食料品製造業分野で働けるインドネシア人材を採用する方法と費用

公開
2024/12/05
更新
2026/06/20
この記事は約9分2秒で読めます。

日本の食料品製造業では、インドネシア人を始めとする外国人労働者が重要な役割を果たしています。技能実習制度や特定技能制度を通じて、多くのインドネシア人が現場で働き、品質管理や効率向上に貢献しています。

本記事では、そんな食料品製造業におけるインドネシア人材の採用方法や受け入れの際のポイントを、各制度のメリット・デメリットなどとともに紹介します。外国人材の受け入れを検討する企業様にとってヒントを得られる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

【補足】
本記事の円表記は、2024年12月13日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。

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日本の食料品製造業分野で働くインドネシア人の現状

2023年10月時点で、食料品製造業の外国人労働者は約17万人です。このうち33%が技能実習生で、23%が特定技能を含む「専門的・技術的分野」に分類される就労者です。

他に、資格外活動(留学生など)や特定活動(海外拠点の外国人従業員を日本の拠点に転勤させて一定の在留期間中に技能を身に付けてもらう制度)などの資格を持ち、飲食料品製造業で働いている外国人もいます。

参考:農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について|飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度についてP.17」

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技能実習「食品製造関係」

2023年度の技能実習計画認定件数をみると、インドネシア人技能実習生は7万4,879人で、ベトナム人に次いで多くなっています。7万4,879人のうち食品製造関係は8,623人で全体の11.5%を占め、建設関係、機械・金属関係に次いで3番目に多くなっています。2022年度と比較すると4,574人から約1.9倍になりました。

参考:外国人技能実習機構
「令和5年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」
「統計令和5年度概要P.3-5」
「令和4年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」

特定技能「飲食料品製造業分野」

特定技能各産業分野に従事するインドネシア人の人数
特定技能1号在留外国人数「第1表、第2表、第3表(PDF)」より弊社作成

2024年6月末時点で、特定技能1号の在留資格で日本に滞在するインドネシア人は4万4,298人で、こちらもベトナム人に次いで2番目に多くなっています。

そのうち飲食料品製造業分野は9,134人で、介護分野に次いで2番目に多い分野です。技能実習と同じく急増しており、2022年6月末と比較すると、1,536人から5.9倍になりました。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」

インドネシア経済の魅力について

技能実習制度による採用

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採用の流れ

インドネシア人技能実習生の受け入れには、インドネシア側と日本側でそれぞれ仲介業者を通す必要があります。

インドネシア側の送り出し機関はSOと呼ばれます。SOは職業訓練機関LPKの資格も持つため、LPKの名称の方がよく知られています。日本側には、受け入れ先に対する指導や監査などを行う監理団体という組織があります。

技能実習制度での在留期間は最大5年間ですが、技能実習2号または3号から、特定技能に資格変更することができます。

仕事内容

技能実習「食品製造関係」には、以下のような分野が含まれます。

  • 缶詰巻締
  • 食鳥処理加工業
  • 加熱性水産加工食品製造業
  • 非加熱性水産加工食品製造業
  • 水産練り製品製造
  • 牛豚食肉処理加工業
  • ハム・ソーセージ・ベーコン製造
  • パン製造
  • そう菜製造業
  • 農産物漬物製造業
  • 医療・福祉施設給食製造

参考:外国人技能実習機構「令和5年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」

メリット・デメリット

人材の質

技能実習制度は本国への技術移転を目的に、外国人に日本の技術を習得させることを目指す制度です。そのため制度上は、製造業未経験者が派遣される可能性がある点がデメリットです。

また日本語力についても、要件はありません。ただ、インドネシア政府は特定技能と同じ日本語能力試験(JLPT)N4への合格を推奨しており、近年は多くの技能実習候補者が日本語を勉強してから渡航しています。

雇用の安定性

技能実習生の在留期間は、最大で5年間と決まっています。また、実習期間中の各段階で、技能評価試験を受験させる必要もあります。家族の帯同が禁止されているなど、実習生にとっては不自由な点が多い制度なので、受け入れ機関(企業)側の手厚いサポートが求められる点に留意する必要があります。

実習終了後は、本人が希望する場合、特定技能へ資格変更することで働き続けてもらうこともできます。

コスト面

技能実習生の受け入れに当たっては、受け入れ機関はインドネシア側の送り出し機関と日本側の監理団体に対し、各種費用を支払う必要があります。金額は機関によりますが、大まかには以下の通りです。

実習生配属前の初期費用:60万円~
  • 監理団体への入会金 1万円~20万円
  • 監理団体への年会費 2万円~15万円※年額
  • JICTO(公益財団法人 国際人材協力機構)への年会費(任意) 10万円~30万円※年額
  • 技能実習生入国後配属までの費用(研修・講習手当・健康診断費用など) 実習生1人あたり約20万円

