インドネシアでの人材送り出しビジネスの始め方
- 公開
- 2025/12/18
- 更新
- 2026/01/15
- この記事は約6分32秒で読めます。
ここ数年、ベトナムから日本への人材の送り出しが難しくなってきたことから、インドネシアからの人材送り出しが急速に注目を集めています。
現在、日本で働く外国人の数で見るとベトナムが1位ですが、送り出し数の増減トレンドを考慮すると、数年以内にインドネシアがベトナムを追い抜き、日本で最も働く外国人の出身国になる可能性が高いと予想されます。
一方で、インドネシアから日本への人材送り出しビジネスに新規参入しようと調べると、非常に高い参入障壁が存在することに気づきます。たとえば、外資でインドネシアに法人を設立する場合、資本金だけで約1億円が必要になります。内資だと株主の問題がつきまといます。
正直、インドネシアがいかに魅力的な国とは言え、いきなり大きな資本や投資をしてビジネスをスタートさせるのはリスクが大きいので、より低リスク・低コストでまずはカジュアルにインドネシアに進出してみませんか?というのが本記事のポイントになります。
送り出す人材のターゲット選定
インドネシアで人材の送り出しビジネスをスタートさせるには、まずは技能実習と特定技能のいずれの資格を持った人材を送り出したいのかを決める必要があります。
技能実習
- 法人の設立(外資法人か内資法人)
- LPKのライセンス取得
- SOのライセンス取得
SOのライセンスを取得できるのは、LPKとしての実績が一定以上ある法人のみです。
特定技能
- 法人の設立(外資法人か内資法人)
- P3MIのライセンス取得
自社でインドネシア人の集客や育成も行うのであれば、LPKの設立も必要になります。
技能実習は今後育成就労制度に移行していくこともあり現時点では分からないことも多いので、本記事では特定技能の人材送り出しに限定してご紹介していきます。
外資法人として、特定技能の人材をインドネシアから送り出せるようにするには、最低でも約1億円の資本金が必要です。その上で、政府への預託金として追加で約1,500万円が必要になるので、やはりハードルが高いと言えます。
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法人設立後に、資本金の約1億円をすぐに日本へ戻すことは可能ですか?
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外資法人は税務署やイミグレから厳しい目で見られるので、明らかにおかしい資金の移動はおすすめしません。資本金ですので、インドネシア国内で使うことを前提にした事業運営が必要です。
法人を持たない進出形態
繰り返しになりますが、インドネシアで外資法人を設立しようとすると約1億円の資本金が求められます。また、外資法人ではなく、内資法人と比較した際のそれぞれの特徴は以下の表の通りです。
| 外資法人 | 内資法人 | |
|---|---|---|
| 資本金 | 約1億円 | 約1000万円*最低50万円~ |
| 外国人採用 | 〇 | 〇 |
| 事業への規制 | 厳しい | 緩い |
| 株主 | 日本本社 | インドネシア(企業)人2名 |
| 株主との訴訟 | – | インドネシアの裁判所 |
| リスク | 中 | 高 |
| 設立費用 | 70万円~ | 30万円~ |
| 準備期間 | 4~5ヶ月 | 2~3ヶ月 |
外資でも内資でも、法人設立を伴うと冒頭でお伝えしたような「低リスク・低コストでまずはカジュアルにインドネシアに進出する」からは程遠い状況です。この問題を解決する方法が、雇用代行サービスを活用したインドネシアへの進出です。
この進出方法は弊社のインドネシア支社と連携し、インドネシアに法人を設立しなくても自由に活動ができる枠組になります。サービス概要についてはこちらをご覧いただくと詳しくご説明しています。
以降の文章はこの雇用代行サービスを活用している前提で、インドネシアに法人を設立しない(約1億円も資本金を使わない)でいかに人材を送り出していくかという方法を解説していきます。
既存のP3MIと提携して特定技能人材を送り出す
P3MIとは
P3MI(Pelaksana Penempatan Pekerja Migran Indonesia)は、日本でいう「人材紹介会社」に相当する機関で、インドネシア人を海外へ送り出す権限を法的に認められた組織です。
P3MIを自ら設立する場合、上述の通り外資系企業では約1億円、内資系企業であっても約5,000万円の資本金が求められます。さらに、約1,500万円の預かり金も必要で、基本的には返還されません。
P3MIとの業務提携
P3MIと提携することで、特定技能の資格を持つインドネシア人材を紹介してもらえます。この方法であれば、インドネシアで新たにP3MIを設立する必要がなく、初期コストを抑えて事業を開始できます。
ただし課題として、「そのP3MIが実際にインドネシア人の候補者を積極的に紹介してくれるか」が不透明である点が挙げられます。
力のあるP3MIほど、紹介する選択肢は無数にあるためです。条件の良いところや、関係性が良好(近い)ところに対して優先的に紹介するというのはごく普通の話です。
P3MIとの連携強化
