特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験の試験内容、試験会場、申込方法など

公開
2025/01/22
更新
2025/02/08
この記事は約7分12秒で読めます。

現在、特定技能1号の在留資格を持ち日本で働く外国人は約25万人います。そのうち約7万人、つまり30%近くが従事するのが、飲食料品製造業分野です。

飲食料品製造業分野の人材で一番多いのがベトナム人で、全体の66.8%と、圧倒的な存在感を示してます。そして2番目に多いのが、インドネシア人です。

同分野に従事するインドネシア人の多くは、試験を受けて在留資格を取得しています。そこで本記事では、特定技能1号「飲食料品製造業分野」の在留資格取得のために必要な試験のうち、特に技能試験について、概要、内容、申込方法などを紹介します。

インドネシアでの会社設立

特定技能「飲食料品製造業分野」とは

特定技能「飲食料品製造業分野」の概要

2019年に開始された新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、改善の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れる制度です。

飲食料品製造業分野も、特定技能外国人の受け入れができる分野の一つです。2024年6月末時点で、7万202人の外国人が、特定技能1号「飲食料品製造業分野」の在留資格を持ち、日本で働いています。

特定技能1号「飲食料品製造業分野」に該当する業種は、酒類の製造、塩製造業、医療品製造業、香料製造業、ペットフードの製造を除く飲食料品の製造で、日本標準産業分類に則り決められています。許可される仕事内容については、飲食料品の製造・加工、安全衛生の確保などと規定されています。

特定技能「飲食料品製造業分野」で働くインドネシア人

2024年6月末時点で、飲食料品製造業分野に従事するインドネシア人は9,134人でした。同じ分野に従事する外国人の13%を占め、ベトナム人に次いで多くなっています。

飲食料品製造業分野は、インドネシア人が急増している分野でもあります。グラフからもわかる通り、コロナ禍の影響が薄れた2022年からの2年間で、5.9倍になりました。

この分野に従事するインドネシア人9,134人のうち、71.1%にあたる6,498人が、試験を受けて在留資格を取得しています。残りの28.9%は元技能実習生です。

一方、66.8%を占めるベトナム人の場合、4万6,914人のうち65.3%にあたる3万614人が元技能実習生です。

技能実習制度が廃止されることや、現状ではベトナムに技能試験会場が設けられていないことなどを考慮すると、今後、インドネシア人の人数と割合がさらに増えていくことが予想されます。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能1号在留外国人数第7表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」

100万円程度の少額投資でインドネシアの人材ビジネスに参入しませんか
2025年は日本で働くインドネシア人が大きく注目される年になるので、インドネシアでの人材ビジネスに参入するなら今だと弊社は考えています。100万円程度の少額投資で特定技能や技能実習等の送り出しビジネスをカジュアルにスタートしてみませんか。

特定技能「飲食料品製造業分野」の試験の種類

特定技能1号「飲食料品製造業分野」の在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能試験
  • 日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))

技能試験を実施しているのは、日本を除けばインドネシア、フィリピン、ベトナムのみとなっています(2025年1月時点)。技能実習制度が廃止され、元技能実習生からの採用が減ってくると、ほかの国からの採用に力を入れるようになるかもしれません。

日本語試験は他の産業分野と同様、JLPT N4以上またはJFT-Basic A2のいずれかに合格する必要があります。

資本金の高さやノミニーの問題などでインドネシアの人材ビジネス立ち上げに悩んでいませんか
インドネシアで外資法人を設立するには資本金が約1億円必要で、内資法人だと株式を所有できないリスクがあります。会社を設立せずに、低リスク・低コスト(100万円程度)で人材ビジネスをインドネシアで立ち上げる方法がありますが、興味はありますでしょうか?
詳細についてはこちら

特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験の試験内容

試験の水準

農林水産省は特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験の水準を、以下のように規定しています。

  • 食品等を衛生的に取り扱う基本的な知識を有しており、飲食料品の製造・加工作業について、特段の育成・訓練を受けることなく、直ちにHACCP(危害分析重要管理点)に沿った衛生管理に対応できる程度の業務に従事できるレベル
  • 我が国の飲食料品製造業における実務経験年数の合計が1~3年の者が、本試験に特化した学習用テキスト等を用いた準備を行わずに受験した場合に5割程度が合格する程度の水準

試験の方式と内容

現状では、海外の会場は試験会場のコンピュータを使用したコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式、日本の会場はペーパーテスト方式で試験が実施されています。使用言語は日本語、出題形式は原則として三者択一方式です。