※現地で面接などを行う場合はその費用が必要です。
※入国準備費用(健康診断費用、教育費、渡航費用など)を一部負担するケースもあります。

実習生配属後の継続的な費用:実習生1人あたり年額40万円~
  • 配属後の監理団体への費用 約3万円※月額
  • 配属後の送り出し機関への費用 約5,000~1万円※月額

※ほかに、上記年会費関係、寮費用、在留資格更新費用、技能検定費用、帰国渡航費用など

参考:厚生労働省「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて|P.24」

監理団体に支払う金額を実習生の給与から差し引く受け入れ機関もありますが、本来ならやってはいけないことです。

このように規則違反をして低賃金で技能実習生を受け入れる機関が少なくないため、技能実習生の給与は低くなる傾向がありますが、「技能実習生は安く雇える」という認識は誤りです。

在留資格に関わらず、技能実習生を含む外国人の給料は、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と規定されています。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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特定技能制度による採用

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採用の流れ

インドネシア人の71.1%が試験を受けて採用

現状では、特定技能「飲食料品製造業」の資格で在留する人の多くが、在留資格を変更した元技能実習生ですが、インドネシア人の場合は、試験を受けて採用される人の方が多くなっています。

2024年6月時点のデータでは、特定技能「飲食料品製造業」全体では7万202人のうち63.9%にあたる4万4,876人が技能実習からの資格変更です。

一方インドネシア人に絞ると、9,134人のうち71.1%にあたる6,498人が試験を受けて採用されています。

参考:農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について|飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度についてP.8」

受け入れ機関になる条件

受け入れ機関は、全産業分野に適用される基準を満たしている必要があります。例えば、「1年以内に解雇者がいない」「1年以内に行方不明者がいない」「5年間出入国・労働法違反がない」などです。

飲食料品製造業分野においては、主たる業務として後述する8つの業務のうちいずれかを行っている事業所が受け入れ機関になれます。「主たる業務」とは、「売上げが全体の売上の中で最も大きな割合を占めている」業務を指します。

食品産業特定技能協議会への入会

特定技能「飲食料品製造業分野」の外国人の受け入れ機関になるには、出入国在留管理庁への在留諸申請の前に、農林水産省が設置する食品産業特定技能協議会の構成員になる必要があります。申請は、農林水産省のWebサイトから行います。入会金や年会費などの費用は、いまのところ徴収されません。

食品産業特定技能協議会への入会は事業所ごとに行います。つまり、経営母体が同じでも、外国人を受け入れる事業所が複数ある場合、その事業所の数だけ、新規に申請する必要があります。

なお、飲食料品製造業分野に関係する登録支援機関も、協会への入会が求められます。

参考:農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について|飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度についてP.28-31」

原則1対1で直接採用可能

技能実習を経験していないインドネシア人が一から応募・採用するケースでは、原則、候補者と受け入れ機関は1対1のやりとりで採用を決定できます。

しかし現状では候補者個人と企業が直接つながるのは難しく、インドネシアの場合は政府から認可を得た移民労働者配置会社(P3MI)を通すのが一般的です。他に、政府が運用するオンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」を通す方法もあります。また日本側も、各産業分野の管轄省庁や業界団体が、交流会の開催やマッチング支援などを行っています。

インドネシア政府は特定技能制度を活用した人材派遣に力を入れる方針で、マッチングシステムの強化を目指しています。現状ではP3MIやIPKOLの利用は候補者にとっても受け入れ機関にとっても任意ですが、今後、制度の変更がある可能性もあります。

仕事内容

技能実習「食品製造関係」と特定技能「飲食料品製造業分野」の業種は、名称は異なりますが、内容は同じです。また、特定技能2号での受け入れも可能です。以下の分類は、日本標準産業分類に則ったものです。

従事可能な業種に、飲食料品卸売業(下記6~8を除く)、酒類の製造、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造は含まれません。許可される仕事内容については、飲食料品の製造・加工、安全衛生の確保などと規定されています。

  1. 中分類09 食料品製造業
  2. 小分類101 清涼飲料製造業
  3. 小分類103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料製造業を除く)
  4. 小分類104 製氷業
  5. 細分類5621 総合スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)
  6. 細分類5811 食料品スーパーマーケット(食料品製造を行うものに限る)
  7. 細分類5861 菓子小売業(製造小売)
  8. 細分類5863 パン小売業(製造小売)
  9. 細分類5896 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(製造小売に限る)

2024年7月、総合スーパーマーケットと食料品スーパーマーケットのバックヤードなどの食料品製造部門が追加されました。

参考:
出入国在留管理庁「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」
農林水産省「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について|飲食料品製造業分野における特定技能外国人受入れの制度についてP.20」

メリット・デメリット

人材の質

特定技能制度で就労する外国人は、日本語試験と技能試験に合格してから日本に来ます。ある程度の知識や技能が身についているため、即戦力になるというメリットがあります。一方で、試験に合格するための詰め込み学習で条件をクリアしてくる人が多いことは考慮する必要があります。

