インドネシアで日本語教育事業を開始するならLPKと日本語学校のどちらが適切か
- 公開
- 2024/11/28
- 更新
- 2026/06/20
- この記事は約9分38秒で読めます。
インドネシアで日本語教育事業を始める際、日本就労(技能実習・特定技能など)まで見据えて職業訓練と進路支援を一体で行うなら「LPK」が適しています。
一方、学習者の裾野を広く取り、日本語能力試験(JLPT)対策や会話、ビジネス日本語など多様なコースを提供する教育サービスとして展開するなら「日本語学校(語学学校)」が基本となります。
両者は制度上の位置づけ、管轄官庁、許認可手続き、収益モデルまでさまざまな点が異なるため、まずは事業目的と将来の拡張の可能性(人材紹介や提携の有無)を整理することが重要です。
本記事では、LPKと日本語学校の違いを比較し、メリット・デメリットを踏まえて、日本語教育事業を行う法人の種類の選び方のポイントを解説します。
LPKと日本語学校、「制度上の位置づけ」
最初に、LPKと日本語学校の制度上の位置づけや特徴を簡単に確認します。
| LPK | 日本語学校 | |
|---|---|---|
| 制度上の位置づけ | 職業訓練機関 | 非正規教育(PNF)に属するLKP(語学コース機関) |
| 主目的 | 登録者が国内外で職に就くための支援 | 就職・昇進の試験合格、スキルアップなど多様 |
| 提供する基本サービス | 教育(言語・技能)+求人情報の提供 | 語学教育(日本語) |
| 管轄官庁 | 労働省 | 教育初等中等省 |
| KBLI(事業コード) | 7842から始まる5桁 ※訓練内容別に細分化 | 85493(民間言語教育) |
なお、LPKと日本語学校(語学学校/LKP)では、事業許可の取得プロセス、設立要件、必要書類がそれぞれ異なります。
共通点としては、事業許可申請の過程で現地調査が行われること、講師の学歴・資格に一定の要件があること、そして施設・設備要件を満たす必要があることが挙げられます。
一方で、LPKはオンライン事業許認可システム「OSS」上の手続きを中心に許認可取得プロセスが整理されているのに対し、日本語学校はOSSでの事業基本番号(NIB)取得後、所在地域の教育局や投資・ワンストップ統合サービス局(DPMPTSP)などの窓口(オンライン申請の場合もあり)で、LKPとしての事業許可を申請します。
したがって日本語学校は、必要書類や審査の観点・所要日数などに地域差が出やすい点に留意が必要です。
個別の事情を確認する前に一般的な法人設立の流れを把握したい方は、こちらから資料をダウンロードしてみてください。
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インドネシアで日本語教育を行う場合、LPKと日本語学校のどちらを選ぶべきですか?
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目的で決まります。人材の就職(日本就労)まで見据えて職業訓練と求人情報提供を軸にするならLPKが中心になります。一方、幅広い学習者に日本語教育サービスを提供する事業なら日本語学校が基本です。まずは制度上の位置づけと管轄の違いを押さえると判断しやすくなります。
インドネシアの職業訓練機関「LPK」とは
LPKはインドネシアの職業訓練機関で、インドネシア人登録者が国内外で職に就くためのさまざまなサポートを行っています。主なサポート内容は、言語スキルや各技能を習得するための教育と、求人情報の提供です。LPKを管轄するのは、労働省です。
LPKとして事業を行いたい企業は、原則、訓練内容別に細分化された7842から始まる5桁の事業コード(KBLI)のいずれかを取得する必要があります。
日本との関係においてLPKは特に、技能実習制度と密接に関係しています。LPKが行うのは職業訓練と求人情報の提供ですが、追加で技能実習生の送り出し機関であるSO(Sending Organization)の資格を取得することで、人材紹介や送り出しの業務が可能になります。
LPKはそれぞれの専門分野を持っています。主に技能実習生候補者を対象とした日本語教育を専門にするLPKは、LPK Jepangと呼ばれます。
インドネシアで外資LPK(職業訓練機関)の法人を設立する方法
外資(PMA)によるインドネシアのLPK(職業訓練機関)設立について、法令・制度、必要な許認可、実務上の注意点などを整理します。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
インドネシアの日本語学校とは
国民教育制度に関する2003年法律第20号によると、インドネシアの教育は、正規(小学校、中学校など公的教育機関による教育)、非正規(私設教育機関による教育)、非公式(家庭教育など)の3つがあります。
日本語学校を含む語学学校は上記のうち、「非正規教育(PNF:pendidikan nonformal)」にあたります。
PNFのうち語学学校は、「コース機関およびトレーニング機関(LKP)」に分類されます。機関やクラスによって、その目的は就職や昇進のための試験合格、個人の意志によるスキルアップなどさまざまです。KBLIは「85493(民間言語教育)」で、教育初等中等省(旧教育文化省)が管轄しています。
インドネシアで語学学校(日本語学校)を設立するための基本的な知識として、語学学校の法的な位置づけや設立手続き、費用などを紹介します。
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インドネシアの日本語学校関連で出てくる「PNF」や「LKP」はどういう意味ですか?