技能試験は学科試験30問、実技試験10問の合計40問で構成され、試験時間は70分となっています。それぞれの試験の出題内容は、以下の通りです。

学科試験

衛生管理、労働安全衛生などにかかわる知識を測定する試験です。

  • 食品安全・品質管理の基本的な知識、一般衛生管理の基礎、製造工程管理の基礎、HACCPによる衛生管理(25問、75点満点)
  • 労働安全衛生に関する知識(5問、25点満点)

実技試験

図やイラスト等を用いた状況設定において正しい行動等を判断する内容や、所定の計算式を用いて必要となる作業の計画を計画立案する内容により、業務上必要となる技術水準を測定する試験です。

  • 食品安全・品質管理の基本的な知識、一般衛生管理の基礎、製造工程管理の基礎、HACCPによる衛生管理(6問、30点満点)
  • 労働安全衛生に関する知識(4問、20点満点)

受験資格

特定技能の技能試験の受験には、試験実施日時点で「インドネシア国籍者の場合は18歳以上(ほかは17歳以上)」という年齢制限があります。

新しく在留資格を取得する人は、原則、自国で試験を受けることになります。一方、すでに他の在留資格を有する人が新たに特定技能の資格を取得する場合などは、日本国内で受験できます。

試験免除

技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能試験および日本語試験が免除されます。技能実習3号の修了者も、技能実習2号を良好に修了したことを前提としているため、試験が免除されます。

合格基準

特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験の合格基準は、学科試験と実技試験の合計得点が65%以上となっています。

参考:
出入国在留管理庁「試験実施要領(分野別)|12飲食料品製造業分野」
PROMETRIC「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」

国内の試験結果は、試験後3週間以内をめどに、試験の主催者である一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)の専用Webサイトから確認できます。

国外の試験結果は、試験を実施したパソコン画面に表示されるほか、試験後5営業日以内に、試験を実施するプロメトリック社の専用Webサイトから確認できます。

インドネシアに送り出し機関を
設立してみませんか
インドネシアでの人材ビジネス立ち上げについてまとめた資料を無料で提供しています。

特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験の会場と日程

日本の試験会場

日本の試験会場は、47都道府県にそれぞれ設置されています。2023年度は6月、7月、9月、10月、1月に試験が実施されました。

それぞれの日程ですべての会場が試験を実施するわけではなく、事前に確認する必要があります。試験会場と日程は、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)のWebサイトに掲載されます。

インドネシアの試験会場

インドネシアでは、以下の都市に試験会場が設けられています。

  • ジャカルタ首都特別州
  • バンドン(西ジャワ州)
  • デンパサール(バリ州)
  • メダン(北スマトラ州)
  • スマラン(中部ジャワ州)
  • スラバヤ(東ジャワ州)
  • ジョグジャカルタ特別州

試験会場と日程の詳細は、試験を実施するプロメトリック株式会社のWebサイトにログインすることで確認できます。

インドネシアでの人材ビジネスの始め方

例えば100万円程度の少額投資でインドネシア進出を始めるには、どういった方法があるかを解説するセミナーです。

詳しくはこちら >

特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験の受験者数と合格率

日本の会場とインドネシアの会場の、2023年度の受験者数と合格率を紹介します(それぞれ全会場の合計)。日本の試験会場には、インドネシア人以外の受験者の結果も含まれます。

日本の試験会場

実施月受験者数合格者数合格率
2023年6月9,056人5,998人66.2%
2023年7月113人88人77.9%
2023年9月4,007人2,552人62.9%
2023年10月5,167人3,166人61.3%
2024年1月8,866人5,018人56.6%
​受験者数合計:2万7,209人​合格者数合計:1万6,822人全体の合格率:61.8%

インドネシアの試験会場

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月1,420人964人67.9%
2023年7月928人658人70.9%
2023年9月1,602人1,129人70.5%
2023年11月1,970人1,384人70.3%
2024年1月2,655人1,848人69.6%
2024年3月794人559人70.4%
受験者数合計:9,369人合格者数合計:6,542人全体の合格率:69.8%

参考:出入国在留管理庁「試験実施状況報告書|令和5年度飲食料品製造業特定技能測定試験実施状況報告書」

インドネシアで人材ビジネスを行う上での投資規模感と設立形態

※右にスクロールできます

最低投資額
リスクの高低
準備期間
主な目的
1億円以上
4〜5ヶ月
本格的な進出
こちら
1,000万円以上
3ヶ月前後
変則的な進出
こちら
100万円前後
1ヶ月以内
簡易的な進出
こちら

特定技能「飲食料品製造業分野」の技能試験の申込方法と受験料

申込方法と申込期限

日本の試験会場

日本国内で受験する人はまず、一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)のWebサイトにて「マイページ登録」を行います。マイページの登録完了までは5営業日程度かかります。登録後、試験に申し込めるようになります。