雇用の安定性

特定技能には1号と2号があり、最初は1号からスタートします。特定技能1号の在留期間は最大5年で、2号になると無期限になります。

技能実習「食品製造関係」と特定技能1号・2号「飲食料品製造業分野」は接続しており、従事する内容が変わらなければ資格変更をしながら長期的に雇用することができます。ただし、将来的には対象分野が変更される可能性もあるので、最新情報を確認することが大切です。

コスト面

特定技能制度の場合、技能実習制度で義務となっているような監理団体との契約は不要です。

採用前については、人材派遣会社を利用する場合は、紹介料などの費用がかかります。一方で採用後は、別の機関への月ごと、年度ごとの支払いは発生せず、継続的な費用は在留期間更新申請費用などに限られるため、コストを抑えられます。

ただし、特定技能1号外国人の場合、受け入れ機関には定められたさまざまな支援を行う義務があります。例えば、事前ガイダンス、出入国時の送迎、公的手続きへの同行などです。

受け入れ機関としての基準を満たしてはいるものの、定められたすべての支援を自ら実施するのが難しい受け入れ機関は、この業務を登録支援機関に委託することができます。

費用は機関や支援内容により、外国人1人あたり、初期費用30~40万円、継続的な支援費としては月額2~4万円程度となっています。

必要な支援をすべて受け入れ機関が行う場合も、特に初期には準備や人材育成にそれなりの時間とコストがかかります。そのため、特に外国人材を初めて受け入れる企業の場合、登録支援機関の利用も選択肢の1つになります。

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インドネシアにおける食料品製造業の現状

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インドネシアで食料品製造業に従事するには

まず前提として、インドネシアでは新卒一括採用は行われず、企業は必要な時期に必要な人数を募集します。

製造業に限らず、最も一般的なのが、親戚や大学、高校の先輩などからの紹介、つまりコネ入社です。加えて、大学や高校のキャリアセンターや特定の学部に届いた求人に応募する人や、職業訓練機関(LPK)などの斡旋で就職する人もいます。

他には企業のWebサイトやSNS、求人情報サイトなどに掲載される求人に応募する方法もあります。ここは日本での応募方法と同じです。

インドネシアの食料品製造業従事者の給与

インドネシアの中央統計庁(BPS)の2024年8月のデータによると、全産業分野の平均給与は1か月あたり326万7,618ルピアでした(約3万円)。産業分野別でみると製造業は324万6,220ルピア(3万円)で、平均に近い額でした。

機械のオペレーターなど直接製造にかかわるスタッフの月収は、地域によって250~400万ルピア(約2.3万円〜3.7万円)くらいからスタートし、経験を積んだりポストが変わったりすることで昇給していきます。

参考:BPS「Rata-Rata Upah/Gaji (Rupiah), 2024」

インドネシアの食料品製造業のイメージ

中小零細事業者の多いインドネシアの多くの人々にとって、飲食料品製造業は非常に身近な産業です。多くの人が小規模な自営業を営み、自分で作った焼き菓子や乾物をECサイトで販売したり、地域のイベントに出品したりします。

インドネシアには国民的認知度を誇る飲食料品メーカーや、海外進出を果たしたローカル製品も複数あり、多くの人が親しみを持っている産業分野といえます。

一方で、インドネシアでは職業や収入による階層意識を持つ人も多く、工場従業員など肉体労働者のことを、社会的地位が低いとみなす人もいます。

また製造業従事者は長時間労働や低賃金といった問題にさらされやすく、搾取されやすい存在であるという問題意識も広まっています。

インドネシア人従業員にとっての日本の製造業の現場

日本の製造業分野で働くインドネシア人の多くが、品質について細かな決まりがあることや、納期が厳格に決まっていることなどに驚きます。

インドネシアと日本では多くの人が持つ衛生観念や、良いとされる就業態度が異なるため、最初は従業員も受け入れ企業側も戸惑うことがありますが、徐々に慣れてきて、気にならなくなっていくケースがほとんどです。

製造業分野では繁忙期に残業が増えることもありますが、日本で働くインドネシア人は残業に抵抗をもたない人も多いので、順応しやすいようです。技能実習制度や特定技能制度を使って日本で働く人の多くは本国の家族に仕送りをしており、少しでも多く稼ぎたいと思っているため、残業したがる人もいます。

インドネシアで挑戦する人々
― ビジネス最前線の声
インドネシアで洗車とコーティングを提供するSENSHA INDONESIA・代表取締役の別所陽耶さんへインタビューを実施しました。
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インドネシア人材は製造業でもおすすめ

インドネシア人材の採用は、日本の食料品製造業において労働力確保の大きな選択肢です。とくに特定技能制度の場合は即戦力の確保が可能ですが、費用負担や受け入れ体制の整備も必要です。

日本とインドネシアの文化や労働観の違いを理解し、受け入れ機関として適切なサポートを行うことで、長期的な雇用関係が築けるでしょう。まじめで陽気な性格のインドネシア人従業員は、労働職として重要であるだけでなく、職場の雰囲気を良くしてくれると評価する声も多数あります。

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