日本より多いインドネシアの魚消費量と魚食文化
- 公開
- 2026/03/08
- 更新
- 2026/03/08
- この記事は約7分25秒で読めます。
インドネシアは、魚をよく食べる国です。
海洋水産省の統計では、一人あたりの魚消費量は増加傾向にあり、近年は年間約60kg(丸魚(生鮮)換算)に近づいています。
外食でも家庭でも、揚げ魚(イカン・ゴレン)や焼き魚(イカン・バカール)が定番で、唐辛子やライム、ハーブを添えてご飯と食べるスタイルが広く浸透しています。地域ごとに食べる魚の種類や調理方法に特徴があり、魚料理が地域の食文化に大きな影響を及ぼしてきたことがわかります。
本記事では、消費量の推移、よく食べられる魚、代表的な調理法やレストランのメニューまで、インドネシアの魚食文化について整理します。
消費量からみるインドネシアの水産
中国に次ぐ世界第2位の水産物生産(漁獲)国であるインドネシアは、世界有数の魚の消費国でもあります。
インドネシアの海洋水産省の統計では、一人あたりの魚介類の消費量は近年、年間約60kgに近づいています(丸魚(生鮮)換算)。日本(粗食料ベースで40㎏、2023年度)と比べても水準は高めで、インドネシアでは魚が身近な食材であることがわかります。
また、日本では一人あたりの魚介類の消費量が減少傾向にあるのに対し、インドネシアでは増加しています。これには、国民の賃金水準の上昇、健康志向の高まり、コールドチェーンの発達、外食産業の発展など、複数の要因があると考えられます。
【補足】
インドネシアの「丸魚(鮮魚)換算」と日本の「粗食料」は近い考え方ですが、換算係数や対象範囲が完全に同一ではないため、参考比較です。
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- 参考:
GLOBAL NOT「世界の水産物の漁獲量・生産量 国別ランキング・推移」
Databoks「Konsumsi Ikan di Indonesia Konsisten Naik Selama 2020-2024」
水産庁「令和6年度 水産白書 全文|令和5年度以降の我が国水産の動向第1章図表1-1」
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インドネシアの一人あたりの魚消費量はどれくらいですか?
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海洋水産省の統計では、丸魚(生鮮)換算で2024年は一人あたり58.9kgです。2020年以降は増加傾向で、年間約60kgに近づいています。
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インドネシアでよく食べられている魚
ツナ系(カツオ・小型マグロ):cakalang / tongkol
cakalang(カツオ)やtongkol(小型マグロ / カツオ類)は、インドネシアの人々にとって身近な魚の代表格です。赤身でうま味が強く、しっかりした味なので香辛料とも相性が良い一方、脂はサーモンほど強くなく、さっぱり食べられます。
価格は比較的手頃で、家庭料理から屋台まで登場頻度が高い魚です。調理は、「揚げる・焼く・煮る」の万能型。特にスパイスと炒める、サンバル(唐辛子ソース)で和える、ココナッツミルク系の煮込みにするなど「濃い味付けでご飯が進む」食べ方が定番です。
青魚(サバ・アジ系):kembung / selar / ekor kuning

kembung(サバ類)やselar / ekor kuning(アジ類など)は、日常使いしやすい青魚グループです。味は塩気とコクが出やすく、焼くと香ばしさが引き立ちます。
価格はツナ系同様に手頃で、家庭料理のほか、庶民の食堂でもよく見かけます。食べ方は、塩やターメリックで下味を付けて揚げたり、炭火で焼いたりしたものにサンバルを添えるのが王道です。
淡水魚(養殖・川魚):lele / patin / mas / gabus
lele(ナマズ)やpatin(パンガシウス)、mas(コイ)、gabus(ライギョ)は、養殖や内水面(淡水域)で流通しやすい淡水魚グループです。
海水魚より安価なものが多く、日常のたんぱく源として安定供給されやすいという特徴があります。ライムなどでマリネしたり、香辛料をつけて揚げたりすることで独特の臭みを和らげます。
特にナマズは食堂や屋台の定番で、カリッと揚げてサンバル+ララパン(生野菜)で食べる形が人気です。
インドネシアの定番:bandeng(サバヒー) / teri(小魚・干物)

bandeng(サバヒー / ミルクフィッシュ)は熱帯・亜熱帯地域で親しまれている白身魚です。ほどよい脂とやさしい味が特徴で、家庭料理・惣菜・練り物用などとして広く使われます。骨が多い種類として知られ、骨抜き加工品も流通しています。
teri(小魚:アンチョビ類)は、干物や炒め物に塩気やうま味を足すために使われます。少量でも塩気とだし感が強く、サンバルや野菜炒め、ナシゴレンの具として大活躍。保存性が高く、常備しやすいのも消費が多い理由です。
udang(エビ) / cumi-cumi(イカ)

udang(エビ)とcumi-cumi(イカ)は、魚と並ぶ人気の魚介です。料理は、サンバル炒め、甘辛の醤油炒め、ココナッツミルク煮込みなど、ご飯に合わせる形が定番で、地域によってさまざまな調理方法・味付けで親しまれています。
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インドネシアの主な「魚の調理方法」
インドネシア語で魚は「ikan(イカン)」といい、魚料理は「○○・イカン」という名称が多くなっています。
【揚げ魚・焼き魚】イカン・ゴレン / イカン・バカール