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インドネシアでは教育が「正規 / 非正規(PNF) / 非公式」に分かれます。日本語学校のような語学学校は、非正規教育(PNF)の中の「コース機関・トレーニング機関(LKP)」として扱われます。つまり「学校教育」ではなく、民間の講座・コース型教育に分類されます。
カジュアルにインドネシア進出を試した人材紹介会社様の事例
インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。
- 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用してリサーチチームを作り、バンドンでのLPKの調査や大学との連携可能性を確認。事業化の見通しが立った段階で正式な進出を決定した。
- 過去に語学学校や職業訓練校に勤めていたインドネシア人を3名チームで雇用し、インドネシアにおける送り出し拠点の設立可能性を調査。調査後にその3名を中心に拠点を設立した。
- 営業マネージャーと営業マンの2名のインドネシア人をチームで雇用し、多数のLPKやP3MIに営業して、法人を作らずに人材の送り出しを安定的に供給できる体制を構築した。
上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。人材関連のビジネスであれば、貴社でもそれが可能です。
LPKと日本語学校の違いとメリット・デメリット
| LPK(日本向け職業訓練) | 日本語学校(語学学校 / LKP) | |
|---|---|---|
| 主なメリット | ・日本就労を目標にしたカリキュラムを組みやすく、短期で成果(例:N4目標)を出しやすい ・就職支援と一体で運営でき、集客・継続が見込みやすい ・(SO資格を追加取得すれば)送り出しもできる | ・学生・社会人など幅広い層を対象にでき、N5〜上位級・会話など多様な商品設計が可能 ・対面・オンラインなど授業形態の自由度が高く、規模を調整しながら始めやすい |
| 主なデメリット | ・寮や対面集団運営など、設備・運営管理の負担が出やすい ・講師の質(日本語力)のばらつきが課題になりやすい ・制度・送り出し周辺の変更影響を受けやすい | ・収益源は授業料中心で価格競争(特にオンライン)に巻き込まれやすい ・教育品質を上げるほど講師確保・人件費負担が重くなりやすい ・(LPKと違い)SO資格を取って送り出し機能を持つことはできない |
日本語教育
LPKの日本語教育
LPKの日本語教育プログラムは、日本での就労という目標に合わせて作られています。
技能実習制度の場合、介護分野を除き、制度上は日本語力は問われません。一方で、日本語をまったく知らずに日本で暮らすのは色々な面で難しいのも事実です。
そこで対日就労・研修に向けた日本語教育では、政府(労働省)の能力基準(SKKNI)の規定でも、JLPT N4相当が目安として位置づけられています。
そのため多くの日本向けLPKが、数か月でN4に合格できる日本語力をつけることを目的とした授業を行っています。N4に合格できれば特定技能にも技能実習にも対応できるため、一般的なLPKには、日本語クラスやカリキュラムにあまりバリエーションはありません。
- 参考:Kementerian Ketenagakerjaan「Keputusan Menteri Ketenagakerjaan Nomor 238 Tahun 2022」
日本語学校の日本語教育
一方、日本語学校の日本語教育は多様です。日本での就労を目指す人のためのJLPT N4合格クラスを設けている日本語学校は多いものの、それだけに留まりません。多くの日本語学校が、N4の上のN3、N2に合格するためのクラスも設けており、N1対策クラスを持つ機関もあります。
これらは、技能実習制度や特定技能制度を使わずに日本やインドネシア国内の日系企業などでの就労を目指す人、加えて、JLPTの特定の級に合格することが単位取得の条件となっている大学生などに向けたクラスです。
他にも、ビジネス日本語、日本語会話、キッズ向け日本語クラスなど、多様な日本語レッスンを提供する日本語学校もあります。
なお、将来的には日本で働くことを目指しつつ、LPKではなく敢えて日本語学校で日本語を学ぶことを選ぶ人もいます。
その理由の一つとして、求職者が集まるLPKと違い、学業や仕事を続けながら通いやすいという日本語学校の特徴があります。また、JLPT N4以上に合格したうえで、自身のの専門的な知識や経験を活かした就労ビザの取得など、より広い選択肢を検討したいという人もいます。
