシア移民労働者保護法の制定により該当する期間の名称がPPTKISからP3MIに変更された2017年以降、P3MIに関する規則は政令および労働省令で少なくとも2回改正されています。

また、中央政府の政策と地方政府が独自に作った規則が一致せず、労働者の迅速な派遣プロセスに支障が出ているケースもあります。そのため、インドネシアからの労働者の採用枠を他の国の労働者に移してしまった受け入れ機関もあると報告されています。

参考:trustnews.id「P3MI Keluhkan Tumpang Tindih Peraturan」

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P3MIの特殊な募集事情

日本語学校、LPK、そしてP3MIのWebサイトやSNSを覗いてみると、P3MIの特殊性に気が付きます。

本記事でも紹介した通り、P3MIは既に何らかの産業分野におけるある程度の知識や技術と、渡航を希望する国の言語が多少はできる人を集めてマッチングし、派遣する会社です。

そのため言語や仕事に関する教育を一から行う日本語学校やLPKに比べると対象者の範囲が狭く、しかも大体はグループ内や提携するLPK、職業訓練校(SMK)などから登録者を集めてきているため、あまり力が入った、ビジュアル的に、または機能的に優れたWebサイトに出会わないのです。

ただ、それは当然といえば当然。海外への労働者派遣に関する詐欺や書類の偽装が問題視されるなか、自分が通った教育機関に紹介されたP3MIなら安心というものです。

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インドネシア人の紹介ビジネスに関わる方へ

最後まで文章を読んでいただきありがとうございます。ここまでご覧いただいたということは、記事の内容に対して一定の信頼感や満足感を得ていただいたのかなと推測しています。
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インドネシアのP3MIとは何ですか。

P3MIとは、Perusahaan Penempatan Pekerja Migran Indonesia(インドネシア移民労働者紹介会社)のことで、インドネシア政府から認可を受け労働者の海外への送出しを行う職業紹介事業者(人材紹介会社)です。

インドネシアのP3MIとLPKの違いは何ですか。

LPKが職業訓練機関であり、日本との関係においては主に技能実習制度の利用を想定しているのに対し、P3MIは特定技能制度の利用を含め、海外への人材派遣を幅広く行う機関です。

インドネシアのP3MIはどのように候補者(登録者)を募集していますか。

インドネシアのP3MIは主に、関連会社やグループ会社、あるいは提携するLPKなどから候補者(登録者)を募集しています。他に、職業訓練校(SMK)や大学と連携しているケースもあります。

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