応募人数が定員よりも多い場合、抽選が行われます。受験料の支払いは、当選後、決められた日までに、クレジットカードなどで行います。1次募集の当選者の受験料支払期限後、空席がある場合は、その会場について2次募集が行われます。

1次募集の申込期間は、試験が実施される月の1か月前頃に設定されます。例えば2025年1月の試験の場合は、マイページの登録期限が11月8日、試験の受験申込期間が11月18日~21日でした。詳細は、OTAFFのWebサイト(https://otaff1.jp/insyoku/)から確認できます。

インドネシアの試験会場

インドネシアなど国外の会場で受験する人は、試験を実施しているプロメトリック株式会社のWebサイトからIDを取得します。そのIDでログインすると試験の申込ページが表示され、現在申し込める試験日程や空席状況を確認できます。

申し込みや予約の変更は、試験日の3営業日前の23時59分(日本時間)まで可能です。試験日が土・日、日本の祝日の場合は、4営業日前までとなります。なお、試験受験後、45日間は次の受験ができません。

国外試験先行予約

特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験では、日本企業での雇用が内定している外国人材が確実に試験を受けられるようにするため、国外試験の先行予約ができます。先行予約は、一般の受験者の申込期間の2か月前、つまり、受験予定月の3ヶ月前頃に行います。なおこの国外試験先行予約は、外食業分野でも利用可能です。

該当企業

国外試験先行予約は、以下の2点を満たす企業が利用できます。

  1. 現地の外国人材に対して内定を出している日本国内の飲食料品製造業者
  2. OTAFFの賛助会員

手続き方法

  1. 上記条件に該当する日本企業がOTAFFへメールまたは電話で問い合わせ
  2. 企業、現地の送り出し機関など、OTAFFで、採用計画、採用の流れ、具体的な手続きなどに関するwebミーティングを実施
  3. 先行予約の実施

参考:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)「2024年度試験情報|インドネシア「日本企業での雇用が内定している外国人材のための 国外試験先行予約について」」

受験料

特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験の受験料は、日本の会場が8,000円、インドネシアの会場が45万ルピアとなっています。インドネシアの会場の受験料は日本円に換算すると4,280円程度なので、日本の会場の約半額に抑えられていることになります。

【補足】
円表記は、2025年1月18日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算したものです。

存在感が増すインドネシア人材

特定技能制度は、日本の飲食料品製造業界の人手不足を解消するため、いまやなくてはならない制度となりました。若者が多く失業率が高いインドネシアの人々にとっても、外貨を獲得する主要な選択肢の一つとなっています。

紹介したとおり、特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験の会場や日程はまだ限られています。そのなかで人数が急増するインドネシア人材の活躍が、今後も期待されます。

インドネシア人材の紹介や受け入れに興味をお持ちの企業さまは、ぜひお気軽に、弊社カケモチまでお問い合わせください。

特定技能1号「飲食料品製造業分野」では何人の外国人が働いていますか。

2024年6月末時点で7万202人の外国人が、特定技能1号「飲食料品製造業分野」の在留資格を持ち、日本で働いています。

特定技能1号「飲食料品製造業分野」で働くインドネシア人は何人いますか。

2024年6月末時点で、飲食料品製造業分野に従事するインドネシア人は9,134人でした。これは、同じ分野に従事する外国人の13%を占め、ベトナム人に次いで多くなっています。

特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験は、どこで受験できますか。

2025年1月時点で特定技能1号「飲食料品製造業分野」の技能試験が受けられるのは、日本国内、ベトナム、インドネシア、フィリピンの各会場となっています。

読後のお願い

弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。

記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。

そこで、弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。そうやってご紹介いただくことで関係者全員の励みにもなりますので、どうか応援宜しくお願いします!

SNSでも積極的に情報発信をしています

おすすめのインタビュー記事

  • インドネシア全土の病院と提携。異国でゼロから事業の立ち上げに成功したSMSIDの軌跡

    医療を通じたプロモーション支援を専門とするメディカル広告会社PT. Senior Marketing System Indonesia様へのインタビューです。

  • 「なぜそれをやるのか」をしっかりと伝え、挑戦を歓迎する。Webシステム開発やサイト制作を手がけるアジアクエストに人が集まる理由

    Webシステム開発やサイト制作を手がけるアジアクエストに人が集まる理由や育成のコツについてインタビューしました。

すべての記事を見る
プロに無料相談をするプロに無料相談をする
LINEで無料相談をするLINEで無料相談をする