イカン・ゴレン(揚げ魚)は、魚に下味を付けて揚げるインドネシアの定番の調理スタイルです。にんにく、塩、ターメリック、コリアンダーなどで香りを入れ、外はカリッと・中はふっくら仕上げます。家庭でも食堂でも定番で、白ご飯と一緒に、サンバルや生野菜を添えるのが王道です。
イカン・バカール(焼き魚)は炭火やグリルで香ばしく焼く料理で、甘みのあるケチャップマニスや香辛料を効かせたタレを塗りながら焼くタイプもよく見かけます。
【蒸し魚】ペペス・イカン
ペペス・イカンは、スパイスで和えた魚をバナナの葉で包み、蒸す(または蒸し焼きにする)料理です。味の決め手はレモングラス、ガランガル、ターメリック、唐辛子、ハーブ類を合わせたもので、魚にしっかりと味をしみ込ませて調理します。
【カレー・ココナッツ煮】オポール・イカン / カリ・イカン / グライ・イカン
インドネシアの魚料理で外せないのが、ココナッツミルクと香辛料で煮込むカレー系です。
オポール・イカンは、辛さは控えめ(またはなし)で、レモングラスなどの香りを楽しむ、マイルドなカレーです。カリ・イカンは、よりスパイス感が強いのが特徴で、海水魚の頭部を具にした「カリ・クパラ・イカン(フィッシュヘッド・カレー)」も定番です。
グライ・イカンは、ターメリックや唐辛子、玉ねぎ、香草を効かせた濃厚な煮込みです。地域や店によって辛さと色味が変わり、赤茶色に近い濃い味のものから、ややマイルドなタイプまで幅があります。
【酸味のスープ・煮込み】アサム・プダス / ピンダン
暑い気候に合うのが、酸味を効かせた魚のスープや煮込みです。アサム・プダスは、タマリンドなどの酸味と唐辛子の辛さを合わせた、さっぱりとした透明のスープです。なお、「アサム」は「酸っぱい」、「プダス」は「辛い」を意味します。
ピンダンは、地域によって指す料理がやや異なるものの、一般に酸味や香辛料を使った黄色いスープまたは煮込みとして知られます。
【辛味炒め】イカン・バラド など
インドネシアらしさを感じる魚の食べ方として、サンバルで炒める(またはサンバルをあえる)料理があります。
代表格がイカン・バラドで、唐辛子、にんにく、玉ねぎなどを炒めた香りの強い真っ赤なソースを、揚げ魚や焼き魚にたっぷり合わせます。味が濃いのでご飯との相性が良く、冷めてもおいしいため惣菜としても人気です。
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インドネシアで定番の魚料理は何ですか?
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家庭や食堂で定番なのは、揚げ魚の「イカン・ゴレン」と焼き魚の「イカン・バカール」です。ほかにも、バナナの葉で蒸す「ペペス・イカン」、ココナッツ煮の「グライ・イカン」、酸味のスープ「アサム・プダス」などがあります。
インドネシアのレストランで食べられる魚料理
インドネシア料理レストラン

インドネシアでも魚介は外食の定番ジャンルのひとつで、魚介専門またはメインのレストランもあります。チェーン店としては、D’Cost Seafood(ファミリーレストラン風)、Bandar Djakarta(店頭で魚介を選んで調理してもらうスタイル)、Cut The Crab(カニ・エビ中心) などが知られています。
例えば、ジャカルタと周辺都市を中心に約70店舗を展開するD’Cost Seafoodでは、魚介各種の揚げ・焼き・炒めなどさまざまな料理が、一皿500円~1,000円ほどで提供されています。
「ワルン」などと呼ばれるローカル食堂では、地域によって魚介料理の顔ぶれが変わり、中華料理の影響が強かったり、内陸では淡水魚が中心になったりと、地域色も出ます。
日本料理レストラン
日本料理店でインドネシア人にも通じやすい魚介メニューの筆頭は、刺身や寿司です。特に寿司は人気で、日本のチェーン(回転寿司)もあればローカル店も多数あります。ローカル店の場合、刺身はサーモンが中心になりやすく、他は肉・卵・天ぷらなどでバリエーションを作っている店もよく見かけます。
また、エビフライやたこ焼きもポピュラーです。いずれも、多くの場合、日本語の名称で販売されています。
さらに、専門店・高級店寄りになるほど、焼き魚(塩焼き・照り焼き)やフライなど、バリエーションが増えていきます。家庭定食寄りのチェーンとしては OOTOYA(大戸屋)が、ジャカルタを中心に複数の店舗を展開しています。
とはいえ、「百聞は一見に如かず」です。「現地の魚市場・飲食店を見てみたい」などリクエストがあれば、一度弊社にご相談ください。インドネシア現地視察支援サービスの詳細は、こちらのページをご覧ください。
インドネシアのコールドチェーン事情