このように日本語学校は、生活にある程度余裕がある人、「技人国」や「高度人材」などのビザを取れる可能性のある人の選択肢にもなっています。
日本語教育以外の教育
LPKの日本語以外の教育内容
LPKの場合、登録者の目的は日本での就労であるため、日本語以外にも、日本の文化、労働倫理、役所手続きなどについてレクチャーする機会を設けているケースも多くなっています。また、介護分野、製造業分野など、特定の産業分野に特化した日本語教育を強みとするLPKもあります。
LPKは職業訓練機関なので、多くの場合、(特に特定技能では技能試験合格対策としての)実技・座学を含む各分野の職業訓練を実施しています。
日本語学校の日本語以外の教育内容
一方、日本語学校の教育内容は、基本的には日本語のみです。ただし、目的に応じて、留学準備、就活準備、翻訳・通訳者を目指すクラスなどが設けられている場合もあります。また、文化体験などのイベントを開催する日本語学校もあります。
授業形態
LPKの授業形態
LPKは対面の集団授業が基本です。就職までサポートするため、寮を併設し、遠方からの参加者を集めることも一般的です。
授業内容や授業形態についていえば、LPKは技能実習・特定技能制度への対応に的を絞れるという点が、メリットといえます。
日本語学校の授業形態
日本語学校は、対面授業またはオンライン授業です。どちらかのみの学校もあれば、選べるところもあり、また、クラスの規模も、1名から集団まで、複数の選択肢が用意されています。
日本語学校は、教育機関としての魅力を高めるため、授業内容、授業形態、講師陣などについて、幅広い選択肢を用意する必要があります。うまくいけば事業を拡大しやすい反面、その手広さからコストがかさみやすいというデメリットもあります。
日本語講師の質
LPKの日本語講師の質
LPKの日本語講師の多くは、そのLPK出身の元技能実習生などです。現地での経験を後輩に伝えられるという点でメリットはありますが、日本語力が高いとは限りません。
日本語学校の日本語講師の質
日本語学校の講師は大学の日本語学科の卒業生などで、かつ、日本での留学または就業経験者であることが多く、日本語ネイティブの講師がいるところもあります。日本語教育のレベルはLPKに比べて高く、日本語のレベルアップを目指す人の受け皿になり得ますが、人材確保は比較的難しいといえます。
人材紹介・送り出し事業
LPKの人材紹介事業
LPKは職業訓練機関であり、人材紹介事業は本業ではありません。ただし、日本向けLPKの場合、追加でSOの資格を取得することで、技能実習生の紹介・送り出しが可能になります。
一般的にLPKが送り出し機関と呼ばれるのは、LPKでなければSOになれないためです。SOは技能実習生の募集や選定、日本の監理団体との連携と人材の送り出し、帰国した実習生のキャリアサポートなどを行います。技能実習生の送り出しまで自社で行う場合は、その業務内容に精通した人材が必要です。
日本語学校の人材紹介事業
日本語学校も教育機関であり、人材紹介業は、法律で定められた事業内容から外れます。またLPKとは異なり、追加の資格取得でSOになることもできません。
ただし日本語学校も、SOやその他の人材紹介会社などとのネットワークを利用し、人材を紹介したり、送り出しに間接的に関わったりすることは可能です(後述)。
収益性
LPKの収益性
LPKは、SOとして技能実習生候補者の教育から送り出しまでを行うことで、授業料とは別に、手続きのための手数料や紹介料を参加者から集めることができます。そのため、人材の確保状況や運営の工夫次第で収益性やコスト効率を高められる可能性があります。
LPKは多くの場合、「日本語教育+介護分野教育+寮での生活費+企業への紹介+書類作成:〇万ルピア」という風に、料金プランをパッケージで提示します。したがって、料金設定がある程度柔軟にできることもポイントです。
また、技能実習制度や特定技能制度を利用して日本で働くことを目指す人の多くは、就職難や生活の厳しさなど、切羽詰まった事情を抱えています。そのため、質の高いサービスを提供できれば、地元で評判になったり、卒業生からの紹介があったりして、多くの登録者を集められ、しかも登録者が辞めにくいというメリットがあります。
日本語学校の収益性
日本語学校の場合、主な収入源は教室に通う個人の生徒から集める登録料や授業料です。価格競争も激しく、特にオンライン授業は価格が低くなりがちで、薄利多売になるリスクがあります。
