インドネシアで日本語教育事業を開始するならLPKと日本語学校のどちらが適切か

公開
2024/11/28
更新
2026/01/01
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インドネシアでは約71万人が日本語を学んでいます。そのほとんどが高校など学校教育で日本語を学ぶ生徒たちですが、スキルアップや就職のため、学校の外で日本語を学ぶ人もいます。

インドネシアの日本語教育機関としては、語学学校としての「日本語学校」や、職業訓練機関としての日本向け「LPK」があります。

本記事ではそれぞれの概要や事業内容などを比較し、運営側のメリットやデメリットを紹介します。そのうえで、どちらがどのようなケースに適しているのかを考察します。

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インドネシアの職業訓練機関LPKとは

LPKはインドネシアの職業訓練機関で、インドネシア人登録者が国内外で職に就くためのさまざまなサポートを行っています。主なサポート内容は、言語スキルや各技能を習得するための教育と、求人情報の提供です。LPKを管轄するのは、労働省です。

LPKとして事業を行いたい企業は、訓練内容別に細分化された7842から始まる5桁の事業コード(KBLIコード)のいずれかを取得する必要があります。

日本との関係においてLPKは特に、技能実習制度と密接に関係しています。LPKが行うのは職業訓練と求人情報の提供ですが、追加で技能実習生の送り出し機関であるSO(Sending Organization)の資格を取得することで、人材紹介や送り出しの業務が可能になります。

LPKはそれぞれの専門分野を持っています。主に技能実習生候補者を対象とした日本語教育を専門にするLPKは、LPK Jepangと呼ばれます。

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インドネシアの日本語学校とは

国民教育制度に関する2003年法律第20号によると、インドネシアの教育は、正規(小学校、中学校など公的教育機関による教育)、非正規(私設教育機関による教育)、非公式(家庭教育など)の3つがあります。

日本語学校を含む語学学校は上記のうち、「非正規教育(PNF:pendidikan nonformal)」にあたります。

PNFのうち語学学校は、「コース機関およびトレーニング機関(LKP)」に分類されます。機関やクラスによって、その目的は就職や昇進のための試験合格、個人の意志によるスキルアップなどさまざまです。KBLIコードは「85493(民間言語教育)」で、教育文化省が管轄しています。

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LPKと日本語学校の違いとメリット・デメリット

日本語教育

LPKの日本語教育

LPKの日本語教育プログラムは、日本での就労という目標に合わせて作られています。

技能実習制度の場合、介護分野を除き、制度上は日本語力は問われません。一方で日本語をまったく知らずに日本で暮らすのは色々な面で難しいのも事実です。

そこでインドネシア政府はすべての技能実習生候補者に、特定技能1号や技能実習の介護分野と同じ日本語能力試験(JLPT)N4合格程度の日本語力をつけることを推奨しています。

そのため多くの日本向けLPKが、数か月でN4に合格できる日本語力をつけることを目的とした授業を行っています。N4に合格できれば特定技能にも技能実習にも対応できるため、一般的なLPKには日本語クラスやカリキュラムにあまり種類はありません。

日本語学校の日本語教育

一方、日本語学校の日本語教育は多様です。日本での就労を目指す人のためのJLPT N4合格クラスを設けている日本語学校は多いものの、それだけにとどまりません。多くの日本語学校が、N4の上のN3、N2に合格するためのクラスも設けており、N1対策クラスを持つ機関もあります。

これらは、技能実習制度や特定技能制度を使わずに日本やインドネシア国内の日系企業などでの就労を目指す人、加えて、JLPTの特定の級に合格することが単位取得の条件となっている大学生などに向けたクラスです。

他にも、ビジネス日本語、日本語会話、キッズ向け日本語クラスなど、多様な日本語レッスンを提供する日本語学校もあります。

なお、将来的には日本で働くことを目指しつつ、LPKではなく敢えて日本語学校で日本語を学ぶことを選ぶ人もいます。

彼ら、彼女らが日本語学校を選ぶ理由の1つは、今の学業や仕事を中断したくないというものです。求職者が集まるLPKと違い、日本語学校は学生や社会人でも通いやすいのです。また、JLPT N4に合格したうえで、就労ビザでの渡日を含む広い選択肢を検討したいという人もいます。