生鮮・冷凍魚介類の流通に欠かせないコールドチェーン(低温物流)。インドネシアの現状と課題を簡単に紹介します。
インドネシアのコールドチェーンの現状
インドネシアでは、食品の品質を保ったまま届けるためのコールドチェーンの需要が急速に高まっています。政府・業界・関連省庁は食料安全保障や物流効率を支える基盤としてのコールドチェーンを重要視し、海外製品に頼っていた冷凍・冷蔵設備の国産化も含めて議論を進めています。
工業省によると、インドネシアはASEANのコールドチェーン市場で38%のシェアを持ちます。背景には、ECの拡大で、冷蔵保管だけでなく「一定品質で配送できる物流」のニーズが増えている点があります。
インドネシアのコールドチェーンの課題
インドネシアのコールドチェーンは、まだまだ十分とはいえません。国連食糧農業機関(FAO)などは、インドネシア国内の農産物の約40%が廃棄されている背景にインフラ不足があると指摘しています。
ボトルネックとして挙げられるのは、ジャワ島外・島しょ部を中心とした電力インフラの偏在、冷蔵倉庫や冷凍冷蔵輸送などへの投資コストの高さ、さらに運用を支える人材不足です。
結果として、全国で均質な低温物流が行き届かず、食品の品質と流通効率の改善が大きな課題になっています。
弊社では、水産物などの仕入れ・流通や市場性の確認のためのリサーチや市場調査、あるいは販売代理店の開拓なども承ります。まずはこちらから、お気軽にお問い合わせください。
- 参考:
Kementerian Perindustrian「Indonesia Cold Chain Infrastructure Summit 2025 Dorong Penguatan Ekosistem Rantai Pendingin Nasional」
ULBI「PENONTON ATAU PEMAIN? NASIB INDONESIA DI PANGGUNG COLD CHAIN GLOBAL」
Dua Putra Perkasa Pratama「Tren Cold Chain Indonesia 2025: Peluang dan Tantangan Industri Pangan」
取得予定のビザについて、以下から詳しい情報を検索できます。



映像でみるインドネシアの魚食文化
東ヌサ・トゥンガラ風焼き魚レストラン

こちらは、ジョグジャカルタにある東ヌサ・トゥンガラ※風のイカン・バカールのレストランです。東ヌサ・トゥンガラの魚料理は、シンプルな焼き魚・揚げ魚に辛みの強いサンバルやライムを合わせるのが特徴です。
動画では、たくさんの新鮮な魚介が並び、その場で調理されている様子が紹介されています。
イカン・バカールやイカン・ゴレンの店は、こちらの店舗のように、半露店になっていることも多くなっています。
東ヌサ・トゥンガラ:フローレス島、スンバ島、ティモール島西部などを含む地域
塩干魚「イカン・アシン」専門店

魚を塩漬けにして乾燥させた保存食「イカン・アシン」は、手頃な価格と保存性、強いうま味で昔から親しまれてきました。
こちらの動画で紹介されているのは、Bogor(ボゴール)のイカン・アシン専門店。約100種類の魚を扱っているそうです。
ボゴールはジャワ島西部のスンダ料理圏に位置します。スンダ料理では、ご飯のトッピング、生野菜の付け合わせ、あるいはメインのおかずとして、揚げたイカン・アシンがよく登場します。
インドネシアは「魚が身近で、食べ方が多彩」な国
インドネシアは、魚の消費量が多く、近年も増加傾向が続いています。よく食べられる魚は、カツオ・小型マグロやサバ・アジ系に加え、淡水魚も幅広く、家庭・屋台・レストランで日常的に登場します。
調理法も「揚げる」「焼く」を軸に、蒸し、煮、炒めなど多彩で、地域ごとに特徴があります。
政府は、国産の設備を含むコールドチェーンの強化を推進しています。インフラ整備が、漁業が盛んで魚の消費量も多いインドネシアにどのような影響をあたえるのか、期待とともに見守りたいところです。
インドネシアで会社を設立する際、予算と目的に合わせた設立方法があります。
弊社では豊富な設立実績があるためまずは一度ご相談ください。
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