メールなどで日本から定期的に状況伺いをしても、距離感はなかなか縮まらないでしょう。日本でもインドネシアでもやはり仲が良い(距離感が近い)というのは、良好なビジネス関係を続けていくうえでは非常に重要な要因の1つです。
ここで活躍するのが上述の雇用代行サービスです。このサービスを活用すれば、インドネシア国内に法人を持たなくてもルート営業が行えます。日本語が話せるインドネシア人だけではなく、貴社の日本人社員をインドネシア国内に駐在員として赴任してもらうこともできます。
既存のP3MIへ定期訪問に訪問し、情報交換をし、自社のニーズや状況をアップデートすることで、自社への紹介の優先度を高めてもらいます。
信頼できるP3MI選びのポイント
信頼できるP3MIを選ぶことは、送り出しビジネスを成功させる上で最も重要な要素の一つです。政府認可の有無や過去の実績は当然確認すべきですが、それだけでは不十分です。
日本語教育や職業訓練の体制が整っているLPKを自社で抱えているかどうか、候補者への生活支援や帰国後のフォロー体制があるかどうかも見極める必要があります。
また、契約条件が一方的でないか、トラブル発生時にどのような対応をするかについても事前に明確化しておくことが不可欠です。こうした点を踏まえてパートナーを選ぶことで、長期的に安定した送り出しが実現できます。
人材送り出し部分の強化
雇用代行サービスを活用することで、インドネシアに法人を設立しなくても、既存のP3MIと業務提携を行えば人材の送り出しは可能になることはご説明しました。
この一連のフローを更に強化したい場合は、送り出すインドネシア人をいかに効率的に確保していくかという課題を解決していく必要があります。
大きくは以下の2つの方法があります。
- 既存のLPKと業務提携する
- 雇用代行サービスを活用してLPKを自ら設立する
前者はP3MIと業務提携したのと同じです。一方で後者はそもそも送り出す人材を自社で集客・育成することで、より効率的に人材を日本へ送り出すというパターンです。
雇用代行サービスを活用したインドネシア進出は一時的なものだと考えています。インドネシア国内でビジネスが軌道に乗り、順調に売上・利益が増えていけば、自社資本による法人設立の検討は自然な流れで議論のテーブルに乗ってきます。
その状況で自社でLPK部分をコントロールできている状態にあれば、割とスムーズに法人設立へと進んでいくため、LPKは業務提携よりも、自社でコントロールできる状態にしておくことをおすすめします。
そうした方が良い理由の1つとして、P3MIよりもLPKの方が設立のハードルが低い点もあげられます。
LPK(職業訓練校)を設立する
LPKとは
LPK(Lembaga Pelatihan Kerja)は「職業訓練校」を指します。日本の人材ビジネス関係者がよく「語学学校」と呼ぶ施設の多くは、このLPKに該当します。語学教育だけでなく、介護や製造業など、特定の職種に必要な技能教育を行うのが特徴です。
LPKはライセンスにあたるので、そのライセンスを取得するための法人が前提として必要になります。インドネシアに法人がある前提で、例えば介護人材の送り出しを行いたいのであれば、そのカテゴリーに当てはまる事業コードを取得して、LPKライセンスの取得へと進めていきます。
この法人部分は雇用代行サービスにて弊社が支援いたします。
LPKの資格取得条件
インドネシアでは、法人を設立する際にKBLIコードと呼ばれる事業コードを取得しなければいけません。KBLIコードはインドネシア政府が公表している事業分野ごとの番号のことで、それぞれの番号で事業内容や事業範囲、リスクレベルなどが定められています。
LPKとして事業を行いたい場合は、職業訓練に関わる以下のいずれかのKBLIコードを取得する必要があります。多くの場合、すでに日本側で人材を紹介したい業界が決まっており(介護なり、農業なり)、そのターゲット業界に合わせてLPKのライセンスを取得するのが一般的です。
- 78421(技術者職業訓練)
- 78422(情報技術職業訓練)
- 78423(クリエイティブ産業職業訓練)
- 78424(観光・ホスピタリティ職業訓練)
- 78425(ビジネス・管理職職業訓練)
- 78426(家政婦・介護・保育などの職業訓練)
- 78427(農業・水産業職業訓練)
- 78429(その他の職業訓練)
なお、外資法人であっても、上記のKBLIコードのいずれかを取得していればLPKになることができますが、インドネシアにおける外資法人の設立ハードルは非常に高いです。
段階的なインドネシア進出
P3MIとの業務提携・LPK設立のどちらにおいても、最初から大規模な投資を行わないことが重要です。
雇用代行サービスを活用すれば、法人設立の負担を負うことなく現地活動を開始できます。もちろん法人設立より自由度は下がりますが、資本金や株主問題といったリスクを回避できます。
まずは小規模にビジネスを始め、実績を積み上げることが賢明です。その際は、1〜2職種に絞って送り出しを行い、教育体制や候補者募集の仕組みを整えていきましょう。一定の成果が確認できたら、次に送り出し職種を広げたり、LPK設立や現地法人化を検討するのが望ましいでしょう。
このように段階的にステップアップすることで、リスクを最小化しながら柔軟に意思決定を進められます。
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