LPKやSO、人材紹介会社による詐欺事件が後を絶たないことも、彼ら、彼女らがLPKを選ばない理由でもあります。このように日本語学校は、生活にある程度余裕があり、正確な情報にアクセスできる層の選択肢にもなっています。

日本語教育以外の教育

LPKの日本語以外の教育内容

LPKの場合、登録者の目的は日本での就労であるため、日本語以外にも、日本の文化、労働倫理、役所手続きなどについてレクチャーする機会を設けているLPKもあります。また、介護分野、製造業分野など、特定の産業分野に特化した日本語および専門知識の教育を強みとするLPKもあります。

日本語学校の日本語以外の教育内容

一方、日本語学校の教育内容は、基本的には日本語のみです。ただし目的に応じて、留学準備、就活準備、翻訳・通訳者を目指すクラスなどが設けられている場合もあります。

授業形態

LPKの授業形態

LPKは対面の集団授業が基本です。就職までサポートするため、寮を併設し、遠方からの参加者を集めることも一般的です。

授業内容や授業形態について言えば、LPKは技能実習制度への対応に的を絞れるという点が、メリットといえます。

日本語学校の授業形態

日本語学校は対面授業のところもオンライン授業のところもあります。どちらかのみの学校もあれば、選べるところもあります。また、クラスの規模も、1名から集団まで、複数の選択肢が用意されています。

日本語学校は、教育機関としての魅力を高めるため、授業内容、授業形態、講師陣などについて、幅広い選択肢を用意する必要があります。調子がよければ事業を拡大しやすい反面、その手広さからコストがかさみやすいというデメリットもあります。

日本語講師の質

LPKの日本語講師の質

LPKの日本語講師の多くは、そのLPK出身の元技能実習生などです。現地での経験を後輩に伝えられるという点でメリットはありますが、日本語力は必ずしも高くありません。

日本語学校の日本語講師の質

日本語学校の講師は大学の日本語学科の卒業生で、かつ、日本での留学または就業経験者であることが多く、日本語ネイティブの講師がいるところもあります。日本語教育のレベルはLPKに比べて高く、日本語のレベルアップを目指すなら日本語学校がベターですが、人材確保は比較的難しいといえます。

人材紹介事業

LPKの人材紹介事業

LPKは職業訓練機関であり、人材紹介事業は本業ではありません。ただし、日本向けLPKの場合、追加で送り出し機関SO(Sending Organization)の資格を取得することで、技能実習生の紹介・送り出しが可能になります。

一般的にLPKが送り出し機関と呼ばれるのは、LPKでなければSOになれないためです。SOは技能実習生の募集や選定から、人材を日本の監理団体へ送り出したり、帰国した実習生のキャリアサポートを行ったりします。技能実習生の送り出しまで自社で行う場合は、その業務内容に精通した人材が必要です。

日本語学校の人材紹介事業

日本語学校も教育機関であり、人材紹介業は、法律で定められた事業内容から外れます。またLPKとは異なり、追加の資格取得でSOになることもできません。

ただし日本語学校も、独自のネットワークを利用し、技能実習制度以外の制度で人材紹介を行うことは可能です。

収益性

LPKの収益性

LPKはSOとして技能実習生候補の教育から送り出しまでを行うことで、授業料とは別に、手続きのための手数料や紹介料を参加者から集めることができます。そのため、人材の確保状況や運営の工夫次第で収益性やコスト効率を高められる可能性があります。

LPKは多くの場合、「日本語教育+介護分野教育+寮での生活費+企業への紹介+書類作成:〇万ルピア」という風に、料金プランをパッケージで提示します。したがって、料金設定がある程度柔軟にできることもポイントです。

また、技能実習制度や特定技能制度を利用して日本で働くことを目指す人の多くは、就職難や生活の厳しさなど、切羽詰まった事情を抱えています。そのため質の高いサービスを提供できれば、地元で評判になったり、卒業生からの紹介があったりして、多くの登録者を集められ、しかも登録者が辞めにくいというメリットがあります。

日本語学校の収益性

日本語学校の場合、主な収入源は教室に通う個人の生徒から集める登録料や授業料です。価格競争も激しく、特にオンライン授業は価格が低くなりがちで、薄利多売になるリスクがあります。