また、生徒の目的やモチベーションがそれぞれ異なるので、一人の生徒がいつまで通い、いつまでにいくら支払ってくれるのかを見通しづらいこともデメリットといえます。
日本語学校の中には、地元の専門学校や企業と提携し、出張授業などを行うことで、個人の生徒以外からの収入源を確保しているところもあります。
設備投資とその他のコスト
LPKのコスト
LPKは対面の集団授業が基本であるため、ある程度の広さのある建物が必要です。また地方都市の場合は寮を併設するケースが多く、その分のスペースや設備も必要になります。
一方、日本語力やその他の高度なスキルをもった人が必ずしも必要ではないため、職業訓練に特化した人材を身近で集められれば、人件費は比較的安く抑えられます。「2024年〇期クラス」という風に、数か月おきに卒業生を輩出し、入れ替わりに新しいクラスを編成するケースが多いため、限られた人材でも事業を継続できます。
日本語学校のコスト
日本語学校の場合、オンライン授業や少人数授業をメインにすれば、たくさんの生徒を集める大きなスペースが必要ないため、建物や設備にかかる費用は抑えられます。
ただし、教育レベルをアピールするため、日本語力の高い人材を集める必要があります。場合によっては、JLPTの高い級に合格している人、日本で長期留学経験がある人など、ある程度のハードルを設けることになり、それが人材確保の難しさに繋がるでしょう。
加えて、多くのコースやクラスを開講すれば、講師の人数も必要なので、人件費は高くなる傾向があります。
理想的には、それぞれのクラスや一人ひとりの講師を管理するためのスタッフもいるとよいといわれていますが、そこまでできる日本語学校は少ないようです。
ここまで複数のポイントからLPKと日本語学校を比較してきました。次のステップとして、進出の可否や事業内容を判断するために現地のニーズや競合の状況を見てみませんか。弊社では市場調査や現地視察のアレンジを承ります。ぜひこちらからお問い合わせください。
LPKや日本語学校が人材紹介事業を手掛けるには
技能実習制度では、インドネシア側では送り出し機関の利用が義務となっています。一方で、特定技能制度など、そのような決まりがない制度においては、SOの資格を持たないLPKや日本語学校も、人材紹介を行える可能性があります。
例えば、グループ企業や提携企業にSOやP3MI(人材紹介会社)を持っている場合は、生徒をそちらに紹介することで、間接的に人材紹介会社としての機能を果たせます。また、日本語学校自らが日本の人材紹介会社や受け入れ機関となる企業との間にパイプを持っていれば、日本側へ直接、生徒を送り出すことも可能です。
注意点としては、制度変更があります。例えば技能実習制度は2027年以降、育成就労制度への変更が決まっています。特定技能制度も、今後、インドネシアから日本への人材送り出しプロセスに、何らかの変更がある可能性があります。
制度の変更により、LPK、SO、そして現状では特定技能人材の事実上の送り出し機関になっているP3MIの扱いが変わることもあり得るため、最新情報をチェックしておくことが大切です。
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日本語学校(LKP)は人材紹介(送り出し)までできますか?
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日本語学校は基本的に教育サービス(語学コース)を提供する機関であり、人材紹介を主目的にした運営はできません。一方で、提携先(SO/P3MIや日本側の受入・紹介会社)との連携により、教育機関として生徒の進路を支援する形はあり得ます。
LPKと日本語学校、設立するならどちらか
インドネシアで日本語教育事業を行うことを志す日本人または日本企業様が、LPKか日本語学校か迷っている場合、まず、企業の目的と将来的な事業展開の計画を整理してみることをおすすめします。
職業訓練と人材紹介を目的とし、技能実習であれ、特定技能であれ、その道でのマネタイズを行っていくなら、その第一歩としてLPKの設立が視野に入ります。
一方で、インドネシア人の日本語力の向上や、教育というサービスそのものへの興味関心が強いのであれば、日本語学校の設立がおすすめです。
本記事で紹介した両者の違いやメリット、デメリットを、ぜひ参考にしてみてください。また、インドネシアでの日本語教育や職業訓練に興味をおもちの企業様は、ぜひ一度、弊社カケモチにお問い合わせください。
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