インドネシアの中間層、5年で940万人減少

公開
2026/01/05
更新
2026/06/21
この記事は約3分12秒で読めます。

インドネシアの消費を牽引する中間層(Kelas Menengah)の割合が、5年連続で減っています。インドネシアの経済成長を牽引してきた中間層に、何が起きているのでしょうか。

はじめに

本記事では、Katadata Insight Centerが2025年2月に発表したレポート「KELAS MENENGAH INDONESIA DI TENGAH KETIDAKPASTIAN EKONOMI(経済不確実性のなかインドネシアの中間層)」のデータを参照し、中間層の割合の推移やこの層の人たちの暮らし向きをみていきます。

【補足】
本記事の円表記は、2025年3月15日のレート(1ルピア=0.0091円)で換算したものです。

インドネシア経済の魅力について

数字でみるインドネシアの中間層

中間層の定義

インドネシア中央統計庁(BPS)は国民の経済力を、貧困ライン(GK)を基準に5段階に分けています。そのうち中間層は「貧困ラインの1.5~3.5倍の経済力」がある層で、「経済的安定を確立し、貧困や脆弱層に戻るリスクが低い個人」と定義されています。

インドネシアの貧困ライン(2023年時点)は、一人あたりの支出が月額55万458ルピア(5,010円)とされています。つまりインドネシアの中間層とは、月間支出が193万ルピア(1万7,560円)から936万ルピア(8万5,176円)の範囲にある人を指します。

中間層の人数・割合の推移

インドネシアでは2019年には5,730万人いた中間層が、2024年までに4,790万人へと減少しました。5年で940万人減ったことになります。割合に直すと、21.5%から17.1%になっています。

中間層の減少は2018年から2019年にかけて、つまりコロナ禍前に始まっています。Katadata Insight Centerはこれについて、「コロナ禍が中間層減少の主因ではない」としつつ、「状況を悪化させたことは明らか」と説明しています。

なお、「中間層に向かう層(プレ中間層)」は1億2,890万人から1億3,750万人に増加しています。割合にすると、2024年時点で全体の48.5%を占めます。一方、上位層は2014年からの10年間ほぼ変わらず0.5%前後をキープしています。つまり減少した中間層は上位層ではなく、プレ中間層に移行しているのです。

レポートは中間層を対象に実施したアンケート調査の結果をふまえ、中間層が上位層に移行できない原因について、

「インドネシアの中間層は、比較的良好で慎重な金融行動を取っているため、彼らが経済的に上昇できない理由を金融習慣だけに求めることはできない。むしろ、経済的な圧力、インフレ、生活費の上昇といった外部要因が、彼らの成長を阻んでいる可能性が高い。」

と分析しています。

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映像でみるインドネシアの中間層

中間層の生活

インドネシアの中間層の生活

「中間層のバラード」と題されたこの動画は、中間層の労働者の一日を紹介しています。朝早く家を出て、満員電車に乗ったり渋滞に巻き込まれたりしながら、職場まで30Km以上の道のりを移動します。残業したり、帰宅ラッシュを避けて帰ったりするため、帰宅時間が夜遅くになることもしばしばです。

しかし朝から晩まで働いても、インドネシアの中間層の生活は決して楽ではありません。

Katadata Insight Centerのアンケート調査では、中間層の69.9%が「過去1年間で1か月の支出が収入を上回ることがあった」と回答しています。この層の多くは、日常生活を無理なく送れる経済力を持つ一方で、予期せぬ出費に対応できるほどの余裕はないのです。

副業する中間層

副業するインドネシアの中間層

Katadata Insight Centerによると、中間層の約半数が副業をしています。例えば、衣料品や化粧品などの再販ビジネス、自宅付近での飲食品の販売、SNSアフィリエイトなどが人気です。副業をする動機としては、「生活のため収入を増やす(70.6%)」と「貯蓄を増やす(42.2%)」が特に多くなっています(複数回答)。

こちらの動画に登場するのは、家の前などのちょっとしたスペースで飲食店を始めたい人のためのフランチャイズおにぎり店「Cokot(チョコト)」。小さな資金で簡単に始められ、会社員の副業にもおすすめと紹介されています。

カジュアルにインドネシア進出を試した企業様の事例

インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。

  • 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用してリサーチチームを作り、バンドンでのLPKの調査や大学との連携可能性を確認。事業化の見通しが立った段階で正式な進出を決定した。
  • 営業経験のあるインドネシア人を2名チームで雇用し、スポーツジムや病院、リハビリ施設などへの営業活動を実施。販売代理店候補の開拓や市場ニーズを調査し、調査後に販売体制を構築した。
  • 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。

上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。インドネシア向けのビジネスとして、貴社でもそれが可能です。

成長が鈍化するインドネシアの中間層

インドネシアの国家開発計画庁は、同国が先進国となるためには2045年までに中間層の割合を70%に引き上げる必要があると試算しています。しかし紹介した通り、現状では20%にも届きません。

中間層は消費意欲が旺盛で、インドネシアの経済成長を牽引する重要な層だといわれてきました。しかしデータを見ると、中間層の人々は食品や生活必需品にはお金をかけつつ、耐久消費財など緊急を要しない出費にはどんどん慎重になっています。

一方でインドネシアの中間層には本業で足りなければ副業をしようという意欲があり、またその多くが副業により暮らし向きが良くなるという希望を持っています。今後、一度減った中間層が再び厚くなっていくかどうかが、引き続き注目されます。

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