また、生徒の目的やモチベーションがそれぞれ異なるので、一人の生徒がいつまで通い、いつまでにいくら支払ってくれるのかを見通しづらいこともデメリットといえます。

日本語学校の中には、地元の専門学校や企業と提携し、出張授業などを行うことで、個人の生徒以外からの収入源を確保しているところもあります。

設備投資とその他のコスト

LPKのコスト

LPKは対面の集団授業が基本であるため、ある程度の広さのある建物が必要です。また地方都市の場合は寮を併設するケースが多く、その分のスペースや設備も必要になります。

一方、日本語力やその他の高度なスキルをもった人が必ずしも必要ではないため、職業訓練に特化した人材を身近で集められれば、人件費は比較的安く抑えられます。「2024年〇期クラス」という風に、数か月おきに卒業生を輩出し、入れ替わりに新しいクラスを編成するケースが多いため、限られた人材でも事業を継続できます。

日本語学校のコスト

日本語学校の場合、オンライン授業や少人数授業をメインにすれば、たくさんの生徒を集める大きなスペースが必要ないため、建物や設備にかかる費用は抑えられます。

ただし、教育レベルをアピールするため、日本語力の高い人材を集める必要があります。場合によっては、JLPTの高い級に合格している人、日本で長期留学経験がある人など、ある程度のハードルを設けることになり、それが人材確保の難しさに繋がるでしょう。加えて、多くのコースやクラスを開講すれば、講師の人数も必要なので、人件費は高くなる傾向があります。

理想的には、それぞれのクラスや一人ひとりの講師を管理するためのスタッフもいるとよいといわれていますが、そこまでできる日本語学校は少ないようです。

LPKや日本語学校が人材紹介事業を手掛けるには

技能実習制度では、インドネシア側では送り出し機関の利用が義務となっています。一方で、特定技能制度など、そのような決まりがない制度においては、SOの資格を持たないLPKや日本語学校も、人材紹介を行える可能性があります。

例えば、グループ企業や提携企業にSOやP3MIを持っている場合は、生徒をそちらに紹介することで、間接的に人材紹介会社としての機能を果たせます。また、日本語学校自らが日本の人材紹介会社や受け入れ機関となる企業との間にパイプがあれば、日本側へ直接、生徒を送り出すことも可能です。

注意点としては、制度変更があります。例えば技能実習制度は2027年以上、育成就労制度への変更が決まっています。特定技能制度も、今後、インドネシアから日本への人材送出しプロセスに、何らかの変更がある可能性があります。

制度の変更により、LPK、SO、そして現状では特定技能人材の事実上の送り出し機関になっているP3MIの扱いが変わることもあり得るため、最新情報をチェックしておくことが大切です。

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LPKと日本語学校、設立するならどちらか

インドネシアで日本語教育事業を行うことを志す日本人または日本企業様が、LPKか日本語学校か迷っている場合、まず、企業の目的と将来的な事業展開の計画を整理してみることをおすすめします。

職業訓練と人材紹介を目的とし、技能実習であれ、特定技能であれ、その道でのマネタイズを行っていくなら、その第一歩としてLPKの設立が視野に入ります。

一方で、インドネシア人の日本語力の向上や、教育というサービスそのものへの興味関心が強いのであれば、日本語学校の設立がおすすめです。

どちらの場合も、事業拡大や他社との提携により、将来的に日本への人材紹介事業を展開することは可能です。

本記事で紹介した両者の違いやメリット、デメリットを、ぜひ参考にしてみてください。また、インドネシアでの日本語教育や職業訓練に興味をおもちの企業様は、ぜひ一度、弊社カケモチにお問い合わせください。

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LPKと日本語学校の法的な違いは何ですか。

LPKは職業訓練機関で、労働省が管轄しています。日本語学校は非正規教育(PNF)の「コース機関およびトレーニング機関(LKP)」としての語学学校に分類され、教育文化省が管轄しています。

LPKと日本語学校の日本語教育の違いは何ですか。

LPKの日本語教育は、特定技能制度に必要な日本語能力試験(JLPT)N4への合格を目標としています。日本語学校は就職や単位取得など、多様な目的に対応できる複数のコースを設けています。

LPKと日本語学校の収入源は何ですか。

LPKは日本語教育や職業訓練のほかに、就職サポートや各種手続きのためのサービス料や手数料を登録者から受け取ります。日本語学校の場合、主な収入源は、生徒からの授業料です。

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